恋する乙女と最凶の大剣   作:nasigorenn

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今回はあることがしたいがためにいままで考えていた話です!


第八十五話 せっかくだから観光に その4

 ホテルを前にして顔を真っ赤にして慌てるお嬢様。

その様子は如何に初心なのかが良く分かるって代物だ。

 

「あの、レオスさん! まだわたくし達には早いと思うのですけれど……こ、交際どころか告白もまだですし、それにこういうことは結婚してからでないと……で、でも、こんな機会は二度とないですし………」

 

見ててなんともまぁ和む光景だねぇ、美人の赤面って奴はさ。

そのまま慌てふためくお嬢様を見ているのも面白れぇんだが、あまりゆっくりしてるとさっきから人のことを嗅ぎ廻ってるドブネズミに罠を感づかれちまう。

ここは紳士らしく、スマートに行かせてもらうとしますかねぇ。

 

「お嬢様、顔を真っ赤にしてる所は実に微笑ましいもんだが、ここで立ってたって始まらねぇ。さぁ、行こうぜ」

「ひゃっ!? あ、あの…その………っ~~~~~~~~~~!!」

 

お嬢様の腰に手を添えて抱くと、お嬢様は顔が沸騰するんじゃねぇかってくらい真っ赤になってオレの為すがままって感じに任せてきた。

きっと本人には何か考える余裕はねぇんだろうなぁ。そういうのに弱そうだからねぇ。

そしてお嬢様の腰を抱いたまま優しくホテル内へと入る。

受付は無人で人はいねぇ。その中からそれなりの値段の部屋を選び、その部屋の鍵を抜き取るとそのままお嬢様を連れて部屋へと向かった。

そして部屋の前まで来ると、お嬢様から手を離す。

 

「お嬢様、ちょっと待っててくれよ。少しだけすることがあるからよ」

「は、はぃ……」

 

消えそうな声でお嬢様は返事を返す。そのままベットに押し倒したい気持ちにならなくもねぇが、それは今日は止めておくよ。

それも魅力的だが、それ以上にからかい概があることがあるんでなぁ。

オレは廊下でお嬢様に少し待って貰うと、早速部屋に入ってあること行う。

そしてそれに三分程してお嬢様が待つ廊下へと出た。

 

「お、終わりましたの……」

「あぁ、これでOKだ」

「そ、そうですの……」

 

お嬢様は緊張した様子で小さくそう答える。

その赤信号も顔負けの赤い顔はなんとまぁ初々しいことか。

学園では見られない面だけに新鮮味があっていいもんだ。

だが、このまま部屋に一緒に入ってmake loveとしゃれ込むわけじゃねぇんだよなぁ、これが。

オレは再びお嬢様の腰に手を回し抱いた。

 

「ひゃんっ!? れ、レオスさん?」

「ちょっと待ってくれよ、お嬢様。ちょっと部屋が気にくわなかったんでなぁ」

 

そして少し歩き始めると、向こうから如何にもなカップルが歩いて来た。

紳士然とした太ったおっさんと胸が無駄にデケェ若い女の二人組。

女の顔は妙につやつやしてて、おっさんは少し疲れたって様子だ。

まさか恋人……て感じには見えねぇよなぁ。なら、アレしかねぇ。

オレはそのままお嬢様を連れてその二人の前に立った。

 

「なぁ、お宅等。ちょっと話があるんだけどいいかい?」

「な、なんだね、君は!?」

「れ、レオスさん!? 一体何を……」

 

オレに話しかけられて驚くおっさんとお嬢様。おっさんの女はいぶかしげな目でオレを見てきた。

そんなおっさん達にオレは笑顔を浮かべて話しかける。

 

「なぁに、別にお宅等に何かしようってわけじゃねぇ。ただ、お宅等が使っていた部屋の鍵とオレが持ってる鍵を交換してもらいてぇのさ。その様子じゃもうハッスルする気はねぇんだろ。だったら問題ねぇだろ」

「何を言っているのかね、君は! それにそれは……」

 

おっさんは正論らしいことを言って断ろうとする。

確かに鍵の交換なんてのはばれたら捕まるネタだ。無論ただじゃすまねぇだろ。だが、ここは無人受付なんでなぁ。そう簡単には気疲れねぇよ。監視カメラには映らねぇように気を付けているしなぁ。まぁ、鍵のレンタル履歴でバレるだろうが。

 

