やはり俺の学園都市生活はまちがっている。   作:鴇。

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まぁ題名でわかると思いますが、戸塚の登場です。

正直、誰と誰がどう言う話したかとか、自分で細かく覚えてなかったりするので、初めましてじゃないのに初めましてする事もあるかもしれませんが、ストーリーに大きくかかわらなかったら気にしないでください!


そして大天使トツカエルは笑う

第22話

 

 

 

 

 ……今なんて言った?

 

 

 先ほどすれ違ったインデックスは満面の笑顔で泣いていた。だから、元気なんだと思った。それなのになんだ。

 今なんて言った。

 カエル医者は、なんて言った?

 

 病室の前で無意識のうちに息を潜める。いつもうるさい材木座でさえ静かに耳を澄ませている。

 

 静かな病棟に二人の会話が響く。

 

「泣いて欲しくないって思ったんですよ」

 

 隣に座るカエル医者は答えない。

 

「やっぱり覚えてるもんですよ」

 

「脳にかい?」

 

 俺はもう確信するしかなかった。彼の認識はどこまでも透明で、それでいて、これ以上ないほどに浅薄に思えた。

 それでも、彼は言う、空っぽでも、彼は言う。

 

「心に、ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「どうだったの?」

 

「あー、まぁ、元気……だとは思う」

 

 曖昧な返事が気になったのか雪ノ下は首を傾げる。

 言うべき、ではないだろう。言ったからといって何かが変わるわけではないし、雪ノ下と上条が実際に話した機会は少ないわけだし、言わなくてもいい。

 

「寝てたから、起こすわけにもいかねえからさっさと帰ってきたんだよ」

 

「そう、仕方ないわね」

 

「ところで雪ノ下、それ何書いてるんだ?」

 

 雪ノ下の手元には1枚の紙があり、空欄部分になにやら文章を埋めていた。

 いや、俺はそんな課題を知らない。課題とかではないはずだ。ないよな?

 

「部活動を設立するのよ」

 

 

「は?」

 

「聞こえなかったのかしら? 耳まで腐ってしまったのね、かわいそうに……」

 

「いやいやいや、お前そもそもまだ学校に行ってすらねえのに」

 

 雪ノ下はふふっと笑う。

 動くペンを置いてこちらを見る。

 書いていた紙とは別に、前の学校での評価などが印刷された紙を見せつけてくる。

 推薦入試とかで用いられそうな内容の紙だった。

 

「前の学校での成績、実績を見れば現状の高校でも不必要……とは言えないはずよ」

 

「……国語1位はお前か……」

 

 俺が3位だったのはそういうわけか。いや、去年から今年にかけては2位だった。つまり、去年の学園都市への推薦人のうちに、国語2位がいるわけだ。

 

「部員数1名って、申請通るもんなのか?」

 

「……けれど前の高校ではなんとかなったし」

 

 雪ノ下が書いている申請用紙を見る。

 

「奉仕部……?」

 

 卑猥すぎんだろ。

 

 冗談はさておき、この部活は確か前の学校でも雪ノ下が創立、活動した部活のはずだ。

 

「……まあ、作るとしてもやっぱり問題になるのは人数だろうな」

 

「……比企谷君、仕方ないけれど、本当に遺憾で仕方ないのだけれど、入部を許可するわ」

 

「いや、人に頼む言い方じゃないからな、それ。いや俺が入ったってって話だ」

 

 印象の問題になるが、編入直後の俺たちで部活を創設するといってもかなり無茶があるだろう。せめて1年、俺たちより早くここに来た人間が必要だ。

 

 いや、期待するな、俺は入らんぞ。奉仕部とか名前からしてどうかしてる。ジャッジメントに入れよ。

 

 ……それじゃね。

 

「雪ノ下、ジャッジメントはどうなんだ?」

 

 

 

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「なんで俺まで……俺は入らんからな、ってか体力とかねえし、もっと言えば気力の方がねえし」

 

 そもそもジャッジメントってお金もらえねえんだろ? どんなブラック会社だってお金は貰えるのに、どこまで社畜極めたらそんなのやりたくなるんだよ。

 正義感と善意で飯が食えるのか? 貝木がいたら同じリソースでどれだけ稼ぐか分かったもんじゃない。本当に貝木泥舟がこの街にいたとしたらかなりカモかもしれない。

 

「いえ、入って欲しいとかそう言う事じゃないけれど、流石に私も緊張、とは少し違うけれど、やり辛いのよ」

 

「あぁ、まぁ、違和感はあるわな」

 

 来ているのは学校。雪ノ下が真っ当な理由でここに来ていない事は分かっているが、そのあたりも理由のひとつなのだろうが……

 今日な夏休みに入っている。前みたいに授業が始まる寸前の訪問ではない。つまり、部活をしている学生で溢れているのだ。

 しかも彼らからすれば俺たちは私服で学校に入ってくる、見たこともない男女。そう……世界の敵、リア充に見えるのかもしれない。

 

 という冗談、はさておいて、他に学生が多いことが気になるのは事実だろう。それは仕方ないことだと思いつつも、認識は既に阻害させてある。

 

「まぁさっさと職員室に行ってジャッジメントになる申請書? 的なのもらってこいよ」

 ジャッジメントになるのだからジャッジメントの支部に行く。と思うかもしれないが、そもそも、ジャッジメントというのは学校の治安維持が目的なのだから、学校で申請するのが当然である。

 

「ええ、分かってるわよ」

 

「失礼します」

 

 そう言って職員室の中に入っていった。中から「お、おおー! 雪ノ下じゃないか! 今お前に用事があってなぁ! あっはっはっは!」とか大袈裟、もといわざとらしい声が聞こえてくる。

 仕事でも押し付けられそうになってたのかな……

 

 さて……で、俺は? やっぱり俺来なくて良かったよね、どう考えても、俺がくる必要は……あれはなんだ、白い髪、華奢な体つき!!

 

「あれ? もしかして、比企谷八幡君?」

 

「え、あ、おう、比企谷八幡だが、なんで俺の名前知ってるんだ?」

 

 目の前の挙動がいちいち天使な天使は天使のような動きで首を傾げる。あざと……あざとくない!

 

「あ、そうだった、知らない人から急に話しかけられなら不気味だよね、僕は戸塚彩加って言って、比企谷……くんのことは由比ヶ浜さん達から知ったんだ」

 

「全然不気味じゃない!」

 

 ゴホン……少しがっつきすぎた、女子にこんなリアクションとったら翌日には噂になってるから気を付けなければならない。

 

「由比ヶ浜と同じ部活なのか?」

 

「ううん、由比ヶ浜さんは部活入ってなかったと思うよ」

 

「そうなのか、部活の仲間が待ってるんじゃないのか?」

 

「ううん、もうお昼だし、終わりだよ」

 

「そっか……」

 そっか……そっか……なんでこの天使ここから動かないのかな……もしかして誘われてる?

「じゃ、じゃあね、比企谷くん!」

 

「お、おう」

 

 ちがうかったのか……あぶねえ、危うく選択肢間違いかけたじゃねえか。

 

「戸塚……彩加か…………」

 

 不審者よろしく感慨深く、俺はそう呟いたのだった。





シスターズ編はちょっと長くなるかもしれませんねぇ……ところで友人がバカッターやってたら止めてあげてくださいねー

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