楽しめるか否か。それが問題だ。   作:ジェバンニ

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お待たせしましたー。ちょっぴりシリアス?上質なコメディが書きたい……。


選んだ道

何だか馬鹿笑いしているロンがむかついたので残った同じ味のビーンズ全てを口の中で噛みしめ(その際に覚悟していてもきついものあったが)て彼の両頬を掴みマウスツゥマウスで一気に全部流し込んでやった。

暫くしてから顔を放してみるとロンは

「初めてのキスは臭くて苦かったです……」

と虚ろな目で呟いていた。ちょっとばかり同情……しない。正気に戻るように彼を揺さぶっているハリーを尻目に私はコンパートメントから出て行った。

何?乙女のファーストキスを安売りするなって?前世で幼稚園の頃経験したから多分問題無いだろうさ。

 

車内案内に従い手ぶらで汽車を出たらハグリッドであろう髭面の大男が居たので一番前の方に陣取り、後を付いて行った。

曲がり角を曲がって満開の星空の下で見た聳え立つホグワーツ城の威容はとても印象的で、ああこんな遠いところまで来てしまったのだなと実感させるに充分な代物だったと言っておこう。

周りの生徒の無邪気な興奮を側で見ながら何処までも冷めて行く私の心。城それ自体に興奮する心が無い訳ではないが彼らとはそう、多分真に分かりあうことは無いのだろうと分かり切っていたのだから。

何が起こるか、誰が死ぬのか。私は全て知っている。

このユースティティア・レストレンジなど本来は存在しなかった「嘘」でしかないのだ。

だけどもしも叶うのならば、そう。私の全てを話せなくとも信頼できる同じ魔法使い見習いの友達を作りたいとそう願ったのだった。

 

物思いに沈みながら宛がわれた小舟の上で景色を眺めていると同乗した少年が話しかけてきた。特徴と言えば天パらしきことだろうか。黒髪ストレート(色はともかく髪質は母親に似なかったようだ)な私と違って茶色の髪がクルクルしている。

「やあ、どうかしましたか?」

「え……?」

言われたことが一瞬理解できなかった。それが私自身を気遣う言葉だった気付いたのは彼がなおも話しかけて来てくれたからだった。

「失礼。その、調子が良くないように見えたものですから」

「ああ、なるほど。いえ少しばかりホームシックになってしまっただけですよ。家から少しばかり離れた場所に来てしまいましたから」

と当たり障りのない嘘で誤魔化した。

「それは僕も分かります。実際に此処を訪れるまでこんな場所があるなんて思いもしませんでしたから」

私はお話の中に在ることは知っていた。訪れることになるとは夢にも思っていなかっただけで。

「私もいずれ通うことになるとは分かっていましたけど実際に来てしまうとまた違った感じがしますよね」

と偽りの笑顔で応えた。

それにしても私の話し方はドロメダ叔母様直々に礼儀作法ともども仕込まれたものなのだが彼も中々育ちが良さそうだった。同じ魔法族なのだろうか?

それから程なくして接岸し、私を含む生徒達が上陸を開始したこともあって「まあ、後で名前が分かることもあるだろう」とそのことについて考えることをやめてしまった。

 