「別に難しいことは言ってねぇ。お宅等はオレの借りた鍵を返すだけでいい。オレ等はお宅等から借りた鍵の部屋でお楽しみをするだけだ。ちゃんと金は払うし問題はねぇ。それとも何か? おっさんが『不倫』してますって周りの連中に聞こえるように大きな声で叫んだ方がいいかい?」

「ぐっ!? わ、わかった……鍵を交換しよう」

「話がわかる大人は嫌いじゃねぇよ」

 

そしておっさんと鍵を交換し、オレとお嬢様はおっさんが『お楽しみ』をした部屋に向かう。

後で知ったが、あのおっさん、この街の町長らしい。

そりゃあ知られたくねぇだろうさ、不倫してるなんてなぁ。

お嬢様はオレのしたことを不思議に思っていたようだが、自分でも余裕がねぇんで頭が回らねぇらしい。

そのまま腰を抱いたまま廊下を歩き、そしておっさん達が借りていた部屋の前に立った。

 

「さぁ、ついたぜ」

「は、はぃ…………」

 

再び真っ赤になるお嬢様。

そんなお嬢様の腰を抱いたままオレは鍵を解錠し扉を開ける。

それがお嬢様には遂に来たってことを意識したらしい。腰に当てた手から緊張で身体が萎縮したのが感じられたよ。

お嬢様は部屋に入って改めて室内を見渡す。

 

「こ、これが、あの………」

 

真っ赤な顔のままそう呟くと、今度はベットに視線が釘付けにされてた。

室内の内装は落ち着いた感じだが、ベットに置かれてる二つの枕と乱れた布団が妙に生々しさを感じさせる。どうやらそいつに食い付いたらしい。

お子様にはそいつの刺激が強すぎらしく、お嬢様は何か妄想しては顔を真っ赤にして身悶えてた。前から思ってたんだが、お嬢様も女の子って奴で所謂ムッツリってやつなんだよなぁ。まぁ、それぐらいがお嬢様には丁度いいけどなぁ。

そんな事を思いながらお嬢様を見てると、目があった。

途端に爆発するかのように真っ赤になるお嬢様。

 

「わ、わたくし……シャワーを浴びてきますわ……」

 

そのままオレから逃げるようにシャワールームへとふらつく足で移動し始める。

だが、そうはいかねぇなぁ。

オレはそのままお嬢様の手を掴んで自分の方に引き戻し、そして一気に抱きかかえる。

 

「キャッ!? そんな、レオスさん、いけませんわ! わたくし、汗を掻いていますし、その、臭いも……」

「オレはそんなお嬢様も良いと思うけどなぁ。さぁ、お姫様。一緒にベットに行こうか」

「ぁ、ぁぅ……………………」

 

お姫様抱っこで抱きかかえると、お嬢様は気絶するんじゃねぇかってくらい顔をまっかにして萎縮してる。そいつは実にそそる光景だ。

そのままヤりたくなってくる魅力ってモンに溢れてやがる。

こういう所を見ると、やっぱりお嬢様も『女』なんだよなぁ。

そしてお嬢様を優しくベットに寝かせると、上に覆い被さる。

 

「あ、いや……………」

 

お嬢様は言葉が上手く出せず、上気した顔に潤んだ瞳でをオレに向けて来た。

 

「そ、その………優しくお願い……します……」

 

消えそうな程小さな声でそう言うと、ぎゅっと目を瞑りどんな事をされても対応出来る様にし始めたお嬢様。

そんなお嬢様と『お楽しみ』出来ればそれはそれでかなり有意義なんだが……そろそろかねぇ。

そう思った途端、外の廊下が騒がしくなった。

窓ガラスが割れる音、そして何かが倒される音が連続して聞こえ始め、野郎のドスの効いた怒鳴り声が廊下辺りに響き始めた。

それに無い事かと騒ぐ、他の部屋でハッスルしてた奴等の喧噪も加われば、中々に騒がしい。

 

「な、なんですの!?」

 

さっきまでトロンとしてた顔がこの事態に戸惑いつつもマシになるお嬢様。

そんなお嬢様にはこの悪戯の仕掛け人としてネタ晴らしをしてやろうかな。

 

「さてと……せっかくだからお嬢様にはこの騒動のネタ晴らしをしようか。いいかい、お嬢様。この街に着いてからオレ達を嗅ぎ回ってるドブネズミがいたことにお嬢様は気が付いたか?」

「ドブネズミ……尾けられていたんですの!?」

「そういうこった。連中が何なのかまではわからねぇが、どうも狙いはオレらしい。どうせ賞金欲しさに仕掛けてきた何処ぞの弱小マフィアだろうよ。この町に遊びに来たオレを見かけて偶然の幸運に飛びついた馬鹿な奴等だよ。お嬢様を連れてるから下手には戦えねぇとでも思われたんだろうさ」

