レヴィちゃんのお尻はキュート   作:グラビ屯

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ようやく納得いくのが書けたので投稿。

萌えて頂ければ感謝の極み。


猫と電気 ~ 猫じゃらしを振る擬音は“プタプタ”が良いと思う

それは散歩中の出来事。

 

「あ、猫! ……あー、逃げちゃった」

 

『猫、好きなのか』と問うと苦笑いしながら答えが返ってきた。

 

「なんだか逃げられちゃうんだよねー……シュテルんにはいっぱい寄ってくるのに。あーあ」

 

項垂れるレヴィに合わせてそのツインテールまでもしおしおと力を失い、ダラリと垂れ下がる。

 

その光景を見て、彼の脳裏によぎるのは、“先輩の兄”と海鳴病院の“銀髪の女医”。猫好きでありながら猫に避けられる“電撃使い”というレヴィとの共通点を持つ二人だった。

 

「え? 猫に避けられなくなるかもしれないって? ホ、ホント!?」

 

確証はできないが、と一言付け加えた上でそう告げる。最も、彼が自分の“作品”を以て関わる以上、妥協や不可能を結果にもたらすつもりは露ほども無かった。

 

「わーい! ありがとうお兄さん!」

 

パァッと花開くように満面の笑みを浮かべたレヴィが感極まって抱きついてくる。

気が早いぞ、と注意しつつも彼は沸き上がる煩悩を捩じ伏せるのに脳内をフル稼働させていた。

 

 

 

 

「じゃーん。どう?」

 

数日後のマテリアル家にて。

見せたいものがあると言ったレヴィが皆に自慢気に見せたのは、一言で言って『猫』。

 

「わー、レヴィかわいいですー」

「むう、猫耳と尻尾付きの下着一式か」

 

黒を基調としたビスチェとショーツのセットに猫耳のついたカチューシャ。今は邪魔なので付けていないが『肉球付き手袋もあるよー』とのこと。

 

『ショーツに付けたら着心地やバランスが悪い』との彼のこだわりから、ビスチェの後ろから伸びたふさふさとした尻尾が、ショーツに開けられた専用の穴を通って表に出る構造になっている。

 

「えへへ、シュテルんみたいにネコと仲良くなりたくて、お兄さんに相談したら作ってもらったんだー」

 

“電撃使い”の宿命たる帯電体質、それによる静電気が猫を遠ざけているのを知り合いの経験から知っていた彼は、アースのように電気を散らす仕組みを下着に織り込んだ。

さらにいかなる仕掛けか、レヴィが照れくさそうに身動ぎする度に猫耳はピクピク動き、尻尾は滑らかにくねっている。

 

「本物みたいですー」

 

興味深げに手を伸ばしたユーリの手が尻尾に触れると……

 

「にゃっ!」

 

レヴィの身体が大きく跳ねた。

 

「はわっ!? だ、大丈夫ですかレヴィ!?」

「う、うん。コレ、お兄さんが筋肉と連動するように作ったって言ってて……尻尾とか猫耳を触られると感覚が伝わってゾクッとしちゃうんだ」

「はわー……お兄さん、やっぱり凄いですねー」

「あやつ……意図的か無意識か、いや無意識だろうが、確実にレヴィを調教しつつあるな……」

 

『いっそ責任取らせる形で丸投げしてしまうか』等とディアーチェは諦めと呆れの混じった複雑な表情をしていた。

 

 

「………………せん」

 

 

 

そんなディアーチェの耳に、今まで黙り込んでいたシュテルの呟く声が入ってくる。

 

「シュテル?」

「勘弁なりません!」

「はわっ!?」

 

ユーリが涙目になるほどの大声で叫ぶや否や、シュテルは表へ飛び出していった。

 

「シュテルんー!? どこ行くのー!」

「……はっ! つい呆けてしまった。シュテルを追うぞ!」

「あうあう」

 

 

 

「もの申します!」

『!?』

 

彼の家のドアをぶち破り侵入したシュテルはそのまま彼に掴みかかった。

 

「何ですかあれは私が猫好きと知っての挑戦ですか当てつけですか私が何点だろうがもはや知りません私にも作りなさい今作りなさいすぐ作りなさいさあ作りなさいハリーハリーハリーハリーハリー!」

