私と契約して魔法少女になってよ!   作:鎌井太刀

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お前には【中略】速さが足りない!!
大変お待たせしましたー(もはや恒例)


第二十六話 動き始める脅威

 

 

 

 失意のまま、かずみは転移魔法により姿を消した。

 後にはプレイアデス聖団の魔法少女達と、双樹姉妹だけが残された。

 

「アハハッ! なにこれ傑作! もう大スキ!!」

 

 その片割れである双樹あやせは、腹を抱えて大笑いしていた。

 かずみに無視された事に対して普段のあやせならば、多少なりとも怒りを覚えたはずだ。

 

 だが今のあやせはそんな事よりも、目の前の光景が可笑しくて仕方がなかった。

 これが喜劇でなくて何だというのか。

 

 間抜けにも仲間である少女を見捨てておいて、その真意を知った少女に見限られる。

 自業自得だというのに、それで傷付いた顔を浮かべるプレイアデス達の有様が最高に滑稽だった。

 

 「あなた達にそんな資格ないでしょ!」とバカみたいに突っ込みたい。

 可笑しさのあまり、あやせはその場を踊るようにくるくると回る。

 

 ますますかずみの事が好きになった。

 それと同じくらい、プレイアデス達の事が嫌いになった。

 

 【プレイアデス聖団】の事など最早どうでもいい。

 

 あやせはただかずみの事だけを想い、かずみの事だけを考える。

 これだけ気になる女の子と出会ったのは、もしかすると初めてかもしれない。

 

「……それにしてもかずみちゃんって何者? <魔女喰らい>の上に、あれだけ多彩な魔法が使えるだなんて、ちょっと反則過ぎるでしょ」

 

 <身体強化魔法>は基礎的な物なので、あやせ達からすれば使えて当然だとしても、あやせの変身を強制的に解いた<解除魔法>に、本来なら高難易度のはずの<転移魔法>までほぼノータイムで行使していた。

 あの様子だとまだまだ隠し玉がありそうだ。 

 

 それだけでも異常だというのに、かずみは素の身体能力もバカみたいに高かった。

 特に恐ろしいのは頑丈さで、そのしぶとさは実際戦ったあやせ達も驚嘆するほどの物だ。

 

 この時点でも既に特級の魔法少女だと言えるのに、駄目押しとばかりに<魔女喰らい>だ。

 

 強靭な生命力を持つ魔女の血肉など普通はただの劇物だ。

 食中毒なんてレベルじゃない。普通ならば取り込んだ時点で肉体もソウルジェムも耐え切れないし、そもそも狂人でもなければ試そうとすら思わないだろう。

 

 けれどかずみは、それを無意識に成し遂げていた。

 おまけにあやせ達との戦いでボロボロだったかずみの肉体は、最後は完全に治癒していた様に見える。

 

 魔女の血肉を取り込む魔法少女。

 そんな有り得ない存在、あやせはかずみの他にたった一人だけしか知らなかった。

 

「……『クズ姉』が知ったら大喜びしそう」

 

 脳裏にエリニュエスの仲間の一人にして、最年長メンバーの女性の事を思い浮かべ、あやせはにやりと笑う。

 

「それじゃあもう帰ろっかな。良いお土産話もできたことだし」

 

 そのまましれっと立ち去ろうとするあやせだったが、呆然としていたプレイアデスの魔法少女達も、流石に今度ばかりは見逃さなかった。

 溜まりに溜まった鬱憤を晴らすかように、彼女達は殺気立った様子で双樹達を取り囲んだ。

 

「どこへ行くつもりだ! ここまで好き勝手しといて、逃がすかよッ!!」

 

 それはプレイアデス達にとって、ある種の逃避であったかもしれない。

 目の前に敵がまだ残っているのだ。

 

 かずみと決別してしまった事への八つ当たり先としては、これ以上ないほど都合の良い存在だろう。

 あやせにしてみれば「勘弁してよ」と、自ら行った事を棚に上げて溜息も吐きたくなる。

 

「……主役の子(かずみちゃん)がもういないんだから、これ以上は白けるだけだって分からない?」

「まぁこの方達に『空気を読め』と要求するのも酷でしょう。道化は笑われているうちが華だというのに」

 

 あやせがやれやれと肩を竦めると、ルカも呆れた声で同意する。

 

 二人にしてみれば、かずみがいなくなった以上、ここにいる連中は全員出涸らしも同然だった。

 わざわざ『見逃してあげる』というのに、そんなにも構って欲しいのだろうか。

 

 そんな双樹達の嘲笑を聞き、サキは憤怒の表情を浮かべた。

 本来なら倒れていてもおかしくないほど疲弊した身体は、今や怒りによって突き動かされていた。

 

 ――お前達さえ来なければ!