「そ、そんな……すみませんでした……」

 

自分の所為だと思ってしゅんとなるお嬢様。

だが、コレはお嬢様の所為じゃねぇんだなぁ。

 

「別にお嬢様の所為じゃねぇよ。馬鹿共はママから教わらなかったらしい。落ちたモンは食うなってなぁ。それで自分の腹を壊すとわかってても手を出すんだから馬鹿としか言いようがねぇ。そんな馬鹿共に付き合わされたんじゃ、せっかくのデートが台無しになっちまう。だからちょっとしたお仕置きをしようと思ったのさ」

「お仕置き……ですの?」

 

お嬢様はどうやら雲行きが怪しくなってきた事に顔を顰め始めた。

 

「あぁ、そうさ。連中は二人組で行動してる野郎ばかりだったからなぁ。せっかくだから連中とダブルデートしてやったのさ。ラブストーリーの映画を野郎同士で見させたりさ。あぁ、勿論これはお嬢様の提案に乗っかってから考えたことだからオレの狙いじゃねぇよ」

「そ、そうでしたの……何だか釈然としませんわね」

 

お嬢様の顔がさっきから別の意味で赤くなり始めてきた。

まぁ、こりゃ仕方ねぇか。甘んじて怒られるしかねぇなぁ、紳士らしくよ。

 

「それで仕上げにお嬢様と一緒にここに来たってわけだ。連中達はオレ等の動向をしるためにもホテルに入らなきゃならねぇ……野郎同士でな。そりゃあもう、普通の野郎だったら最悪の気分さ。仲間からもからかわれること受け合いでなぁ。それに最後のスパイスをくれてやったのさ、オレはな。連中はオレが借りた部屋に今頃突撃して本来ならお楽しみ中のオレ等をデバガメしようとした。だが、そこにオレ等はいない。連中が見たのはオレの書き置きだよ。内容は単純に『homosexual go to bet(ホモはベットでヨロシクしてな)』連中、それを見てカンカンに怒ってるって訳だ」

「つまり………わたくしをこうしてホテルに誘ったのは……」

 

どうやらお嬢様が連中よりもカンカンになってるようだ。

純情を弄ぶ奴にはロクでもない最後があるってな(笑)

 

「レ~~~~オ~~~~~~ス~~~~~~さ~~~~~~ん~~~~~~っ!!」

 

お嬢様は目に涙を溜めながら凄く怒った形相でオレを睨んできた。

おっかねぇが、まぁこいつはオレが悪いからなぁ。

 

「わ、わたくしの純情を弄んで……最低ですわ! わたくし、覚悟を決めておりましたのに、こんなの、あんまりですわ!」

 

そのまま泣き崩れそうになるお嬢様。

そんなお嬢様に謝りつつオレはかるく抱きしめると、その可愛らしい唇をいただいた。

 

「え……?」

 

そんな声がお嬢様の口から漏れた。

それを聞いてオレはお嬢様を見ながらもう一回謝る。

 

「まぁ、今回はこいつで許してくれ。出来ればオレだってちゃんとしたいからなぁ」

 

そう言うと共にお嬢様をお姫様抱っこで抱きかかえた。

 

「キャッ!? レ、レオスさん!」

 

驚くお嬢様と共に部屋の入り口の扉が吹っ飛んで、そこから銃を持った二人組がカンカンにキレた面で入って来た。

 

「テメェ、ふざけやがって!」

「ぶっ殺してやるっ!」

 

息巻いて銃を向ける連中にオレはニヤリと笑いつつ、お嬢様に声をかけた。

 

「しっかり捕まって口を閉じてろよ、お嬢様! 舌嚙むからよ!」

 

そう言うなりIS『スカイウォーカー』を一次展開する。

連中はその際の発光で警戒心を顕わにするも、こっちに向かってぶっ放してきた。

それを装着された装甲部分で弾くと、そのままお嬢様に被害が出ない様に壁にタックルして壁をぶち抜いた。

 

「「なっ!?」」

 

驚く馬鹿二人を尻目にそのまま強化された脚力を利用してオレはお嬢様を抱えたまま跳躍した。

 

「さぁ、楽しい楽しい鬼ごっこの始まりだ! 捕まえてみせろよ、ドブネズミ共よぉっ!!」

 

 こうしてオレとお嬢様のデートはさらに賑やかになっていく。


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