キュゥべえである毎日   作:唐草

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「この世界に神様はいなくても」

 

 

 生まれた時は幸せだったのだろう。おそらく。

 父親がいて、母親がいて。そんな両親の愛を受けて育っていたころは、その時は感じなくとも、幸せだったのだろうと思う。

 だが、そんな幸せは脆くも崩れ去った。

 父と母が離婚した。

 幼いわたしにはおおよそ理解できず、父親と呼べる存在だったものが口汚い言葉を吐き捨てながら、母がわたしをひしと抱きしめていたことだけを覚えている。

「お父さんは、これから私たちと離れて暮らすの」

 母の言う言葉の意味はわからなかったし、当然、何故そうなるかの理由もさっぱりだった。

 いつもはあんなに睦まじくしていたはずの父と母が何故離れなくてはいけないのか。あの頃のわたしは二人のどちらかに理由があるなど思いつきもせずに、ただただ自分の不幸を嘆いた。

 だが、その頃はまだわたしは不幸でなんかなかったのだ。

 小学生にとって、片親で陰気なわたしは、いじめの恰好の標的だった。

 机の上の汚い落書きに、潜められた笑い声。

 雑巾の水で汚れた教科書と丁寧に一本ずつ折られた鉛筆。

 このあたりは日常茶飯事だった。

 給食にまだ生きている虫を入れられた時は殺意が芽生えた。

 体育の授業後には必ずと言っていいほど服が消えていて、蛙やら蛞蝓、ミミズが付着した状態で発見されていた。

 上履きの中には湿った土が詰まっていて、取り除いても完全には取れずに不快な気分を味わうことになった。

 母が作ってくれた弁当をゴミ箱に捨てられた時は、もうどうなってもいいからこいつらを殺してやろうかとも思った。

 だが、女子だからか暴力を振るわれるようなことはなくて、一人でわたしを養っている母にこれ以上心労をかけるわけにもいかないと、じっと耐えていた。

 ……母がいるだけで、幸せだった。家はお世辞にも裕福とは言えないし、父がいないのにほんの少しの寂しさはあったのは否定しない。

 それでも。

 十全な幸福ではないかもしれないけれど、わたしにはそれで十分だったのだ。

 

 そして、母が死んだ。

 医者から聞いた「過労死」という言葉がやけに耳に残り、辞書で調べてみて、愕然とした。

 記憶の中の母はいつも笑っていて、疲れている様子など微塵も見せなかったはずなのに。妙に足下がふわふわとしていて、これが夢なのか現実なのかわからないまま胃の中に入っているものを全て戻した。

 母の葬式で、母を助けもしなかったくせに白々しく「残念だった」「とても悲しい」などと宣う親戚を、ぼんやりと見ていた。時折、「可愛そうに」とかいう声が聞こえてきていたような気がするが、よく覚えていない。

「明日からは私たちと一緒に暮らすんだよ」

 人の良さそうな笑みを浮かべて、壮年のおじさんとおばさんが声をかけてきた。母の近い親戚のようで、彼等の笑い顔には母の面影が宿っているような気がしたので、わたしは思わず頷いてしまった。

 葬儀には、父は現れなかった。

 

 始めは彼等は優しくて、わたしを受け入れてくれた。

 相談にも親身に乗ってくれたし、母親が死んだばかりだから、と励ましてくれた。わたしは、ここでならうまくやっていけると思った。

 思ってしまったのだ。

 わたしの心を裏切るように、すぐに虐待が始まった。

 きっかけなど今更覚えていない。それこそ、彼等にもわたしにもどうでもいいことだろう。

 食事が犬の餌などざらで、そもそも食事自体がでないことが多々あった。

 起き上がりこぼしのように、何度も何度も殴られては、立ち上がってまた殴られることを要求された。立ち上がれなかったら、腹を足で踏まれる。どうしようもない苦しさがわたしを襲い、結局は立ち上がるしかなくなった。それを、わたしが気絶するか彼等が飽きるまで続けられた。