 

 サキは奥歯を強く噛み締める。

 

 双樹達が現れてからというもの、何もかもが滅茶苦茶になってしまった。

 ニコが死んだのも、かずみに逃げられたのも、元を正せば双樹達が切っ掛けだ。

 

 その報いは最早、万死をもってすら生温い。

 激情のまま、サキは己の鞭を地面へと叩きつけた。

 

「お前だけは許さない! お前が、お前達さえいなければ! ニコは死なずに済んだ……かずみだって!!」

「……かずみちゃんの件は、そっちの自業自得じゃない?」

 

 その怒りはお門違いだと、あやせは冷めた目で見返した。

 確かに切っ掛けは双樹達が作ったのかもしれない。

 

 けれど選択したのはプレイアデスだ。

 <かずみを見捨てる>選択をしたのは、他の誰でもない彼女達なのだ。

 

 その結果かずみと決別しようが、その責任まで擦り付けられるのは業腹というものだ。

 とはいえ問答無用で殺気立つプレイアデス達を前に、これ以上の言葉は火に油を注ぐだけだろう。 

 

 別にそれでもあやせとしては構わないのだが、聞く耳を持たない者達を相手に延々とお喋りできるほど、時間に余裕があるわけではない。

 かずみの事も気になるし、そろそろ仲間達とも合流しなければならない頃合いだろう。

 

 仕方ないなぁと小さく溜息を付きつつ、あやせは剣を構えた。

 いい加減面倒になってきたあやせは、ちゃちゃっと終わらせようと宝石箱から他者のソウルジェムを一つ取り出し――。

 

 

「見付けたぜ」

 

 

 ――『切り札』を使おうとした寸前、プレイアデス達との間に割り込むように、何者かの影が空から落ちてきた。

 

 それはミサイルのように地面へと着弾し、轟音と共に砂塵を巻き上げた。

 土煙が晴れると、そこには小さなクレーターが出来たのが視界に映る。

 

 クレーターの中心部には、目にも鮮やかな紅の長髪を靡かせる一人の女性が立っていた。

 少女と呼ぶには、彼女は些か大き過ぎた。

 

 百七十はあろうかという長身に、メリハリのある暴力的なスタイル。

 美女と呼ぶべき、他者を圧倒する華々しい存在感が彼女にはあった。

 

 それは彼女が奇態な格好をしていようとも変わらない。

 彼女は黒い拘束衣をその身に纏っており、重度の犯罪者のように両腕の自由は封じられていた。

 おまけにその両目は包帯で幾重にも巻かれ、僅かな光も通さないと塞がれている。

 

 それでなお彼女の挙動には一片の淀みもなく、何不自由なく辺りを認識している様子だった。

 燃え上がるような紅蓮の髪を靡かせ、彼女はお目当ての相手を見つけると獰猛な笑みを浮かべる。

 

「よう、アヤ。なーに遊んでんだぁ? 派手に魔力撒き散らしやがって、お陰で見つけられたけどよぉ。遊ぶならオレ様も混ぜろっつーの」

「クズ姉!」

 

 そこに居たのは、あやせ達の姉貴分ともいえる存在。

 エリニュエス所属のメンバーにして、チーム最年長の魔法少女『碧月(ミヅキ)樟刃(クスハ)』だった。

 

 見えないはずの目で、クスハは双樹姉妹の方へ顔を向ける。

 そして当たり前のようにあやせ達の姿を認識すると、その有様に訝しんだ声を発した。

 

「あん? おいおいアヤの字よぉ……その格好、ルカの奴も出てんのかぁ?」

「久しいですね、クスハ。丁度良い所に来ました」

「クズ姉ナイスタイミング! ピンチにお仲間登場とか……私、そういう展開スキだな!」

 

 何気に過去の発言と矛盾した事を言いつつ、あやせは勢いよくクスハに抱き付いた。

 両腕が拘束されているクスハは、仕方なさそうにそれを受け入れるものの、お返しとばかりに鼻を鳴らす。

 

「はん! クスハお姉様と呼びな!」

「クズお姉様!」

「……ったく、何度言っても直らねぇな、オメェはよぉ」

 

 処置なしとばかりに舌打ちすると、クスハは周囲を無視して話し続ける。

 周りを取り囲むプレイアデス達の存在など眼中にないと、その態度で雄弁に語っていた。

 

「スズとハルが探してたぞ。久しぶりに皆で飯でも食おうや」

「さんせーい! 外食にも飽きてきたとこだし、久々にハルちゃんのご飯食べたいな!」

「私も賛成です。栄養バランス的に考えて、オウカの食事の方があやせの健康に良さそうですしね」

 

 仲睦まじげに会話する彼女達をよそに、プレイアデス達は戸惑いを隠せなかった。

 

 突如現れた謎の女性は、双樹達の仲間――つまり聖団にとっては新たな敵だ。

 彼女達の会話から察するに、他にもまだ数名ほど仲間がいる様子だ。

 

 このイカレた魔法少女、双樹姉妹に仲間がいたことに驚愕する。

 てっきり単独の、他所から流れてきた者だとばかり思っていた。

 

「お前は……お前達は一体、何者なんだ?」

 

 サキが警戒心も露わに問いかける。

 自分達以外の【魔法少女殺し】がチームを組んでいたとしたら、それはかなりの脅威となるだろう。

 

 一人でも厄介な存在が徒党を組んでいるなど、それこそ悪夢としか言いようがない。

 サキの疑問に、あやせはふふんと鼻を鳴らして自慢気に告げる。

 

「――<エリニュエス>。それが私達のチーム名だよ。プレイアデスさん」

 

 その言葉を聞き、海香は自身の記憶から思い当たる情報を引き出した。

 作家という職業柄、海香の雑学的な知識は他の少女達よりも豊富だ。

 その中から海香は該当した情報を口にする。

 