城に入り全体の大きさから相応しいと言えるサイズの広い玄関を通り、控室であろう部屋へと私達は辿り着いた。

入寮の心得、また待機時間の間に身なりを整えているよう厳格そうなマグゴナガル副校長から言われた後取り残されたのは無垢で不安げな私達だ。

此処からは良く聞こえなかったがハリーとロンが何事か話していたようだが細かい内容など忘れてしまったし特別注意はしていなかった。

それよりも隣でハーマイオニーが呪文を早口で呟いているので気になって仕方が無い。

仕方が無いので私も少しばかり対抗してみた。

前世で習い覚えた般若心経を声に出してみたのだ。

暫く口に出していると、ふと気が付けばハーマイオニーを含む周りの子達が全員ポカンとした表情でこっちを見ていた。ちょっと恥ずかしい。

「ええとティアだったかしら。今の何?」

代表してハーマイオニーが聞いてきた。少し離れたところでインド系の双子がたまにこっちの方を見ながら何事か話しこんでいる。

「ああ、東洋のお呪いの一種だそうです。何やら集中するのに良いそうで」

「そう、初めて知ったわ……。話は変わるけど寮の組み分けってどういったことをすると思う?」

会話を聞いていた皆の表情が一気に真剣味を帯びた。知らない人達にとっては今一番気になることだろう。というか一応魔法族の家系の子も少なくは無いのだから誰か聞いていたりしないのだろうか?そんなことを言うとただ一人ロンが手を上げて「すごく痛いってフレッドとジョージが言っていた」と発言してくれた。本当だと思う?と聞くハーマイオニーに私はこう答えた。

「試験とか痛みを伴うものではないだろうけど今此処に居る人達の大多数が予想もしていないような方法だと思います」と。

知っていたとはいえ子供らしく無邪気に尋ねてもドーラ(年上の従姉の愛称である)だって笑顔のまま「内緒」の一言以上は言ってくれなかったし。君達も不安な時を後少しばかり過ごすが良い、ククク……!

まあ私の発言を機に一気に周りがそのことに対する井戸端会議の列なりで騒がしくなったことは予想外だったが。

マグゴナガル副校長が私達を呼びに来た時にそのことに関して注意しなければいけないほどだった。

そうしていよいよ寮の組み分けに臨むことになったわけだが……はて?何か忘れているような。

 

宙に浮かぶ何百と言う蝋燭の下、明るくなった食堂で私達を上級生が迎え入れた。

事前に知ってはいたけれど本物の空が描かれたようになっている天井は実に素晴らしい。

ファンタジーな光景だと思う。考えてみれば明日からエブリデイ・マジックな日々が始まるのか……毎日魔法を使う的な意味合いで。

それを鑑みれば今こそまさにさよなら日常、こんにちは非日常なのだろうなと内心で考えていた。

私たちの前に台付きで置かれた帽子が歌い終えた時盛大な拍手と共にようやくほとんどの一年生がどうやって組み分けされるのかが分かったようだ。

即ちただ帽子を被れば良いのだと。

とはいえそれが皆の注目を浴びている状態でされるのは緊張の針が上限を通り越している気がする。

此処からでも見えたのだが私と同じようにハリーもあまり気分が良くなさそうだ。私?未だ年若いとはいえ淑女らしく毅然としているのだが実のところ緊張で吐きそうになっていた。組み分けで吐いていた女の子と後々まで噂されたくは無いので何があろうと吐くつもりはないが。

次々に名前順に呼ばれていく中、三人組以外で何名か私でも覚えているような名前を見つけてほっこりできたのは良かった。それと小舟の中で私に話しかけて来てくれた少年が誰だか分かった。

ジャスティン・フィンチ・フレッチリーだ。聞き覚えがある名前ではある。確か二年次のバジリスクの犠牲者だったか。正直な話ハッフルパフ生は印象に残っていない人々が多過ぎるので細かいところまでは覚えていないが。例外なのは唯一脚光を浴びていたセドリック・ディゴリーくらいのものだったように思う。

中の人が別の映画でも主役を張っていたこともあるのだが。

さて、ハーマイオニーが無事グリフィンドールへ行き、何人かの名前が呼ばれた後でついに私の名前が呼ばれた。

「レストレンジ・ユースティティア!」

前へと進んで行った。堂々と、しかし内心は泣きそうになりながら。

 

