インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~   作:kageto

6 / 51
この話から数話はダーク一夏分ががっつり減ります。
いわゆる説明回と日常回というやつです。

それにしても普通の会話が難しい。
モブキャラの口調がわからない。

各クラスメイトたちの口調の参考にここ見ればいいよという情報がありましたら教えていただけると、狂喜乱舞します。


第06話

 あのダメ人間の「特別扱いはせん」発言の後、自宅通学すること10日。

 

 そう、10日経ったわけだ。

 

 あの日、自宅に帰ってから改めて入寮案内を読み返していて気がついたのだけど、IS学園の寮の売りのひとつに大浴場があるわけで。そのぶん個室はシャワー主体のやや小さめの浴槽付らしい。

 女生徒が入るとしてのやや小さめだと、当然男の俺には小さすぎるわけだ。そりゃあ成人男性と比べたらまだ背は低いほうだろうが、3年間でまったく成長しないということはないだろう。そうなると、浴槽が小さすぎるんだ。さっきも言った気がするが、あえてもう一度言おう。浴槽が小さすぎるんだよ。

 

 大浴場なんて使えるわけがないのは百も承知している。むしろ男子使用日なんて作られたひには泣くぞ俺は。気まずくて入れるかっ。

 

 ということで“山田先生に”その点を確認してみたところ(緊急用に携帯番号を聞いておいた。いつかデートにさs・・・)教員側では男子使用日を作るつもりだったらしい。

 

 もちろん全力を以てお断りさせていただいた。そして提案したのが、大浴場を一切使わない代わりに自室の浴室を足が伸ばせる浴槽+広めの洗い場を作ってもらう。というものだったのだ。

 

 淡い期待と若干の諦めとともに翌日登校した俺の元に届いたのが「了承されました」の一言だった。

 

 その代わりに部屋の工事が入るため、自宅通学が3日延びた次第だ。

 

 そんなわけで、皆に遅れること10日。俺もIS学園寮に入寮を果たしたわけだ。

 

 内装としては、デスクとベッドが一組になったことで空いたスペースにキッチンを移して、キッチンがもとあった場所をそのまま浴室が拡張された感じらしい。浴室には浴室乾燥機能が追加されていたので、俺の洗濯はここで干してほしいということだろう。主に下着類。

 

 ちなみになんで入ったこともないほかの部屋との内装の比較ができるかというとだ。のほほんさん谷本さん夜竹さんの3人が押しかけて部屋を物色してるからなわけだ。

 

「おー。キッチンがこっちだ」

 

「あ、ホントだ。そのぶんお風呂ひろーい」

 

「いや、広すぎない?私この浴槽だと沈んじゃうかも」

 

「俺が足伸ばしてゆっくり入れるサイズって頼んだからなぁ。女の子には確かに大きいかもなぁ」

 

「いいなぁ。おりむー。私たちのお風呂はもっとちいさいよぉ」

 

「まぁけど、大浴場使えないからなぁ。俺」

 

「あれ?そうなの?織斑君も使えばいいのに。男子使用日とか決めてさ」

 

「勘弁してくれ。気まず過ぎるって。それに『男が使ったお湯になんて浸かれません』とか『私たちが浸かったお湯に男子が浸かるなんて許せません』とかいうやつ絶対いるだろ?」

 

「あー」

「あー」

「あー」

 

 どこぞの阿呆がISなんて作ったせいで今の世の中は女尊男卑だ。とくにこのIS学園はそのパイロットを育成する場所なわけで、“そういった”思想が少なからずある。

 

「私たちはそうでもないんだけどね~」

 

「うちのクラスだと、ほら」

 

「オルコットさんが・・・ね」

 

「あいつは絶対に言うな。いや、そもそもイギリスって大衆浴場ってあるのか?『何で私が極東の下等な文化に則って日本人ごときに高貴な肌をさらさないといけないんですの』とか言い出しそうじゃね?」

 

「言うわね」

「言うね」

「おりむ~。今のちょっと似てた~」

 

「この話題はやめよう。心が寒くなる。夕食までに俺、荷物片付けるけど、3人とも部屋戻るか?」

 

「手伝おっかぁ」

 

「よーし。そのにやけた顔を引き締めてから出直して来い」

 

「えー。織斑君の服のセンスとか気になるー」

 

「面白いものとかな~い~?」

 

「はいはい。どっちもまた今度なー。そのうちみんなで遊びいこーぜ」

 

「お?両手に花どころかハーレム?」

 

「集団デート?ちょっといいかも」

 

「おりむ~にデート誘われちゃった」

 

「おう。デートだ。デート。ハーレムだっていいじゃないか。だって男の子だもん」

 

「そこまで開き直られると、いっそすがすがしいね。楽しみにしてるねー」

 

「また夕食のときにねー」

 

「またねー」

 

「おう。あとでなー」

 

 わーわーきゃーきゃー盛り上がっていた三人(俺の荷物開封だけは阻止した)が帰っていき、一息ついてから荷物を開け始める。といっても、衣類に勉強道具、趣味雑品まとめて大き目のバッグひとつにダンボール2つだ。そんなに多くはない。30分と経たずに片付け終わり、ダンボールを保管しておくか少し悩んでから捨てることにする。3年間はこの部屋だ。3年後にまた改めて用意すればいい。

 

 寮裏のごみの分別倉庫にダンボールを放り込みに行き、風呂をセットして食堂に向かう。

 

 クラスのみんなと盛り上がりながら夕食を済ませ、風呂に浸かる。

 

 あぁ、明日から放課後に起動実験があるんだっけか・・・。

 

 また忙しくなるなぁ・・・。まぁ、なんとかなるか・・・。

 

 新しい部屋の新しい浴槽に張った一番最初の湯船の中で、疲れと不安がゆっくりと解けていった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。