「エリニュエス……確か、ギリシャ神話の女神だったかしら?」

 

 復讐を司る女神【エリニュス】の総称。

 海香もそれ以上詳しい事までは覚えていなかったが、元ネタはそれで間違いないだろう。

 

「カッコいいでしょー! ハルちゃんが命名したんだよこれ」

「……アイツもお年頃だからなぁ」

 

 年長者としては思うところがあるのだろう。クスハはきゃっきゃとはしゃぐ妹分に対して、生温い表情を浮かべていた。

 特にこの場にはいないエセ関西人の少女に対しては、憐れみにも似た感情すら抱いていた。

 

 碧月樟刃十八才――魔法少女としては色々ギリギリなお年頃である。

 

 

 

「まだ他にも仲間がいるのね……なら今後の為にも、あなた達はここで仕留めさせて貰うわ!」

 

 海香は仲間達に目配せで合図を送る。

 他の仲間と合流されてしまう前に、ここで彼女達を打ち倒すべきだ。

 

 ここまで敵対してしまった以上、最早彼女達と和解の道はない。

 仮にあったとしても、自分達の感情がそれを許容し得ない。

 

 【エリニュエス】と【プレイアデス聖団】の衝突は既に避けられない。

 

 ならばここで相手の戦力を少しでも削るべきだ。

 自分達も度重なる戦闘で既に体力、魔力ともに限界に近いが、ならば初手で全てを決するまで。

 

 海香、サキ、カオル、里美、みらい――残されたプレイアデス聖団五人の魔法少女達が力を合わせ、拘束魔法を発動させる。

 

「「「エピソーディオ・インクローチョ!」」」

 

 メンバーの一人、神那ニコが欠けてなお聖団必勝の魔法は過不足なく発動し、エリニュエスを名乗る魔法少女達を包み込んだ。

 だが拘束の戒めがその身に届く前に、クスハは力任せに地面を踏み付ける。

 

「させっかよ! オラァッ!!」

 

 無駄な足掻きにも思えたその一撃は、暴力的な魔力によって強化され震脚と化した。

 地面を揺らすほどの衝撃に、聖団の拘束魔法は魔法陣ごと粉砕される。

 

 ガラスが割れるように光の粒子を散らして、聖団必勝の魔法は余りにも呆気なく砕け散った。

 

「バカなっ!? 五人掛かりの拘束魔法だぞ! それを一撃だと!?」

 

 クスハは驚愕するサキ達を一蹴する。

 距離が離れているにも関わらず、放たれた蹴撃は暴風となってプレイアデスを吹き飛ばした。

 

 枷を嵌められてすらそのバケモノ染みた身体能力は封じ切れない。

 魔法少女として見てもなお、規格外としか言い様のない純粋な暴力をクスハは持っていた。

 

「わりぃが飯の時間だ! お家に帰る時間だぜガキ共! また近い内に遊んでやっから、せいぜい楽しみにしてな!」

 

 クスハはあやせに抱き付かれたまま跳躍した。

 空を蹴るようにして、現れた時のようなミサイルじみた勢いで視界の向こう、空の彼方へと消えていく。

 

 残された少女達はただ呆然と、あるいは悔しそうな顔でそれを見上げる事しか出来なかった。

 

「…………ちくしょう」

 

 ――この日、プレイアデス聖団は完膚なきまでに敗北した。

 

 

 

 

 

 

 

 少女は夢を見ていた。

 

 それは大切な誰かがいなくなる夢。

 掛け替えのない宝物が、無残にも踏み躙られる夢。

 

 心が壊れそうなほどの喪失感を前に、少女は赤子のように泣き叫んだ。

 

 目の前の、誰かが欠けてしまった現実を受け入れられなくて。

 宝物が壊れてしまった世界を認めたくなくて。

 

 誰かが救いに来てくれると信じていた慟哭も、それがあり得ない夢想であると知ってからは、怨嗟の嘆きへと変わった。

 

 失った物を埋め合わせるために、憎悪が終わる事なく流れ込んでくる。

 しゃがみ込み涙を流す少女に向かい【悪意】は包み込むようにその身を覆い尽くした。

 

 暗闇に閉ざされた世界の中で、【悪意】は少女へと囁く。

 優しさすら感じさせる声で紡がれるのは、破滅への誘惑。

 

 ――お前は所詮、誰にも理解されない者。

 孤独で、無価値で、誰にも必要とされない不要物。

 

 お前を救う都合の良い神様など、この世には存在しない。

 善なる者も正義の代弁者も、決してお前を救いはしないだろう。

 

 寧ろお前を悪と貶め、断罪し、更なる地獄へと突き落とさずにはいられない。

 でなければ彼らは善ではいられない。正義でいられないのだから。

 

 だからこそお前は、決して何者たりとも許してはいけない。

 

 お前を虐め、お前を嗤い、お前を蔑むしか能のない塵芥共。

 そんな汚物が蔓延る世界など、消滅したほうがマシだろう。

 

 お前の成すべき事は、そんなゴミを一片の欠片も残さず地上から根絶させる事だ。

 

 人間(バケモノ)になりたくなければ。

 人間(ゴミ)になるしかないのならば。

 