帽子を被り、ただ椅子に座れば良いだけ。

そう分かっていても何百もの瞳が集中している中で選別されると言うのは非常に勇気がいる。

それでも此処で躊躇っているわけにはいかない。

一瞬にしか過ぎない時間をとても長く感じた後で被った帽子は私に語り掛けてきた。

「ほう……珍しい。君はその資格がありながらスリザリンへの入学を望まない者か」

シリウスという前例は居ただろうに。

「過去にもそういう人は居たのでしょう?血筋的にそこへ入れることは分かっています。ですが私が聞きたいのは性格的には何処に向いているか?ということなのです」

「そうだな……何処でもやっていけそうな素質自体はあるだろう。だが性格か……」

「何か私の性格に問題でも?」

悪過ぎてどこも向いていないとか言われたら流石に泣くぞ。

「ああ、いやそういうことではない。それ以前に君は……君はこの世界の他者との間に絶対的な壁を感じているのではないかな?」

「……」

「図星だろう?性格的に言えば、たとえどの寮に入ろうとその寮の子と心を許したりはしまい。

……どのような経験を経たのかまでは私に知る術は無いが君はまるで異邦人のようだ。そのことを理解し受け入れてはいるがそれでも多少なり孤独を抱えているだろう?」

「……」

「だから少なくともスリザリンとレイブンクローは向いていまい。あの二つは価値観が違い過ぎる者を受け入れない」

「でしょうね。私もそれは考えていました。となると残るはグリフィンドールとハッフルパフですか……」

「勇気と優しさ。どちらを選ぶ?」

「私が選びたいのは……」

そうして私は元々行きたかった寮の名前を告げた。頷くような気配がした後で

「そうだな、それが良い。あの寮の『優しさ』はひょっとしたら君を癒してくれるかもしれないだろうからな」

帽子は広間の全員に聞こえるように叫んだ。

「ハッフルパフ!」

何百という拍手が響く中私は帽子を外し、次の人が座るだろう席へと置いた。

ハッフルパフのテーブルの空いた席を目指しながら振り向いてみると次に呼ばれた子が私のことを何とも言えない顔でじっと見つめていた。

無理もない。私は君が両親と離れるきっかけになる原因を作った者達の娘なのだから。

そうだろう?ロングボトム。

 

空いている席に座ると先に席に着いていた見覚えがある顔が私に話しかけてきた。

「やあ、また逢いましたね!」

「そうですね。先程は名前も聞かずに失礼しました。組み分けを見ていましたがフレッチリーさんで合っていましたっけ?」

「はい。ああ、ファーストネームのジャスティンと呼んでください。ええと貴方のことは何と呼べば……?」

「ティア。親しい人にはそう呼ばれています」

「ではティアよろしくお願いしますね」

そういって握手を求められた。交わした後で

「やあ、それにしても凄いですね。この場所は」

「はあ……」

良くしゃべる人だ。

「本当はイートン校に行くはずだったんですよ。でもどうしても魔法が普通に使われている社会と言うのが知りたくて……それが来てから直ぐに星空のある天井に頭脳を持つ帽子を見れたんですよ?僕ここに来て本当に良かった!」

イートン校、あの坊っちゃん校か。だとしたらジャスティンの両親は今頃涙目なんじゃないだろうか。

「ああ、失礼。僕ばかり話してしまって。君はこの学校に来る時はどうでした?」

「そうですね。実は汽車での一人旅を楽しもうと思っていたらちょっと席を離れた隙に予想もしなかった同乗者が居て驚きました」

「というと?」

「今、名前を呼ばれた彼。ハリー・ポッターと一緒だったんですよ」

周りは騒ぐのをやめていた。囁き声でジャスティンが話しかけてきたので同じように囁き声で返す。

「彼、有名らしいですね」

「ええ」

やがて彼が本来行くべきだった寮へと入寮が決まった時盛大な拍手が鳴り響いた。

原作通り……!

その時の私は某お月様のような顔をしていたに違いない。

 

