紅の剣聖の軌跡   作:いちご亭ミルク

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ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……お風呂上がって確認したらとんでもないことに……!

どうして謝っているのかは聞かないで……


襲撃の裏で

 

 

 

 帝都の地下には、地下墓地(カタコンベ)と呼ばれる暗黒時代の産物が存在する。遥か昔、混沌と化していた暗黒時代に出来たとされる帝都の地下の一画にあるそれは、薄暗い区画に墓地が広がった何とも不気味な光景である。

 異質な空気が地下一帯に漂う中、リィン達は地下へ逃走したテロリストを追跡してその場所へ追い詰めるに至った。しかし拘束しようとした折り、テロリストの一人であるギデオンが手に持っていた笛を使用してあるものを呼び寄せる。暗黒時代に帝都を支配した魔の存在を。

 徐々に地面から浮かび上がる死骸は、次々とその骨を繋ぎ合わせて一つの形を形成した。古に伝わる暗黒竜、帝都を支配した魔へとその姿を変える。

 瘴気を放ちながら具現した魔竜は地鳴りを起こしながらリィン達に接近すると、対峙している彼らの前で動きを止めて突如咆哮を上げた。耳を劈くようなそれは地下一帯に響き渡ると同時に、その空気を瞬く間に震わせる。さながら死の宣告にも聞こえるそれは、彼らが恐怖を抱くに十分すぎた。

 

 

「なああああっ!?」

 

 

「ひっ……!?」

 

 

「敵戦力不明、動きが読めない……!?」

 

 

「くっ……!」

 

 

 マキアスは驚き、エリオットは悲鳴を上げて両者共が後退る。Ⅶ組随一の戦闘力を持つフィーですら動揺を見せ、ラウラに至ってもその顔は険しかった。彼女達は実力者だからこそ、目の前に立ちはだかる敵の強大さが嫌でも分かるのだろう。

 そんな四人の様子を見たギデオンは直後、愉悦に満ちた笑みを浮かべて突如高笑いを上げ始める。そして右の手に縦笛を握り締めながら、竜の後方で勝ち誇ったように声を漏らしていた。

 

 

「これぞ『降魔の笛』の力! 暗黒時代の帝都の魔すらも従わせる古代遺物(アーティファクト)だ……!」

 

 

 五対三の優勢と思われたリィン達は、暗黒竜の出現によって突如劣勢へと覆される。人の域を凌駕する竜という存在が、彼らを死出の旅路へと誘わんとばかりに再度咆哮を上げた。

 竜の咆哮は空気を震わせ、五人の肌へと伝う。恐怖を覚えるエリオットとマキアス。動揺と焦りを見せるフィーとラウラ。眼前に立ちはだかる強大な存在を視界へ収めながら、敗北の文字が四人の脳裏を過る。

 しかし、彼だけはこの状況でも諦めていなかった。

 

 

「はあああああっ!」

 

 

 右手に握り締めた刀へ闘気を纏わせ、両手持ちに切り替えると地面へ向かって振り下ろす。発現した闘気は周囲へ拡散し、竜の放っていた瘴気を打ち消すと共に萎縮していた四人の心を奮い立たせた。自身の心から恐怖や焦りが消失した事で、リィンの後ろに立つラウラ達は驚きの表情を浮かべている。

 自分達が培ってきたものは、こんなところで砕けるほど脆くは無いと。この状況を打破できるだけの力なら、今の自分達でも十分持ち合わせている筈だと。己が信じる仲間を背に、リィンは刀を構え直すとその場で唐突に叫んだ。

 

 

「みんな、気合いを入れるぞ! 今回の実習で俺達が得てきたものを考えれば──勝てない相手じゃないッ!」

 

 

 剣先を竜へと向けながらリィンが告げる。この光景を見た者はきっと、立ち向かう彼を愚かな人間だと嘲笑う事だろう。人の身でこんな化け物に敵う訳が無いと。

 だが、そんなリィンの声は確かに四人へと届いた。焦りを見せていたラウラとフィーはその顔に笑みを浮かべており、エリオットとマキアスの表情からは既に怯えが消え去っている。自身の得物を握り締め、五人全員が立ち向かう決意をその胸に宿していた。