 彼等の虫の居所が悪いときには刃物で斬りつけられたりもした。

 寝ているときに背中にアイロンを当てられたこともあった。このときから深い眠りができずに、すぐに起きてしまうようになった。

 許可されていないのに喋ると、酒瓶や食器、ナイフが飛んできた。

 まさしくわたしは、犬以下の暮らしを強いられていたのだと思う。

 学校では精神を疲弊させられ、家出は肉体を徹底的に痛めつけられた。

 どうして、と嘆き、助けて、と叫んだ。

 都合のいいヒーローなんて現れなかった。

 おじさんに首を絞められた次の日、わたしは初めて彼等に反抗をした。

 テーブルの上に置いてあった千円札の二枚をくすねて、家出をしたのだ。

 理不尽な世界から解放されたかのように思えて、体が軽くなり、青あざの痛みも無視してあてもなく走り出した。

 そして、見てしまった。

 かつてわたしの父親だったはずの人が、わたしの知らない子供や女性と、幸せそうに笑っているのを。

 わたしは気が付いたら逃げ出していて、家(と称するのも不快だが)に帰ってきていた。

 案の定、酷く怒鳴られて、殴られた。

 痛かったのだが、その頃にはもうわたしの心は上の空で、そして、その心でこんなことを思っていた。

 世界は、どうしようもなく腐敗しているのだと。

 道徳性の欠片もなく人々は弱者をいたぶる。

 人の善性は世の中に裏切られる。

 世界には救いなんて存在しない。

 あるのは、裏切りと、どうしようもない真実だけだ。

 この世界に、神様なんていない───!

 

 

 

 

 

 

「や、僕だ」

「……もしかして、暇なの?無職?」

「誰がヒモニートだこの野郎」

「そこまで言ってないし」

 

 あすみちゃんの住む廃墟に行くなり、出会い頭に罵声を浴びせられた。確かに今現在僕は働いていないし、生活もマミちゃんに頼りっきりな状態なわけだけれども、ヒモニートと呼ばれるのは我慢ならない。

 僕はワクワクもしてこないし、ござるとかも語尾に付けない。NHKにだって断じてようこそされないのだ。

 一呼吸置いて、頭を搔きながら言った。

 

「……どうだい、魔法少女狩りは。順調?」

「そりゃあね。だってあいつら、ちょっとだけ幻覚見せたらすぐに発狂するんだもん。魔女になる前にソウルジェム砕いたら危険も少ないし」

 

 ほれ、と戦利品であるグリーフシードを見せてくるあすみちゃん。五個はあるだろうか。

 

「ところで、魔法少女ってこんなに多いものなの?結界の近くで待ってたら三十分も経たない内にやって来たんだけど……」

「……うん?おかしいな、確かに僕は全国津々浦々どこにでもいるって言ったけれど、この見滝原はマミちゃんの縄張りってことになってるはずだし、いたとしても織莉子ちゃんたちに杏子ちゃん、あとはさやかちゃんとほむらちゃんくらいだとは思うけど……」

 

 まず、織莉子ちゃんたちは魔女を狩る必要性がない。ほむらちゃんはストーカーをしているうえにグリーフシードが盾に収納してある。さやかちゃんはまだグリーフシードをほとんど持ってない。一番可能性がありそうな杏子ちゃんも昨日の夜会ったばかりだ。時間的に無理があるだろう。

 

「えっと、どんな魔法少女?」

「騎士風の青い浅なんとかってのと、ピエロ風のオレンジのなんとか沙々っての」

 

 誰だそりゃ。

 本当に知らないぞ、僕。

 もしかして外部の魔法少女だったりするのだろうか。……そう考えると、見滝原に魔法少女が集まってきている……?

