南賀ノ神社の白巫女   作:T・P・R

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今回も遅れました。
なかなか思うように執筆速度が上がりません………


42話

最初にリー先輩が駆けつけて、表蓮華(ここ一番の大技)を無力化されて、代わりに催眠強化された春野さんが奮闘して、それでも一歩及ばなくて、そこに猪鹿蝶の3人組が飛び込んできてくれて。

ようやく、ようやくこの戦いにも勝ち目が見えてきたわ。

 

「影真似の術! ………成功!」

 

「な!? 身体が!?」

 

「よし!」

 

「忍法・倍化の術! からの木ノ葉流体術、肉弾戦車!」

 

「クソ! 次から次へとヘンテコな術を………木ノ葉はこんなのばっかりかよ!」

 

「ちょっとその言い方やめてください!」

 

「まるで木ノ葉には変な術しかないみたいに聞こえるじゃない!」

 

「その通りだって言ってんだよバカども!」

 

失敬な。

コトのはともかく、カナタ(わたし)の擬音の術は教科書にもちゃんと載ってる普通の術だし、奈良君と秋道君のそれだって紛れもなく木ノ葉の秘伝忍術なのに。

 

忍法・影真似の術。

奈良一族の秘伝忍術で、自分の影と相手の影をつなぎ合わせ、相手に同じ動きを強要する拘束忍術。

 

忍法・倍化の術。

身体の一部、あるいは五体全身を一時的に肥大化させる秋道一族の秘伝忍術。

 

ちなみに肉弾戦車は倍化の術で球状に肥大化させた胴体部分に頭と両手足を亀みたいにうずめ転がる技よ………ヘンテコなのは否定できないけど強力な術なのよ!

 

「挑発に乗るなザク! 冷静になれ!」

 

「そんなポーズで言っても説得力ねーよドス!」

 

「っち、使えない奴め」

 

「なんだとぉ!?」

 

「い、いや今のは僕じゃ………」

 

 

「………連続でも意外とバレないものなのね」

 

擬音の術をこんな風に使ったのは今回が初めてだったけど。

あとマスクとか包帯とかで口元が隠れてるやつは真似が楽だわ。

唇の動きとかいちいち気にしなくていいし。

今後はたけ先生とか、油女君のいるチームを相手にした時とかも使えるかも………いや無理かな。

 

こんな面白いくらいに引っ掛けられたのは私の声真似が優れているからじゃない。

敵チームの結束がどうしようもなく脆過ぎたのよ。

それこそこんなしょうもない手で瓦解してしまうほどに。

 

音隠れの里って一体全体どういう忍び里なのかしら。

個々の戦闘力は一線級なのにチームワークはお粗末なんて、木ノ葉じゃとても考えられない。

音の上司はいったい何を考えて………

 

「おい、アホやって惚けてる場合かよ。残った衝撃波の野郎はどうすんだ? 俺の影真似もそう長くはもたねーぞ」

 

「わかってるわよ………」

 

疑問はひとまず置いておこう。

リー先輩も、春野さんもボロボロになりながら必死に奮闘している。

特に春野さんはとっくに限界のはずだった。

 

「なりふり構ってられないか。よし、奈良君。2歩進んで1歩左」

 

「は? いきなり何を………そういうことか」

 

こちらの意図を瞬時に理解した奈良君。

話早くて本当に助かるわ。

今でこそ山中さんや私(じょせい)に遠慮してるけど、彼ってどう考えても駒じゃなくて差し手タイプよね。

奈良君が早速私の言ったとおりに移動してくれる。

 

「いったい何を………なっ!? そこは!」

 

もちろん影でつながったドスもそれと同じように移動して………すぐさま『それ』に気付いた。

 

「待っ―――」

 

「遅い」

 

ドスの左足が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()地面を踏んだ。

 

カチっという音がした。

 

爆発、轟音。

後に残ったのはプスプスと煙を上げて横たわる重傷包帯男。

要は使いようよね。

見え見えのトラップでも意味はあるのよ。

 

「さすが奈良君。見事な桂馬の動き」

 

「褒めてんのかそれ?」

 

「もちろん。好きでしょ桂馬」

 

「いやカンケーねーし。つーか、えげつねぇ………」

 

何言ってるの、やったのは奈良君で仕掛けたのは春野さんでしょ。

私は悪くないわ。

 

さて、残ったのはもうザクだけだけど………こっちも終わりそうね。

 

「シカマル、私の身体お願いね!」

 

忍法・心転身の術!

