俺たちの世界は、十数年前の平和なものから驚くほど目まぐるしく変わってしまった。
―――それは、”ガストレア”という新種のウイルスが発見されてからだ。
ガストレアウイルスは、生物の体液を媒介として感染し、その感染者のDNA情報を書き換え、その浸食率が5割を超えてしまえば感染者を異形の怪物へと変化させる恐ろしいモノである。
加えて、そのガストレアウイルスの驚異的な感染力も相まって、数百年以上食物連鎖の頂点に君臨していた人類も、その止まることの無い凶悪性を持った異形たちとの戦いに敗れ、あっけなくその座を明け渡すこととなった。
それからというもの、絶滅寸前までに数を減らしていた人類は、ガストレアウイルスが嫌うと言われる金属、名をバラニウム。
それらによって作成された縦に1.618キロ、横に1キロもある巨大な直方体をしたモノリスを各エリアを囲うように等間隔に設置し、バラニウムの発する特殊な磁場によって疑似的な結界を造りあげ、その中に閉じこもるという消極的な対抗策を講じる他なかった。
そして、ガストレアウイルス発見から十年後の2031年。
人類はモノリスの結界内に紛れ込んだガストレアを駆逐するため、対ガストレア戦闘に特化した民間警備会社、略して『民警』を法律的に発足。
日本の居住エリアの一つである東京エリアに住んでいる俺、「
これは、そんな俺たちが同僚の里見蓮太郎と藍原延珠と一緒に大変な厄介ごとに巻き込まれていく、そんな
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太陽が燦々と輝いて、何とも平和そうな昼下がり。
こんな昼寝日和には、屋上で寝るのが一番だ。
「ふぁ~」
ああ。言い忘れていたが、俺は
歳は17で、趣味はトランプを使ったゲームの賭博と睡眠だ。
ん? いきなり何で自己紹介をしてるのかって?
すまないが風の声だと思ってもう少し付き合ってくれ。
俺にはもう一つ、法律的にも認められていて、大声でも公表できる役職がある。
それは、民警に所属するプロモーターだということだ。
え、分からない単語が出てきたって?
「おい、剣志! 仕事だッ!」
残念だが、それは追々説明させてくれ。俺は今から、忙しくなるはずだから。
「了解した! 蓮太郎、オメェは先に現場の把握しておけ!
俺はアイツら迎えてから行く!」
同じ民警に所属する相棒とも言える同級の里見蓮太郎だ。
普通なら今は、授業中で
何、学生ならこんなところでサボってるんじゃないって?
別に良いじゃないか、授業態度が最低でも定期テストで結果を出せばいいんだし。
「分かった! なるべく早く来いよ!」
そう言って蓮のヤツは屋上から立ち去って行った。
「よし、いっちょ走りますか!」
俺は凭れていた貯水槽に立てていた日本刀を腰に差し、落下防止策を
「うッ!? 痛ってぇ…」
だが、やはり自由降下の際の重力によるダメージは打ち消せず、足が砕かれるような痛みを伴った。
だが、それを気にしている暇もないことだ。
俺は、校舎裏に隠していた愛車に跨って、エンジンを駆動させる。
「さっさと
そう意気込んで、俺はバイクを全速で走らせた。
――この後、得も言われぬ怪人に出会うことで運命の歯車が動くことも知らずに。
どうもこんにちわ、橘 柚子です。
他の二次創作を楽しみにしていた読者の方には、すいません。
ええ、今回もまた、新作を突発的に書いてみたくなってしまって、投稿しました所存でありまして、後悔はしていません。ハイ。
批評や感想、誤字脱字等々何かありましたらメッセージをよろしくお願いします。
最後に、この拙い駄文で楽しんで頂ければこちらとも幸いです。