十二星座の烙印 -ゾディアックスティグマ-   作:bani

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崩落

リオン「止めさせてくれ!兄さん!昔から兄さんは言っていただろ?憎しみは新たな憎しみを生むだけだって」

レクス「リオン、確かに私は今までそう思い生き抜いてきた…だが、この世界はあまりに憎しみが渦巻いている。その根源たる烙印を消さなければならない」

リオン「烙印を消す…?」

エルザ「それが…貴方の目的だというのね?」

レクス「その通りだ。人の歴史は戦争によって生み出された。その中に必ず烙印は潜んでいた…だからこそ、僕は烙印全てが憎い!烙印があるだけで不幸になり、あまつさえその宿主が消えれば、新たな宿主を探す為に烙印は彷徨う。こんな呪われた印なんて、ない方がいい…君たち全員がそう思うんじゃないか?烙印がある限り、必ず誰かが不幸になり…それを見て見ぬふりをする者が現れる。私はそのすべてを消し去ると…亡き妹ライアにも誓ったのだ」

リオン「ライアが?」

レクス「ああ、そうさ…リオン、お前が両親と一緒の中、私と共にいたライアには子獅子烙印(ライオネットスティグマ)が宿っていたんだ!昨日まで助けてくれていた人々が掌を返して、石を投げてきた。私の必死の説得にも耳を傾けずに誰一人として妹を助ける者はいなかった!!だから、私が変えるのだ!烙印をこの世から消し去ってみせると!旅に出た私がレイフと出会ったのはその時だ。黄道十二星座の烙印(ゾディアックスティグマ)が揃えば、どんな願いをもかなえる事が出来ると」

リオン「そんな…事が…」

レクス「リオン、お前の命を絶とうとしたのは…獅子の烙印(レオスティグマ)の持つ不死の呪いを解くためだ!愛する弟を人として死なせるのが兄としての手向けだ」

リオン「僕は…死にたく…ない!この命は…ソシエに救ってもらった命だ…それにね、僕はその烙印があったからこそ…仲間が出来た。1人で何もできなかった僕に烙印は可能性をあたえてくれたんだ!」

レクス「リオン…何を言っているんだ?」

リオン「ライアを救えなかったレクス兄さんの痛み…すごく分かるよ。だって…僕たちは家族なんだ。それなのに兄さんはその苦しみを1人でずっと背負ってきたんだよね?」

レクス「もういい…それ以上は言うな!!」

エルザ「リオンッ!危ない!!きゃああああっ!!」

リオン「エルザ…ッ!!」

・吹き飛ばされたエルザが救出される。

ケイル「ふぅ~ピンチの時に駆け付ける俺っていま最高にカッコいいって奴か?」

エルザ「ケイル…ケイルなのね?」

ケイル「なんだよ?死人が生き返ったみたいな顔してよぉ?」

エルザ「馬鹿言わないでよ!!本当に心配したんだから、三日も目を覚まさないから」

リオン「ケイル…よかった…」

ケイル「よっ、リオン!何かよく分からないけどヤバい状況なのは感じ取ったが余計なお世話だったか?」

リオン「そんな事あるわけないだろ?むしろ、助かったよ」

ケイル「やけに素直じゃねぇの…さって、お前か?リオンを斬ろうとした奴は?」

レクス「天秤(リブラ)か…あの時の傷で立てるとは、正直…驚きを隠せないね」

ケイル「よく言うぜ…なんだかんだ言って、お前さん程の腕がありながら、なんで俺が目覚めたと思う?簡単だ…お前さんには明らかな迷いがあるそれが鈍らせた。持ってる武器が泣いてるぜ?」

レクス「どうやら…只者ではないようだね?」

ケイル「こう見えて俺は仲間達からはクールである事に定評あんだけど今の俺は最高に切れてんぜ?大切なダチを斬ろうとして、俺の主君を傷つけたからには…容赦はしねぇ」

エルザ「クールはないわぁ…」

ケイル「…ってか、その前にやることあったわ!!」

・突然、ケイルがリオンの胸倉をつかむ。

リオン「なっ、なにするんだよ!?」

ケイル「今のお前見てるとな…イライラすんだよ!世界中の不幸を背負ったみたいな面してよぉ!」

リオン「何が…わかるんだよ!!」

ケイル「わかるかよ!わからねぇからこうやって拳で聞いてんだよ!」

エルザ「ちょっと2人とも!」

リオン「じゃあ、何をすれば良かったんだ!」

ケイル「ありのままのお前でいろよ!下手な仮面被ってないで…真向から来いよ!俺たちが受け入れられないってビビってる…今のお前はらしくねぇ!!お前はあの時に言ったよな?もし自分を許せなくても、誰かが許すからって…それならっ!俺がお前を許してやる!いつもみたいに自分勝手にやりたいことは曲げずに即決して、偽りから生まれようと、今までやってこれたなら紛れもない本物なんだよ!」