『……みんな、死ねばいい』

 

 こんな世界など、滅んでしまえ。

 

 選択の余地など存在しない。

 それこそがこの世で唯一の、真なる救済となるであろう。 

 

『……あなたも、そう思うでしょう?』

 

 ――【悪意】は、少女と同じ顔で酷薄に笑っていた。

 

 

 

「……ッッ!?」

 

 少女は飛び起きるように目覚めた。

 荒くなった呼吸を整え、額を伝う冷や汗を拭うと少女――神名あすみは、幼さの残る顔を不安気に歪める。

 

「……な、なに? なんなの、いまのユメ」

 

 夢から覚めてなおドクンッドクンッと心臓が煩かった。

 先程まで見ていた夢は、夢というには妙に生々しい実感があり過ぎた。

 

 特に最後に見たアレは、何だったのだろう。

 あすみと同じ顔をした少女の、あの冷たい眼差しが、いつまでも脳裏から離れてくれない。

 

 あすみはふらつく足取りで一階に降りると、悪夢の残滓を振り払うように洗面台で顔を洗った。

 

 鏡の中の自分を見てみると、充血しているのか目が赤くなっている。

 自分の顔が、どこか他人の物のように思えた。

 

 リビングに入る頃には、ようやく得体の知れない焦燥感も薄れ、周りを冷静に見られるようになった。

 

「かずみおねえちゃん……どこ?」

 

 そして、かずみがいない事に気付いた。

 台所では、まな板の上に調理中と思われる食材達が載っていた。

 

 火は付いてないものの、包丁も出しっぱなしだった。

 近くにいるのではないかと屋内を探し回ったが、誰の姿も見当たらない。

 

「どうしよう……かってに出かけちゃ、ダメだよね?」

 

 あすみは今の自分の状況を正しく認識していなかった。

 記憶を失ったことも、未だ魔法少女であることも、何一つ理解してない。

 

 あるいはそれは、自分を守るための防衛本能なのかもしれない。

 考えなければ、不安に思うことも恐れることもないのだから。

 

 停止した思考の中で唯一つ思うのは、いつになったら母親に会えるのか、という事だけ。

 他に頼る相手がいないあすみにとって、かずみ達しか頼れる相手がいなかった。

 

 もしも仮に誰も頼れる相手がいなければ、あすみは自分の足で探し求めただろう。

 だが今は、かずみ達が母親を探してくれるという言葉を信じて、あすみは懸命に「良い子」で待っていようと決めたのだ。

 

 それでも広い屋敷の中を、一人でじっと待つのは苦痛だった。

 そわそわと屋内をうろつき、不意に襲い掛かる寂しさから泣きそうになってしまう。

 

「…………ママ」

 

 その時、インターホンからチャイムが鳴った。

 

「っ! かえってきた!」

 

 それを耳にしたあすみは、笑みを浮かべ小走りに玄関へと向かった。

 冷静に考えれば、もしもかずみ達だったならチャイムなど鳴らさず、鍵を使って入ってくるだろう事も、あすみの頭の中からすっぽりと抜けてしまっていた。

 

 そんな可能性は微塵も考えず、ただ「おかえりなさい」を言うためだけに、あすみはドアを開ける。

 だがそこには見覚えのない二人の少女達がいた。

 

「チョリーッス! 迎えに来たっスよ、<リーダー>」

 

 明るい口調で話しかけてきたのは、パンク系の服を着た少女だった。

 右目には眼帯をしており、晒された左の瞳があすみの事を面白そうに見下ろしている。

 

 その視線に嫌な気配を感じ、思わずあすみはドアを閉めようとした。

 

「ちょっとちょっと、せっかく迎えに来たんスから、そう邪険にしないで欲しいッス」

 

 だが閉まる寸前に、強引に足を割り込まれてしまった。

 現在は無力な少女と化しているあすみの抵抗も空しく、そのまま強引にドアを開けられる。

 

「っ……だ、だれなの?! 入ってこないで!」

 

 幼心に危険を感じ取り、あすみは怯えと警戒の混ざった声で叫んだ。

 だがそれを無視するかのように、無遠慮に押し入ってくる少女達の勢いに押されて、あすみは逃げるように後ろに退いた。

 

 怯える猫のように警戒心を露にするあすみを見て、眼帯の少女は頬を掻いた。

 

「あー、そう言えば今のリーダーって記憶ぶっ飛んでるんでしたっけ? なら改めてちょいと自己紹介するッスか。

 自分は魔法少女結社<S.W.C.>が一人、魔法忍者の氷見(ヒミ)(シノブ)ッス。特技は暗殺と追跡、ついでに拷問ッスよ、ニンニン」

「……何がニンニンですか。エセ忍者の癖に」

「ひどっ、シスターにはロマンって物がわからんのですかねっ。魔法が使えるんスから、工夫次第でリアル忍法使い放題じゃないッスか!」

「それ忍者である必要は……まぁ、いいです。呼び方など些末な問題でしょう。忍法だろうが魔法だろうが、呼び方を変えようとも結果は同じですしね」

 

 そう溜息を付くと、二人組のもう一人、修道服を着た少女があすみの前で頭を垂れる。

 その清楚な佇まいはシノブと呼ばれた少女とは対照的な姿だった。

 