 何故か。当然、魔女が異様に多いからだ。

 何故か。おそらく、キュゥべえがグリーフシードを設置したからだ。

 何故か。……まどかちゃんがいるから。

 なるほど、理にかなっている。キュゥべえとしてはまどかちゃんを早く契約させたいがために食べたグリーフシードを見滝原に集める。そして、今いる魔法少女では手が足りなくなる状態にさせるか、その魔法少女を殺すか。

 だが、魔女が多くなったため、他の町の魔法少女からも目を付けられてしまったと。こういう情報、どこから漏れてるんだろうねえ。

 ……まあ、いいか。彼女の能力は有益だ。それに友達候補でもあるし、この町から出て行かなかったことを素直に喜ぼう。

 

「……エツ」

「どうしたんだいあすみちゃんいつにないシリアストーンで」

「……あんた、何でわたしから離れていかないの?」

 

 何だ何だ。哲学的な質問だろうか。それとも、「あんた何でまだ生きてんの?」みたいな意味だろうか。できれば前者だと嬉しい。

 

「どういう意味?」

「わたしは少なくとも、自分を一度殺したような人間には話しかけもしようと思わない。復讐して、それで終わり」

 

 ああ、そういえばそうだったな。昨日は少し慌ただしくて忘れていた。僕を殺した責任でも取ってもらうべきか。

 

「エツ、あんた何者……?何が目的?」

「そう言うきみは一体何者だと言えるんだ?何を目的にしてるのかな?」

 

 これであすみちゃんに怒鳴られでもしたら、彼女はきっと手首好きだ。人知れず殺人も犯しているし、きっと間違いない。

 あすみちゃんはふっと一瞬考えるようなそぶりを見せた後、僕を睨み付けた。誤魔化したのがばれたか。隠してもいなかったけど。

 さて、不快不愉快怪物くんな、パレード中に狙撃されかねないほどの友達計画を進行させたいわけだけど。どう持っていこうか。

 彼女は僕を警戒している。

 これはおそらく、彼女が人間不信だからで、あすみちゃんに利ばかり与えて本人は何の益も得ていない僕が何かを企んでいると思っているのだろう。大正解だ。

 うまい話には裏があるのは当然だろう。

 だが、ここで僕の言う利と、あすみちゃんの考える利には大きな隔たりがある。僕の言う友達とは僕を裏切らず傷つけない存在のことで、彼女の考える友達とは一般的なそれと大差ないはずだから。

 

「……きみの熱意には負けたよ。わかった、教えよう」

「……嘘ついたら、殺す」

 

 嘘かどうかの判断もできないというのに、どうやって。

 

「僕の目的はただ一つ。友達をつくることさ」

「…………」

「僕の正体は人間から人外にジョブチェンジした不思議生命体。奇人と変人と狂人を極めるとダーマの神殿で望まなくてもやってくれるぜ」

「信じられるとでも?」

「信じたいものしか信じない、きみたちはいつもそうだね。という言葉を差し上げよう。信じるか信じないかはきみ次第ですよ?」

「…………」

 

 あすみちゃんが押し黙り、親指の爪をガリガリと噛む。僕の意図と言葉を咀嚼して、それが自分にとって益になるか害になるかを考えているような顔だ。……いや、本当がどうなのかはわからないけど。

 

「……いいよ。一応信用はしてあげる」

 

 しばらくの沈黙が流れた後、あうみちゃんが明らかに信用していなさそうな声で言った。少しは隠そうとしてくれてもいいと思うんだ。バファリンレベルの優しさを要求したい。

 納得がいかないように彼女が灰色の髪を掻き毟り、「ヒーローにはほど遠いけど」と意味不明な言葉を発した。正義の味方でも目指して、死後英霊にでもなるつもりか。似合わねえ。彼女はどちらかと言うと、世界を敵に回してボロ負けしていそうな雰囲気がある。なんだろう、負け犬ムードがまとわりついてる感じかな。

 僕の訝しげな視線に気が付いたのか、あすみちゃんが補足説明をしてくれる。

 

「……この世界に神様はいなくても、人はわりとやっていけるってこと」

 

