・化け物染みた体力
・イケメン
「新人海兵諸君! これより体力テスト兼ねた訓練を始める! ……このグランドを30周だ!」
「「「「……」」」」
「どうした! はやくしないか!」
「「「「は、はい!」」」」
一般人だった現新米海兵達への教官の指導が厳しすぎる件について。
俺はまぁ、逸般人だったから出来るけどさ。
「ふむ、一周軽く20キロはあるであろう」「グランドを30周だってよ」「うわ、600キロだ……」「お前、できるか」「もうだめだぁ……おしまいだぁ……」「了解した、だが、やり過ぎてしまっても構わんのだろう?(震え声)」
というな会話が少し離れたところから聞こえる。
「出来るぜ。楽勝だな」
『マジか教祖パネェ』
おぉう。教官相手に返事してた時よりも声がそろってるんですけど。
それよりも。
「……さっき食堂の時にも気になってたんだけどさ、なんで教祖とか自分呼ばれてんの?」
『そりゃ、だって俺たちに正義を教えてくれた人だからですよ』
「あ、そう……」
マジで洗脳した覚えないんですけど。
なんですか、この息の揃い具合は。既によく訓練された野郎どもですか、そうですか……。
紅一点のアインは呆れた、というような顔をしてスタートラインに既についていた。
「こっら男ども! 意気込みは女にまけてるようだな! 貴様らは男として恥ずかしくないのか!」
「「「「サーイエッサー! 走ってくるであります!」」」」
と全員スタートラインに着き、空砲の合図で飛び出した。
一周目。
「おそいぞーアインー」
「きゃ! なんで、……貴方、後ろに! ……ッハ……いる、のよ!」
「そりゃ、お前より遅かったからに決まってるじゃん? じゃ、先行くなー」
一周目。
「誰!? って……っは……貴方、……なんで、うしろから……っ!?」
「そりゃあアインがいつの間にかぬかしてたんだろ? 先行くわー」
二周目。
「もう! さっきから! おしり、触って、るのっ……貴方でしょっ!」
「いや、だってアイン遅いんだもん。自分が何回追い越したか憶えてないの?」
「さ、三回…?」
「残念、360回。120回アインを抜かすごとに一回、アインの形がよくて柔らかそうなお尻を触ってる」
「っ!?!?」
と、将校でも中尉レベルであろうの教官には見つからない速度でちょっと足が痛くなるくらいまで走った。
こんな馬鹿げたことが出来るのも生命帰還のちょっとした応用技だ。
多分走った距離は……144000キロかな。
流石にバレて怒って泣かれてしまうだろうから、途中から触る時にお尻の感覚消させてもらってたけど。
……これ、エネルとワポルの姿で好き勝手出来なかったからだろうなぁ……。
ちょっと自制利かなかったぜ。
教官の将校が解散の号令をかけて従軍初日は終わる。
……それにしてもアインってスゲーな。
トップ集団の中の一番前で走るなんて。次々と脱落者が出てたってのにね。
俺はあれだ。アインで遊んでるのバレないよう、努力した。
にしてもアインのお尻は癖になりそうだね(ゲス顔)
……おっと、アインがぶっ倒れている。
「アイン、大丈夫か?」
「……っ……っ! ばかぁ!」
「お、おう……」
「わたしのおしりさわった! なに、120回にいっかいって! わたしのことばかにして…! わたひが、おんなだから……おんなだからってばかにしてぇ……! ひっぐ……」
あちゃー泣かせちゃったか。
「馬鹿にしてたつもりはないよ。ただ、逆に言うけど男の尻を触って喜ぶ馬鹿がどこにいるのさ。アインのお尻触って喜ぶ馬鹿なら此処にいるけどな」
「ぅう! だって、だってぇ!」
「だーから馬鹿にしてないって。……それよりも、今日はこれで終わりだったな。これから甘い物奢ってやるから、それで許せ」
「……許す…!」
おい、ちょろいな! 許すんかい!
「立てるか?」
「……立てない。足痛い。運んで」
「はぁ、……はいはい」
子どもみたいになってしまったアインを負ぶって、休憩時間の食後のランニングの時調べておいた美味しいとご近所で評判らしいアイスクリームを食べさせた。
足が痛いせいか背中に背負われていたまま食べてたけど。
どういう状況に置かれているか気づいて赤くなって食べてたけど。
慌てられてアイス背中につけられたけど!
可愛いかったのと、背中に当たるおっぱいとか太ももとか柔らかかったから問題なかったぜ!
Ξ-Ξ-Ξ-Ξ
足が痛いからと言う理由で私を背負っているコイツ。
適当だし、初対面で美人だの、可愛いだのと言ってくれたコイツは嫌いだ。
わ、私のお尻を触ったりしてくるとことかッ!
