ヒカルの傍観者   作:dorodoro

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第18話

最近ヒカルに会っていない。

家の部屋に明かりがついているときも会ってくれない。

学校でも避けられてるみたいに会うことができない。

プロ試験が近いし、ナーバスになっているのだろうか。

 

 

プロ試験予選当日

いろいろな年代の人が来る。私みたいに若い人はみなさん院生なのかな。

明らかに髭のすごいおじさんがいたり、年配と思われる女性がいたりする。

まあ、気にしてもしょうがないけど。

中に入って、棋院の中を見て周っているとタバコ吸っていると思われるフロアからひときわ大きい声がしてくる。

周りも眉をひそめウルセェという空気をかもし出している。

待機室の壁沿いに座って抽選を待つ。

周りを見渡すもヒカルはいないようだ。

そういえば、予選免除の条件が何たらと出ていたはずだからそれに当てはまっているのかな。

最近は何時もここでヒカルが打っていると思うと感慨深いものがある。

返事もひときわ大きい声で威嚇しているかのような返事をしている人がいたり不思議な感じだ。

私も呼ばれて対局者が決まる。

 

相手の人は若いお兄さんだった。恐らく高校生か大学生くらいだろう。

そこまで強くなく難なく午前中で中押し勝ちで終わってしまった。

疲れをためたくないから良かったけどもっと強い人とやりたかった。

 

プロ試験二日目、相手は門脇というらしい。

周りの噂を聞く限りだと、学生本因坊など学生のときに数々のタイトルを取った実績のある人らしい。

学生本因坊とか言われてもどんなタイトルかは知らないのだけれど。

対局が始まる。

どちらも譲らず、絶えず攻守が入れ替わる。

お昼をはさんで午後の対局となった。

中盤では、中央から右下の戦局は私が確保したが反対側の左上の戦局は相手にほぼ決した。

その後残りの戦局に移る。

かなり、いや思った以上に厳しい。

私のほうが何手か先に戦局を移せたのでわずかに有利だけど油断したらもっていかれそうだ。

実際に相手はミスらしいミスは殆どないし、気迫も伝わってくる。

恐らくヨセもうまいであろう。

このピリピリした空間は予想以上に疲れが出る。

それでもこれ以上はもう詰められることはないし、読みきったと思ったのだが、相手が考えていない手を打ってきた。

え、あそこ以外打つところがあるの!?

時計は、すでに秒読みに入っており、勝ちをほぼ確信していただけに動揺してしまう。

その後、動揺は収まりきらず打ってしまった。

その後はどのように打ったかまったく覚えていない。

焦りが消えて気が付いたら終わっていた感じだ。

 

結果は1目半負け。

 

私は勝てた対局を落としてしまった。

 

 

 

 


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