やがて最後の生徒が呼ばれた後、ダンブルドア校長のごくごく短めな挨拶が終わった。

「あの人不思議な人ですよね」

「まあ、長々と実にもならない話を聞かされるよりはマシなのでは?」

そうかもしれませんねとジャスティンは控えめに笑った。

「それより貴方レストレンジ?あのベラトリックスやロドルファス、ラバスタン・レストレンジの親戚か何かかしら?」

いきなり会話に割り込まれて吃驚した。

「ええと?」

「ああ、ごめんなさい。私の名前はスーザン・ボーンズ。是非スーザンと。叔母が魔法省の魔法法執行部に勤めていてね。良くどんな事件があったかとか聞くのよ」

魔法界の法律には詳しくないが少なくとも守秘義務は無いらしい。

「間違っていません。私はベラトリックスとロドルファス・レストレンジの娘です」

「やっぱり関係あったのね……それにしても驚いたわ。そんなこといきなり明かすなんて」

「聞いてきたのは貴方の方でしょうに。隠してもいずれバレてしまうものですよ、こういうのは」

「そう……。貴方も純血主義者なのかしら?」

「だったら今頃は別の寮に入っているでしょうね」

暫く睨みあっていたがややあって目の中の警戒の光をスーザンは納めてくれた。

次々交わされる会話にジャスティンはと言えば目を白黒させていた。

「ええと……?つまりどういうことなんです?」

汽車の中で少しは事情を聞いていたのだろうが細かいところまでは未だか。

「ようは私が信用できるかどうかを知りたかったんですよ。スーザンは」

「まあ、そんなところね。悪かったわね。根掘り葉掘り聞いて」

「いえ、むしろ初日にしては少ないかと思っていました。私の事情についてはあまり知られてはいないのですね」

「ええとごめんなさい。どういうことなのかしら?」

とスーザンの隣の子まで話しかけてきた。ハンナ・アボットだったか。彼女もジャスティンと同じで事情が良く分かっていなさそうだ。

「私の家系の話ですよ。それよりせっかくの料理です。冷めてしまわないうちにいただいてしまいましょう」

そこでようやく私達四人は食事に取りかかった。まさに御馳走と言えるだけの物だったが野菜が非常に少ない。

何とか数少ない野菜が使われた料理を食べ終えメインの数々に取りかかった。何故かあったハッカキャンディはおそらく口臭消しだろう。

食べながら(口に物を入れたままではない)色々な話をした。

魔法界の暗黒時代の話、私の両親が何をしていたのかと言う話、今までどういう風に過ごしていたかなど。

「そんなわけでスリザリンではなくハッフルパフに入ったのですよ」

「なるほどね」

「闇の魔法使いにはならないという意思表示、それにお世話になった従姉妹と同じ寮だからかぁ。うん、素敵な理由だと思うよ」

スーザンとハンナは納得してくれた。無論これらも理由の一つではあるのだが全てではない。他の理由の幾つかは基本的には消去法なのだ。

グリフィンドールだとハリーを中心とした(というと語弊があるかもしれないが)騒動に巻き込まれ、しがない名も無き登場人物Aとして私は死んでしまうかもしれない。同じようにスリザリンだと母を中心とした騒動に巻き込まれるかもしれないし、何より他の寮全てから敵視されて七年間を送るなんて辛すぎる。レイブンクロー……寮に入るたびに禅問答の類をやる気なんて湧かなかったし、私は自分の興味のあることなら真剣にやる気はあるが学業全部を優秀で過ごせるかと言ったらそんな自信はまるで無い。となるとハッフルパフ、これしかないだろう。

そんなことを考えているとひやりとした感覚があった。

「ひゃっ!?」

頭の後首筋の辺りが一気に冷えたのだ。私らしく無い声を上げてしまった。

「おお、すまんのう。驚かせてしまったか」

何百年前かの修道士が銀色がかった透明な姿で浮いていた。ああ、ハッフルパフ寮付きのゴーストか。

「うむうむ。そういえばもうそんな時期だったな。新しいハッフルパフ生か。皆よろしくな。わしは此処の卒業生で人はわしのことを太った修道士という。何?本名はどうしたかって?もう忘れてしまったわい、わははは」

朗らかに笑う幽霊と言うのはどうなのだろう。後ジャスティンは感動した様子で彼のことを見つめていた。このミーハーめ。

「んー。ひょっとしたらもっと早く出会えたのかもしれんのにのう。先程控室の辺りで何やら不可思議な歌声らしきものが聞こえて来てのう。この世の物とは思えないようなもので近寄ることができんで廻り道をしとったのじゃ」

はて?

