ヤンデレの友人に監禁されて墜とされた   作:ふぅん

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四日目

 二日目と三日目はひたすら消耗させられ、代わりにあやせを刷り込まれる日々だった。

 食事は最低限で体力も精神力も失う一方。

 排泄の管理すら彼女にされてしまったことで自尊心も打ち砕かれ、自己の判断すら信用できないものになっていた。

 四六時中あやせに抱かれたまま五感で彼女を覚えさせられ、そうでない時は例の音源を聞かされる。

 あやせへの恐怖で一睡もできず、ひたすら彼女について神経を使っていた八重の真っ暗な世界はあやせに埋め尽くされた。

 彼女の感触や体臭から始まり、体温、声の振動、脈拍、知り尽くされるだけでなく、知り尽くしていく恐怖すら知らしめられた。

 最早、八重とあやせは二人で閉じていた。

 

 にも関わらず、こうして監禁が続いているのは、新垣あやせの誤算に違いない。

 八重を愛し過ぎた故に彼女の強さを過信し、追い詰め、恐怖させ、あやせを拒むことに自衛を依存させてしまった。

 三日三晩八重を抱擁したあやせは耳に施していた口淫を止めると、粘液をたっぷり纏った舌をギャグボールを食む唇に這わせる。

 ふっくらとした唇が妖しい光沢を持ち、あやせは恍惚の息を吐き出した。

 

「ね、八重。私たちちょっと臭いかも。お風呂入ろうか」

 

 何も反応を返してくれなくなった八重の噎せ返るような体臭を惜しんで、あやせは深く深く腋に鼻を擦り付けて臭いを嗅ぐ。

 何故腋かと言えば、ねじくれた貞操観念から性行為は結ばれてからと決めているため、より変執的な行為に走っているからだ。

 立派な強姦だが、彼女にとっては線引きがあるらしい。

 堪え切れずに舌を這わせ、混ざり合った体臭で胸を満たしてようやく顔を上げた。

 汗と唾液で顔を汚したあやせが体をわななかせ、怖気が立つ美しい笑みを湛えた。

 アクメに達したのだ。

 以前の彼女なら嫌悪したであろう際どい下着に染みが広がったことがその証。

 

「んふふ、さぁ、行こっか」

 

 ガチャガチャと手錠を付け替えて、足首同士を結んだ脚の間に入り、腕はベッドから外してそのままあやせの肩へ。

 あたかも抱き地蔵という体位のまま抱き上げたような姿で八重を風呂場まで運んでいく。

 自分から捕まってくれない八重を抱えたまま階段を下りるのは酷く大変だったが、それも彼女のためだと思えばあやせには何の苦にもならなかった。

 

「しょっと……。あ、そうか。手錠したままだと脱げないんだ」

 

 目隠しとギャグボールを外し、どうしたものかと思案した後、八重を信じたあやせは手錠を外した。

 自由になっても抵抗する気力もない八重はぼんやりと立ち尽くしたまま隈がくっきりできた目で友人を眺める。

 下ろそうとしているショーツを凝視しているあやせに罪悪感のようなものは欠片も見て取れない。

 数回深く息を吐いてようやく決心がついたのか、するすると下着を脱がせた彼女は間近で八重の性器を見て息を飲んでいた。

 

「……何て、きれいなんだろう……」

 

 “まだ”か“ずっと”なのか、ともかく無毛な八重のそこはさぞかしはっきり見えることだろう。

 それが分かっている本人は微かに眉をしかめてキャミソールを脱ぎ捨てた。

 わざとそれをあやせの頭に落として驚かしてやると、慌てて振り落した彼女は再び息を飲んだ。

 視界に収めた何も身に着けず全てを晒す八重の体は、彼女が今まで目にしてきた絵画・彫刻、あらゆる美芸術品より次元を絶して美しく、究極として完成されていた。

 

「八重、貴女は奇跡そのものだわ……女神よ」

 

 腰に抱き付いて涙するあやせはどうにかこの畏敬の念を彼女の前の女神に伝えられないか考えた。

 数千分の一でも構わない。自身を拒む八重に少しでも伝えたかった。

 そして、跪いて八重の不浄の穴にキスをした。

 求める通りに洗濯機に伏せて腰を突き出した八重の尻に鼻面を埋め、伝われと念じて何度も接吻を繰り返す。

 

「好きです。好きです。好きです。好きです。好きです。好きです。……好き……。」

 

 鳥肌が立つ嫌悪感を堪えていた八重は菊門がざらざらした感触に割られたことで、遂に手を振った。

 頭に平手打ちをした八重は悲嘆に暮れて膝から崩れる。

 不浄の穴を犯されたことも、生まれて初めて人を殴ったことも、その相手が友人だったことも、何もかもが彼女の心を圧迫した。

 

「ご、ごめんね、八重。私キスだけのつもりで、伝えたくて……」

 

「もういい。早くお風呂に入れて」

 

「ごめん」

 

 肩を落としたあやせは一言も喋らずに浴室に連れていくと、八重を椅子に座らせてお湯を調節し始めた。

 八重は、鏡に映る自分を虚ろな目で見つめていた。

 四日目の日中、八重は泥のように眠った。

 夢も見ず、久しぶりに眠った彼女は起きた時、少しだけあやせを好きになっていた。


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