 

 

「悪あがきを……さあ、暗黒時代の魔物よ。この、愚かで、哀れな若者共に無慈悲なる鉄槌を下すがいい……!」

 

 

 両手を掲げたギデオンは、リィン達の敗北を確信している。後方で笑みを漏らす二名のテロリスト共々、暗黒竜の負けなど微塵も思っていない事だろう。

 しかし、この時彼らは知らなかった。人の持つ可能性──意志の力の強さというものを。

 

 

「総員迎撃準備、全力で撃破するぞ!」

 

 

 リィンの掛け声を合図に、各々は自身の役割を果たすべく駆け出した。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 リィン達が暗黒竜との一戦を地下で繰り広げている時刻。突然のテロリストの襲撃により、混乱へ陥った帝都の街中を一台の導力車が走行していた。ARCUS片手に誰かと通信しながら運転をしているのは、鉄道憲兵隊大尉のクレア=リーヴェルト。そして運転する彼女の隣の助手席へ座っているのは、トールズ士官学院Ⅰ年Ⅶ組担任のサラ=バレスタイン。

 二人は現在、クリスタルガーデンにいるレーグニッツ知事からテロリスト襲撃の連絡を受けて急遽マーテル公園へと向かっていた。現在の状況が緊急事態であるのは確かなのだが、クレアもサラもその表情はいたって冷静で落ち着いている。動揺の色一つ見えない辺りは、流石氷の乙女(アイスメイデン)紫電(エクレール)と言ったところか。

 クレアは通信を終えたのか、懐に納めると導力車のアクセルを踏み込んで車の速度を上げる。そしてそんな彼女を横目に見ながら、サラが不意に口を開いた。

 

 

「完全にしてやられたわね。まさかグランの動きまで封じられるとは思わなかったわ」

 

 

「はい。ですがそれ以前に、グランさんにはヘイムダル大聖堂の方へ警戒に回るようお願いした筈なのですが……」

 

 

「今回みたいな連中の相手はあの子の方が専門でしょう。本命を出し抜かれた辺りは、悔しかったりするのかしら?」

 

 

「あはは……流石は要人警護のスペシャリストと言ったところですね。独断専行さえなければ、頼もしい限りです」

 

 

 痛いところを突いてくると、クレアは苦笑を漏らしながらサラに対して涼しげな声で答えた。思ったような反応が返ってこなかったのか、サラはそんなクレアを面白くないといった様子で見ている。大人げない事この上無い。

 グランによって皇女の誘拐は阻止する事が出来た。ヘイムダル大聖堂や競馬場でもテロリストの襲撃はあったが、そちらはクレアの指示によって現場の憲兵が対応し、加えてアリサ達B班の協力もあったので問題は無い。皇族の人間は一人も負傷せず、テロリストが企てていた計画は阻止したと言ってもいいだろう。

 しかし、それにしては腑に落ちない事がある。それは現在グランが対処しているドライケルス広場の襲撃について。既に帝都民や観光客達が避難を終えている場所での突然の爆発、その意図については彼女達も未だ分からずにいた。

 

 

「……ドライケルス広場の襲撃、サラさんはどう思われますか?」

 

 

「広場を襲う理由は私にも分からない。避難誘導であの子達の移動が遅れていたから結果的にグランが対処に回ったみたいだし……彼らにしてみれば運よく事が進んだんでしょうけど」

 

 

「……トールズの二年生、生徒会長のトワ=ハーシェルさんとログナー侯爵家のアンゼリカ=ログナーさんでしたか。先程、司令所の方から二名の学生を保護したとの連絡がありました」

 

 

「さっきの……広場から避難してヘイムダル駅に向かったんでしょう。無事で良かった、グランは無駄足になったか……っ! まさか──」

 

 

「私も同じ事を考えました。限り無くゼロに近い確率ではありますが」

 

 

 会話の最中、驚いた様子で声を漏らしたサラに対して同じ考えだとクレアは頷いた。限り無くゼロに近い確率と彼女が話すそれは、テロリストが今回トワ達が帝都に訪れる事を前提にした上で広場の襲撃を企てたという推測によるもの。