「……お久しぶりです、神名あすみ()隊長殿。

 覚えておられないでしょうが、私はサリサと申します。かつてあなたの部下として配属されておりました。

 されど今この身は主様の指揮下にあります。くれぐれも無駄な抵抗はなさらぬように」

 

 サリサの胸元では、銀の十字架が鈍い光を放っていた。

 

 それを見たあすみは、踵を返し逃げ出そうとする。

 それは体に染みついた本能的な衝動だった。

 

 理由も根拠もはっきりと言葉にはできないが、捕まってしまえば「碌でもない事」になるのが確信できた。 

 

 だがあすみの逃走は、背を向けた瞬間に終わりを迎えた。

 シノブがいつの間にかあすみの肩を掴んでいたからだ。

 

 その拘束を振り払うために暴れようとすると、シノブの手が肩に食い込み、痛みであすみの動きを封じた。

 

「いつっ――!?」

「今のリーダーじゃあ、ウチ等相手に逃げるとか無理ゲーッスよ。刻印の枷もメッチャ効いてるみたいだし。

 まぁそんなに怖がんないでも良いッスよ。ちょいとばかりウチ等と良い所に行くだけッス」

「い、いやぁ! はなしてぇっ!」

 

 彼女達にとっては気安い顔見知り相手の気分なのかもしれない。

 けれど記憶を失った今のあすみにとっては全く見覚えのない、得体の知れない侵入者に過ぎなかった。

 そんな彼女達の言葉など、何一つ信じられるはずがない。

 

「来るべき破滅(カタストロフィ)の時まで、偽りの玉座にて待機せよとのご命令です。

 何をそんなに嫌がるのですか? とても栄誉な事ではありませんか。

 あの方の望んだ未来にあなたが必要とされているのですから。それは喜ばしい事です」

 

 羨ましいくらいに、と心底そう思っているのが分かる呟きと共にサリサは告げた。

 その目には怯えるあすみに対する同情も憐憫も、欠片ほども浮かんではいなかった。

 

「それでは主様がお待ちです。御同行願います」

 

 サリサは怯える少女の頭に手を乗せる。

 そして何らかの魔法を使ったのか、あすみの体からは力が抜け、それを背後に回っていたシノブが受け止めた。

 

「いやーそれにしても、連中追いかけて辿りついた街で、まさか<リーダー>と再会できるとは思わなかったッス。おまけにこんな可愛くなっちゃってまぁ……お気の毒様ッス」

 

 気絶したあすみを見て、シノブは同情するように言った。

 あんなにも強かった<神名あすみ>が、今ではこの様だ。

 

「全ては主様のご計画通りという事なのでしょう。<協力者>も頑張っているようですし、私達も万全に事を運びますよ」

「ラジャラジャ。ちなみにサボったりとかミスったりしたらどうなるッスか? さっきちょっと気になるゲーセン見つけて――」

「…………そんなにブチコロされたいのですか?」

「怖ッ! じょ、じょーだんッスよ……目がガチ過ぎるッス」

 

 笑顔で殺害宣言をするサリサに、流石のシノブもぶるぶる震えながら目を逸らした。

 これで本当に何かしくじれば、シノブは敵ではなく味方の手で殺されかねないだろう。

 

 シノブは気を引き締め直すと、あすみを担ぎその場を後にする。

 サリサは誰も後を追ってこられないよう、あすみに隠蔽術式を施すと、そのまま隠形を維持しながら立ち去る。

 

 神名あすみがかつての部下達の手によって連れ去られると、後には誰もいなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――何処にいるの!? あすみちゃん!」

 

 帰還したかずみが目にしたのは、もぬけの殻になった無人の屋敷だった。 

 

 

 

 

 

 

 

 




 来春スマホゲーでまどマギ外伝『マギアレコード』がリリースされるそうですねー。
 ちょいと小ネタ妄想してみましたんで、暇な方はどうぞ。
 あれですね。設定考えるのが楽しすぎて、本文が全然進まないという……(絶望)

 これ最初は割烹に乗せようと思ったんですけど、字数制限に引っかかってしまったんで、こっちに載せます。(不評なら後で削除します)


〇小ネタ 『マギアレコード』がリリースされると知って、ちょっと妄想してみた。

【※注意事項※】
 設定垂れ流しです。回避推奨。
 あくまでこんなゲームだったらいいな~からの~二次創作ネタです。
 99%くらい捏造です。
 誤字脱字や設定に粗がありますが、基本スルーでお願いします。

☆ストーリー(公式パロ)

【円環世界】の新興都市<神浜市>に新たに辿り着いた少女、来栖蒔苗(マキナ)
 理に導かれた彼女は、かつての記憶を失っていた。

「……私はなぜ、ここにいる?」

 戸惑う少女に、この世界の案内人である【先導者(ナビゲーター)】の魔法少女は告げる。 

「『レコード』を集めれば、あなたの過去が分かるかもしれない」

 その言葉を道標に、マキナは自身の過去を取り戻す戦いに出る。
 いま強い願いをもった魔法少女たちにより、新たな物語が記されようとしていた。

 魔法少女まどか☆マギカ外伝『マギアレコード』。
 二次創作――『円環世界のマギアレコード』


 記されたのは、魔法少女たちの新たな物語。



☆世界観
 【円環の理】に導かれし魔法少女たちは、輪廻からの解脱を果たし、新たな世界へと導かれる。
 【円環世界】――そこは過去と未来全ての魔法少女たちが最後に集まる場所。魔法少女たちの楽園。
 
