勝った!
第二話完!
と、上記は冗談だが、勝った。なのはさんに。
「ま、負けた…」
前に(というか1月も経ったのだが)約束していた模擬戦。
二人の予定(さすがにプーはまずいと思い、俺は嘱託魔導師として少し真面目に働き始め
た)が重なって休みができたのですることになった。
ちなみにこの1月はメールやら電話、夜に一緒にご飯を食べたりしていた。
正直、なのはさんといると楽しいと感じ始めていた。出会いはあれだったが、今では幸運というかいい縁だと思っている。
話がそれたが、模擬戦のことだ。
最初はレイジングハートしか使っていなかったのに、こっちが優勢でいたら、なんかISみたいな兵器まで持ち出してきたなのはさん。
どんだけ負けず嫌いなんだよと思いつつも、脳量子波による先読みとツインドライブによ
る圧倒的な魔力量を活かしたミッド的なスタイルでなんとか価値を拾えた。
大型ビットみたいなシールドはこっちの溜めなしの砲撃を簡単に防ぐし、向こうのプラズマのような砲撃はこっちのシールドをがりがり削るし、さらにビットによるオールレンジ砲撃とかなんなの…。
マジで殺す気なんじゃと冷や汗をかきながらも機動性に無理を言わせた飛行魔法で紙一重でかわしつつ、シールドは実体剣による斬撃で中破させ、ビットは超高速魔力弾の射撃でなんとか壊して、砲撃はシールドを最大強化させて、突撃して弾いた衝撃で砲の部分が曲がって終了。
最後に、クロスレンジを常に強いるように飛び回って、斬撃がレイジングハートをシールドごと斬ってダメージが入ったの終了となった。
「はぁはぁ…ふぅ……疲れた」
・・・
「…はぁ、今回は完敗だったの」
今回は?って次もあるのか…?
本当に負けず嫌いのようだ。まあ、これだけ強くなるにはそれくらい気が強くないと無理なのだろう。
「さーて、シャワー浴びたらデバイスのメンテして、模擬戦の感想戦してみようか、いろいろ聞きたいこともあるし」
あー…なんか長くなりそうだ。
あれから半日かけて、チート特典というレアスキルについての詳しい説明と、また、なぜその戦術を取ったか、それにどう対応すべきだったかなどを詳しく話し合っていたら、いつの間にか日が暮れていた。
なんだかんだで俺もこう言うのは嫌いじゃないというか、今まで一人で分析とかしていたのでむしろ楽しかった。
また、なのはさんは流石元教導隊なだけあって、分析してそれの対処を考えていく思考が速かった。
曰く、もっと経験を積むか専用の高性能なデバイスがあればランクに+がつくのではないかということだった。
いろいろとためになった模擬戦だった。
そして夕食を食べて帰ろうということになり、二人で一緒に手をつないで帰ろうとしたところ、
「あれ、なのは?」
「なのはちゃんやないか?」
フェイト・T・ハラオウンと八神はやてに遭遇した。
フェイト・T・ハラオウンはなんというか、金髪のグラマーな美人。それ以外に言葉が浮かばないほど綺麗だった。
八神はやては髪をセミロングに伸ばしているからか大人っぽい…が身長が俺の20cm以上は低く、髪を切ったら女子高生でも通用するんじゃないかと思うくらい童顔だ。もっとも一部がでかいので無理があるだろうが。
「え~と、そちらの人は…」
「あ、私の彼氏、シン・ブリッジス君だよ」
「「…」」
なのはさんの発言に凍る二人。
もう、この先の展開が容易に予想できた。
「「うぇえええ!!!ーーー」」
ものすごい大きい声で驚愕の声を上げた二人。
うん、だと思ったよ。
周囲の人が何事かとこちらを見ていているのを感じながら、俺は上を向いて他人のふりができないかなぁ…と現実逃避したくなった。
「な、なのは?嘘だよね恋人ができたなんて…」
「は、ははは、まったく、なのはちゃん久し振りに会うたからってそないな冗談言わんでも」
「え、本当だよ。付き合い始めてから一か月ほど経ったよ?」
「「…え?」」
「もう、本当だってば。ね、シン君」
「本当ですよ、ハラオウン執務官と八神准将」
ちなみにフェイト・T・ハラオウンは執務官一筋で、八神はやては同年代で最も早く准将に昇進したらしい。
原作の昇進のスピードからすると普通に感じるが、前世というか地球だとありえないよなぁ…どこぞのスーパーコーディネーターなみに意味不明な階級だ。いったいどういう基準で査定とかしてるんだろうか?