でも、許すって言った手前……もう怒れない。
それに、……今日は助けられた。
「ありがとう」
「はい?」
「その、昼食の時…! ……しっかり食べないと大変だって言って、お肉くれたじゃない? ……だから、そのありがとう」
「気にしてたのか?」
「そういうわけじゃないけど……訓練で走りきれたから」
「……なるほど」
それっきり黙ってしまった。
それにしてもこの格好は恥ずかしい……。
さっきから人に見られてる。
「……ねぇ、もう下ろしてくれても」
「今は能力で痛みは消してるけど……筋肉痛酷くて立てないと思うぞ?」
「……嘘でしょ」
「嘘じゃないし。試しに降りてみるか?」
と、下ろされたけど、言われた通り立つことが出来ず……悔しいけどまた乗せてもらうしかなかった。
「そら見ろ、言わんこっちゃない」
「うるさい!」
「はいはい、スマンスマン。……さ、はやく乗れって」
また背中に負ぶわれた。
うぅ……屈辱的。
それにしても大きい……男の人って。
「海軍寮でいいんだよな?」
「……うん」
「? どうしたんだ? そんなしおらしい声出して」
「……なんでもない」
「そうか」
……はぁ。もう女だからって理由で後ろ向きになるのは止めようと思ったのに。
「ふーん。なるほどねー……」
「どうしたの?」
「いや、あそこでなんで泣いてたのか、ちょっと納得いってね」
「なに?」
「体力テストみたいな訓練終わって、泣いてたろ? ……まぁ、アインのお尻触った自分の所為だろうけどさ……。女だからって馬鹿にしてるって言ったじゃん? ……何か昔、男に馬鹿にされたりしたのか?」
「……」
図星をつかれるとは思ってなかった。
「うーん。推理したところによると……このキュートなお尻と胸の事を馬鹿にされたとか」
「っっ!? ばか!」
理由まで当てられて、さわりと撫でられた…!
この失礼な背中を殴る。
「はっはっは! 痛くないけどなっ!」
「もうっ……死んでしまえ……!」
120周走るごとに一回私にお尻を触ったっていうのは絶対嘘だ。
振り向いた時には居なかったし、きっとなんだか仲がいい同期の協力で後ろに下がったに違いない。
私が一周走っているの間に240回も抜かしただとか、嘘を吐いて私の事を馬鹿にしてるとしか考えられない。
「ひっどいなぁ……。まぁ自分はアインの事好きだから気にすんな」
「は、ふぇ!?」
「あ、や、そういう意味じゃなくてだ。こう、アインの柔らかいお尻とか、背中に当たってる胸とか、ね?」
「!? しねぇ……ばかぁ…!」
うぅ。ホントに性質が悪い!
アイスで汚れた制服もっと汚してやる。
「あ! 鼻水つけるな! きったねぇ!」
「なみだ! 鼻水じゃない!」
「はぁ……まぁ、許すからいいけどさ。でも、独身の男にそんな自分の体液つけて、あとで何に使われるかわかったもんじゃないぜ?」
う、うわぁ……!
「こ、この変態! 痴漢!」
「嘘だよ! 嘘に決まってるでしょうが!」
ぼそっと「多分」って付け加えたあたりが怖い。
え、なにされるんだろう……。
……心配になってきた。
「……服貸して。明日、洗濯して返すから」
「やーだよ。精々何されるか怖がりながら明日を迎えるといいさ……へっへっへ」
「くぅっ……!」
「はっはっは! 何もしない何もしない……。ま、自分が言いたいのはだ」
――自信を持てばいい。
「それだけ。ダイエットしようなんて考えるなよー? アインの体型は理想的って言ってもいいし。食事を減らして無理したら死んでしまうぞ?」
「……」
心配して言ってくれてる? ……やっぱりいい奴なのかもしれない。
「……それよりもこんな触り心地の良いモノを要らないなんていうのが許せん」
「ひゃん!」
寮に着くまで滅茶苦茶太もも揉まれた。
……ちょっと見直したのにすぐこれだ。
まったく。
こんな奴、大嫌いだ。
>>生命帰還余裕ですた。
>>イケメンはセクハラしてもアイス一つで許される!(一体何ガメッシュなんだ……
さぁ、何回アインちゃんのお尻を触ったか当ててみよう!
これで手前が計算間違っとったら悲惨やな(諦観)
……なんや、文句あるんか。
イチャイチャ書きたかったんや!
ちょっとエッチな悪戯したかったんや!
ワイはやりたいようにやるで!(震え声)
感想と評価ありがとうございます。
それでは、次回もよろしくお願いします。