インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~   作:kageto

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中間テスト回その2。
というか、鈴と一夏の会話回。

学生のころはテスト勉強なんてしなかったなぁ。当然成績は悪かったけど。


第28話

 

『中間テストランキング戦 報酬:チーム織斑手作りお菓子』

 

 やりやがったな鈴。俺の負担が大きいじゃないか。鈴を半眼で睨むが、笑顔で返された。

 

「ところが。これには穴があるのよ。よーく見てみなさい」

 

 言われて、用紙を読み進める。

 

『参加登録者には手作りクッキー1枚プレゼント。チーム織斑全員よりも順位が上の人には織斑一夏お手製お菓子の出るお茶会に招待。全員を抜くことが出来なかった人は、抜くことが出来た人『以外』の誰かの手作りクッキーをプレゼント』

 

 えーと、どういうことだ。ややこしい。

 

「つまり、まずはトップ賞ね。あたし達全員を成績で抜くことが出来たら、休みの日にたまにやってるお菓子パーティに招待する。これはわかりやすいわね」

 

 まぁ、アレは俺がお菓子作りたい欲求を満たすっていう一面もあるから、人数が少し増えるだけだな。

 

「次ね。たとえばの話よ。あたし達の順位が一夏、シャル、あたし、簪、本音だとするじゃない?一夏とシャルの間の順位の人は一夏のクッキー確定。あたしと簪の間の順位の人は一夏、シャル、あたしの三人の誰かのクッキー。本音より下の順位の人は参加賞のクッキーだけ」

 

 あー。なんとなくわかったけどさ、それって参加者全員に俺ら全員が抜かれたときが地獄なんだが。

 

「あんたの考えてることもわかってるわよ。けどあんたの負担は殆どないわよ」

 

 俺の負担が少ない。ねぇ、どこまでがホントなのやら。

 

「まず間違いなく、私達全員を抜く可能性のあるヤツは片手で足りる。そのうちの一人はイギリスの代表候補生だから参加しないわよ。で、あたし達の中での成績順って、簪がトップ、次があたし。ちょっと下がってシャル。そこから少し離れて一夏。僅差で本音よ。簪の成績トップは言わなくてもわかるでしょ。あたしがシャルに勝ってるのは日本語の理解力の差。一夏がそこから離されてるのは、理由は明白よ。アンタ、IS専門の授業の理解度を7割で放棄してるでしょ。一般科目でのトップはアンタだろうけど、IS専門教科がそんなんじゃ差が出て当然よ。本音に関してはどの教科も平均より上できれいに纏まってるらしいから、まぁそんなもんでしょ」

 

 見事なまでの分析だな。全員の特性をはっきりと認識した上での分析なんだろうな。だけど、簪が絡んでる可能性が高いな。鈴だけでここまで理詰めの企画考え付かないだろ。もしかするとシャルとのほほんさんも絡んでるかもな。

 

「で、本音が大体全体の真ん中ちょい上だから、参加者の殆どが参加賞のみ。成績上位に食い込んでくるようなのは、確実にアンタよりも成績上だからあんたの負担は少ないのよ。で、私達全員を抜くことが出来るヤツが片手で足りるってのは、代表候補生なめんなってところね。私達が候補生って地位を手にしているのは伊達じゃないのよ」

 

 つまり俺は参加者総数の5分の1プラスちょっとのクッキーを作るだけで良いのか。

 

「でもそれだと簪の負担が大きくないか?」

 

「そこには別の思惑があるから良いのよ」

 

 さいですか。乙女の秘密ってやつかね。

 

「まぁ他の三人が納得してるんなら良いけどよ。今回また変な企画考えたよな」

 

「だって学園側の思い通りってのも、なんかしゃくじゃない?」

 

 気持ちはよくわかる。よくわかるけど。

 

「山田先生の負担増やすなよ。やっと復活したんだから」

 

「あ、そこも大丈夫。買収済み。お菓子って偉大よね。生徒が勉強に取り組んでくれる内容だから目をつぶってくれるって」

 

 手際の良いことで。しかも勉強イベントっていう、否定しにくい内容だからな。山田先生も少しずつ吹っ切れてきたな。そうやってストレス溜めなくなっていけば良いんだけどな。

 

 

 

 

 

 まぁ、俺もそこそこテスト対策やっとくかな。世界唯一の男性操縦者の成績が悪かったとなると、うるさそうだし。

 

 それになんだかんだで、このイベントの参加者も多そうだしな。のほほんさんも巻き込んで勉強会するか。少しでも負担減らすために。

 




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