・海軍を辞めました
襲ってきた能力者の海賊を掴んで訓練艦から落ちたら死んでしまったことにされてしまった件について。
正直、Zフラグを圧し折ってしまうのは目的ついでだったため、自分の仮初の姿が死んだとしても、そんなに気にすることは無い。
「ギルガ・E・ウルクは死んだのだ。……もう居ない」
見聞色で見たアインの悲しんでいる姿は結構来るものがあったが、ウルク君には早々に死んでもらった方が都合が良かった。
全ては襲撃者の海賊への対処に化け狐を使ってしまったため。
化け狐の能力が世間に出ていることが知られた。
きっとあのまま生きて帰っていれば五老星あたりの人間に尋問されていただろう。
海軍でのエネルやワポルでは出来なかった生活も中々楽しかったから、ちょっと名残惜し……いや、溜まってるだろう欲求に抗えなかったから、自動変換というストッパーはついてる方がいいに決まってる(自戒)
あの子の肉付の良い身体を見て箍が外れたんだろう。
本当に何時捕まってもおかしくなかったし。
あの能力とあの姿は封印しよう。
きっとあのモミモミの実の能力が抑制されてた性欲を解き放ったんだ。
それにしても、ホントに変換抜きでは生きていけない体になったかもしれないな(震え声)
ま、目的であるベガパンクの脳味噌の造りもトレースしたし、海軍とはこれでおさらばだ。
それでいい。
……ただ、これだけ置いていくか。
ちょっとした置き土産にはなるだろう。
Ξ-Ξ-Ξ-Ξ
訓練艦に海賊が攻めてきた。
ゼファー先生と一人の海兵が奮闘したお蔭で私たちは死傷者ゼロ。
そして海賊と共に海に落ちたその海兵を除く全員は無傷で本部へ帰還。
一名は浮上して来ず……二階級特進を果たし海軍を辞めた。
「訓練中に会った脅威へ奮闘し、他の訓練生と元海軍大将ゼファー殿を救った、亡くなったギルガ・E・ウルク一等兵に黙祷!」
『……』
「……何でよ! ……何で、死んじゃうの……!」
棺桶には誰も居ないというのに、どうしようもない怒りが抑えきれない。
思い返してもムカつく奴だった。
一々癪に障る奴だった。
「……まだ許してない、のに…!」
お調子者で何をしたいのか判らない奴だった。
「……お尻とか胸とか触ってきたりする変態なのに……! ……なんで死んじゃったのっ……」
私の身体をまるで自分のモノのようにまさぐるアイツが嫌いだった。
――嫌いだったはずなのに、私はどうしてこうも惹かれてしまったのだろう。
出会いも別れも最悪だなんて。
「かえってきてよ……殴られてよ……」
怒っているはずなのに――胸に穴が空いたように悲しかった。
「……?」
寮に戻るとベッドの上に妙な色と形をした果実があった。
――自分はどうかしていた、ごめん。お詫びにはならないと思うけど
そんなメッセージとこの実……モサモサの実の説明が添えられて。
その実がほんの少しだけ齧ったら美味しく感じたのは気のせいだろう。
残りを食べたら泣くほど不味かったのだから。
……アイツに影響されていたビンズの元にも悪魔の実があったらしい。
モドモドの実というらしかった。
Ξ-Ξ-Ξ-Ξ
「これは一体……。……どうしたのだ、ドルトン」
「ワポル様、国民たちからの嘆願書です。まずは目を通して頂きたく」
「……いや、いい。内容はわかった。国民たちはお前ではなく私を選んだ、ということだな。違うか?」
「はい。……これはただの嘆願書ではありません。ワポル様が行ってきた贖罪……その行いへの正当な評価です」
「……ふむ」
「ですから、どうか! どうかこの国を見守っていただきたい! まだ、この国にはあなたが必要なのですッ!」
半年ほど空けたドラムに帰って早々、玉座の間には夥しい量の嘆願書があった。
それはどれも自分に王を辞めて欲しくないというもの。
恐らくドルトンが住民に声を掛けたのだろう。
どうしましょう(困惑)
半民主化して、ドルトンの奴にその他
自分が居ない間に何かしているなとは思っていたけど、こんなことをしていようとは。
「ドルトン。私は言ったぞ……私はこの国には必要ない存在なのだとな。……国民は自ら考え、国の改善をすることが出来る。もし誰か一人が過ちを犯しそうになれば、それはまた別の誰かが正してくれる。それでも駄目なら王という客観的な存在が正してやればいいと。……四年間、円卓の会議を見てわからなかったわけではなかろう」
「っ……ですがそれでもっ! 国民は貴方という存在を、好ましく思っているのですッ! かつての貴方がどれほどの事をしてきたことか、皆忘れたわけではありません! ……ですが、あの時の王は! 自ら頭を下げ、国民に対し謝ったではありませんか! 雪の降り積もる地面に膝をつけ、額をつけてッ!……その時我々国民は、この王ならこの国を良くしてくれる! この王なら我らを良い方向へと導いてくれる! そう直感したのです! ……だというのに、来年の世界会議で『私は王を退位する』などと…ッ!」
