インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~   作:kageto

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第03話

「―であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ―」

 

 HRの時のどもり方からは信じられないほど、スラスラと教科書を読んでいく山田先生。やはりあの胸はすごい。

 

 休みの間に読んだ参考書の内容と、山田先生の語る、授業内容を比較して板書をとりつつ、気になった事、というより気がついたことがあったので手を上げる。

 

「あ、はい。どうしました?もしかして解りにくかったりしました?」

 

 明らかにうろたえる山田先生をほほえましく思いながら、気が付いたことについて聞いてみる。

 

「わからないというわけではないんですが、『国家の認証が~』というところなんですが、このIS学園ってそのシステムを縮小していますよね?基本的運用は学園の許可が必要で、違反すると罰が与えられる。校則にありましたよね」

 

 途端に、山田先生の表情がぱぁっと笑顔になる。

 

「よく気がつきましたね!えぇ。はい。そうですよ。IS学園における、ISの使用に関するシステムは、今説明していたところを、ほとんどそのまま使っています。これはですね、皆さんが今後、学園を卒業して世界の各地でISに関わっていく際に、常識的にこのシステムを理解できているようにということで用いられています」

 

 山田先生は手にしていた教科書を教卓に置くと、教室全体を見渡すようにして続けた。

 

「ISというものは、まだ歴史の浅いものです。皆さん、銃火器は所持したらいけないとか、麻薬は栽培から使用まで禁止されているとかは、当たり前のように知っていますよね。ですけど、ISは皆さんが生まれた後にできたものです。つまり、当たり前というにはまだ程遠いんです。かく言う私達教師陣も、ISに関しては、わからない事や覚え切れていないこともあったりします。ですので、このシステムを学園で日常的に運用することで、私達に慣らす。という側面もあります」

 

 山田先生はにこりと笑うと、話の締めに入った。

 

「私達教師陣も学ぶ側です。皆さんに教えていくことで学んでいます。この教室に居る全員。この学園に居る全員が、これからのISという分野の担い手です。一緒に学んで成長していきましょう」

 

 気が付いたら、俺を含めてクラスのほとんどが拍手していた。それほどすばらしい言葉だと思う。

 

「あ、あの!拍手なんてされたら照れちゃいますよ~」

 

 顔を真っ赤にして、わたわたとしている山田先生は、アレと比べて常識人なのだと、心に刻んだ。

 

 何かあったら、山田先生に相談しよう。


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