 

襟首を捕まえガクガクと頭を揺するシュテルに逆らう術を彼は持ち得なかった……

 

 

シュテルに遅れることしばらく、玄関に大穴の空いた彼の家に入ったレヴィたちが見たのは、真っ白に燃え尽きて倒れる彼と、その上にドッカと座り込んで満足げな表情をした猫下着姿のシュテルだった。

 

「お兄さーん! しっかりー!」

『今までで一番疲れた。レヴィに作った奴をカスタムするだけだってのに、こんなに気を使ったのは初めてだ』

「あわわ、口からエクトプラズムがー!?」

 

色々とヤバい状態の彼を介抱するレヴィとユーリを尻目に、シュテルは下着の着心地を確かめることに没頭していた。

 

「満足です」

「シュテル……おぬし……」

 

悪女じみたシュテルの様子にタラリと冷や汗を流さずにはいられないディアーチェであった。

 

 

 

 

※蛇足なおまけ

 

「……で、これが『ついで』に作らせた我とユーリの下着か」

「可愛いですー」

 

ディアーチェとユーリが手にしているのは同デザインの“猫下着”。

 

「私とレヴィだけでは不公平ですので」

『いや、俺はレヴィさえ着てくれれば……あだだだっ!?』

「何か文句でも?」

「シュテルん、お兄さんをいじめないでってばー!」

 

問答無用でアームロックを極めるシュテルと悶絶する彼。あわてて止めるレヴィという光景をもはやいつものこと、とディアーチェは横目で流した。

 

「ま、せっかくだ。貴様の腕は一流であることだし、着てみるとしよう。ユーリも来い」

「はわっ!? ディ、ディアーチェと着替え……はうう」

「ええい、頬を染めるでないわ!」

 

余人が見れば砂糖を吐きそうな空気を醸しながら二人は更衣室に入る。

 

「こうして私たちをじっくり籠絡していくつもりですね。いやらしい」

『勝手に押し掛けて作らせたのはシュテル……ギャアアア! そこはそっちには曲がらないって……(ゴキッ)ア゛――ッ!!』

「お兄さ――ん!!」

 

 

 

数分後、そこには見事に『猫』と化したマテリアル四人娘の姿があった。

そしてシュテルに強制されたとは言え、彼のデザイナーとしての矜持はしっかりと別々の、各人に合ったモチーフの下着を作り上げていた。

その内枠は、

 

レヴィ=黒猫

シュテル=虎猫

ディアーチェ=三毛猫

ユーリ=白猫

 

となっている。

 

「えへへ、お揃いだー」

「うう、ちょっと恥ずかしいですー」

「むう、この着心地……文句の付けようが無いのが口惜しい」

「下着作りだけは天才的ですね。変態ですが……ところで」

 

キラリとシュテルの鋭い目線が光った。

 

「今の私たち、何点なんですか?」

「シュテル……おぬし、それが目的か」

「シュテルん、意外と気にしてたんだね……」

「シュテルからオーラが! なんかオーラが出てます!」

 

そして彼の採点はこうなった。()内はその際のコメントとなる。

レヴィ=120点(不動)

ユーリ=92点(かわいいは正義)

ディアーチェ=88点(恥じらう姿がなんとも)

 

 

シュテル=79点( )←死んだ魚の目

 

 

「なんで80点に届かないんですか! なんで80点に届かないんですかっ!」

「落ち着けシュテル! 前回よりは上がっておる!」

「お兄さん、シュテルん抑えてる間に逃げてー!」

「あわわわわ、シュテルがまた暴走なんですー!?」

 

 

 




オチ担当のシュテルですが『彼』の中の評価は高いんですよ?


以下解説っぽいもの

先輩の兄=『夜叉鴉』より。幽螺みずは(♀)の兄『帝釈天の反造』。

銀髪の女医=『とらいあんぐるハート3』より『フィリス・矢沢』。


油断すると静電気が漏れて周りの人間の髪が逆立ってしまうのが悩みの二人。

休日には揃って猫相手に猫じゃらしを振る姿が見られるトカ。

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