半年ぶりくらいに物書きをしていますがなんかうむむ、となるのでとにかく書けるとこまで書いてリハビリです。
そんなわけで、どうぞ。
「由比ヶ浜さんっ!」
「ゆきのん!」
SAOの製作者、茅場による宣告から数時間後の病室にて、雪ノ下雪乃は自らの部活の顧問、平塚静に連れられて病室の一室に来ていた。
既に病室には比企谷八幡の妹、比企谷小町、彼の両親、彼女の友人にして彼のクラスメイトであり部活仲間の由比ヶ浜結衣、そして何故か彼女の姉である雪ノ下陽乃の姿があった。
病室の中央には、横たわる一人の人間。頭には先ほどの茅場の宣告にあったナーヴギアが取り付けられており、本人は安らかに眠っている。目さえ腐っていなければイケメンとは本人談だったか、幼さが残る表情には、普段の陰湿さが存在していなかった。
「……彼は」
「大丈夫、生きている」
へたり、とその場に座り込む雪乃。その姿に限界を迎えてしまったのか、結衣は声をあげて泣き出してしまった。
「……陽乃、二人を連れて外へ。落ち着くまで見ていてやれ」
「そうだね。……私も、あまり落ち着けてないんどけどね?」
「わかっている。……頼んだぞ」
三人の女子が部屋を出ていき、八幡の両親は改めて静へと礼をした。
「……この子、あんなに可愛い子と知り合いだったのですね」
「本人は頑なに同じ部活の女子だ、と言うと思いますが……他にも、交友関係は広いですよ。本人は否定すると思いますが」
「……私、八幡のこと、何も知らない……お兄ちゃんだから、大人びてるからって、全部任せて……っ」
「お前……」
「お母さん……」
「そう思っているのなら、彼が帰ってきた時に、しっかりと迎えてあげてください。
比企谷も、まだただの高校生なんです」
泣き崩れる八幡の母は、静の言葉に何度も頷いた。
そっと、教師は自分の拳を握りしめて眠る彼を見つめたのだった。
―――――
「……小町ちゃん、さっきはごめんね」
「いえ、小町は多分、これからもっと泣きますから」
兄に似ず、明るく快活なはずの彼女はその明るさを潜め、どこか儚さを感じさせる笑みで結衣に笑いかけた。
彼の両親は帰り、小町は明日の学校を休み泊まるらしい。兄から離れたくないと、八幡が聞いたら喜びそうなことを言って兄から文字通り離れようとしなかった。
「結衣さんと雪乃さんに、電話をしてたんですよね?
会う約束したって、さっき結衣さんから聞きました」
「ええ……」
「うん。ヒッキーね、奉仕部が、居心地良かったって。無くしたくなかったって、言ってたよ。人の目なんか気にしないでいられたはずなのに、私達の目を気にして、前の時は自分らしからぬ方法をしてしまったって」
「比企谷くん……」
「だから、謝りたいって。それで、ちゃんと話したいって、ヒッキーが……っ、うぅ、ヒッキー……」
絶望的なまでの状況に、少女達は涙する。どうすることもできないままに、妹はそっと眠る兄へとすがり付いたのだった。
「……姉さん、茅場の居場所はわからないのかしら」
「雪乃ちゃん?」
「いやよ。絶対いや。こんな、まだ……私だって言いたいことも謝りたいこともたくさんあるよ。こんなの、絶対いや」
「だから、茅場を見つけると?」
「雪ノ下の力を使って?」
「ええ」
「……実はね、お父さんの会社の人も何人かはSAOの中にいるみたい。それに、公言できないけど、結城財閥の一人娘も、ゲームに囚われてしまってるようなの。だから、うちと、向こうとでもう動き出してはいるよ」
「それは本当なのかしら、姉さん」
「もちろん。向こうの一人娘は小町ちゃんと同じ年ね。……案外、比企谷くんと上手くやってたりして」
「「それはちょっと……」」
「あはは、辛辣だねぇ二人とも。でも、比企谷くんは優秀な子よ? 理性の化け物だなんて言ったけど、それは年不相応に大人びてることでもあるし、あの子なんだかんだやれば結果がついてくるじゃない。それが、どんな結果でさえ」
「……だからこそ、不安なんです」
胸の前で、結衣はそっと手を組んだ。その表情には心配以上の感情が存在せず、彼への想いの深さも伺える。
「ヒッキーは、私にああ言ってくれたし、これからはあんなやり方は控えてくれると思うんです。でも、それは私達の前だからで、きっと、ヒッキーは誰かが困ったら躊躇わずにいつものやり方を実行するはず……絶対に」
「……それが、彼の命を脅かさないとも限らない。まったく、どうしてあなたはそう、寝てても私達に心配をかけるのかしら、比企谷くん」
ようやく笑ったその顔は、まだ酷く歪なものだった。
現実世界では物語を発展させづらいからか、どうも短くなりそうです。
彼女らはゲームに参加しませんが、登場人物から消えることはありません。
作品的に消せないし、活躍してほしいところもあります。
上手くできるよう頑張りますので、よろしくお願いします!