大事な部分はキンクリされました。
こんなご都合主義ある訳ねぇだろ!!
という方はクールに去るぜ。と回れ右をお願いします。
おれはまだ、この馬鹿げた過去から抜け出せずにいる。
ただの人間になってしまったせいかスタンドの気配も感じられない。
思いつく限りの事をしてみたが、今のおれではやれる事に限界がある。
更に言うなら石仮面を被り吸血鬼になる事だけは叶わなかった。
世界の意思とやらは大まかな歴史を変える事は許さないという。
ならば辿ってやろうじゃあないか、過去の出来事をそのまま!
ついでに間違った認識も消してやるぞ、ジョジョー!
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「最後の試合を優勝でかざりましたァー!!」
たかが遊技、負けるなどあり得ん。勝って当然だ。
が、表面上は大袈裟に喜ぶフリをする。
一応は最後の試合だからな…てジョジョ!肩を組むな背中を叩くなこの馬鹿力!
なぜ一緒にインタビューを受けねばならない!
引きつりそうな笑顔でインタビューに答えながら気持ちを落ち着かせる。
ジョジョのやけに馴れ馴れしい態度に虫酸が走るが、仲がいいと思わせた方が後の絶望も怒りも大きくなる。今はその為の準備期間だ。
「お父さん」への仕込みも上々だ、今度は上手くいっている。
これであのクソッタレの手紙をジョジョが見つければふざけた勘違いも消えるだろう。
「ディオ、今その薬…どうした?」
「……」
そうこうしている内に前回バレた決定的な場面を迎えた。
薬は床にばらまき上から水分をかけてしまえば今の科学力では分析も出来まい。
「きみのお父さんの手紙を見つけた。書かれている症状は父さんと…、…はっ!そういう事か!くっ、全てを兄弟に任せてぼくは…紳士として、いや人として恥ずかしい!ディオ、ぼくも協力するからね!」
トレイを投げ捨てようと動いた瞬間、ジョジョがやけに熱く語り力強く肩を掴んだ挙げ句機関車のようにあっという間に走り去っていった。
お前の頭の中はどうなっているんだ?
ふとトレイに視線を落とすと薬がなくなっている。
やられた!あれは演技か!
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瞼を開けると見知らぬ天井がまず目に入った。窓には分厚いカーテンがかけられ室内を照らすのはロウソクの光だけ。
気配に顔をずらし横を見てみると、滂沱の涙を流すむさくるしい男と静かに泣いている麗しい女性。
「よかった…目が覚めたのですね!」
「ディオ、ディオ…きみが目を覚まさなかったらぼくは…!」
…今回は何がいけなかったのか。
途中までは上手くいっていた筈だ。
スピードワゴンとかいう奴の「ゲロ以下の~」という台詞も聞いた。(その後に「ディオはそんな男じゃない!」とジョジョにアイアンクローを食らっていたが)
薬も確かに毒薬だった。
ミルクと一緒にさえ飲まなければ。
薬と毒は表裏一体、ミルクの成分と合わさると滋養強壮の薬になるだと?
知るかッ!!
今回はなぜかミルクで薬を飲むジョースター卿に疑問を抱かなかった自分を殴りたい!
だいたい、いい大人が粉薬が苦手って何だミルクと一緒だと苦くないって何だ!
おまけにジョジョには
「やっぱり父さんの体を心配してくれたんだね。ディオは本当にやさしいんだから」
と言われて鳥肌が立ったぞ。
その後は…ああそうだ、使用人の一人が吸血鬼化していてジョースター卿に襲いかかったんだったな。
正直ジョースター卿はどうでもよかったが、ジョジョをその辺のカスに殺されるのは気分が悪い。
どさくさに紛れて石仮面を被り吸血鬼になって元使用人を殺そうと…、…これか?これが決定打か?
中々に暴れてくれたために屋敷は火の海になった筈だ。
久々の戦いに夢中になり途中で重たい何かを蹴飛ばした気がしたが…まさかジョジョの中ではこのDIOが身を挺して救った事になっているのではあるまいな?
それからほぼ無傷(流石に服は燃えた)で屋敷を出てこいつの顔を見た後の記憶がない…。
締め落とされたのか!?
こっちは吸血鬼だぞ!!
「…ジョジョ、お前、なにか言う事はないのか…?」
「あっ、そうだね。助けてくれてありがとう!ディオが居なかったら死んでいたかもしれない。そうそう、彼女はエリナだよ。懐かしいよね」
「……、…美人になったな」
このまぬけは涙を拭い爽やかとしか言いようのない笑顔で礼と紹介をしてきた。
一ミリも分かっていないこいつに絞り出すような声で返したしたものの、手で顔を覆い天を仰いだのは仕方なかろう。
何だか塩辛いのは気のせいに違いない。
「デ、ディオ?気分でも悪いのかい?そうだ!血が欲しいならぼくのを飲みなよ!」
「ジョジョから話は聞いています。わたくしも協力は惜しみません!」
次…次こそは!!