エルザ「ケイル…」

レクス「茶番はここまでだ今すぐにでも…!」

リオン「ああ、そうか…そうなんだな!もう僕は…いや、俺は迷わない!戻ってこい!俺の烙印(スティグマ)!!」

・リオンに呼応するかのようにレクスから奪われた烙印が戻ってくる。

レクス「なんだと!?」

リオン「悪い、エルザ…ケイル…俺やっぱ、まだお前達と一緒にいたい!ソシエを助ける為に力を貸してくれ!」

ケイル「へっ…ちっとはまともな顔になったじゃねぇか」

エルザ「言われずもがなよそんなの私にとって常識の範疇としてね?」

レクス「リオン…それを宿すという事は私はお前を敵と見なし、全力で排除しなければならない」

リオン「全て覚悟の上だ!もう兄とは呼ばない。我が契約せし、紅蓮の獅子よ我が咆哮に呼応し魔訶なる剣を時はなたん」

ケイル「先に行かせてもらうぜ?リオン?乱れ飛べ翠(すい)影(えい)」

リオン「煌めく炎の猛追!」

リオン&ケイル「「エクスプローディス・ウィンディア!!!」」

・炎の竜巻がレクスを襲うが刀で切り裂く。しかし炎がまといつく。

リオン「覚悟しろよレクス!ここからは俺たちが反撃する番だ!」

レクス「どうやら彼の言う通り、私は未だに迷いがあったようだ…リオン!烙印を宿した事を必ず後悔する事になるぞ?」

フレア「随分と手間取っているようね、レクス?」

レクス「フレアか…」

・全員が目を離している隙にソシエが捕まってしまう

エルザ「ソシエ!!」

ケイル「くっ…!お前さんが陽動だったか!」

・ディスベリオン、ソーレ、コルウスの3人も瞬間移動をしてくる。

ディス「動かない方が身のためですよ?」

ケイル「手前はあんときの!」

コルウス「動くな、こいつらの命が惜しくばな」

・ボロボロになったメロス、テイザー、アリウス、シェズが拘束されている。

エルザ「みんな!えっ?嘘でしょ?クリオス!ティア!ルセナ!」

・虚ろな目のクリオス、ティア、ルセナが臨戦態勢でこちらを睨む。

ソーレ「無駄無駄。フレアの見せた悪夢にうなされてて、その上…僕の影人形の力で操ってるからね」

ケイル「どこまでも外道なんだよ…お前らは!」

リオン「ソシエを離しやがれ!フレア!わかってるのか?お前は双魚の烙印(ピスケススティグマ)を持つ事で、利用されているだけなんだぞ?」

フレア「それがどうしたというのよ!この世界は烙印という呪いに蝕まれていき腐敗しきっている。それを0に戻す為なら、私の命なんて安いものだわ!」

エルザ「あなた…命を何だと思っているのよ!」

フレア「いずれ解るわ、この世にはどうしようもなく変える事が出来ない現実があるということを…」

リオン「そんな事はどうでもいい!!ソシエを離しやが…うっ!」

ケイル「畜生…流石に大技はリスクが高すぎたか…!」

ディス「学習能力が足りていませんね」

コルウス「任務は遂行した」

ソーレ「さてと…行方をくらました山羊はどこへ行ったかな?」

フレア「どうするこの数を相手にやろうというの?もう頼りになる仲間はいないわよ?」

リコル「猛き山の淵(ツォンティーフェヴェルグ)」

・死角からの襲撃でソシエを手放す

エルザ「リコル!」

リコル「仲間なら…!いるわ!」

・槍で魔方陣を描き、空間が歪む。

フレア「まさか…!そうはさせないわ!」

シェズ「邪魔は…シェズがさせないからっ!」

ソーレ「チッ…僕の支配下にいるのに勝手な行動は!」

メロス「悪いけど…今の僕じゃ…足止めくらいしかできないからさ…悪あがきに付き合ってもらうよ?」

テイザー「お前達は生き延びろ!次につなぐ為なら、この貸しは高くつくぞ!」

アリウス「リコル殿!あとの事は任せました!」

リコル「…ごめん。みんな!悪く思わないでね?魔空の時に生まれし山羊よ、忘却されし彼方へと我らを導かん!」

・リオン、ソシエ、エルザ、ケイル、リコルの5人はその場からワープする

ケイル「恰好つけやがって!?メロス!テイザー!アリウス!」

エルザ「止まってよ!シェズ!クリオス!ティア!ルセナが!」

リオン「みんな!!」

ソーレ「あ~あ。僕の支配下から逃れようなんて…!ムカつくね!!最高にムカつくよ!!ああ!!!」

メロス「ぐあっ…!」

・ソーレがメロスの腹を蹴り飛ばすと周りは倒れていった仲間達の姿が…。

コルウス「これで全員片付いたか」

フレア「空間魔法の使い手…まさか、時空の番人(ウォッチャー)?」

ディス「あの槍はまさか古代遺物(アーティファクト)と同様に謎に包まれし時代の影に消えたと言われる一族の末裔…それが彼女の正体のようですね」

ソーレ「それっておとぎ話にもあった、今でも存在が確認されていない空中都市って所に逃げたってわけ?」

レクス「結果として…獅子の烙印(レオスティグマ)は奪われてしまったか」

ディス「残りはレオ・ヴァルゴ・リブラ・カプリコーン・ピスケスが揃えば、黄道十二星座の烙印(ゾディアックスティグマ)を手中に抑め、我々の望みも叶うという事か」

レクス「この失態は必ずや返そう」

エルザ「リオン!リオン!起きて!」

リオン「…ッ!みんな!あれ…?ここは?」

リコル「目が覚めたようね…突然の事で悪かったわね」

ケイル「姐さん、あんた何者だ?」

リコル「それについては後で話すわ…一先ず、ようこそ。滅びを辿った可能性の世界へ」

・あたりを見回すとそこは荒野だった。

 


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