ナレーション「烙印(スティグマ)に選ばれし者達が一堂に会する中、星誕教団の司祭であるレイフと決着はつけられなかった。戦いの最中に倒れたソシエが無事に目を覚まし、リオン達はレイフの野望を阻止する為、再び動き出す。それが悲しみの序章と知らず」
・自室
ソシエ『またあの夢』
シェズ「目が覚めたみたい」
ソシエ『えっ!』
シェズ「脈拍、呼吸数ともに少しだけ乱れが発生…でもすぐに正常に戻るよ」
ソシエ「えっ、えーっと貴方は確か…宵毒(よいどく)の死神のシェズちゃん?」
シェズ「怖くないよ、襲ったりしないから。それと…その呼び名はもう捨てたの」
ソシエ「あっ…ごめんなさい。あれ?濡れたタオル?」
シェズ「こんな事くらいしか、償いは出来ないけど。病み上がりで心配だったから」
ソシエ「それで、ずっと看病してくれたんですね?ありがとうございます」
シェズ「別にいい、気にしないで」
ソシエ「ティア先生とは仲良くしてますか?」
シェズ「うん、ここの人たち、みんな良い人ばかり」
ソシエ「それは良かったです。あっ、そうだ私の事はソシエって呼んでくださいね?」
シェズ「わかった、よろしくねソシエ」
ソシエ「シェズちゃん、よろしくね。貴方の優しさでかなり楽になりましたよ」
シェズ「そっ、そんな事…それより、さっき怖い夢でも見たの?だいぶうなされてたけど?」
ソシエ「少しね…でも、もう大丈夫ですよ。だってシェズちゃんが側にいてくれたんだもの」
シェズ「じゃっ、じゃあ…シェズもう行くね?ソシエ、ゆっくり休んでてね?」
ソシエ「うん、ありがとうシェズちゃん。夢の中で会った女の子…どこかで会ったような?」
・調理場
ルセナ「おい、クリオス。オムレツ出来たから、器もってこいよ」
クリオス「了解っと。おっ、美味そう」
ルセナ「ルセナ様特製オムレツだ、会心の出来さ!食ったら、ほっぺた落ちるぞ?」
クリオス「オイラも料理の手伝いはするけど、こんなにふわふわになったオムレツは見たことないな」
ルセナ「といっても、俺が出来るのはタマゴ料理くらいで、その他は作れないんだわ」
クリオス「ルセナ姉ちゃんの事だから、ラド船長に食べさせる為に一生懸命練習したとか?」
ルセナ「なっ、なんで解ったんだよ!?」
クリオス『あっ、当てずっぽうだったけど…まさか本当にそうだとは』
ルセナ「その…初めて料理した時は失敗してよ、捨てようと思ったんだけどさ。『失敗ってのはな本当は失敗じゃないんだ、むしろ成功に近づくことに成功してる。だから捨てるくらいならワシが食べてやる』それでさ、親父が食べた後になんて言ったと思う?」
クリオス「美味い?」
ルセナ「逆だよ『こんなクソ不味い物からスタートとは、ゴールは遠いな。嫁にも行けねえぞ』だってさ」
クリオス「うわぁ~ズバリというんだなぁ」
ルセナ「おかげで俺は親父を見返してやるって、必死に練習したんだよ」
クリオス「オイラも星誕教団と決着つけたら…姉ちゃんに思いっきり親孝行しよう」
ルセナ「今更だけどよ、本当に良かったのか?人質を返した時点でクリオスが俺達について行く必要なんてなかったんじゃ?」
クリオス「ありがとう、ルセナ姉ちゃん。でもオイラ決めたんだ。自分だけの用が済んだからって、今更別れるなんて絶対にしたくない。それに、許せないんだ星誕(せいたん)教団(きょうだん)の人を犠牲にするやり方」
ルセナ「それが…お前のついて来た理由か?」
クリオス「文句でもあるか?」
ルセナ「いや、十分すぎる理由さ…でも、これだけは忘れんなよ?お前が旅立つ事を許した姉ちゃんやこども達の気持ちを無駄にすんなよ?大切な人を失う気持ちはお前には味わってもらいたくねえから」
クリオス「ルセナ姉ちゃん…オイラの事をそんな風に見ていたんだ」
ルセナ「さっ、飯が冷めちまうし、他のみんなの所へ持ってこうぜ?」
クリオス「うん、わかった!ルセナ姉ちゃんもお嫁に行けるようにシッカリと修行しないとな?」
ルセナ「かっ…関係ないだろ?そんな話」
クリオス「へへっ、じゃあ!飯でも食べてみんなで今後の事を考えよう」
ルセナ「安心しなクリオス。お前の強さは俺が保障してやっからよ?」