 しかし、テロリスト達による襲撃は仕込み等を考えても随分前から計画されていた筈だ。トワ達が当日帝都に訪れる、それもドライケルス広場にいるなどという不確定な要素をあてにして今回の事を起こすわけがない。もしそれすらも必然的にするのであれば、彼女達が帝都に訪れるように何かしらの手を打たなければいけないだろう。テロリスト達にそれが出来るはずもない。

 更に不確定な要素を上げるとすれば、そもそもグランが広場の応援へ駆け付ける事自体が確定的ではない。憲兵達が対応をしている上に彼の助太刀が必要な事態ともなれば、余程の出来事である。実際のところは憲兵達でも対応しきれないほどの事態が広場で発生しているのだが、現場から一切の連絡が無い状況で彼女達がそれを知り得る筈もない。

 

 

「何れにせよ、今はリィン達が追っているテロリストの拘束を最優先に……ん?」

 

 

 会話の最中、ふとサラの懐から呼び出し音が鳴り響く。彼女が取り出したARCUSが発するそれは、何者かによる通信が来ている事を意味する。僅かに首を傾げた後、サラはARCUSの通信を繋げた。

 通信先の人物の声を耳にして、彼女は驚きの表情を浮かべる。それもそのはず、サラの通信相手は現在ドライケルス広場にいる筈のグランだった。

 

 

「グラン! どう、そっちの状況は……」

 

 

≪大型魔獣十五体、自立制御型の機械人形四十八体。計六十三体の魔獣の群れが広場に現れました。それによって憲兵達は何人か負傷しています≫

 

 

「なっ!? 魔獣と機械人形ってどういう事!?」

 

 

≪足留めに差し向けてきたようです……今回の件、間違いなく『蛇』の連中が関与しているかと≫

 

 

「……っ……! そう……」

 

 

 通信先のグランが行う状況報告にサラは驚きの表情を見せ、彼が発した『蛇』という言葉には一段と反応を示してその目を見開いていた。しかし彼女の僅かな動揺も一瞬、既に表情は険しいものへと変わっている。

 彼女達の知らぬ間に、広場で起きていた予想を上回る異常事態。とは言えグランの無事はイコール既に事態は収拾しているという事になる。その点はサラも特に心配していなかった。

 

 

「それで、当然魔獣と機械人形の方は片が付いたんでしょう?」

 

 

≪ええ、既に片付きました。これからオレもマーテル公園へ向かいます。それとトワ会長達ですが……≫

 

 

「トワとアンゼリカなら大丈夫、無事に鉄道憲兵隊の司令所へ着いたそうよ」

 

 

 トワ達の身を心配している彼へ、サラは笑みをこぼしながら二人の無事を伝える。彼女の話を聞いたグランはホッと胸を撫で下ろしたようで、通信先からは安堵のため息が漏れていた。これでもう懸念事項は残されていない、後は犯人を拘束するだけ。サラはグランからの状況報告を聞き終え、そんな風に考えていた。

 しかし、直後にグランが発した言葉に彼女は一抹の不安を覚える。

 

 

≪そうですか……良かった。これで思う存分やれる訳だ≫

 

 

「えっ? グランあんた今──」

 

 

 その声は普段のグランよりも少し低く、どこか残忍な印象を思わせるものだった。サラは慌てて聞き返そうとするが、通信を切られたため言葉の意味を問い質す事は出来ず。彼女は困惑した様子でARCUSを懐へ納めた。

 車を運転しているクレアも彼女の異変に気付いたようで、チラチラとサラの顔へ視線を移しながら様子を窺っている。車内に暫しの沈黙が流れた後、頭を抱えたサラは悔しげな表情で声を発した。

 

 

「不味いわね。あれは完全にスイッチが切り替わってた……今回のテロリスト達、多分無事じゃ済まない」

 

 

「通信はグランさんからのようでしたね……とにかく今は、出来るだけ早く現地に向かいましょう。彼らの身柄を無事に拘束するためにも」

 

 

「ええ、飛ばしてちょうだい!」

 

 

