この超ポジティブまぬけがっ!   作:甚三紅

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二部は吸血鬼の天敵過ぎて書けませんでした。
ここから先は完全オリジナル展開。
ねーよ!という方はそっと回れ右。
YES!YES!YES!という方だけお進み下さい。

勘違いはほんのちょっぴり。


少年ジョセフ視点

おれの顔はジョナサンじいちゃんに似ているらしい。

みんな口に出さないけど、ふとした瞬間におれを通して別な誰かを見ている時があるのを知ってる。

おまけに何かある度にディオディオディオ!もう一人のじいちゃんらしいけど、赤の他人じゃねぇの?ジョナサンじいちゃんの義兄弟だ、つーしさ。

 

たった一人の家族のエリナばあちゃんが、ディオじいちゃん(呼び捨てにしたら痛い目にあった)に夢中な事が正直面白くなくて、おれはふてくされていた。

 

そんなに言うけどジョナサンじいちゃんもディオじいちゃんも居ないじゃねーかよッ!!

 

あんまり負の感情を出さないエリナばあちゃんが、癇癪を起こしたおれの言葉に酷く悲しそうな顔をした時は流石に罪悪感が込み上げてきたけど。

 

 

「ついにディオとジョジョを見つけました!」

 

ある日、凄く嬉しそうな様子でエリナばあちゃんが告げてきた。

もうそこそこな年の筈なのに、まるで少女のように頬を染めていて綺麗だったのを覚えてる。

 

それからスピードワゴン(死んだ目をしていたが何かあったのだろうか?)の協力の元、あれよあれよという間に海底から古い箱が引き揚げられた。

夜に作業するとか意味分かんねーよ!

 

この頑丈そうな箱を開けるのは年寄りに辛そうだから、代わりにおれが開けてやる。

中身は…うげっ、ミイラになりかけの死体?え、これにこのバケツの中身かけんの?マジで?

嫌々ながらバケツの中身(血だった、気持ち悪ィ!)を箱の中にかけると…驚いた事に死体に張りや艶が出てきた。

 

そいつらが少しずつ目を開け始めると、エリナばあちゃんが勢いよく二人を抱き締める。

あんなに取り乱したばあちゃんは初めてだった。

 

後でエリナばあちゃんに事情を聞くと

 

「実物を見た方が早いでしょう?」

 

と言われた。

吸血鬼とか、確かにそうだけど!!

 

 

 

あの二人が来てから家の中は大分変わった。

単純に賑やかになったし、エリナばあちゃんは毎日楽しそうだ。

ジョナサンじいちゃんは、おれにやさしくしようとしてくれる。昼間に一緒に遊べなくてごめんね、なんて言ってくれた。

ディオ(本人からじいちゃんは止めろ、と言われた)は逆におれの顔を見ると嫌そうに顔を歪めてさっさとどこかへ行ってしまう。おれだっててめーの事は大っ嫌いだっつーの!

いだだだ!ちょっ、ジョナサンじいちゃ…頭みしみしいってる!

 

エリナばあちゃんもジョナサンじいちゃんも、ディオにべったりでおれはますます面白くなかった。

まるで、おれの居場所が奪われたみたいに感じて。

 

それからもう一つ。

ジョナサンじいちゃんもディオも、おれには極力触れないようにしているのが気になった。

 

 

 

- - - -

 

 

 

「お前、そこで何をしている」

 

馬鹿みたいに広い書庫の本棚の一つのところで、モヤモヤする感情にやりきれなくなってうずくまっているとディオの声がした。

顔を上げて確認すると、やっぱり嫌そうな顔をしている。

いつもはさっさといなくなるのに声をかけてくるとか珍しい。

 

「おれはそこの本に用事があるんだ、さっさと退け」

「…あんた吸血鬼だろ、おれなんか力づくで退かせよ」

 

凄く拗ねた声が出た。あ、なんか目が熱い。

 

