転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 最近、むしろ投稿するのが攻めていることになるなら私はやっぱりSなのかと思いました。


韻竜さんこんにちは

「もっと、こう上目遣いに。今までの悲しみを表情に乗せる感じで」

 

「こう?」

 

 スレイプニィルの舞踏会まではまだ余裕があるので、シャルロットに仲直りの仕方を伝授してた。やり方は簡単。涙目の上目遣いで一言「姉さま、仲直りしよ?」って言うだけ。可愛さ甘って憎さ百倍って状態だったらまだこれで修復出来ると思ってのことだ。場合によっては俺自身も手を貸すことになるかもしれないが、あのワイルド系不良デコ王女が見れるなら安いものである。現実にいないからね。そんな属性。運命シリーズとかのモードレットさんとか。

 

 あとエルフのビダーシャルだっけ?の顔つなぎはまた後日という事になった。単にスケジュールが合わなかっただけである。深い意味は無い。

 

 今はジョゼフが贈り物を持ってイザベラの機嫌を取りに行っているだろう。パーカッション式なので並行してのポーチとホルスターは製図だけしてこちらの職人に作らせた。何でもウェストって言う職人らしく、ポーチにハルケギニア語で「For S(aito)& W(est)」とパクリみたいなイニシャルを刻んでいた。勘弁して欲しい。ポーチは予備の弾倉が3つ入る。本当は5つくらいにしようかと思ったけど、雷管が危ないし何より重くなるのでこの数にした。それでもマスケットと比べると32発撃てる計算だから十分と言えば十分だけど。もし顔を合わせるならドットでも実用的な魔法の運用法とかも教えてあげよう。ランクが全てじゃない。現に俺はなんちゃってラインで実際のところは地下水依存の腹話術でドット以上と言うのをごまかしているだけだ。

 

 それにしても会ってみたいな。イザベラ。粗野な口調で罵られたい。それを取り合わず涙目にしたい。俺はどうも潜在的にSなようだ。しかも誘い浮け。

 

 俺の嗜好などどうでもいいか。今からシャルロットとしてイザベラに会いに行くらしいから俺とシルフィードはお留守番だ。

 

「で、いつまでしゃべらないつもりだ?他の人が居ないからもうしゃべっても大丈夫だぞ。シルフィード」

 

「きゅい!?」

 

「ああ、お前が韻竜だと言うのは一目見て分かっていた。竜と言うには大源(マナ)の操作の仕方が異常に上手いからな。竜は飛ぶ分だけ操作出来れば十分だと言うのに」

 

「きゅいい・・・・・・ばれちゃったのね」

 

 鳴き声の後に幼い女の子のような声でシルフィードが話す。実際人間に換算すると10歳児らしいから十分幼女か。

 

「俺に見つかったのが運の尽き、いや、大いなる意志の思し召しと言う奴かな?ま、そういう事にでもしておけ」

 

「しょうがないのね、わかったのね、お兄さま」

 

 しかしこう、擬人化もするしスペック高いし可愛い奴なんだよ。基本竜が好きだし。あ、そうだ。帰りに竜の卵を買っていこう。ガリアだったらサハラから水竜輸入してひそかに風竜と交配でもさせてるかもしれないし。生まれたら地下水でコントラクト・サーヴァントでも唱えてやろう。解析は終わっているので知のルーンでも付けるか。生まれたばかりだと言ってる事も分からんだろうし、俺は竜の飼い方を知らん。

 

「ところでシルフィード、干し肉やるから質問に答えてくれ。韻竜ってブレス吐けるの?」

 

「んぐんぐ、韻竜はそんな野蛮なことはしないのね!出来るけどしないのね」

 

 ああ、吐ける事は吐けるんだ。

 

「そかー。質問に答えてくれてありがとな。よしよし」

 

「きゅいー」

 

 撫でると甘えた声を出す。愛い奴よ。

 

「うん、じゃあ次の質問に行こうか。今度は甘い奴をやろう。欲しいか?甘いの3個欲しいか?」

 

「欲しいのねー」

 

「欲しいか、このいやしんぼめっ」

 

「もぐもぐ」

 

「よーしよしよしよしよしよし」

 

 暇なのでチョコラータの真似でもしてみる。信じられるか?あれで元医者なんだぜ?