 

「ドス!? テメーらよくもやりやがった………な………これでおしまいよ!」

 

爆発に巻き込まれたドスに気を取られた一瞬の隙をついて、山中さんの忍法・心転身の術がザクの身体を捕らえた。

 

心転身の術。

相手の精神に自分の精神を潜り込ませ身体を乗っ取る山中一族の秘伝忍術。

 

これで詰みね。

 

「終わったな………」

 

「ええ。あとは音の連中を拘束して、ついでに巻物をいただいて………え?」

 

「カハッ!?」

 

「んな!?」

 

「え!?」

 

山中さんに乗っ取られて動きを止めていたザクの身体が殴り飛ばされた。

 

戦いは終わったのに、それでもなお止まらない春野さんの手によって。

 

「サクラ!?」

 

「サクラさん!?」

 

なんで?

いったいどうして………

 

「守らなきゃ守らなきゃ守らなきゃ私がみみみんなをまま守ももラナキャ………」

 

「マズイ。精神が暴走してる!」

 

「やっぱ欠陥忍術じゃねーか!」

 

「コト! 早く解除!」

 

「もうやってます! 解! 解! ………ダメです! サクラさんの幻術耐性が高すぎて弾かれちゃう!」

 

コトの魔幻・心操真裏は自分で自分に幻術をかけさせる、いわば自己暗示を補強する催眠術。

故にその効力は対象の幻術の素養、精神性に左右されやすく、それらの要素が奇跡的にかみ合えばこういうことも稀に起こりえる………………ひょっとして春野さん、実は幻術の隠れた天才だったりする?

 

悪くないわ、うん。

非凡なのは素直に喜ばしいことよ………だけど、何もこんなタイミングで隠された才能とか発揮しなくてもいいじゃない!

 

「いの! そのカッコじゃ巻き添えだぞ! 元の身体に戻れ! チョージもこっち来い!」

 

真っ先に動いたのはやっぱり奈良君だった。

見切り早すぎィ! ってか完全に隠れてやり過ごす心算か!

 

春野さんがすでに意識を失っているザクに馬乗りになり、殴る。

殴る。

殴る殴る殴る。

 

「あわわわ………」

 

猪鹿蝶トリオは逃げた。

リー先輩も消耗している。

こうなったら………私が歌うしか。

 

「やめろ!」

 

血相を変えて止めてくるマイカゼ。

なんでよ。

 

「だって、暗示の幻術を止められないならより強力な幻術で上書きするしかないじゃない」

 

「あの波の国での一件を忘れたのか! 頼むからこれ以上話をややこしくするな!」

 

「だったら他にどうすれば………うわ!?」

 

 

―――不意に風が駆け抜けた。

 

 

「サクラ、もういい………」

 

 

いつの間にか、意識を取り戻したサスケ君が春野さんの振り上げた手をつかんで止めていた。

 

「さすけくん………?」

 

「ああ、俺だ。もう大丈夫だ。ありがとうサクラ」

 

信じられない。

コトの見立てでは、サスケ君が動けるまでに復活するにはもっと時間がかかるって話だったのに。

首筋の痣が身体と顔の半分近くまで広がっている上にチャクラがヤバい、桁外れにデカいのに加えて凄く濁っている。

もともとのサスケ君のチャクラと外部から逆流した自然エネルギーチャクラが無茶苦茶に混ざり合ってるのかしら。

 

「そう……よかった………わたしはみんなを………まも……れ………て」

 

春野さんの身体から力が抜ける。

サスケ君はそっと春野さんの身体を横たえた。

 

今度こそ終わった………

 

 

 

「さて、と………で、誰だ? サクラをこんなにしたのは」

 

サスケ君に睨まれてコトの顔が引きつった。

うん、オワタ。

 

 

 

 

 

 

その後どうなったかって?

ガチギレしたサスケ君はコト渾身の謝罪、泣き落とし、土下座、意識を取り戻した春野さんのとりなしその他もろもろの結果、なんとか拳骨1発でおさまってくれたわ。

たかが拳骨と侮るなかれ、コトは半化の術の効果は途切れていなかったし、何よりサスケ君のパワーが尋常じゃないくらいに上がってたからね。

普通に致命傷レベルだったのよ。

推測だけど、この異常なパワーアップこそがこの呪印本来の効能なんじゃないかな。

どう見てもまっとうな力じゃない。

間違っても「キャ~♪」とか黄色い悲鳴を上げるようなものじゃないわね。

コトはこんな時でもいつものコトだったわ………

決して反省してないわけじゃないみたいなんだけど………それはそれ、これはこれってことなのかしら。

 

釈然としない?

