翻訳:竜華零
……まさか、まさかあの阿求様と名前を並べられる日が来るなんて!
鈴奈庵の頃からファンでした――!
<瀟洒の妹>
十六夜 白夜
職業:メイド
能力:時刻を操る程度の能力
住んでいる所:紅魔館
◆ ◆ ◆
紅魔館に住み込みで働くメイド。姉である十六夜咲夜と共に役職持ちのメイドとして館を切り盛りしている。吸血鬼の館で働く人間の少女。
姉である咲夜同様、紅魔館に入る以前の彼女のルーツを知る者はいない。
生まれつき言葉を持たないのか、寡黙で彼女の声を聞いた者はいない。一方で頻度は少ないが人里でその姿を認めることが出来、姉と比べると好意度は低くない。良く言えば親しみやすく、悪く言えば警戒されていない。
◆ ◆ ◆
――能力――
時刻を操る程度の能力を持つ。
姉である十六夜咲夜の「時間を操る程度の能力」と同系統の能力、人間には過ぎた力である。
時刻とは時間と異なり、連続した間隔では無い。むしろ人間が一瞬一瞬に感じる感覚であり、彼女は主観として感じる「瞬間の感覚」を取捨選択することが出来る。
この能力を使用すれば、例えば今日を生きながらに「昨日の自分」を続けることが出来る。
理論上、不老不死を得ることも可能である。
ただし永遠に己の時刻を止めることはまだ出来ないらしく、まだまだ成長余地の大きい能力のようだ。
客観的には「転んでも怪我をしない」程度の能力にしか見えないので、凄さが伝わりにくくもある。
◆ ◆ ◆
――彼女はいったい何者か――
彼女は何者か? この問いに答えられる者は意外と少ない。
姉である十六夜咲夜を始めとして、紅魔館の面々が多くを語らないと言うのも大きいが、何より彼女自身の口が閉ざされてしまっているのが一番の理由だろう。
彼女は言葉を持たない、生まれつきとされるが、真実の程はわからない。
とにかく、彼女自身の説明や証言が無い以上、その人物像は外部の目に頼るしかない。
以下、彼女と親交があると思われる人妖の人物評をまとめる。
射命丸 文:
「あやや、白夜さんのことは私も興味深いと思っています。出来れば密着取材をしたいのですが、咲夜さんのガードが固くて。いや、実は私も良く知らないんですよ、はい」
上白沢慧音:
「無表情故に誤解を受けやすいかもしれないが、人里に来て悪さをしたことは無い。そう言う意味では、私は彼女を信頼しているよ」
アリス・マーガトロイド:
「何というか、目を離せない子よ。魔理沙とはまた別の意味でね……」
魂魄妖夢:
「何があっても眉一つ動かさない冷静さ。それにあの身のこなし、相当の修練を積んだのでしょう。是非とも手合わせをお願いしたいと思います」
八雲紫:
「うふふ、そうねぇ。可愛い子よ、他の子と同じに。ただ彼女だけは別の幻想の中に生きているようだけれどね」
霧雨魔理沙:
「あーアイツな。あれで割とノリは良い方なんだよな。この間も紅魔館でキラッと星を飛ばしてポーズ取って挨拶したんだよ、そしたらアイツ無表情に同じポーズで挨拶を返してくれたんだ。咲夜は完全無視だったのにな。あ、あと咲夜は何だかんだで妹がす」
(筆者取材の最中、魔理沙氏が姿を消したため中断。再会でき次第加筆予定)
博麗霊夢:
「興味が無いわ」
十六夜咲夜:
「……あれは、私の妹。それだけよ」
以上、取材の一部を抜粋した。
取材協力者の人妖それぞれに評価が余りにも異なるため、やはりその人物像を固めるには至らなかった。
それは彼女の深遠さを示しているのか、あるいは逆に適当な人間なのか。
今後の加筆と訂正に期待したいと思うが、しばらくは彼女の動静から目を離せない。
最後までお読み頂きありがとうございます、竜華零です。
今回の縁起を最後として、本物語は完結となります。
先にも述べましたが、完結まで運べたのは読者の皆様の支えあればこそです、本当にありがとうございます。
次に何をやるかはまだ固まっていませんが、また何かをここハーメルンで投稿できればと考えています。
その際には、またお付き合い頂ければと思います。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
なお、幻想郷縁起をご存知の方かもしれませんが……。
本話はキャラクター紹介ではありません、あしからず。