 なるほど、つまりどういうことだってばよ。これほど補足になっていない補足説明があるとは、この李白の目を持ってしても。

 あすみちゃんが溜息を吐くようにくすりと笑い、先ほどまでの顔色をがらりと変えた。情緒不安定だな。

 

「あ、そうそう。忘れてた」

 

 彼女がゴシックでロリーな衣装に瞬間的にお着替えする。カメラを使わずとも人類はここまできたのかと感心しそうな技術だが、残念ながら地球外なオーバーテクノロジーだ。

 

「えい」

 

 そして、棘付きの鉄球(モーニングスターと言うらしい)に潰された。

 あべし。

 

 

 

 

 

 

「やあ、奇遇だね」

「一度奇遇の意味を辞書で引いてくるといいよ。きっときみが使っている意味とは大きく違う意味が記載されているはずだ」

 

 僕が廃墟から帰ってマミちゃんの家に戻ると、ドアの前に淫獣がいた。

 最近はこいつはまどかちゃんの家に入り浸っているので、奇遇も何も狙ってのことだろう。白々しいを通り越して真っ黒だ。

 

「ボクは君に話して貰いたいことがあるんだ」

 

 そして、話を聞かないのも平常運転と言えるかもしれない。もとより、こいつにユーモアのある会話など期待してもいない。

 そんなことを気にもせず、淫獣が口を開……かずに言葉を発する。ものを食べるときは口を動かすくせに、何故口を動かさないのか理解に苦しむ。……まあ、僕も淫獣モードのときは口動かしてないけどさ。

 

「話して貰いたいこと、ね。僕は話したいことも話して貰いたいこともないんだよな。僕、わりときみに興味ないし」

 

 キュゥべえとしては、僕が魔法少女の絶望の障害になるために知らなくてはいけないが、僕にその必要性はない。原作で話されたことなら大体は知っているため、こいつと会話を試みること自体が不毛なのだ。

 

「……魔法少女の正体について、知りたくはないかい?」

「うるせえこの最低野郎(ボトムズ)が」

 

 できる限りの笑顔で言い放つ。万が一にも僕の正体を知られてしまったら、インキュベーターの本体から消されないとも限らない。

 悟られたら終わりだ。会話を成立させるんじゃない。

 

「Bottoms……底、臀部、かい?……いや、この場合は最低部という意味を指すのかな。酷い言いようじゃないか」

「黙れ淫獣が。口動かして喋れよ」

 

 そう、例えば徹底的に嫌って、僕がほむらちゃんと同種の存在だと勘違いしてくれれば、それはとても都合がいいと思う。

 勝手に謎を解き明かした気になっていれば、それ以上は考えようとも、追求しようともしないものだ。

 

「どうしてもというのなら、教えてあげないでもないかもしれないよ。僕は優しいから、僕の友達を殺そうとする、害虫にも劣るウルトラマンっぽい服装してそうな名前の奴にも慈悲をほんの少し分けてあげないでもない」

「何を言っているのかはわからないけど、それはありがたいよ。エツ」

「様を付けろよ声虫野郎」

 

 人差し指を突きつけて、キュゥべえの頭を踏みにじる。僅かな優越感。……こいつを踏みつけて悦に浸るとは。我ながら人間が小さい。

 

「わ……わかったよエツ様……きゅぶっ」

「魔法少女たちの前じゃあ普通にしていてくれていい。というか、人前で様付けして呼んだら、きみを何十体も料理してホームレスの方々に振る舞う」

 

 まあ、振る舞えないがな。普通の人には見えないし。

 しかし、中々踏み心地のいい足置きだ。ぐりぐりしていると、時折おかしな呻き声を出す以外は文句ない。

 

「きゅい……びきゅ……わかぷきゅ……」

 

 何を言ってるのだろうか、この淫獣は。日本語喋れねえんなら死ねよと言いたいところだが、さすがにこの状況でそれを言うほど僕も鬼ではない。

 仕方がないので、足を上げてあげることにした。感謝して欲しいものだ。

 

「……わかったよ、エツ様。だから、きみが何者なのか、目的は何なのかを教えてくれないか」

「そうか、なら僕はこう答えてやる」

 