 不穏な空気が漂う中、事態を察したクレアはアクセルを更に踏み込んで導力車の速度を上げるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 帝都の地下、地下墓地(カタコンベ)の奥地では現在進展を迎えていた。剣戟は止み、銃撃音は収まりを見せ、地下一帯に響いていた竜の咆哮さえも聞こえない。激戦が繰り広げられていたその場所は不気味なほどに静まりを見せ、静寂な空間が広がっている。

 それもそのはず。リィン達は竜を見事に撃破し、三人のテロリスト達を完全に包囲するに至った。ギデオンの持っていた降魔の笛はリィンが破壊したため、彼らは増援を呼ぶことも敵わない。そのまま鉄道憲兵隊の到着を待ち、彼らの身柄を引き渡す事で事件を終えるはずだった……そう、そのはずだった。

 しかし、ギデオン達を包囲していたリィン達の前に突如テロリストの仲間と思しき二名の男女が現れる。片手剣使いの女と巨大なガトリング砲の使い手である屈強な男。その二人によってリィン達の包囲は崩され、テロリストの拘束をするには困難な状況へと変わってしまう。

 そして、事態は更にリィン達にとって困難な状況へと変化する。それはテロリスト達のリーダー、マントを身に付けた《C》と名乗る仮面の男の登場だった。人数だけを見てもリィン達が五人、対してテロリスト達は六人。場は明らかにリィン達の劣勢だった。

 

 

「どうかな? これで双方引くというのは。学生の身である諸君がこれ以上深追いする事もないだろう」

 

 

「……聞けないな」

 

 

「恐れ多くも殿下達の身を危険に晒した事、到底見過ごす訳にはいかぬ」

 

 

 変声器を通して話す仮面の男の提案は、リィンとラウラが即座に却下する。犯罪者を目の前にして見逃すなど、彼らの選択肢にあるはずもない。フィー、エリオット、マキアスの三人も同意見のようだ。

 とは言えこの状況ではリィン達も攻め倦ねている。後から現れた三名は対峙しただけでもその実力の高さは窺え、加えて数の利を考えれば勝算も少ない。つまり彼らの最善の選択肢は、何とか時間を稼いで鉄道憲兵隊の応援を待つ事。間違ってもこの状況下で拘束しようなどと考えない事である。そして、それが分からないほどリィン達も馬鹿ではない。

 

 

「あんた達はどうしてこんな事をするんだ? 罪の無い人達を巻き込み、殿下までもを危険に晒した……許される事じゃないと分かっている筈だ」

 

 

「フフフ……教えてもいいのだが、ただで話すのも面白くないか。相手をしてやろう、諸君の健闘によっては詳しく話してもいい」

 

 

 一戦交えないかと提案する仮面の男は、何と直後に一人でリィン達の前へ近付いた。それは他でもない、彼一人がリィン達五人の相手をするという意味だろう。男の後方にいる仲間達は異存無いようで、余裕の表情で仮面の男の後ろ姿を見守っていた。

 確かに仮面の男は高い実力を秘めているようだが、リィン達とて武術訓練や特別実習を経験して成長している。特にⅦ組の中でも群を抜いているラウラとフィーが揃っているこのメンバー相手に、男一人で太刀打ちするのは少し無理があるようにも思えた。仮面の男の行動には、やはりリィン達も驚きを隠せない。

 

 

「なっ……!」

 

 

「……面白い」

 

 

「……すごい自信」

 

 

「嘘、だよね?」

 

 

「この男、正気か?」

 

 

 完全にリィン達は舐められている。彼らにもプライドはある、このような挑発とも取れる行為をされて余り良い気分ではないだろう。それぞれが得物を構え、応戦する姿勢を見せていた。

 そんな彼らの姿に満足したのか、仮面の男も直後に得物を取り出す。棒術のように回転させながら取り出したそれは、非常に特殊な武具だった。双刃剣(ダブルセイバー)、両端に刃が付いたその得物は、扱う人間を選ぶ暗黒時代の遺物である。

 

 

「さあ、何処からでもかかってくるといい」

 

 

「くっ……みんな、行く──」

 

 

──お前らは下がってろ──

 

 

「……えっ?」

 

 