 その世界には魔法少女達の存在する時代毎に様々な都市が築かれており、イベントなどで違う時代の門同士が繋がったりする。(定期イベント)
 過去と未来がつながり、中には『あり得たかもしれないIFの世界』とまで繋がることも。(コラボイベ)

☆キャラクター
〇主人公(オリ主) 来栖(クルス)蒔苗(マキナ)【名称変更可能】
特徴:銀髪 剣士 記憶喪失 天然気味
行動:失われた過去を取り戻すため、自身のレコードを探し求める。
台詞:
「私には必要なんだ。レコードが」
「思い出さなくちゃいけない。私はなにか、大切な約束をしていたはずなんだ……」
「それが何なのかわかるまで、私は魔女を狩り続けよう」

〇名前 (たまき)いろは(唯一公式で名前が判明している)
特徴:本 ピンク髪 女神様の関係者 ダウナー系ドジッ娘 ういの幼馴染。
行動:マキナと同じくレコードの回収を狙っている。最初はオリ主をライバル視していたが後に仲間となる。
台詞:
「……このレコードは絶対に渡さない!」
「レコード♪ レコード♪ すってきな記録~、わったしのハートにおっしえってよ~♪」
「ひゃ!? え、え……もしかして今の、聞いてた……?」

【※以下、PVに映っていた魔法少女。名前はそれっぽく付けてみた】
〇名前 水木(みずき) うい
特徴:青髪 槍使い 冷静 参謀 才色兼備 に見せかけたポンコツ
行動:いろはの前から長らく姿を消していた。終盤にならないと仲間にならない。味方になったら弱体化するポジション。
台詞:
「いろはの事は、私が守って見せる。お前は邪魔だ」 
「……ごめん、今は何も言えない」
「【マギアレコード】さえ手に入れば、私の望みは叶うんだ!」

〇名前 伊尾(いお) 澄香(すみか)
特徴:藤色 巨大ハンマー ゴーグル 金髪 鍛冶師っぽいスタイル STR特化。天才肌(直感でうまくやれる)。釣り目。ツンデレ。割と脳筋。
行動:面白い事に飢えている。エンジョイ勢。見ていて面白かったので、飽きるまでオリ主に付き合おうとしてずるずる仲間になる。
台詞:
「メンドくせー。全部ぶっ潰しちまおうぜ!」
「このスミカ様の前に立ち塞がるたぁ、良い度胸じゃねえか!」
「べ、別にあんたの為に作ったわけじゃないんだからね!」

〇名前 乙女(おとめ) 盾子(じゅんこ)
特徴:翠色 巨大盾 気弱 ミニスカ。額環。メイン盾。押しに弱い。VIT特化。ふんわりウェーブの天パ。
行動:まったり勢。円環世界でのんびり行きたいが、何故か主人公一行に巻き込まれて騒動へ。不幸属性。
台詞:
「こ、来ないでよぉ~!?」
「ふぇぇえええっ!?」
「み、みんなの事は、わたしが守るんだから!」

〇名前 鈴鹿(すずか) (かなで)
特徴:橙色 鉄扇 サイドテール 活発 踊り子的存在 SPD特化。
行動:とあるイベントの際、他都市の魔法少女に襲われている所を救われ、恩返しのために仲間になる。チームのムードメーカーにして、仲裁者。
台詞:
「二柄流マジカル鉄扇――<剣扇舞>!」
「私の踊り、見せてあげる!」
「ほらほらー、まーたそうやって喧嘩するー。ここは私の扇に免じてごめんなさい、しよ?(鉄扇で脅しながら)」


【☆設定一覧☆】
〇マギホ
 魔法少女の必需品。マギアフォン。主に魔法少女へと変身するのにも使用する。
 円環の理によりソウルジェムは消滅しているので、新たな変身アイテムとして使われる。
 アプリをインストールすることで便利な機能が追加される。

〇アプリ
 魔法少女同士のフレンド登録機能やLINE、円環ニュース速報などはデフォルトで入っている。
 【コード】を記録し、【結界門】から新たな場所へ転移することが可能になる。
 なお、都市内でアプリ屋『(ひじり)ニコ堂』という突っ込み所満載な名前の店舗が存在する。店主は双子かってくらいそっくりなトリックスターの少女達。
 ヘルプ機能もあり、オンにすると画面上に小さな女神様が降臨され、アホの娘でも分かるように懇切丁寧に教えてくれる。女神様働きすぎ。

〇女神様
 【円環の理】という概念にして【円環世界】の管理者。
 魔法少女達からは女神様と慕われている。『運営乙』ならぬ『女神様乙』
 
 良心的な神様であり、概念でなかったらとっくに過労死している。
 某悪魔さんが「こんなの死ぬよりもひどいじゃない!」と憤慨するのも納得できるレベル。
「女神様マジ女神様」が某窓掲示板で流行している。(※窓:円環ネットワークの俗称)