「……そう、か」
まさか。
まさか、そこまで思われているとは。
精々「あぁ、あの駄王は変わったのだな」程度にしか認識されていないとばかり。
……便利設備を整えて、ちょっと見直したぜ! 程度にしか思われてないと思ったのに。
「私が副王になり、国政に携わって学んだのは国を運営する事だけではありません……。……私では王の足元にも及ばないという事が判ったのです。王の御期待に応えることが出来ないと。王の代わりにはなれないと! ……そう、感じたのです。――ですから、どうか!」
ドルトンは膝をつき、手を床に。
これは……させちゃあいかんだろう。
ああだ、こうだと言っていながら、王様を辞めるのは結局は全部自分の我が儘に過ぎないんだから。
「止せ、ドルトン。……お前がそんなことをする必要はない。むしろソレは私がしなければならないのだ。……私は未だ、嘗ての己と何ら変わっていないのだろうな」
「ワポル様! 頭を上げて……」
「……いや、己の不徳の致すところだ。私の覚悟が足らなかったのだろう。許してくれ……」
「頭をお上げください! 一国の王が家臣に気を遣う事などないのです! それに、……風の噂で聞きました。ワポル様はエネルという者に姿を偽り、各地を救って回っていると。初めて国を出ていかれたときもそうだったのでしょう?」
おぉう。……なんでバレてんのさ。
バレるようなことした覚えないんだけどなぁ。
ましてやエネルがワポルと……あ。
「あいつだな、リク王の奴……。はぁ……バレてしまっているのなら、もう私が辞める必要は無くなったではないか」
「では、やはり……」
「ああ、私はエネルという……仮の姿ではないな。今の私はエネルという人間でもあり、ワポルという人間でもあるのだ。そしてあの日、私が変わったのはそのエネルを喰ったため」
「は? ……ど、どういうことで?」
「転んだという理由で人格までも変わるわけがないだろう? 要らぬ混乱を招くだろうと言っていなかったがな。あの時、皆が気絶していた間に、この城へやってきたエネルという男を喰ってやった。……喰ってしまったのだ。今の私はその者と共存しておりエネルの影響が強く出ているにすぎない。自ら変わったのではないのだ。……失望したか?」
むしろエネルがワポルを乗っ取ってますけど。
正確にはワポルの人格は無くなっちゃってますがね!
「……なるほど。ようやく理解が追いつきました。納得こそすれど、あなたが良い方向へと変わったことには違いありません。寧ろその者には、というのも可笑しな話ですが……感謝しなければ」
「ありがとう、ドルトン。……さて、バレてしまったのだ。もう一つの私を見せ、バクバクの実……その真の能力を見せよう。そしてこれからの事の相談だ。チェスとクロマーリモを呼べ」
「ハッ!」
はぁ……まぁ、何時かバレるだろうとは覚悟してたけど、まさかリク王がばらすなんて。
九蛇の面々にも言ってなかったし、知っていると言えばあの人しかいない。
三姉妹とマリアにも後で行って教えるとして。
ちょっと考えていることを実行に移そう。
……さぁ、忙しくなってきたぞ(白目)
>>二階級特進。
セクハラから恋が始まるような気がしたが、そんなことは無かったぜ。
……やりたいようにやった結果が今回の海軍編での惨事。
カリスマばっかりでているエネル(ワポル)の中の人の本性というか。
所詮中の人は中二を患っているだけの良くも悪くも一般人だった、と認識してもらえれば。
多数の「こいつは駄目だ」という感想が無かったら詰まらなく、ゲスな主人公がお送りする海軍編を突っ走っていたかもしれなかった。
感想で揺れてしまうのもどうなのか、とも思いましたが、読み返してみて「このまま続けたらあかんな」と。
ストックが無かったことになりましたが、まぁ、あれもただ変態しているだけだったので。落ちるところまで落ちても良かったですが断念いたしました。
……本当に感想有難う御座います。
一度、海軍に入ったという過程を消してZフラグと二年後の謎の七武海の一人フラグを消してしまおうかとも思いました。
ですが、オリ主が海軍に入るというテンプレ。
やりたいことの布石としてやっておかなければならない部分があったので消せなかった。
というか自分の失敗を無かったことになんて出来ませんでした。
やりたいようにやってるこんな作品でも、一本何かは通さなきゃと思っていたので。
あの子が悪いわけではありませんが、今回のことは戒めとさせていただきます。
では、偉大なる言葉を残したクマの言葉の
「私もまた大きいおっぱいにおどらされただけの犠牲者の一人にすぎないのだ」