「さっきティアがやっていた奴じゃない?」

とスーザン。ああ、般若心経か?

試しにやってみると途端に近くの壁に太った修道士が消えた。え?何これ。暫くしてから彼は戻ってきたがゴーストの蒼い顔がさらに蒼くなっていた。

「すまんがさっきのはやめてくれんかのう。どうにも嫌な気配と言うか……とてつもない恐怖を感じるんじゃ」

「ええ。良く分かりませんが分かりました」

ふむ?確か以前般若心経は悪霊の力を空ずる効果があると聞いたがそのせいなのだろうか?確かポルターガイストのピープズというのがホグワーツの城内にいたはずだ。後でそいつにも効くかどうか試してみることにしよう。

「凄いですね、ティア。もうそんな魔法を御存じなのですか?」

「何を言っているんですかジャスティン。テッド叔父さまの話ではマグルの世界にもゴーストを退治する者達がいると聞きましたよ?何でも掃除機なるものでお化けを吸い込んでしまうとか」

「あ、いえ……それは多分違うと思いますよ」

何の事だか分かったのだろう。彼は微妙そうな顔をして突っ込んでくれた。

知っている。ティアちょっとボケてみた。

余談だがこの後ピープズに試してみたら見事に撃退せしめ、「ホグワーツのゴーストバスター」なる称号が不本意ながらも私に与えられることになる。

 

デザートを終え、校長から幾つかの諸注意を聞き、魔法学校の校歌を歌い終え、私たちおなか一杯になったホグワーツ生は各陣営の寮へと向かった。

「寮ってどんなところなんだろうね」

とスーザン。

「良いところだと良いですよね」

と私。

他の三寮はともかく、ハッフルパフは原作の本文でも触れられていなかったような。

「着いたぞ」

監督生の一人が前を指し示すと目の前にあるのは……

「風車の絵?」

「そう、絵は毎度変わるの。でもはっきりしているのは何時だろうと人の絵には変わらなくて効果は何時も変わらないことね。聞いた話他の寮では肖像画が寮を守っていて、時たま散歩に行っちゃうから合言葉を覚えていても入れないこともあるらしいわ。でも此処ならそんな心配はない。ハッフルパフ生ならこの絵に触れれば大丈夫だもの」

と何年生かは分からないが女子の監督生が答えてくれた。

道筋と入り方を覚えさせるためなのか私達一年生が先頭で上級生たちは後の方で待機していた。だがそれにしては数が少ないような?

そう思って静物画が上がって寮への入り口が見えるとワッ!と湧いた。

何事かと思えば残りの上級生たちがクラッカーやら何やらを持って私達を歓迎してくれたのだ。

「ビックリした?上級生から一年生へのサプライズはうちの寮の伝統なのよ。貴方達も来年新入生を迎える時は優しくしてあげてね」

と悪戯っぽく、それでも温かみを感じさせる笑顔で先程の先輩が答えてくれた。

「良いところじゃない」

「そうですね」

スーザンに応えて私は言った。

中に入ると寮のシンボルカラーである黄色を中心とした調度品の数々、ソファーにクッションといったそのどれもが使い心地の良さそうなふかふかとした良い感じの物だった。決して高級品と言うわけではないのだろうけど他のどの寮よりもアットホームな談話室なのではなかろうか。

女子寮へと繋がる丸いドアを開け、地下に降りて行くと気になる部屋割が判明した。

私と同室なのはさっき一緒に食事していたハンナ、スーザン、私、そして未だ会話していなかったエロイーズ・ミジョンと言う子だった。

「まあ、何はともあれ皆よろしくね」

お互いの顔を確認した後で私たちは直ぐにパジャマに着替え、ベッドに入り、次々に夢の世界へと旅立っていった。

11歳の身体でこれから騒ぐには今日一日で色々なことがありすぎたのだから。

 




楽しみにしてくださった方々。遅れに遅れてすみません。次の投稿は日曜日以降になります。予めご了承ください。

※ちょい修正ー。

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