紅の剣聖の軌跡   作:いちご亭ミルク

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フィーの過去、グランの本心

 

 

 

 帝都の夜、マーテル公園の一角では剣戟と銃声が鳴り響く。ラウラとフィー、両者が持つ大剣と双銃剣による激突が火花を散らせて金属音を奏でていた。二人の勝負の様子を離れた場所でリィンとマキアスが見守り、立ち合いを務めるグランは少し近くで勝負の行方を見届けている。

 長い小競り合いの末、埒が明かないと判断したラウラはフィーの得物を弾く。フィーは後退しながらも跳躍して双銃剣による射撃を行うが、威嚇射撃のためか銃弾はラウラの足元に至るのみで彼女の姿を捉えない。ラウラもまたフィーの射撃の意図を理解し、左右にステップを踏みながら銃撃に恐れる事なく前進。着地直後のフィーへと間合いを詰める。

 

 

「ホイっと」

 

 

「くっ……!?」

 

 

 ラウラが大剣による一撃を与えようとしたその時、フィーが懐から落とした閃光弾によって彼女は突如視界を奪われた。直ぐに目を閉じるも両目に痛みを覚え、瞳を閉じたまま的の定まっていない大剣を振り下ろす。しかし直後、後方から感じた気配に向けて即座に大剣を横凪ぎに振り抜き、フィーの双銃剣による奇襲を弾き返した。少し驚いた表情で後退したフィーが得物を構える中、ある程度視力の回復したラウラはそんな彼女の姿を捉える。

 

 

「やはりそなたは凄いな。先程は確実に決まると思っていた」

 

 

「こちらの台詞。閃光弾を使っても銃剣(ガンソード)が届かないとは思わなかった」

 

 

「フフ……」

 

 

「ふふ……」

 

 

「君達はもう既に分かり合っているだろう!」

 

 

 一進一退の攻防に心を高揚させ、互いの実力を讃えながら笑みを漏らすラウラとフィー。その二人を離れた場所から見ていたマキアスは叫ぶ、もう十分分かり合っているのに何故こんな事をするのかと。飛び出しそうになるマキアスをまるで馬を宥めるかのようにリィンが押さえ、二人の勝負に横やりを入れないために貢献している。

 ラウラとフィー、双方の体力は十分残っているとは言えない。特別実習の疲れもあるが、少しも気が抜けないこの状況で消費される精神力も相当なものだろう。加えて両者の実力は高い、その疲労が蓄積される速度も尋常ではない。故に、勝負は出来るだけ早い段階で着けるに限る。

 

 

「父上から授かった我が奥義で決めさせてもらう……!」

 

 

「私も、団長から教えてもらったこの戦技で……!」

 

 

 ラウラとフィーは得物を構え、互いに渾身の一撃を繰り出すべく闘気を高める。次で勝敗が決まると踏んだグランもその行方を見極めるために視線を鋭くさせ、何かあった時のために腰に下げている刀へと手を添えた。

 そして、闘気を最大まで高めたラウラとフィーはその場を駆け出した。

 

 

「──そこまでだ」

 

 

 ラウラとフィーが肉薄した直後。フィーの頭上に振り下ろされた大剣を刀で、ラウラの首筋に触れかかっていた銃剣を鞘で、それぞれの得物を止めたグランが二人の視界に姿を現すのだった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

「ど、どっちの勝ちになるんだ?」

 

 

「正直なところ、引き分けにしか見えなかったけど……」

 

 

 立ち合いを務めるグランが二人の得物を止めて直ぐ、勝敗の行方が気になったマキアスが隣のリィンに問い掛ける。しかしラウラとフィーの攻撃がほぼ同時に繰り出されていたため、リィンも返答に困っていた。事実両者の攻撃のタイミングは同時で、誰が見ても引き分けと判断する一戦。

 リィンとマキアスが近寄ってくる中、ラウラとフィーは得物を納めて納刀するグランの顔を見上げていた。彼がこの一戦をどう判断するのか、次のグランの言葉に注目が集まる。

 

 

「今回はフィーすけの負けだな」

 

 

「ま、そうなるね」

 

 

「良いのか?」

 

 

「良いも悪いもない。猟兵は夜間戦闘が十八番だからな、この状況で引き分けに持ち込んだラウラの勝ちって訳だ。昼間なら負けてたんじゃないか、フィーすけ?」

 

 

「ん」

 

 

 グランが下した判断はラウラの勝利。夜間における戦闘はそもそも猟兵をしていたフィーにとっては得意中の分野であり、閃光弾まで使って勝てなかった時点でフィーの負けは必然となるわけだ。昼間であればそのような手段も余り期待できず、結果的にラウラが勝つだろうというグランの判断であった。フィーもその判断には納得しているようで、ラウラは自身の勝利を受け入れた。