謎だ…。
「とりあえず」
「今日は」
「いろいろ」
「話してもらおうやないか」
「えーと…まあ、いいよ」
「あ、はい」
なのはさんもそうだったが、この二人も現実になるととても愉快な人達のようだ。
天才はどこかおかしいところがあるということなのだろう。
「というわけで、私達は付き合うことになったんだよ」
「ま、そういうことです」
あれから、近場のチョイ高めのレストランっぽいファミレスに入り、食事をしながらなのはさんと出会ったときの話をしていた。
「…なんというか」
「なのはちゃんらしいわ…」
「あ、あはは。まあ、そんな出会いだったけど、今はすごい楽しいって思ってるよ」
「それは俺も。ずっと魔法魔法ばっかりでこういうことは初めてだから、毎日が楽しい、充実しているって思う」
こっちを見て微笑むなのはさんを見て俺も同様に微笑んだ。
最近は昔よりも充実してると思うようになった。
ま、出会いはあれだったけど。
「「…」」
((う、うらやましい))
「ず、ずるいよなのは!私達、一生独身でいようって約束したよね!」
「そうや!うちら三人死ぬまで独身でやっていこうって誓ったやないか!?」
「え、えええー、二人とも飲みすぎだよ。そりゃあ私達ずっと恋人できないなぁって悩んで
て、結婚するならみんな一緒にだーって言ったけど、あの時は酔ってたからノーカンだよ」
「そんなこと言って、そんなこと言って…私の処女奪ったくせに!」
「「え」」
「わー!わー!それは共学なのが小学校までだったし、中学卒業して同棲してたから女子高みたいなノリでしちゃっただけなの!時効なの!」
(…この二人そないなことしてたんか…うん、さすがに引くわー)
「あー…まあ初めてがどうとか気にしてないから、大丈夫」
つか出会いがあれだったから、幻滅とかよっぽどのことがなきゃできんし。だから嫌いな癖とかも感じない、何と言うか好感度が極端に下がりにくくなっている感じだ。
なのはさんもおそらく同じようなんだろう。だから遠慮とかせずに話せる。
「あははは……ん、ありがと」
(くぅー!あのなのはちゃんが乙女やん…それに比べて私は……はぁ、ほんまにうらましいわ)
「ずるいよぉ、なのはぁ…私も出会いが欲しいよぉ。エリオはキャロとルーテシアといい雰囲気だし。トーマはリリィと…私だって、私だって、お付き合いしてみたいよぉ…」
うわぁ、フェイトさん(こう呼んでと言われた)ものっそい酔ってる。
昔(前世)を思い出すなぁ…。
まあフォローしとくか。女性をフォローすんのは男の役目だしな、しゃーねーな。
「あー…ほら、フェイトさんは美人ですし、近いうちにいい人が現れますよ」
「ほんと?ほんとにそう思う?」
「本当ですよ。だからそろそろ飲むのをやめましょう。身体に悪いですよ」
「…うん」
なんかナイスバディの美人なのに保護欲が掻き立てられる。やっべーわー。
「はい、水です」
「うん、ありがとう」
ちょびっとずつ水を飲むフェイトさん、なんかあざとい。でも可愛い。
ゃっべーわー、マジやべーわー、フェイトさん(30歳)可愛くてマジやべーわー。ま、俺の恋人の方が可愛いんだけどね。
「そういえばシン君って、どんな子なん?」
「えーと…ね…酔うとちょっと陽気になる子かな?」
「や、そういうことやなくて、職業とか、趣味とか」
「えーと、嘱託魔導師をやってて、趣味は…魔法?で魔導師ランクは総合SSで、私よりも強かったの、だから次は絶対に勝ってやるの」
「あ、ははは」(こりゃあかんわ、もうみんな酔ってるわ)
「最近、母さんがお見合いとか相談してくるの、でも私だって私だって恋愛したいんだ」
「大丈夫大丈夫、マジ大丈夫だから。出会いがなくても大丈夫だから」
「そりゃ、恋人が私よりも強いのってユーノ君みたいなタイプと違ってすっごく話が合うし、なんか他の人と違って壁みたいなものがなくて楽なんだけど、でもでもやっぱり負けるのは悔しいの。でも、目標というか一緒に強くなれるというかそういうの楽しみというか、それに身体の相性とかもかなり…えへへへへ」
(あかーん!こうなれば助っ人召喚、ヴォルケンズや!)
…。
えーと…ここはどこだ?
とりあえず、身を起こして外に出てみる。
「む、起きたか」
ドアの外には犬?狼?がいた。
喋ってるってことは…ああ、使い魔か。
「我が名はザフィーラ、主はやての守護獣だ」
そういや原作でそんな人もいましたね。
「高町、ハラオウンとおまえは、酔いすぎていたので、主はやての家に我らが運んだのだ」
「それは、ご迷惑をかけてすみません」
「よい。皆楽しそうだったからな」
…渋っいわ。この、人?
「主はやてが朝食を作っている、ダイニングルームに行こうか。高町とハラオウンはシグナムが起こしに行っている。紹介は後でしよう」
あ~…ということはヴォルケンズ集合か。
この世界ではどんな風なんだろうか?メシマズの人とかそのままなんだろうか?
ちょっと楽しみになってきた。