 キュゥべえをむんずと掴んで、宙吊り状態にする。

 

「”いやだね”」

「……きみの言ってることはちぐはぐだ。わけがわからないよ」

 

 別に矛盾してはいないだろう。僕が言ったのは、あくまで『かもしれない』という可能性の話であり、断定ではない。優越感愉快感愉悦感が八時ばりに大集合して、僕の口角を自然と尖らせる。

 

「……まあ、それじゃあきみがあまりにも哀れだからね。ヒントくらいは、あげてもいい」

「ボクとしては、答えを教えて欲しいんだけどね」

「……暁美ほむらを調べるといい」

 

 正直は世間的には美徳かもしれないが、人間関係としては軋轢しか生まない見えない敵のようなものである。

 

「ほむらを?何故だい?」

「彼女の正体と僕の正体は、非常に密接な関係にあるのだよ」

 

 ワトソンくん、と付け足して、得意げにキュゥべえを放り投げる。あの体に猫としての能力は宿ってなかったらしく、べちょりと頭から落下した。猫と兎を掛け合わせたような容姿してるくせに。

 キュゥべえは地面にぶつけた顔面を労るでもなく、何事もなかったかのように会話を続ける。

 

「……それは、確かな情報かい?」

「僕は、必要のない嘘はつかない主義なんだ」

「……そうかい。わかった、信用することにするよ。ほむらのことはどちらにせよ、調べる必要があったわけだしね」

 

 ……つまり、それって信用してませんよね?ほむらちゃんのこと調べる必要がなかったら、調べないとでも言っているようじゃないか。……まあ、現時点でのヒントはそれくらいしかないわけだし、そうでなくとも調べるしかないんだけどね。

 

「まったく、随分と効率重視じゃないかこの笑わないセールスマンは」

「そりゃあそうさ。むしろ、どうして人間は常に合理的判断を下さないのかと、理解に苦しむよ」

「人間には感情があるからね。おっと、感情を解さない劣等種にはわかりにくい話だったかな……?」

「やれやれ、感情なんて持っていても何の役にも立たないというのに」

「持ってないよりは持っている方がいいだろう。持つ者の優越ってところかな。……第一、本当にきみたちに感情はないのかな?」

「どういう意味だい?」

 

 赤くて無駄に綺麗な目に僕が映り込み、今自分が相当嫌な奴の顔をしていることが確認できた。元々嫌な奴だというのは自覚しているが、言動には表さないようにしていたはずなんだけどな……という嘘をだね。

 

「そのまんまの意味さ。きみたちは宇宙の危機を救うために日夜戦い続けているわけだろう?いや、戦っているのは魔法少女だけどさ。……感情がないなら、宇宙の危機なんてどうでもいいじゃないか。何がどうなろうと、自分たちが消滅しようと何も全く断じて問題なんて一切ないんだからさ。あれ?もしかしてだけど、まさか感情がないなんて中二設定のキュゥべえが自らの消滅を怖がってる、なんてことはないよね?あれれーおかしいな。でもそれだときみたちが宇宙を救う意味がなくなってしまうぞー。これは合理的じゃないね、すぐにやめた方がいいよ」

 

 大袈裟に頭に手を当てたり、上を向いたりしながら言った。ついでにこの体の関節がどこまで曲がるのかチャレンジ一年生。きっと将来は「ここ、真剣ゼミでやったところだ!」とか何とか言って白刃取りとかできるようになるのだろう。

 

「……その考え方はなかったね。というより、考えようともしなかった」

「兵士は何も考えない。末端はそれでもいいのさ」

「ボクが末端なのは間違ってはいないけど、本体もボクと同じ思考能力をしていて、同じような思考プロセスを辿るはずなんだけどね」

「つまり、考えないようにしていた……ね」

 