 

「じゃあ食べ終えたところで質問に答えてもらおう。人間の姿になれるのか?」

 

「なれるのね!精霊魔法の前にはそれくらい朝飯前なのね!るーるるー」

 

 普段生食だったりするから味の濃いものを食べてシルフィードはご機嫌だ。確かペットってあんまりこういうのあげすぎると普段のエサ食べなくなるんだっけ。気をつけよう。

 

「服とかも再現出来たりは?」

 

「出来ないのね!そもそもそんな窮屈なの着たくないのね」

 

「そーなのかー」

 

 じゃあ、あれだな。変身の時は絶対に裸と言う事だ。これはまずい。うかつに変身させていたらToラブってた。多分変身シーン直後にシャルロットが帰って来るとか。

 

「ならあんまり窮屈じゃない奴を今度作ってやろう。だけど今変身されてシャルロットが帰ってきたら困るからまた今度な」

 

「分かったのね。ありがとうお兄さま」

 

 最後に一人と一匹で風味を楽しむナッツを食べた。やっぱりシルフィードの方が大きいので多めに口に流し込んでやった。

 

「珍しい食べ物だったのね。人間はこんなの食べてる?るる?」

 

「これは非常食だな。だから普段はもそっと味の薄いのを食べてる。こんなのばかり食べてると身体壊すからシルフィードも気をつけろよ」

 

「きゅいぃ・・・・・・ぶるぶる、分かった、気をつけるのね!」

 

 待ってる間暇だったので、一通り話し終えた後城の衛士に竜の卵がどこで売られているか聞いて、交配で失敗したとされる火竜と風竜のハーフの卵を買ってきた。近日中に孵化するらしい。楽しみにしておこう。

 

 

 

 シャルロットが帰ってきてからその足でゲルマニアのキュルケの実家に向かって治療の詰めをすることとなったが、その前に結果を聞いておこう。

 

「どうだった?」

 

「上々」

 

 ぐっとサムズアップして応えるシャルロット。可愛い。

 

「そうそう、学院での呼び名はどうする?」

 

「好きなように呼んで。でも、出来ればあなたには本当の名で呼んで欲しいかも知れない」

 

「分かったよ。シャルロット」

 

「お姉さまとお兄さまはとっても仲良しなのね」

 

 一拍置いてハッとするシャルロット。すぐさま杖を振り下ろそうとする。

 

「待った待った。俺が気付いててシルフィードにばらさせたんだ。責められるなら俺だよ」

 

「そう、なら仕方無い」

 

「えこひいきなのねー!」

 

 あー、あれだよ。自分で言っちゃうのもなんだけど、惚れた弱みって奴?うわ、俺ってそれだけ見ると下種い。草生えそう。

 

「よし、シャルロットのお母さんを完全に治したら舞踏会だ。ゆっくり語らってから帰ろう」

 

「うん」

 

「でもお姉さまたちがご馳走食べるならシルフィードもお肉たくさん食べたいのね」

 

「なら、ゲルマニアで牛一頭買うか」

 

「わーいなのねー」

 

「サイト、あんまり甘やかさないで」

 

「たまの祝い事だ。いいじゃないか」

 

 ゲルマニアのツェルプストーの家でキュルケたちが既に新型の飛行機械で飛び立っていて、後日俺達は慌てて追いかけることになった。

 

 

 

「今回はハードスケジュールだったな」

 

「?」

 

「ああ、強行軍だったってこと」

 

 ようやく学院に帰ってきたよ。あいつらギーシュとマリコルヌが居るから多分大丈夫だけど、キチンとメニューこなしてるかな?

 

「才人さん!」

 

 いち早く気がついたらしいシエスタが駆け寄ってくる。

 

「アルビオンから帰ってきたら今度はガリアに乗り込むって聞いて、才人さんなら大丈夫だと思ってましたけど、無事でよかった・・・・・・」

 

「ああ、ただいま。シエスタ」

 

「それに、ミス・タバサもおかえりなさい。お話は才人さんとルイズ様から聞いています。私達はあなたを歓迎します。一緒に才人さんを支えて行きましょう」

 

「うん、後、私の本当の名前はシャルロット。同志になるあなたにはその名前で呼んで欲しい」

 

「わかりました。シャルロット様」

 

 微笑ましいなぁ。

 

「ヒラガ様よ!」

 

「本当、ヒラガ様だわ!」

 

 話しこんでいるとなにやら女の子達が寄ってきた。なんだ?