 仮面の男の言葉にその場を駆け出そうとしたリィンは、何処からともなく聞こえてきた声に若干の驚きを見せながら動きを止めた。そして声が聞こえた後に突然彼の横を紅い閃光が駆け抜ける。閃光は仮面の男の真上で止まり、そこには紅く染まった刀を構えるグランの姿が突如現れた。

 

 

「奥義、閃紅烈波!」

 

 

 上空から訪れた刀による強襲は剣戟の音を奏で、同時に仮面の男を後方へと吹き飛ばした。仮面の男は体勢を立て直すも苦悶の声を上げて膝をつき、その後ろに立つテロリスト達は突然の事態に皆驚愕の表情を浮かべている。その場にいる全員の視線が、突然の介入者である彼へと一斉に向けられた。

 振り下ろした刀は地面を抉り、その身には周囲の空間をも震わせる紅き闘気を纏っている。直後に立ち上がったグランは僅かに顔を後ろに向け、驚きに染まったリィン達の顔をその瞳に映していた。

 一方で、彼の姿を確認したリィンとラウラは驚きの声を上げる。

 

 

「グラン!?」

 

 

「どうしてそなたがここに!?」

 

 

「広場の騒動が片付いたんでな、少しばかり挨拶でもと顔を出したんだよ。しかし……今の一撃を耐えるか」

 

 

 二人の疑問に答えた後に、グランは一層鋭くさせた視線をテロリスト達へと向ける。力を抜いた牽制とは言え奥義を凌がれたのだ。仮面の男の実力は相当なものだとグランも警戒を強める。

 とは言えグランの加入によって数の差は無くなった。形勢が逆転したとまでは言えないが、少なくとも善戦は出来る筈だ。それこそ鉄道憲兵隊が来るまでにこの場を持ちこたえるだけなら無理な相談ではない。

 そしてそう考えていたリィンだからこそ、次にグランが発した言葉に驚きを隠せなかった。

 

 

「悪い、ここから先はオレ一人に任せてもらう」

 

 

「っ!? 待ってくれグラン、一体どういう──」

 

 

「アンタらの中でまともに戦えそうなのは三人か……来い、纏めて相手をしてやる」

 

 

 グランは刀を両手持ちに切り替え、顔横で構えるとその剣先をテロリスト達へと向ける。直後に彼を中心に発現した膨大な紅き奔流は、テロリスト達だけでなく後方にいるリィン達をも仰け反らせた。グランの闘気に充てられて空間は震え、その場にいる全ての者達が強烈に肌を焼かれる錯覚を覚える。

 テロリスト達は驚きの声を漏らしながらも、仮面の男を筆頭に片手剣を持つ女とガトリング砲を構えた男がグランの前へと対峙した。双刃剣、片手剣、ガトリング砲、その矛先が全て刀を構えたグランへと向けられる。

 

 

「あらあら、私達も舐められたものね」

 

 

「ハッハーッ! かの有名な『紅の剣聖』と一戦交えられるたぁ、光栄だぜ」

 

 

「フフフ……我らも甘く見られたものだ。鉄道憲兵隊が到着する暫しの間、存分に相手をしてやろう。その威勢、いつまで続くかな?」

 

 

 無謀だと、リィン達はグランの背中を見詰めながら考える。グランの実力の高さは嫌と言うほど彼らも知ってはいるが、それを含めてもテロリストの三名は何れも実力者だ。戦力は未だ分からないが、リィン達が知っているグランの実力ならこの三名相手はかなり厳しい。

 しかし、それはあくまで“今までの”グランならという話だ。

 

 

「八葉一刀流、弐ノ型奥義皆伝、グランハルト=オルランド。これより目標の殲滅に入る。ドライケルス広場の襲撃で会長を傷付けた報いだ……仮面を割られたくなければ精々防御に専念するんだな!」

 

 

 帝都の地下、グランとテロリスト達による第二幕が開戦する。




まさかの無双無し、ごめんなさい石投げないで……!

何故かリィン達の様子とかクレアとかサラとか書いてたらこんな事になりました……オレTUEEEEはもう親父ーズに全任せしようと思います。取り敢えず5章で光の剣匠辺りに一回……

次回でテロリスト達との絡みは終えて会長との対話に。漸く会長との嬉し恥ずかしな絡みが……!

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