 感情や人間をどうたら言うわりには、随分と人間くさいじゃないか。勿論、匂いはゲロ以下だ。プンプンするぜ。

 右目に潜んでいそうな僕の父親をぎょろぎょろと働かせて、インキュベーターという生物っぽい何かについて思考する。遠隔自動操縦型のスタンドだということ以外は、あまりはっきりはしていないが、少しばかり見えてきたかもしれない。

 ……確証はないから、期待するだけ無駄かな。

 僕が何も言わずにクールに去ろうとすると、後ろから声が聞こえた。

 

「実に有意義な話し合いだったよ。ありがとうね、エツ様」

 

 あ、その設定まだ続いてたんだ。

 獣ごときに様付けされてもちっとも嬉しくないや。

 だが、一応挨拶は返しておく。

 

「じゃあな、寄生獣。どうせ寄生するなら右手にして、人間への相互理解でも深めてろよ」

 

 僕は恥ずかしげもなく「宇宙のために」と言う連中が嫌いだ。なぜなら宇宙は始めから泣きも笑いもしないからな……なんてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一応、おおまかな流れが決定しました。
後は繋げるだけだんですけど……これが難しい。


-ワクワク
結婚後一銭も稼いだことのない武闘家。自給自足っぽいことはしている。

-ござる
絶対に働きたくない剣術家。普通に家事とかしている。

-NHKにようこそ
ガチニート。後にフリーターになった。

-騎士風の青い浅なんとかとピエロ負のオレンジのなんとか沙々
浅古小巻と優木沙々。魔法少女おりこ☆マギカの外伝に登場する魔法少女たち。
読んだことなかったので、早々にご退場となった。
ちなみに片方は見滝原産の魔法少女。

-キュゥべえとしては~
独自設定。
でも、そう考えると不自然はない気がする。

-僕を殺した責任
吸血鬼退治にでも付き合わされそうだ。

-手首好き
質問を質問で返すなあーっ!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?

-不快不愉快怪物くん
怪物ランドのプリンス。愉快痛快。

-パレード中に狙撃
『ともだち』のこと。あとで生き返るらしい。

-奇人と変人と狂人を極めると~
戦士と武闘家を極めるとバトルマスターになることができるのと一緒。

-信じるか信じないかは
これを言うことにより、証拠が揃っていない出任せでも、なんとなく信じてみようかなという気になってしまう魔法の言葉。

-バファリンレベルの優しさ
だいたい一錠につき270mgくらい。

-正義の味方でも~
紅茶。この小説内で何回ネタにしたっけ。

-負け犬ムード
だが、言った本人は柱の男の一部にも数えられないほどの噛ませ犬っぷり。
お前は最初から噛ませ犬ムードだったのだ。

-つまりどういうことだってばよ
つまり……どういうことだってばよ?

-カメラを使わずとも~
着せ替えカメラ。一応地球のテクノロジーだが、未来のオーバーテクノロジーには変わりない。

-あべし
ひでぶ

-ボトムズ
キリコ・QBというネタ。

-ウルトラマンっぽい服装してそうな名前
粒子加速器(アクセラレーター)孵卵器(インキュベーター)
どちらも白くて目が赤い。

-様を付けろよ
デコ助野郎。

-声虫
アニメ版の方はキュゥべえに近いかもしれない。
漫画版はなあ……。

-日本語喋れねえんなら死ねよ
殺害方法はやはり首を切断だろう。

-”いやだね”
例え世界が滅んだとしても絶対に妥協しない男の言葉。
お前のようなヒーローがいるか。

-八時ばりに大集合
最高視聴率50%って何だよ……。

-笑わないセールスマン
私の取り扱う品物は魂。人間の魂でございます。

-チャレンジ一年生~真剣ゼミ
みんなも一緒に、殺ってみようよ!

-匂いはゲロ以下
こいつはくせえ。

-クールに去ろうと
相手が恋人に介抱されているときなどに使うと効果的。

-寄生獣~
右手に寄生したパラサイト『ミギー』。自分は人間とは違うと言ったうえで人間への理解を深めようとする、キュゥべえとは間逆の地球外生命体。

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