 

「あの、ヒラガ様。ご活躍存じております。水精霊騎士隊の訓練でも、一人での無双ぶり、とても格好よかったですわ。よかったら、その、ビスケットを焼きましたの。是非どうぞ!」

 

「ありがとうございます。ミス、お名前を伺っても?」

 

「そんな、英雄ともあろうお方が私たちごときに敬語をお使いにならないでください!」

 

「ケティと言います・・・・・・」

 

「なら、あらためてありがとう、ケティ。早速だけど食べさせてもらうよ」

 

「あ、ケティずるい!」

 

 その場でビスケットの入った包みを開き、ボリボリと食べる。うん、家庭的でバターの甘味が嬉しい。

 

「美味しいよ。家庭的でほのかな甘味が味を引き立ててるね」

 

 美味しいので笑みを浮かべてそう返した。

 

「はうぅ」

 

「ケ、ケティ!」

 

「これはいけない。保健室まで送ろう。済まない、シエスタ、シャルロット。すぐに顔を出すから昼前だしアルヴィーズの食堂で落ち合おう」

 

「分かりました、才人さん」

 

「わかった、サイト」

 

 おんぶはデルフリンガーがごつごつして痛いだろうから横抱きにして保健室まで連れて行ったが、道中気がついたケティがその状態にもう一度失神した。俺が居るとあまりよろしくないようだから看病は一緒に来ていた女の子達に任せ、食堂に向かうことにした。

 

 

 

「我らの剣!お前さん殿下直々の爵位を断るたぁすげえ度胸だな!」

 

 厨房に顔を出すと、マルトーさんが上機嫌にバシバシと背中を叩いてきた。

 

「出世すると友達が外国人だったので助けるのに邪魔になると思っただけですよ。それほどでもないです」

 

「聞いたか!我らの剣は友の為に叙勲すら断る漢よ!俺達平民の誉れだ!」

 

『平民の誉れだ!』

 

「ハハハ、ありがとうございます」

 

 ここのパワーは本当に背中がかゆくなるくらい褒めてくれるからなぁ。

 

「そうだ、タルブから仕入れたこの炭酸入りワイン。お前さんが関わっているんだろう?仕入先が自慢してたぜ!」

 

「ええ、こちらでも炭酸水自体はあるのですが、味付けするとそれなりに薄くなってしまいますので。自分が飲みたくて頼んで作ってもらいました。好評なら幸いです」

 

「我らの剣は本当に多才だな。確かに、俺達料理人も自分が食べたいから作るってのもある。それが他に広まってその地域の味になるって事もな」

 

「そして、ここだけの話ですが、これからはトリステインは身分に囚われず、有能な者がさらに上を目指せるようになるでしょう。そのために、まず俺が改めて爵位をもぎ取ってきます。友達は助けましたし。マルトーさんたちもそれに続けるように道を作りますので、期待しててください」

 

「本当に気持ちのいい奴だな。我らの剣は!」

 

 マルトーさんたちに肩を抱かれ、また、俺の剣ダコに触れたいとのことで握手を求められた。この人たちなら料理でも爵位が取れるだろう。

 

 

 

 厨房に挨拶したあと、軽く騎士隊のメンバーに挨拶し、ルイズ達を探した。ルイズとタバサは一つ席を空け、隣り合って会話しながら食事をしていた。3人か。もうこれハーレムって呼んでもおかしくないな。積極的に増やすつもりは無いんだけど。悪いがケティって娘は憧れで終わってもらう。

 

「才人!こっち!」

 

 隣の席を叩くルイズ。俺に感化されてるのか少々はしたない。

 

「俺の為に席を取っておいてくれたのか。ありがとう。二人はどんな会話をしてたんだ?」

 

「秘密よ」

 

「うん、女の子の秘密」

 

「秘密ならしょうがないな」

 

 女の秘密ってのは多いほど魅力が増えるそうな。昔どっかで聞いた。

 

「それより二人とも、スレイプニィルの舞踏会って何をするんだ?名前だけで内容は把握してないんだ」

 

「仮装舞踏会よ。マジックアイテムで憧れの人物になって、それで踊るの」

 

「そうか。なら、ちょっとしたゲームをしようか」

 

『ゲーム?』

 

「ああ、遊びだ。変身するマジックアイテムなら、二人を探して当ててみよう」

 

「良いわ。乗るわよ」

 

「分かった」

 

「では、その日を楽しみにしておこう。それと、キュルケとコルベール先生が何かしでかすらしいから楽しみにしておくといい」

 

 そう締めくくって食事に専念した。しっかり食べておかないと動けないし考えられなくなるからね。




 韻竜がブレスを吐くと言う描写は確認したことがないので曖昧なのですが、火韻竜が居たら絶対吐くだろうと思ったので吐く案を採用。イザベラは後日機会があったら出るかな?今回サイト君が居たら変にこじれそうなので見送らせていただきました。

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