「なぜおれが動かねばならん、お前が動け」

「っ…、…だよ…何なんだよ!エリナばあちゃんもジョナサンじいちゃんもディオディオディオ!あんたなんか家族じゃねーだろ!おれの居場所盗るなッ!!」

 

その後も不満や不安だった事をしゃくりあげながらぶちまけた。頭ん中はぐちゃぐちゃで支離滅裂、うるさいガキの言葉をあいつは黙って聞いてた。

 

 

 

「ガキの癇癪だな」

 

呟かれた言葉にカッと顔が熱くなる。

涙を拭い顔を上げ睨みつけるとディオは愉快そうな表情をした。

 

「その気概は好ましいぞ。あいつらは真実を隠したいらしいな…ならばおれは教えてやろう」

 

それから聞いた昔話はまるで物語みたいだった。

おれの不思議な力…波紋の事も知った。

だからジョナサンじいちゃんもディオもおれに触れなかったのか。

 

「だいたい貴様はこんなところで泣き寝入りをするタマじゃあないだろう。ジョセフ、その小賢しい頭は何のためにある?」

 

ああ、こいつはおれの事、ちゃんと見ててくれたのか。

 

ストンと入ってきた言葉に驚いていると、ディオのでかい手がおれの頭を一撫でして離れていった。

すっげー強い力だったし思いやりなんてなさそうな仕草だったけど、確かに触れた。

あいつはいつの間にか本を持っていて振り返りもせずに行ってしまった。おれに触れた手が少し溶けていたから本当に、真実を教えてくれたんだ。

 

 

 

 

色々と吹っ切れてからの日々は楽しかった。

波紋の力を鍛えたり、悪戯したり夜に家を抜け出してみたり。

ジョナサンじいちゃんは結構うるさかったけど、そういうところはディオは寛容で、一緒に夜の街に行ったりして一番仲良くなったのはディオになった。

 

 

- - - -

 

 

 

「おれはドリョクとかガンバルとかめんどっちくて嫌いだけど…大事なやつを守れない男になるつもりはねぇんだよ!」

 

最初はジョナサンじいちゃんでさえ大嫌いだった。

けど今じゃあの二人は大事な家族なんだ。

柱の男達が吸血鬼の天敵だ、ていうなら放っておけねーぜ!

宇宙の彼方までぶっ飛ばしやる!!

 

 

 

そういやディオに言われて波紋を鍛え続けてきたおかげで友人を失わずに済んだ。

エリナばあちゃんもジョナサンじいちゃんも、ディオが凄ぇ凄ぇ言ってる理由が分かった気がした。

 

 

- - - -

 

 

 

おまけ。

スキット集的な何か。

 

ジョセフ「エリナばあちゃんにジョナサンじいちゃんとディオ、いっつもべったりだよな」

スピードワゴン「昔からそうだったらしいぞ」

ジョセフ「ディオが邪魔じゃねーの?夫婦なんだろ?」

スピードワゴン「……、あいつらは三人で夫婦だ」

ジョセフ「!!?」

 

 

(シーザーと吸血鬼コンビが出会いました)

シーザー「ジョナサンさん、ディオさん、お会い出来て光栄です!あ、波紋の呼吸はしないので是非握手を!」

ジョセフ「シーザーの頭と尻に犬の耳と尻尾が見える」

ディオ「おいジョセフ、この犬をどっかに連れていけ」

シーザー「お二人の犬になら喜んでなります!」

ジョナサン「あはは、ダニーみたいだね。…ツェペリさんにディオの素晴らしさを語りすぎたかなぁ…」

 

ジョセフ「そういやディオって差別とかしないよな。一番うるさそうなのに」

ディオ「人間は人間だろう、何か違いがあるのか?(食料的な意味で)」

ジョセフ「そっか、違いなんてないよな!(博愛的な意味で)」




当然DIO様が頭を撫でる訳がない!
邪魔だから退かしただけです。

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