まあわからないでもないわね、あのクールなサスケ君があんなに怒るなんて見てないとちょっと信じられないのも分かるわ。

彼もすっかり仲間想いになっちゃって………何言ってるの、貴方達が変えたんでしょうが。

 

まあいろいろあったけど終わってしまえば何時もの事………とも言い切れないかな。

コトが可笑しな術を使って可笑しな騒動になるのはお約束なんだけど、なんというかその騒動の規模がだんだん私たちのフォローできる範囲を超えつつあるのよね。

 

今のままだと、次の次くらいで本当に取り返しがつかない事態になっちゃうかもしれないわ。

私も強くならないといけないかなぁ………

 

話がそれたわね。

 

後は、満身創痍のリー先輩と春野さんをコトが応急処置して、さらにサスケ君の身体もコトが診察して、ついでに無力化して拘束した音の3人も治療して、そのどさくさに紛れて猪鹿蝶トリオが姿を消して、それとは入れ違いにリー先輩のチームがやってきてリー先輩を回収して。

 

「なんで音忍(そいつら)まで治療するのよ!?」って最後までごねてた山中さんを奈良君がなだめたり、リー先輩と春野さんが何か通じ合ったりいろいろあったりしたけど、細かいところは後で本人に聞くといいわ。

 

そして、意識を取り戻した音忍の3人組が「次、貴方たちと戦う機会があるのなら僕たちは逃げも隠れもしない」って言葉と巻物を置いて立ち去り、ようやくその他もろもろの事後処理がすべて終わって一息ついたその後に………

 

 

「ナルト君が目を覚ましたのよ」

 

「お、俺が寝てる間にそんな………」

 

 

哀れナルト君。

今回も蚊帳の外よ。

ヒーローは遅れてやってくるとは言うけど、ナルト君はなんというかいろいろ遅れ過ぎだわ。

 

「いったいぜんたいどういう星の下に生まれたらこんなことになるのやら………」

 

「うっせー! 俺は絶対主役になれない運命とかそんなの信じないってばよ!」

 

「むしろ逆なんじゃないかしら?」

 

「逆ぅ?」

 

「うん、逆。ナルト君は絶対主役級よ」

 

ただし、何の主役かはわからないけどね。

はっきりしているのは、脇役の星に生まれた人間のお腹が()()()()()になってるわけがないということよ。

 

コトが診察したのは、呪印に侵されたサスケ君だけじゃない。

もちろん、ナルト君の容態もちゃんと診ていた。

その時、私はその様子を横で見ていたんだけど………ナルト君のお腹がなんか凄いことになっていた。

私はコトと違って封印術とか術式とかにそれほど詳しい訳じゃなかったけれど、それでも異様さだけは伝わってきたわ。

おヘソを中心に渦巻きの紋様が浮かび上がり、それを四像封印が上下で挟み込み、さらにその周りを五行封印で囲って………さすがのコトも目が点になっていたわね。

コト曰く『ナルト君の全身に起爆札を隈なく張り付けて起爆させたとしてもお腹周りだけ無傷で残っちゃいますよこれ』とのこと。

 

意味が分からない。

百歩譲ってナルト君を守るための術式だとしても、ヘソだけ守る理由って何よ?

ナルト君のおヘソは木ノ葉の至宝だとでもいうの?

 

「………………………………いやないわね、ないない」

 

「何が?」

 

「いや、こっちの話。とにかく、ナルト君はもう大丈夫よ。コトがちゃんと処理したからね」

 

「そうか、コトちゃんはちゃんと………処理?」

 

「そう、処理」

 

「………治療じゃなくて?」

 

「そう、処理で合ってるわよ」

 

「なんか………物凄く不穏だってばよ」

 

分かる、分かるよナルト君。

悪意一切なしでとんでもないことしでかすのがコトだもんね。

それ以外にもとんでもないことを口走っていたし。

 

 

『う~ん、これってつまり………(ダブル四象封印の方は、いわゆる八卦の封印式。封印術に長けたうずまき一族の封印術式です。上下に挟まれた四象封印の隙間から漏れる九尾さんのチャクラがナルト君に還元できるように術式が組まれていて………なるほど、九尾さん自身を封じて力だけ利用する工夫ってわけですね。だから波の国ではあんな………うずまき式の封印はとにかく頑丈なのに加えて持続時間がとても長いのが特徴。尾獣を封じて、人柱力を作成するのに最適、遠い血縁関係だったらしい不老長寿の千手一族もとても重宝したとか。全く、思いやりにあふれた丁寧な封印術式なのですよ………でもそれが五行封印でせき止められてて………何ですかこれ? 偶数の封印式に、奇数の封印? これじゃナルト君のチャクラのバランスが崩れて不安定になっちゃうじゃないですか。何を考えてるんだか、いや何も考えていない? まるでチャクラがせき止められれば別になんでもよかったみたいな………テキトー過ぎるでしょう。それなのに無駄に堅牢で解除できないし………これ絶対術者はそれぞれ別の人ですね。よってたかって弄繰り回して、ナルト君を何だと思ってるんでしょう)』

