ブラック・ブレット[黒の槍]   作:gobrin

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初めまして、gobrinというものです。

ブラック・ブレットのSSを書くとしたらどんなキャラをオリ主にするかなとか考えてたらキャラができてしまったので、書くことにしました。

楽しんでいただけると幸いです。

では、どうぞ。


第一章
第一話


二〇二一年。

 

世界に突如現れた謎の生物『ガストレア』によって、人類は駆逐されかけた。

ガストレアーーそれはどれも赤い瞳を有し、なにかの生物の特性を備えた巨大な生物である。尋常ではない再生能力を持ち合わせ、通常の火器ではダメージを与えてもすぐに再生するのが特徴だ。

その大きさによって、レベルⅠからレベルⅤまで区別されている。

 

 

ガストレアから何とか生き延びた人類は、『モノリス』というバラニウムでできた壁のなかに引き蘢ることで絶滅を免れた。

そのモノリスは日本にある五つのエリアを囲うようにしてそびえ立っている。

 

『バラニウム』とは金属の一種で、ガストレアはこの金属を嫌う。

そして、バラニウムはガストレアの凄まじい再生能力を阻害する性質を持っていた。

ガストレアを倒すためには、バラニウムでできた武器や弾丸などでダメージを与える必要があるわけだ。

 

他に、ガストレアは人を襲って体液を注入し、対象をガストレアに変質させる能力を持つ。

人類はガストレアに対抗するため、『民警』を組織し、ガストレアを討伐していた。

 

 

民警は人間のプロモーターと、呪われた子供たちのイニシエーターで結成される。

 

 

『呪われた子供たち』とは、ガストレア因子を内包した子供たちだ。

ガストレア因子は空気感染はしないが、妊婦の口から入るとその毒性が胎児に蓄積することがある。

そうして生まれたのが『呪われた子供たち』だ。

子供たちには少女しかおらず、彼女たちの目はガストレア因子のため感情が昂ると赤く光る。

彼女らは呪われた子供たちと蔑まれながらも、尋常離れした身体能力で世界を守っていた。

 

 

―――民警が世界の最後の希望だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなご時世のある日の夜。

 

 

暗くなった夜道を、二人の子供が手を繋いで歩いていた。

まるでデートにでも行くかのような楽しげな雰囲気だ。

 

「はふぅ。そろそろ春だけど、さすがにこんな時間だと暗いね。(まい)、寒いとかない?」

 

「うん、大丈夫。心配してくれてありがと、ひか」

 

会話もそれっぽい。おかしなところは何もない。

 

だがしかし、二人が持っているものがその雰囲気をぶち壊していた。

 

ひかと呼ばれた子供は、手を繋いでいるほうと逆の手に槍を持ち、腰には鞘のようなものを四本挿していた。

舞と呼ばれた子供も、同じような鞘を二本挿していた。色はより可愛らしいものだったが。

 

 

二人は民警だ。ペアを組んでガストレアと日夜戦っている。

――まあ実際はそこまで熱心ではない。必要な収入を満たすだけの仕事を適当に熟していた。

 

手に槍を持った子供の名前は立花 光(たちばな ひかる)。プロモーターだ。

そしてもう一方の子供の名前は立花 舞(たちばな まい)。こちらはイニシエーター。

二人は『立花民間警備会社』に所属している。

光と舞は双子だ。今はともに九歳である。

この春に晴れて十歳だ。

 

 

「あ、着いたね。このビルだ。何階だっけ?」

 

「えと、三階って言ってたよ。ちょっと見てくるね」

 

「うん、いってらっしゃい」

 

舞の目が赤く輝き、その場で飛び上がる。

彼女たちは力を解放すると、いつもより大きな力を振るえるようになる。

成人男性など目じゃないくらいの力だ。

 

「ただいま」「おかえり」

 

重力に引かれて地に舞い降りた舞と光が互いに同時に声をかけあう。

 

「十くらい」

 

「そっか。大丈夫そうだね」

 

明らかに足りない言葉を交わしあう二人。だが二人にはそれで十分だった。

 

「行こっか」

 

「うん」

 

二人は視線を交わして頷きあうと、ビルの中に入っていった。

 

 

 

 

ビルの三階では、赤い光点が蠢いていた。

 

「じゃ、適当にやろうか」

 

「うん。気をつけてね」

 

「舞もね」

 

舞が目を赤く輝かせ、鞘から抜き取ったものを構える。光の物の半分くらいの長さの短槍だ。

光も槍――区別するために長槍と呼ぼうか――を構えて、赤い群れに突っ込んだ。

 