 あまりに一生懸命なので、極力女神様の手を煩わせないようにするのが【円環世界】の魔法少女達のマナー。
 それでもわざと迷惑をかけまくる困ったちゃんは、垢BANならぬ、<お引越し>が待っている。行先は同じような困ったちゃんがいっぱいいる【隔離都市】であり、ある意味地獄。

〇隔離都市
 生前から悪の限りを尽くしてきた魔法少女や、円環世界ではっちゃけすぎた魔法少女達が送られてくる隔離都市。
 他の円環都市とほぼ同じ造りだが、住んでいる住人の大半がサイコパスや犯罪者、修羅の国の人など、非常にSA☆TU☆BA☆TU☆してるので、その他の都市みたいにほのぼのしてない。
 死んでも死なないので、地獄のような日常が新たな住人(生贄)を待っている。中でも【執行者】と呼ばれる魔法少女達が嬉々として殺しに掛かってくるので、普通は女神様の警告を受けた時点で猛省して心を入れ替える。引っ越し怖い。

 一部独自法則が働いており、カルマ値がプラスになった者は救済され、通常の円環都市へ戻ることが可能になる。
 ただし落とされた時点で莫大なマイナスカウントを背負っており、その他に自身の悪行がマイナス加算されるので、酷い者だと(円環時間で)百年単位で善行しなければならない。実は隔離都市の至る所に更生クエストがあり、それをこなすことで早目にカルマ値が回復する(百年が十年になるレベル)のだが、隔離都市のほとんどの魔法少女達は好き勝手にヒャッハーしており、これには女神様も思わず涙目になっている。

〇円環時間
 円環世界を流れる時間。
 現実における時間の流れとは切り離された場所にあるため、円環世界でどれだけ時間が流れても、現実における時間の流れとは全く関係を持たない。
 とある魔法少女曰く「時間の流れとここにある本の中身の関係と同じ。私が今読もうが明日読もうが、本の内容が変わるわけじゃない。それと同じにここで百年生きようが、現実では私のいた時代から一年と経っていないかも知れないし、あるいは百年前になっているかもしれない。そういう無関係な場所にあるのよ、この概念世界は」との事。ぶっちゃけ時間関係は女神様任せ(適当)

〇結界門
 魔女の結界へと通じる門。
 マギフォン(マギホ)に入力された【コード】を使って転移する。
 特定時期には【異界門】と呼ばれる門が開かれ、同じ場所から転移することが可能になる。なおその際も通常の機能は使用可能。
 またフリーコードと呼ばれる、コードを必要としない自由結界も存在する。

〇コード
 【コード】の入手は、レベルアップ時に解放されるか(通常結界(NR))、クエストで入手するか(特殊結界(SR))、あるいは売買でゲットするなど(希少結界(SSR))、魔女と戦うための<鍵>として、貴重なアイテムと化している。
 稀に魔女の討伐時にもドロップすることがある。
 
〇マギアコード
 特殊コード。この円環世界のどこかにあるという幻のコード。
 手に入れれば、女神様との謁見が可能になり、願い事を叶えてくれるという。(例えるなら運営にダイレクトメールするようなもの、叶えるとは言ってない)
 他にも種類があり、「自分の望む世界への鍵」となるコードも存在する。

〇異界門
 その先にあるのは過去か未来か、果てはIFの平行世界か、行き先は女神様のみぞ知る。
 特定時期に開かれる門。結界門から同じように転移できる。その際コードの入力は必要なく、誰でも参加できるイベント扱い。
 行き先は他の時代の【円環都市】である事が多い。
 なお、時期を過ぎれば所属する都市へと強制帰還させられる。移住する事は不可能。(ホーム拠点は変えられない仕様)
 ただしマギホによるフレンド登録や、同コード入力によって協同で魔女退治することは、違う都市の魔法少女同士でも可能。(助っ人キャラ参戦)

〇魔女
 旧法則時に存在した、かつての魔法少女達が絶望により反転した姿。穢れの塊であり、倒すとGSPが得られる。
 結界門の向こう側で己を主とした迷宮を築いており、魔法少女に倒されることで呪いを昇華させている。
 またGSPの他にレアなアイテムをドロップすることもある。

〇GSP(グリーフシードポイント)
 魔女討伐時に得られるポイントにして円環世界の通貨。討伐時自動的にマギホに加算され、円環世界で様々な特典と引き換えにすることができる。
 お菓子やケーキなどは何故か安い。
 反面、武器になりそうな物や魔法のアイテムは高い。
 GSPを報酬に依頼を出す魔法少女もいる。

〇SGP(ソウルジェムポイント)
 魔法少女の活動限界。SGPが尽きると行動不能になる。SGPは時間経過で回復する。または特殊なアイテムによって回復することができる。
 またGSPを使ってSGPを回復させる事もできるが、ポイント的にも精神的にも効率が悪いため、非推奨とされている。(それでも強行する課金兵、もとい廃人はいる)

〇クエスト
 マギホから受託可能。デイリー、ウィークリー、マンデーと女神様からの課題が与えられる。
 どれも簡単な任務であり、やらなくても特にペナルティとかはない。
 ただし結構報酬が良いので、女神様からのご褒美として有難く遂行するのが無難。

