インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~   作:kageto

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割と勢いとノリで書き上げました。シャル回です。
誤字脱字などありましたら報告いただけますと幸いです。


第15話

 さて、5月もある程度過ぎたのだが、ウチのクラスにも普通の高校と変わらずクラスルールがいくつかできた。

 

 ひとつは俺と織斑先生の関係には触れないこと。俺はそこまで気にしていないのだが、俺との関係をつつくことで憧れの存在のダメな部分を知りたくないということらしい。

 

 次に篠ノ之箒を怒らせないこと。入学式の日以降なんどか俺に絡んできたんだが、最終的に木刀を振りかざしたのだ。入学式の日に俺が言ったことを、ある程度大げさに言っていたんだろうと思っていたクラスの子もさすがに理解したようで、頑張って俺が何度か打撃を受けながら回避している間に山田先生を呼んでくれた。その結果、木刀没収、部活の一ヶ月禁止、3日間の自室謹慎、反省文20枚という処分が下った。そしてクラスの全員から『怒らせると暴力に訴える』という認識を持たれたわけだ。

 

 それからクラス対抗戦に関しては語らないこと。あれだけ見得を切ってクラス代表になったオルコットだったんだが、初戦で2組代表の鈴に完敗。素人の俺ですら理解できるレベルでの完敗だった。なにせ、当日アリーナの後ろのほうを陣取って、簪に解説を頼んで観戦していた1組有志に向かって簪の行った解説が『解説、する?』という位だったのだからな。それ以降クラスでは『クラス対抗戦はなかった』ということになった。ちなみにオルコットはクラスで一言もしゃべることはなくなった。授業であてられたときにしゃべるくらいだ。もひとつちなみに優勝は鈴だった。代表候補生のすごさを見たね。

 

 とまぁ暗黙の了解というやつがあるが、基本クラス仲はいい。例外はいるが。

 

 俺はクラスとそれなりにうまくやっている自信はある。放課後教室や食堂で駄弁ることもけっこうあるしな。けど、やはり頻繁に一緒にいるのは鈴か簪かだ。その次が追加学習の関係上山田先生になる。

 鈴とは弾や数馬とグループ会話することも結構ある。けど意外なといっては何だが、鈴と簪の仲もそれなりにいい。俺が仲介する形で知り合ったが、専用機の件や姉の件を聞いた鈴が『女版一夏』と評した。食事を忘れて没頭する簪の首根っこをつかんで食堂に引きずる鈴の姿を数度目撃する位には仲がよくなってるようだ。ちなみに俺が連れて行くときは肩に俵担ぎだ。のほほんさんは連れて行かない代わりにきぐるみパジャマを着せて写真を取り捲っている。レパートリーはまだまだあるらしい。

 

 で、そんなうちのクラスに転入生が来るらしい。情報源は山田先生。昨日の放課後教室で一緒に雑談をしていたときに、山田先生の携帯に連絡が入ったのだ。数分はなしていた山田先生が電話を切ったとたんに肩を落とした。何でも知らされてなかったらしい。「寮の部屋割りを組みなおしますので」と教室を出てゆく山田先生にみんなで手持ちのお菓子を差し入れた。頑張ってほしい。

 

 というわけで割りと期待しながら朝のHRを待ってた俺らだったのだが、入ってきた山田先生の憔悴っぷりに引いた。ドン引きだった。上体が倒れてるよ。女子の間で牛みたいと言われることがあるけど、ちょっと納得した。アレ山田先生の顔と同じサイズあるんじゃね?片方だけで。いやホントに。

 

 とか考えてたら織斑先生と一緒に転入生が入ってきた。中性的な顔立ちの金髪だった。え?男用制服着てるけど。え?

 

「自己紹介しろ」

 

 織斑先生の言葉に「はい」と短く返した転入生の目を見て思った。あれ?コイツ同類じゃね?

 

「シャルル・デュノアです。同じ境遇の方がこちらにいるのでボクもこっちの方が良いだろうということで来ました」

 

 そう言ったものの、女子が反応しない。理由は明白だわな。笑顔がこえぇ。作り笑いもあそこまで行くと怖いのな。

 

「……って、んなわけあるかぁっ!無理があるだろ!いくらボクの顔立ちが中性的なほうだからって、さすがに男じゃ通じないよ!胸のサイズと腰の細さはコルセットとジャパニーズサラシでごまかせるけどヒップのラインは無理だよ!自慢じゃないけどプロポーションには自信があるんだよ」

 

 叫びながら制服の上着を脱ぎ捨てた。下に厚手のシャツを着てたらしいが、その中に手を突っ込んでごそごそしてたかと思ったら、さらしとコルセットを緩めたらしい。胸が膨らんだ。丘が誕生したよ。けっこうあるな。

 

「苦しいんだよ!こんなのつけて生活したら死ぬよ!というか実習の時にどう誤魔化せって言うのさ!渡された自称男用スーツだと胸が隠せないよ!小さい蕾がスケスケだよ!さらし巻いて通常スーツきたらパッドが不自然に浮かぶし!」

 

 あ、女子のスーツってパッド入ってたんだ。まぁ、そうじゃないと転入生の言う小さいつぼみが丸わかりだしな。

 

「というか何で入学許可出たのさ!怪しさ満点じゃないか!怪しんでよ!調べてよ!ってか気付けよ!IS委員会何してるのさ!代表候補生の申請の時に調べろよ!経歴調査したら一発じゃないか!なんだよシャルルって!シャルロットだよボクは!何で母さんがつけてくれた大切な名前を偽らないといけないんだよ!そもそも男性操縦者についての情報を流せって、スパイじゃないか!犯罪だよ!捕まるよ!どうせ捕まってもボクを切り捨てるんだろ!ならいっそ全部暴露して内部告発してやる!みてろ!ボクだって!ボクだって!キレるんだよ!」

 

 大・絶・叫!肩で息してるよ。目が怒りに染まってるよ。こりゃ本気で限界突破したな。

 

 あ、山田先生が死んだような表情でシャルロットの絶叫録音してたっぽい。内部告発やら何やらは先生に任せて大丈夫らしい。けど、顔が死んでるのは部屋割りの組み直しだからだろうな。今度は食事を差し入れよう。山田先生が精神的に死ぬ前に。

 

 休憩時間に飲むようにもって来たペットボトルの水をシャルロットに差し出す。一気飲みだよ。500ml一息とか。

 

 水を飲み干して深呼吸したシャルロット・デュノアの肩に手を置いて優しく声をかけた。

 

 

 

 

「ようこそ駄家賊同盟に。俺たちは君を歓迎する」

 




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