 となると問題はこの後、ラウラが当初に約束した通りフィーの過去話へと移るわけなのだが、その事に気付いたリィンとマキアスは空気を読んで席を外そうとする。

 

 

「別にいてもいいよ。ラウラもそれでいいよね?」

 

 

「ああ、私は別に良いのだが……その、グランは良いのか?」

 

 

「別に構わないぞ。それと今から少し用事で席を外させてもらう……あとは頼んだ」

 

 

 ラウラの問いに了承した後、リィンとマキアスに二人を託してグランはその場をあとにする。マーテル公園のトラム乗り場に向かい、恐らくは昼にクロチルダと約束したホテルへと向かうのだろう。これからグランが取るであろう行動が分かったラウラとフィーは、彼の後ろ姿を見ながら不機嫌そうな表情で不満げな声を漏らしていた。

 

 

「くっ、この状況を残してクロチルダと会いに……何て羨まけしからん!」

 

 

「(どうしたものか……グラン、これは少し恨むぞ)」

 

 

 何とも気まずい雰囲気の中に一人取り残されてしまったリィンは内心でグランを恨むも、何とかこの空気は脱しようと見当違いの事を話すマキアスに突っ込みつつ、ラウラとフィーを宥めてその場を収めた。リィンの苦労の甲斐あって話題はグランから逸れ、話はフィーの過去について。ため息を吐いたラウラとフィーの二人がその場に腰を下ろし、夜空に煌めく星々を見上げながらフィーは話を切り出した。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

「──気が付いたら私は戦場にいた」

 

 

 どこかの国の、どこかの場所で行われていた紛争。その場所で戦災孤児だったフィーは紛争地帯をさ迷い、偶然とも言える出逢いを果たした。『西風の旅団』という猟兵団、そこで団長を務める『猟兵王』なる人物と。

 猟兵団に拾われた彼女の仕事は、団の雑用や手伝いが主だった。団長である『猟兵王』が渋りつつも団員達から戦場で生き残るコツや銃剣の扱い方などを教わり、大変ではあったが充実した日々を過ごしていた。

 そしてフィーが十歳を迎えた頃、ふとした偶然がきっかけで彼女は実戦デビューを果たす事になる。元々の素質が高かったのだろう、その後はフィーも団の作戦に参加して徐々に実力を伸ばしていった。いつしかフィーにも猟兵としての渾名が付くようになり、そんな中で彼女はある人物と再会する。

 

 

──オレの名前はグランハルト。嬢ちゃんの顔見た事あるな、もしかして西風のメンバーか?──

 

 

「そして私が『西風の妖精(シルフィード)』なんて呼ばれるようになった四年前、突然私の前に姿を現したのがグランだった」

 

 

 グランハルト=オルランド。当時のフィーもその名前と姿はよく知っていた。西ゼムリア大陸で『西風の旅団』と双璧をなす猟兵団『赤い星座』、『西風の旅団』の団長である『猟兵王』とは長年宿敵同士で知られる『赤い星座』の団長『闘神』の甥に当たる人物。一騎当千の実力が揃う『赤い星座』の中で僅か六歳にして実戦参加を認められ、八歳で部隊長を任せられた『閃光』の異名を持つ少年。

 小競り合いのような事が頻繁に行われていた双方の猟兵団、当然の如くフィーもグランの姿を見た事はある。出会った当初、勿論彼女はグランを警戒した。

 

 

──猟兵王はどこにいる? 頼みたい事があるんだが──

 

 

──教える訳がない。教えたところで団長に門前払いをくらうだけ──

 

 

「そうか、グランとフィーは元々敵同士だったのだな」

 

 

「団長と『闘神』が敵同士だったから。でも、だから私はその後グランが話した事に耳を疑った」

 

 

──だったら嬢ちゃんから頼んでもらえないか? オレを西風に入れてくれって──

 

 

 『赤い星座』のメンバー、それも部隊長クラスの彼が宿敵である『西風の旅団』へ入団したいと口にする。もし団に入ったとなれば彼の家族であり、『赤い星座』のメンバーであるオルランドの人間とも対立する事になるだろう。フィーも突然グランがそのような訳の分からない事を願い出たため、彼を連れて『猟兵王』の元に向かうと事の全てを話す。傍でその話を聞いていた団員達は勿論反対した、これが『赤い星座』の仕組んだ罠という事も考えられるからだ。