 その他にも特定の魔女退治や、別の魔法少女からの依頼など、位階制限のある物以外は自由に受けられる。
 
〇位階(レベル)
 魔法少女としての格。ある意味円環世界のお遊び要素。
 どれだけGSPを稼いだかによって上昇する。戦闘能力とは比例しないが、目安にはなる。中にはこれを強さと勘違いしている者もいるが、極少数。
 GSP商売によって高レベルに達した豪の者もいるが、戦闘能力が上がるわけでもない。マギホの機能拡張や一部施設の優待があるくらいで、強化は自分を鍛える事でしか叶わない。
 レベル上限はないが、必要GSPが指数関数的に上昇するので、ほぼ50が頭打ち。高レベルと言われる廃人達も40程度。

(あくまで目安)
 初心者1~10
 中級車11~20
 上級者21~30
 廃人 31~40
 狂人 41~50
 神  51~無限

 ちなみに女神様の位階をレベル換算すると、存在レベルが違い過ぎるので、もはや無限という次元ですらない。
 蟻の触覚の長さを競っているのに、地球の質量をぶつけるようなわけのわからない次元。

 ようはどれだけ【円環世界】に慣れたかの目安のような物。
 廃人以降は狂気的に魔女狩りしなければまずなれないレベル。人によってはドン引きする。

〇レコード
【現実世界】における魔法少女達の記録。
 魔女から稀にドロップするか、特殊コードによる特異空間内で手に入れることが可能。
 クリスタルの形をしており、誰の記録かは完全にランダム。

 映画の様に視聴できるモードと追体験するモードがあり、娯楽用品としても人気がある。(※女神様による検閲がされているため、一部ロックされている。ちなみに閲覧者がクリスタルの記録者当人の場合に限りロック解除が可能)

 あり得たかもしれない平行世界の出来事も記録される事があるので、魔法少女の中にはそれなりの好事家、蒐集家がいる。売れば結構なGSPになる。
 狙って手に入れるのは難しく、専用のトレード板が円環ネットワーク内に存在する。

〇円環ネットワーク
 魔法少女専用の情報通信網。マギホのみからアクセスでき、匿名は不可能。
 魔法少女名として本名以外の名前を登録できるが、一度決めたら通常変更は不可という鬼仕様。
 そのため痛々しい厨二ネームを付けて後悔する魔法少女も多い。
 見かねた女神様がこっそり改名クエストを用意しているが、高難易度のためそう気軽に改名できず、また使用回数に制限があるため、悪用はできないようになっている。

 女神様が見守っているため、現実よりは大変お行儀が良い。
 悪質な行為をした者は、円環ネットワークの使用が禁止される。

 おい、女神様が見てるぞ(脅し文句)。 

 ちなみに女神様の御光臨アカウントが『まどか』である事が判明しているため、掲示板の事を窓板と呼ぶこともある。

〇先導者(ナビゲーター)
 隠しパラメーターであるカルマ値が高く、かつ位階レベル25以上の魔法少女のみがなれる円環初心者の案内人。
 円環世界についての初期サポートを行う。いくつか決まり事があり、最後に受講者から評価を貰って終了する。その際、正直な評価であることが求められ、虚偽は一切通用しない。何事も始めが肝心。その評価次第でカルマ値に変動があるため、中には(女神様への)ポイント稼ぎと笑う者も。

【教える事】
「見た目で侮らないこと。きみより幼い子供に見えるけど、実は凄腕の魔法少女だったとか、そんなことザラだからね」
「喧嘩は仲良く。どうしても白黒付けたい時は<決闘>すればいい。そして禍根は水に流す。揉め事は極力起こさない」

〇決闘(デュエル)
 血の気の多い魔法少女達のクールな問題解決法。
 相手のSGPを全損させるか、肉体的に痛めつけて降参させるか、致命傷を負わせる事で決着が付く。

 マギホから互いに<決闘>を承認することで決闘用の結界が展開され、その中で戦う者は戦闘後、肉体もSGPも元通りに復元される。
 結界は何種類かあり、基本設定の物は直径五十メートルほどの円形。互いに賭ける物をセットすることもできる。

 ちなみに決闘システムを使わない私闘は重罪であり、警告後も辞めないようなら即<お引越し>の対象になる。
 恐喝して決闘させるのもアウトであり、両者の合意があり、戦う意思がある場合のみ起動する。

〇ファンシーショップ
 使い魔型のぬいぐるみが流行。特に『あんとにー』が一押し。
 ただし白い猫型マスコットの人気は皆無。


【総評】
 まどマギにスマホゲー、というかネトゲ要素混ぜたら思った以上に二次創作として妄想できて楽しかった。
 レコード集めてマギホ機能解放して、第二形態としてオリ魔女のスタンド使いになるとか想像すると、もうたまらんね。

 流れ的にはこんなん。
 レコード(キーアイテム)入手 → 集めると機能解放 → 本来自分がなるはずだった『魔女の力』を使えるようになる。

 まぁ実際にゲーム作ろうと思ったら大変そうだけど。
 とはいえ裏切られる前提で、リリースまで期待を上げられるだけ上げとくスタイル。

 スマホゲーも結構だけど、叛逆の続編はまだですかねぇ。
 とブーメラン。おいも早く続き書かねば(使命感) 

 
 






 

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