インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~ 作:kageto
更識姉妹編の話。けれどこの話は一夏メイン。
痴女会長が連行されていったのを見届けてから部屋に入って鍵をかけた。しかしホントにどうやって部屋に入ったんだか。マスターキーは寮監しか持ってないはずなんだが。ピッキングでもしたか。
制服をハンガーに掛けてから、机の上に置いたままのヘッドホンをつける。ワイヤレスのヘッドホンは部屋をうろつくときには重宝している。さすがに調理中にはつけないけど。危ないし。
聞く曲は割りと様々だが、最近は洋楽でも聞き取りやすい曲を聴くことも多い。普段から英語を耳にすることで英語になれるようにするためだ。大学受験をする際に役に立つといわれて最近はじめたことだ。たまに覚えた単語が聞き取れるので、役に立たないということはなさそうだ。
風呂の自動湯沸しをセットしてからベッドに身を投げた。
「ん?」
一瞬ヘッドホンの音にノイズが入った気がした。壊れたか?結構高かったから壊れると泣けるんだが。
起き上がってから机の端末に向かい、再生中の曲を戻してみる。先ほどノイズが流れたと感じたところでは、今度はノイズは入らなかった。ヘッドホンをはずして音量を上げてみるけど、音割れもしない。壊れてない?
「どういうこった?」
音量を戻してからヘッドホンを手に持ってベッドに向かう。ベッドに倒れこむときの勢いが悪かったんだろうか?そう思って手に持ったヘッドホンを軽く振り回してみる。
「やっぱりコレが原因か」
先ほど同様にかすかに聞こえたノイズに納得してから。再度耳に当てて、今度はゆっくりと横になる。急に動いたらノイズが入るのだろう。
「あれ?」
ゆっくり動いたはずなのにまたノイズが入った。携帯の電波か?いや、今までそんなことなかったし。
まさか。
ヘッドホンのワイヤレス受信感度を限界まで上げてみる。この広さの部屋には必要ない高感度だ。
ヘッドホンをノイズが聞こえたベッド周辺でゆっくりとかざして回る。
まさかテレビで見たようなことを専用の機械じゃなくてヘッドホンですることになるとは思わなかったが。っと。
「このへんか」
ベッドボードに備え付けのスタンドライトまわりをあさってみる。違和感発見。ライトの裏側からボタン電池の大きい版みたいなものが取れた。ヘッドホンにかざしてみるとノイズが出る。
「マジかよ」
盗聴器とか。……。コレ一個だけなんてことはないんだろうなぁ。俺のプライバシーとかマジどこよ。
ホントにまだ出てきたよ。机とキッチンはまだわかる。けど、机の方のはノイズがホントにかすかにしか聞こえなくて難航した。最大感度でかすかにしか聞こえないって、どんな高性能だよ。いや、まだそれはいい。問題は2ヶ所。トイレと浴室だ。プライバシー皆無じゃねぇか。マジなんなんだよ。
タイミングを考えるなら痴女会長が仕掛けたってことなのか?あの残念そうなのに?
ふと思い抱いたことがある。簪が確か会長のことを『更識家当主』みたいな事を言ってたような。
《ちょっと聞きたいんだが、更識家って何やってる家なんだ?家業的なヤツは》
《あまり声高に言えないけど、諜報員みたいな事。急にどうしたの?》
ビンゴー。犯人ほぼ確定じゃねぇか。
《直接話す。今からそっち行くわ》
学園内って安全じゃなかったのかよ。
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