 そこで『猟兵王』はある提案をした。西風の誇る団員二人に勝って見せろと、もし勝てたのならば西風に入る理由を聞いてみて考えてやると。フィーはこの時グランが旅団に入る事は叶わないと思った、彼の前に対峙したのは西風でも部隊長を務める『罠使い(トラップマスター)』ゼノと『破壊獣(ベヒモス)』レオニダス。二人の実力を知っている彼女はグランが負けるだろうと、余り興味を示さずに彼らの戦闘を見ていた。

 しかし、ふたを開けてみれば結果はグランの勝利。戦いを見ていたフィーはその事実に驚くと共に、彼に強い興味を抱いた。年齢も自分と一つしか変わらないのに、実力は猟兵の中でもトップクラス。グランハルトという人間の強さの根源を知りたい、自分もあの領域に辿り着きたいと。

 西風の団員二人に勝利したグランは、約束通り『猟兵王』とその他団員がいる前で西風に加入したい理由を話した。『猟兵王』含め彼の話を聞いた団員達は皆、フィーを除いて大笑いをする。

 

 

──オモロイ事言うやないか、気に入ったで──

 

 

──此度の敗北、次のリベンジのためにも俺はこの男の加入を希望する──

 

 

「団長や皆はグランが西風に入りたい理由を聞いて気に入ったみたいで、入団を快く迎え入れた。私も特に拒否する理由は無かったし、皆が納得してるのなら問題ないと思ったから」

 

 

「そのような事が……して、グランの話した理由とはどのようなものだったのだ?」

 

 

 ここまで聞くとラウラも気になってしまう、かつて敵対していた猟兵団に入りたいというその理由が。リィンやマキアスも興味を示し、フィーもこの三人なら話してもいいだろうと隠す事なく当時グランが話したそのままの言葉で答えた。

 

 

「──『『赤の戦鬼(オーガ・ロッソ)』シグムント=オルランドを潰したい』……それが、グランが西風に入りたい理由だった」

 

 

 『赤の戦鬼』の異名を持つ『赤い星座』の部隊長、シグムント=オルランドを倒すためにグランは『西風の旅団』を選んだ。団員一人一人が一騎当千の力を持つ『赤い星座』、どれだけグランが強くても猟兵団に一人で乗り込む事は出来ない。恐らくはバックに『西風の旅団』を据える事で、シグムントとの一騎打ちに集中できるようにというのが彼の目的だったのであろう。

 そしてフィーからその話を聞いたリィンはふと疑問に思った。そう、グランが倒したいという人物の名前である。

 

 

「でも、オルランドって確かグランの姓じゃなかったか?」

 

 

「そう言えば、中間テストの結果発表で彼の名前がそうだったような……」

 

 

「フィー、グランの目的とはやはり……」

 

 

「ラウラは知ってたんだ、グランが猟兵をやってる理由」

 

 

 リィンの疑問にマキアスが同じく首を捻って思い出している中、ラウラが眉をひそめて口にした言葉を聞いてフィーも理解した。彼女は既に、事の殆どを知っているのだと。

 結局フィーがリィンとマキアスにその疑問点を答える事はなかった。ここまで話した内容だけでも彼に知られたら何て言われるか分かったものではない、これ以上は本人が話すべきだからと。

 

 

「グランが団に入って一年後、グランと『赤の戦鬼(オーガ・ロッソ)』の一騎打ちがあった。結果は丸一日かかったけどグランの敗けで、その翌日にグランは団を止めた。それから二年ちょっと経って団長と『闘神』の一騎打ちもあって、三日三晩の激闘の末に相討ちで終わって、『猟兵王』がいなくなった『西風の旅団』のメンバーは私を残して突然目の前から去った」

 

 

 表情に陰りを見せながら、フィーは当時の事を思い返すように語る。兄も同然だったグランを失って、その後は家族である西風のメンバーも失って。途方に暮れていた矢先、両猟兵団の動向を探りに来ていたサラに拾われて、トールズ士官学院に入学する事が決まった。それが、フィーがここにいる経緯であった。

 リィン達にとっては想像以上の世界であろう。幼い頃から戦場で過ごし、生きるか死ぬかの毎日を送る。そして突然家族を失った悲しみ、とても考えられない人生をこの少女は齢十五で経験しているのだ。

 たからこそ、自分達がフィーの悲しみを埋められるように、新しい家族となれるように。リィン達はそう決意するのであった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 同時刻、マーテル公園をあとにしたグランの姿は現在ガルニエ地区にあった。歓楽街という事もあって夜にも関わらず賑わいを見せるこの地区は、昼間以上に人通りが多い。カジノの客が主であろう。

 グランがガルニエ地区に足を運んだのは他でもない。今日の昼過ぎにホテルから出された魔獣退治の依頼を受けに来た際、偶然再会したクロチルダにホテルの自室へ招待されたからである。初めはどうするか悩むも、グランなりに理由があって来たのだろう。

