魔法熟・・・ゲフンゲフン (習作)   作:you-new

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リンディ編
転生したいなぁ…


 あれは、新暦45年の秋、俺がいつものように日課であるレアスキルの練習をしているときのことだった。

 母親から見合いをすると言われた。

 決定事項なので、断ることは許さない。というかこのまま結婚しろとのことだった。

 

 上流階級の出だし、転生後の両親には教育にお金をかけてもらっているので、仕方なく見合いを受けることにした。

 しかし顔、体系、性格があまりにもあれなら断ろうと思い、見合い相手のデータを見て俺は固まってしまった。

 

 なぜなら見合い相手は、リンディ・ハラオウンという女性だったからだ。

 

 

 

 「…なんでやねん」と突っ込んでしまったのは仕方がない。

 素で突っ込んでしまい両親から怪訝な眼で見られたのも仕方ない。仕方ないと言ったら仕方ないのだ。

 

 

 

 

 

 

 俺は転生者だ。

 前世では、IT関連の仕事、俗に言うSEをやっていた。

 専門学校四年卒だが、同期では一番の出世頭だった。大手の自動車メーカーに常駐し、物流・会計管理のシステムの開発、保守、改修をしていた。

 忙しい時は朝7時には出社し、夜12時に帰ることを数か月続けたこともあったが、残業代などは出ていたので、30歳になる前までは経験を積むためにと無理をしてでも働いた。

 

 趣味はアニメやドラマの鑑賞、ライトノベルから海外のミステリー小説まで活字を追うこと。土日は家から出ることが少ない。仕事で疲れているから。なので、インドアな趣味というほどの趣味ではないが、休日はそれ以外にすることがない。

 

 仕事ではいろいろなことがあった。

 入社から数年経ち、不景気で残業が基本無くなって、少しずつ趣味を増やそうかなと思っていた矢先のことだった。

 上司の配置換えでシステムに障害が起き、新しい上司にその責任を押し付けられてしまった。当然もっと上の役員とかからは庇ってもらえたが、その上司は飽きずにいろいろと蠢動し、会社の雰囲気が最悪になってしまい、何人もの社員が辞めていった。

 それでも俺は会社を辞めずに働いていたが、しだいに精神を病み、鬱になり、事故に遭って死んだ。

 ふらふらと立って電車を待っていた時に後ろから少し押されただけで、線路に倒れていったことを今でも覚えている。

 お約束的に神様に会い、チート特典を貰い、転生、そして紆余曲折を得て、今に至る。

 

 俺が生まれたのはアニメ、リリカルなのはの世界だった。アニメは知らないが、二次小説などを読んだことがある程度には知っていた。

 

 もらった能力は脳量子波を完全に使用できる能力と、生まれつきリンカーコアが二つあり、それを同期・同調させることにより魔力の放出量が二乗化するツインドライブという力、それなんて00という感じだが、神様転生ものの二次小説では普通のことらしい。神様が言っていたので信じた。

 ちなみにFateとかの魔術はこの世界ではゴミクズ同然なのだそうだ。考えてみれば概念とか幻想とかないし、当たり前だ。魔法という体系自体違いすぎるし。

 

 この世界の魔法は数学を基礎とした魔法式と、アストラル器官であるリンカーコアより放出される魔力から成っている。

 魔力を魔法式で加工し、バインドやサーチャー、バリア、シールド、弾丸、集束砲、剣などの形にしたりする。

 俺が得意なのは全てである。

 それなんてチートと思うかもしれないが、基礎能力から底上げされた転生者なので、全部得意だ。これも転生者の常識らしい。深く考えると頭が痛くなってくるので、考えるのはやめた。

 

 デバイスについてだが、普段はストレージデバイスを使用しているが脳量子波使用時は使用しない、というかできない。

 脳量子波による超反射能力、その思考の速度域にデバイスがついてこれない。そんなわけで脳量子波使用時はデバイスを使用せず、自身で魔法式を編み、魔法を発動させている。当然だが、デバイス使用時に比べ圧倒的に発動のスピードは上がっている。

 その上、近接においても、相手の動きを見てから反応・対応できるし、誘導弾など止まって見えるので直射で撃ち抜ける。

 しかも脳量子波をレーダーにすることによって、設置型のバインドの発見、バリアの魔法式を瞬時に解析し、バリアブレイクできたりもする。

 脳量子波はすべての距離での戦闘において有利になるのだ。まさにチートである。

 

 しかし脳量子波にはデメリットもある。

 それは周囲の人間の思考が声となって聞こえてしまうことだ。

 最初に使用したときは心を病むかと思ったほどきつかった。

 俺の家は上流階級の出だったので、そういった人向けの魔法学校に通っていた。

 全ての施設が最新である金持ち用の学校。そこのトレーニング用の施設だったので、周囲に人がいた。

 必死に訓練してる奴ばかりならよかったが、中には友人を格下だと見下していたり、家格が低いのに魔力量が多い奴に嫉妬している奴らがいた。

 醜い生の感情、それだけなら誰でも多かれ少なかれ持っている。しかしそれは他人の心にしか存在しない。だが俺は脳量子波によって、それらを感じ取ってしまった。

 一瞬でストレスがかかり、しばらく自閉症気味になったほどだ。

 今は戦闘中以外には使用しないことにしている。これがオンオフの切り替えができなかったら、自殺していたかもしれない。

 

 これが脳量子波のデメリットその一。

 

 デメリットその二は簡単なことだ、脳量子波を使用すると魔力を消費することだ。それもかなりの量を。

 ツインドライブが7割近く同期できている時なら微々たるものだが、通常の状態では負担になる。継戦能力が7割ほど落ちてしまうのだ。

 それでも使用できるし、ほんの一瞬使用するだけなら負担も少ないので、戦闘の要所要所で使用するようにした。

 

 管理局員にもならず、レアスキルとして登録された二つの能力の訓練ばかりしていたら16歳になってしまった。

 

 そして冒頭の見合いの話が出てきたのだ。

 

 

 

 本当、どうしよう…?


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