 

この時のコトの声はとても小さかった。

誰にも聞かせるつもりはなかったんだと思う。

千手一族がどうとかうずまき一族の封印式がどうとか、九尾とか人柱力とか、明らかにヤバいネタがてんこ盛りだったし。

 

実際、誰にも聞かれなかったはずよ………耳千里が使える私以外には。

全く、コトはしょうがないわね~本当に隠し事がヘタクソなんだから………

 

………自分の耳を恨めしく思ったのはこれで何度目だろうか。

えらいことを聞いてしまったわ。

というか、コトはどれだけ里の機密に精通しているのかしら?

 

その後、コトは『しょうがないですね~』とか言いながらただでさえ落書きだらけのナルト君のお腹にさらに術式を書き加えて弄繰り回して処理していた。

これで、ナルト君のお腹は異なる3人の術者の合作となり果てたわけで。

 

………まあ、これについてはぶっちゃけどうでもいい。

コトがヤバい情報を不用意に漏らすのはいつもの事だし。

私もいつも通り全部聞かなかったことにするだけの話よ。

好奇心は猫と凡人と脇役を殺す、藪をつついてヘビを………キツネを出す必要はどこにもない。

 

むしろ問題なのは台風の目になっているナルト君が何も知らないっぽいことなのよね。

 

「ナルト君、何か思い当たる節はない? こう………危険な奴に眼を付けられるような」

 

「………わからないってばよ………っは? まさか俺の才能を見抜いて警戒して!?」

 

「そう。心当たりはないのね」

 

ここでも蚊帳の外なのねナルト君。

 

「焦点はあくまでお腹で、頭はアウトオブ眼中か………なんかもういろいろピンポイント過ぎるわ」

 

「ハラだけ!? いったいどういうことだってばよ!?」

 

「そんなのこっちが聞きたいわよ………いや違う! 今のなし! ナ、ナルト君の事なんか全然興味ないんだからね!」

 

「どっちだってばよ!?」

 

「カナタ~、ようやくサスケ君の呪印の封印処置が終わって………あ、ナルト君! 気が付いたんですね!」

 

さっきまでサスケ君の首筋の呪印を観察して、自分の右腕の呪印と比べたりしながら何やらぶつぶつ唸っていたコトがこちらに気付いてパッと花が咲いたように笑顔を浮かべた。

春野さん、マイカゼもこちらを振り返る。

コト以外はみんな揃いも揃って「あ、今頃起きたんだ………」的な顔をしていた。

 

「フン、ようやく起きたかウスラトンカチ」

 

「ナルト………あんた今頃」

 

「あ、サクラちゃん、コトちゃんにマイカゼ………とサスケ。カナタから聞いたってばよ! なんかオトニン? の3人組に襲われたって! んで、そのあとおバカトリオとかゲジマユとか………」

 

「リーさんに失礼なこと言うんじゃないわよ!」

 

「ぐボオッホ!?」

 

「ナルト君!?」

 

春野さんにぶん殴られて再び気を失うナルト君。

体重の乗った良いパンチだった………なんかパワー上がってる?

幻術はちゃんと解けたはずよね………まあ、いいか。

 

「それはそれとして、サスケ君の呪印の封印。ずいぶん時間かかったわね」

 

「そりゃあまあなかなかに繊細な作業を要求されましたから。呪印を完全に封じるにはかなりに強力な封印術が必要なんですけど、あんまり強く封じてしまうと今度はサスケ君自身のチャクラの流れを阻害しちゃいますし。首筋っていうのがなかなかに厄介で………重要な経絡系が集中している部位ですからね………呪符の類もきつく巻き付けたら息が詰まっちゃいますし………おかげで用意していた呪符、全部使い切っちゃいましたよ」

 

ふと、サスケ君を見てみれば確かに首だけがミイラみたいになっていた。

 

「それに加えてコトの方の呪印がな………なんか勝手に暴れて邪魔してきたらしい」

 

「………何それ?」

 