 ホテル『デア=ヒンメル』に入って直ぐ、彼を出迎えたのはこのホテルの支配人であった。どうやらクロチルダが話を通していたらしく、グランの容姿やその特徴を教えられていたそうで一目で分かったとの事。それも特別な客と言っていたのか、彼は数人の従業員に囲まれながら用意されていた部屋へ案内される事となった。

 

 

「それでは、ごゆっくりなさいませ」

 

 

「ええ、案内どうも」

 

 

 部屋の扉は支配人によって閉められ、一人残ったグランは室内を見渡す。ラベンダーの香りが周囲に漂っている事からクロチルダの宿泊している部屋だと感じ取った彼は、テーブルも椅子もソファーも無い室内を進んで隣の部屋へ続く扉を見つける。ここが客間だろうと踏んで扉を開き導力灯を点けるのだが、視界に広がった光景に息を飲んだ。

 嫌に雰囲気が作られた桃色の空間が広がる室内、四人は同時に寝れるのではないかと思うほどの大きなベッド。そして直後に後方から感じた気配、反応が遅れたグランは背中に軽い衝撃を受けると共にベッドの上へうつ伏せに倒れ込む。

 

 

「女性はもっとおしとやかな方が好みなんですけど」

 

 

「あら、積極的な方が色々と魅力は感じると思うのだけど」

 

 

「取り敢えず離れて下さい、当たってます」

 

 

「当ててるのよ、分からない?」

 

 

 グランはベッドに顔を埋めながら、背中に被さった人物と気配を察知出来なかった自分に対してため息を吐く。一層強く漂うラベンダーの香り、彼女の声からしてヴィータ=クロチルダだという事は直ぐに分かった。何とかその場をすり抜けると、彼女の背後に回ってその姿を見下ろす。

 不満げな表情で見上げてくるクロチルダを見て、グランはこの人物が以前自分の上司に当たる人間だったと思うと頭痛がした。上司とは言っても上と下に上下関係は無く、組織のトップに君臨する一人を除いては対等な関係ではあったが。

 

 

「中々素直になってくれないのね」

 

 

「素直になってますよ。それで、約束通り話してもらえるんですか?」

 

 

「あら、約束って何の事かしら?」

 

 

「嘘だろ……」

 

 

 勿論クロチルダは忘れてなどいない。そしてグランもまた彼女が誤魔化そうとしている事などとうに分かっていた。とは言えこの様子だと何をしても自分の知りたい事は話してもらえない、そう思い至った彼は無駄足だったと呟きながら部屋を出ようとする。

 その時、ベッドから立ち上がったクロチルダは突然グランの腕を掴んだ。彼の動きを制し、正面へと回り込んで顔すれすれの距離にまで接近する。両者が僅かに動いただけでもその唇が触れ合いそうな距離にまで彼女は詰め寄った。

 

 

「私のものになってくれるのなら、『幻焔計画』についても話してあげるわ」

 

 

「そうですか……交渉決裂ですね」

 

 

「待って!」

 

 

 最後の誘惑にも惑わされず、グランは瞳を伏せてその場を立ち去ろうとする。クロチルダの呼び止めにその足が一瞬だけ動きを止めるが、直ぐにベッドルームを出て彼女の部屋をあとにしようとした。

 そして、そんな彼の後ろ姿にクロチルダは問う。

 

 

「貴方が知りたかったのは『幻焔計画』じゃなかったの? 私のものにさえなってくれるのなら、貴方の知りたい事なら何でも……」

 

 

「確かに『幻焔計画』の事を聞きに来ました。でも、そうじゃないんですよ」

 

 

「それじゃあどういう事かしら?」

 

 

 困惑した表情で問い掛けたクロチルダの問いに、グランはその場を振り返ると鋭い目付きで彼女の瞳を貫いた。クロチルダの出した条件はグラン自身を対価に情報を与えるというもの、故に彼の脳裏には一つの答えしかない。

 トールズ士官学院の平民生徒が着用する、緑色の制服を着こなした栗色の髪の少女。入学式の日に出逢ってから毎日笑顔の絶えないその少女を瞼の裏に映し出した後、グランは再度クロチルダの顔を見据えた。

 

 

「どうせ結ばれるのなら、この人と決めた女性がいるんですよ」

 

 

 




グランはやっぱり会長一筋だった!
今回、フィーの過去話でグランの事もある程度リィン達に知られる事となったのですが、何とも微妙な結果に! まあ、元々フィーの過去を明かすんだからグランの事を詳細に語るのもね……それでも結構フィーは話していますが。
最後に……グランはやっぱり会長一筋だった!(大事な事なので二度)

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