「あ~誰もいねぇ~ついてねぇ~」
歩き出してからどのくらいだろう?
5時間?6時間?
足も痺れて体が重くなってきた。
こんなに歩いても人っ子一人見つからない、やっぱりここで何かがあったのだろう
Tウイルスでも撒かれたんだろうか(笑)
さらに2時間後…
太陽が沈み、夜になり辺りが暗くなることで気付くことがあった。
自分が7,8時間程度歩いていた方向と逆の方向から人工の光が見えたからだ。
それは、つまり人が電気を使っている証拠である。
随分とその光は乏しいが間違い無いと思う
でも凄いショックだ。これで俺の7、8時間がパーになった。
「くっそ!もう、へとへとだってのについてねぇな~」
当然、目を覚ましてから何も口に入れて無い、そのせいで喉が渇いて腹が減った。
辺りを見回すと運が良いことに偶然コンビニが見えた。
そこで食料を調達しよう
「どうせ何も無いと思うが、コンビニでも行ってみるか」
「そりゃあるわけ無いよな~」
やはり無かった。
薄々気づいてはいた。
ここに人が住んでいたのは数年前、最低でも1年は住んでないと考えられる。
理由は、すべての家や店の老朽化で壁がひび割れていたからだ
これだと、どこを探しても食料や水は無いだろう
あってもとっくに腐っているだろう
ということは非常にやばい
餓死する可能性が出てきた。
だが不思議と俺の体からは冷や汗は出なかった。
不思議と落ち着いている。
とりあえず今日はコンビニで寝るとしよう。
どうせ誰も住んでないし人の家で寝るのも良いのだが、他人のベットで寝るのはなんだか気が引けたからだ。
気分的に嫌だ。
そんなこと気にしてる場合かと思ったが、俺は床で寝るのは慣れているので正直どこで寝ようが俺にとっては関係ない。
手でゴミや砂を払い
頭に手を組んで枕がわりにし
「明日こそは!」と心の中で唱えながら目を瞑った。
瞬間である
「ドン!」
と、いきなり外で大きな物音がした。
俺は突然の出来事に飛び起きた。
(なんだ!)
急いでコンビニの外を見た。
そして思はず我が目を疑った。
「なるほどぉ、これが絶望か…あの中年の男が言っていた意味はこれか」
そこには蜘蛛の形をした巨大な生き物がいた…暗いせいでボヤけて見えるが間違いない
さっきの物音はこの巨大蜘蛛が飛び降りたせいで起きたんだろう、証拠に巨大蜘蛛の足跡が凹んでひび割れている。体重は軽く1tは超えているだろう
突然の出来事に心臓がバクンバクンと振動する。殺される怖さからくるものだろうか、興奮からくるものだろうか、恐らく興奮だろう、俺の口は今までで一番つり上がっていた。
釣り上がりすぎて三日月型になっている。もはや微笑とは言えないだろう
巨大蜘蛛が軽く辺りを見回した、俺は急いで頭を引っ込め、商品棚を背に身を隠した。
興奮した心臓を落ち着かせ息を荒くして焦りながら考える。
(と、とりあえずあいつが過ぎ去ったら急いでトイレに隠れよう今日は便座で寝ればいい、そのほうが安全だ)
隠れていれば見つからない、俺はそう確信していた。現にあの巨大蜘蛛の足音は次第に離れていく
その慢心が悲劇を呼んだ。
(ふー…助かっ!)
安心したせいか、つい、背に体重を乗せてしまった。
商品が何もない商品棚はステンレスの柵の様な物
そんなのに体重を乗せてしまえば当然…
「ガシャン」
倒れるに決まってる
当然、巨大蜘蛛はこちらを見た、俺を見た
「オワタ…」