外での食糧確保班 クリオス・シェズ
クリオス「ほら、この坂を越えたら少しは楽になるから、頑張って」
シェズ「うん…それと疲れてないから大丈夫」
クリオス「それにしても山道に慣れてる感じだな」
シェズ「星誕教団の訓練で山道には慣れてるから」
クリオス「あっ…なんか悪い」
シェズ「うんん、気にしてない…なんだろう?滝の音?」
ナレーション「上が凍った滝から水音がする」
クリオス「うおおおおおおおおおお!!すっげぇ!滝だ!!」
シェズ「『蒼(そう)氷(ひょう)の滝(たき)』…山のてっぺんに積もった万年雪が溶けて、流れてきてるみたい」
クリオス「すげぇ…水の色が真っ青だな」
シェズ「低温のせい、水というのは低温になるほど透明度が高くなるもの」
クリオス「殺菌されてるのと同じって事?」
シェズ「多分、そう…リコルから聞いた話だけど、万年雪と言ってもほとんど、氷の固まりに近いもの、溶けては凍りつくを繰り返し、長い年月をかけて、この谷間まで下りてくる」
クリオス「へ~、ん?なんだ氷の木?」
シェズ「あれは蒼氷樹、主にマナを冷気として放出する特性を持った珍しい植物、そのさいに生じる現象によって、周囲の熱を奪う」
ナレーション「蒼氷樹から鈴のような音が鳴る」
クリオス「この音は?」
シェズ「風にあの木がざわめく音、あれが群生している事から、山頂付近は特に空気が冷えてる」
クリオス「なるほど…この雪はそれって事か、シェズは物知りだな!」
シェズ「別に大したことない、この知識も偶々(たまたま)教わっただけ」
クリオス「オイラは戦争で姉ちゃん以外の肉親を失ってさ、ろくに学校行けなかったんだ、だからティア先生にはすごく感謝しているよ」
シェズ「クリオスにもお姉ちゃんがいるんだ」
クリオス「おう!他にも血がつながってないチビ達だっているぜ?シェズはオイラの妹として面倒見てやるよ!」
シェズ「えっ?」
クリオス「まぁ、皆まで言うなって…、今更妹が1人や2人増えたところで問題ないって」
シェズ『シェズは15歳だけど、クリオスは13歳くらいかな?今言うのは申し訳ないかな』
クリオス「とりあえず明日の飯を探すぞ!!シェズ、オイラについて来い!」
シェズ『多分、シェズの方が年上だけど…ここは素直に言う事を聞いておこう』
クリオス「オイラ達は仲間なんだからさ、遠慮なく悩みがあれば言えよ?」
シェズ「ありがとう、クリオス」
ナレーション「初めて笑顔になる」
クリオス「…っ!?」
シェズ「クリオス、どうしたの?」
クリオス「なっ、なんでもねぇ!」
シェズ「そう、なら…あっち探してくる、数分後にここで待ち合わせしよう?」
クリオス『なっ、なんだよ…いきなり笑顔になるなんて反則だっての…』
町での買い出し班 ルセナ・アリウス
ナレーション「鋭い眼差しで賞品を見続けるルセナ」
ルセナ『こっ、こんな所でまさかレア物であるリラックラブのぬいぐるみが置いてあるなんて!』
おっちゃん「お嬢ちゃん、どうだい?1発サービスするよ?」
ルセナ「へっ、へん!俺様が射的で欲しいもんがあるとでも?」
『何を言ってるんだ俺は!?欲しいもんがあるからここに立ち往生してたんだろ!?おっちゃんも見かねて1発サービスするってようやく声かけてくれたのに!?』
おっちゃん「ああ、そう…30分近くはいたからね~」
ルセナ「けっ、けど…まぁ、1発くらいあれば余裕で落としてやるぜ?後悔しても知らねーからな?」
おっちゃん「まっ、毎度…」
ルセナ『落ち着け俺…狙うは1つ!リラックラブ!大きさはともかく小さな的にさえ当たれば、オッケーだ…よーく狙って』
ナレーション「当てるも微動だにせず」
おっちゃん「はい、ざんねーん!」
ルセナ「もっ、もう1回だ!!今のナシ!本気出してなかった!」
おっちゃん「はいよ!5発入りで400P(ピース)ね!」
ルセナ「…ッ!!」
ナレーション「5発全部当てても落ちず」
ルセナ「なっ、なんで落ちないんだよ!インチキしてんじゃねーのか!?もし、そうなら一発ぶん殴る!」
おっちゃん「な訳ないでしょ、ちゃんと当てれば落ちるよ」
ルセナ「だあああああああっ!もう我慢ならねぇ!くらえっ!!裂海…!」
ナレーション「押さえつけられ中断される」
アリウス「ルセナさん、貴方という人は…」
ルセナ「あっ、アリウス!?これはその…」
アリウス「どうも、すみません…連れが何かしたのでしたら私がお詫びいたします」
おっちゃん「いや、別に大丈夫さ」
アリウス「ほら、ルセナさんもキチンと謝らないといけませんよ?」
ルセナ「うっ…ごめんなさい…」
アリウス「では、ご主人…私も1つやらせて頂いてもよろしいでしょうか?」
おっちゃん「ああ、もちろんだとも5発入りで400P(ピース)だ!」
アリウス「すみません、何分節約中の身でして…1発入りで無料、外したらこの者が倍の額を支払います」
おっちゃん「ハハハ、大した自信だ!いいぞ!」
ルセナ「おっ、おい!アリウス!何を勝手に約束してんだよ!?」
アリウス「大方、何か目当てのものがあるのでしょう?私にお任せください…一発あれば十分です」
ルセナ「うぐっ…」
アリウス『狙うは一点、曇りなき集中力で撃ち貫くのみ…』
ナレーション「賞品を支えている柱を崩し、賞品がすべて落ちる」
おっちゃん「なっ、なにぃぃぃぃぃぃっ!!」
アリウス「大人げない事をしてしまいましたか」
ルセナ「すっげぇよ!アリウス!天才だよお前!流石は『雲(うん)鶴(かく)の銃士』って呼ばれてただけの事はあるな!」
おっちゃん「たっ、頼む!全部は持ってかないでくれ!!」
アリウス「ふむ、でしたらこの中で1番高価なものを頂くとしましょうか」
ルセナ『いいぞアリウス!それだったら、リラックラブのぬいぐるみが手に入る!』
おっちゃん「じゃっ、じゃあ…これで!」
ルセナ『やった~!!リラックラブのぬいぐるみだ!』
アリウス「ふむ…これは食材ではありませんね、他のと交換して頂けませんか?」
ナレーション「ルセナ倒れる、その最中に食材と交換してもらっているアリウス」
アリウス「タダで手に入ったとなれば、ティアさんの仰っていた無駄遣いもしていませんし、これで一件落着ですね?ルセナさん?」
ルセナ「な・に・が…!」
ナレーション「拳に力を入れる」
ルセナ「一件落着だああああああああああああ!!!」
アリウス『あぁ…私はまた罪を犯してしまったという事なのでしょうか?』