 

五分後、その場で動くものはなかった。

すでに二人は並んで外を歩いていた。

 

「うぅ……。さらに冷えてる……。早く帰ろ」

 

「うん、そだね」

 

二人は再び手を繋いで、家に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「「ただいまー」」

 

「あらあら、早かったのね。お帰りなさい」

 

「あ、お母さん」

 

「ただいまー、ママ!」

 

「あらあら」

 

帰宅した二人を待っていたのは、立花 縁(たちばな ゆかり)

二人の母で、『立花民間警備会社』の副社長だ。

 

舞は喜びを隠さずに縁の胸に飛び込んだ。

 

「あらあら、甘えん坊さんね」

 

「いいんだもーん。あたし今日お仕事頑張ったからいいんだもーん」

 

「うふふ、そうね。あなたも来る?」

 

「いや、ボクはいいよ。それより、お父さんは?」

 

光は自分の父の姿を探して辺りを見渡す。

その声に応じて、奥から長身の男が出てきた。

 

「おーう、ここにいるぞ」

 

立花 樹(たちばな いつき)。光と舞の父にして、『立花民間警備会社』の社長である。

 

「んとね、報告。ボクたちのこと色々言われたくなかったから死骸放置して帰ってきた。以上」

 

三人に歩いて近寄っていた樹が止まった。

呆然とした顔で自分の子供の顔を見る。

 

「………………はぁぁぁぁあああ!?なに言ってんだお前!?警察に連絡しろよ!?報酬もらえねーだろ、オイ!?」

 

樹は自身の子供に近づき肩を掴んで叫ぶ。

それを鬱陶しそうに振り払う光。

 

「お父さん、うるさい。耳元で叫ばないで。あと触らないで」

 

軽く酷い。

 

「だってこんな時間に仕事したって報告したら来た警察がうるさいんだもん。子供がこんな時間に出歩くなとかなんとか。ライセンス見せて仕事だって言ったら余計に説教酷くなるし。あれ子供ぶってやり過ごすの大変なんだよ?それに、うちはお金に困ってるわけじゃないでしょ。匿名で連絡だけはしたから、死骸を片付けてはくれると思うよ」

 

「うっ。一応連絡はしたのか、ならまあ……」

 

今まで愚痴られていたことに加えて事実も述べられてなんと返したらよいかわからなくなる樹。

どっちが年長者だかわかったもんじゃなかった。

 

ちなみに光が言った金に困ってないというのは、この家がそこそこの家柄であることが理由だ。

 

「ねぇあなた?この子の言っていることは事実だし、いいんじゃないかしら?警察の相手を毎回するのは少し可哀想だわ」

 

「ううむ………」

 

「ねえ、もういいでしょこの話。おじいちゃんは?」

 

樹が唸っているところを光が話を終わらせた。ホントにどっちが年長者だ。

 

「親父ならもう寝てるよ」

 

「そっか。挨拶しようと思ったんだけど。それならいいや。華奈お姉ちゃんと和ちゃんは社宅?」

 

「おう、そうだ」

 

「わかった。じゃあお風呂入って寝よっかな。舞、行こ?」

 

「うん。お休み、ママ!いつもお風呂入れといてくれてありがとう!」

 

「うふふ。いいのよ、それくらい。お休みなさい」

 

「ねえ俺には?俺父親だよね?家主だよね?もう少し敬われてもいいはずだよね?」

 

「お休み、お母さん。本当にお風呂ありがとう。

それとオヤスミお父さん。永遠に」

 

さらっと父に対して『死ね』と言って、光は妹と手を繋いで風呂場に向かう。

 

樹は膝をついてうなだれていた。

 

「大丈夫、あなた?いい子いい子」

 

「ぐすっ。縁ぃ〜」

 

樹の傍らに膝をついて立ち、頭をなでる縁。

その妻の優しさに感極まった樹は、縁に抱きつこうとした。

 

「あなたが槍の稽古でいじめすぎたのが悪いのよ?今日のは自業自得ね〜」

 

が、縁はいじけている夫に追い打ちをかけ、抱きついてきた夫をさらりと躱す。

妻にまで突き放された樹は、床にうずくまりシクシク一人で泣いていた。

 




読んでいただきありがとうございます。

第一話なのでオリ主とその周りのキャラの説明、といった感じですね。
もう少しキャラはいますが。

まだ第一話なのでなんとも言いがたいと思いますが、面白いと思っていただける方がいると嬉しいです。

一話だけでも、感想、意見、質問その他、お待ちしております。
ダメ出しでもどんどんきてください!

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