「わかりません。呪印同士が共鳴しているのか。はたまた別の要因か………理由はわかりませんけどとにかく手元が狂いそうになって大変で………って言ってるそばからまた………っく、沈まれ私の右腕!」

 

「………ま~た、アホな属性が増えたわね」

 

もうてんこ盛り過ぎて訳が分からない………………いや、分かっていることが1つある。

 

「ねえコト? 手札全部なくなっちゃったみたいだけど、自分の呪印はどうすんのよ?」

 

「………………………………あ」

 

コトはつくづくおバカである。

 




やや唐突な感じがしますが、今回で死の森編は終わりで、次からは第三次中忍試験予選編となります。

あと、コトの語るうんちくの中に『不老長寿の千手一族』なるトンデモワードが飛び出していますが。
思いっきり、ねつ造です。

今までも術のメカニズムを考察したり、過去の話をねつ造したりとかなりの独自解釈、独自設定を盛り込んできましたけれど。
その中でもこのネタはとびぬけて突飛な説だと自分でも思いますが、それでも根拠があるのでどうか聞いてください。

根拠その1
原作でもついぞ明かされなかった千手の固有能力の謎。

木遁がそうなんじゃないのか、と思うかもですが木遁はあくまで柱間個人の能力なので該当しません。
うちはと並んで最強の一族と称された忍び一族なのにチャクラが多いだけで血継限界も秘伝もないはずがない、何かあるはず………あってほしい、それも最強の一族に相応しい何かが。
無論これだけだと考察ですらないただの願望です。

根拠その2
三代目火影、猿飛ヒルゼンの回想
ヒルゼンの回想にはたびたび火影の柱間、扉間が登場しているのですが、その時の初代、二代目両名の火影の外見が全く変化していないのです。
少なくともヒルゼンが子供(ナルトと同年代程度と思われ)の時から火影を継げる大人になる20年くらいの期間、柱間と扉間の兄弟はずっと同じ姿だったみたいです。
孫(綱手)抱きかかえる柱間を見て「この爺ちゃん妙に若くないか?」と疑問を覚えた人は僕以外にいるはず………

これだけでもまだ不老というには根拠に欠けます。
年をとっても若々しい人っていうのは実際いますし。

根拠その3
綱手にしか使えなかった『老化を抑制する術』

自来也曰く、綱手は老けるのが嫌いで(好きな人とかいないでしょうけど)若さを保つ特殊な術を使っているのだとか。
しかも、借金取りから逃げるというしょうもない理由で、自在に年齢を変化させることができたらしいです。
ただの変化ではないのでしょう。
創造再生しかり、この年齢を操る術は『千手』の血を引く綱手にしか不可能だったのではないかと。
もしそうなら、同じ千手の血を引く一族は皆『そういう術』が使えたのではないか、そしてそれこそが千手の固有能力、特異体質だったのではないか、と考察しました。

また千手直系の子孫の数が異様に少ないのも、長命種特有の子供が出来にくい性質のためだとすれば辻褄は合いますし。

根拠その4
あまりにも不死身すぎる柱間細胞。

原作にて大蛇丸やマダラなど、不死を求めた忍者はこぞって柱間の細胞を追い求めました。
実際、その効能たるや凄まじいものがあるのは原作でも特に強調されて描写されています。
細胞の欠片だけでこれだけ不死で不滅ならば柱間本人も、ひいてはその一族もそれに近い存在だったのではないでしょうか。
もっとも、これは柱間個人が凄いだけで他の千手は大したことがなかった可能性は大いにありますが。

根拠その5
うちはマダラの異常行動。

これは根拠というよりほとんど願望ですが。
もし、千手が、あるいは柱間がファンタジーにおけるエルフのような不老に近い長命種であったのであれば、あのクレイジーサイコホモと散々なネタにされてしまったあのマダラの一連の異常行動にも一応の筋が通るんです。

自分は盛りを過ぎてどんどん老い衰えていくのに、好敵手は若いまま。
時が過ぎるにつれ肩を並べたはずの存在にどんどん引き離されていく………プライドの高いマダラからすればたまったもんじゃなかったはずです。

終末の谷の決闘は、その力の差が決定的になってしまうまさにギリギリのタイミングだったのかもしれません。

食いちぎった柱間の肉を自分に取り込もうとするのも、自分の衰えを少しでも止めようとした苦肉の策なのであればさほど不自然ではありません。


ごちゃごちゃ理屈を並べましたが、これが正解かどうかはわかりません。
しかし、別に正解である必要もないかなとも思います。

僕は考察者ではなく二次創作者ですから。
原作と矛盾しない範囲での独自解釈は書くのも読むのも大好物です。

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