俺は今地面に倒れている。
それは使用者の、つまりは俺の命を削る所にある。
本来 [時] というものは人が操れるものではない。
神の領域を踏み荒らす行為とも言えるだろうから軽いほうだとは思うが・・・。
「やっぱりしんどいな」
仰向けに体制を変えながら愚痴をこぼす。
取り敢えずしばらくは動けそうにない。
ないのだが・・・・・・。
「おいおい、マジかよ」
思わずため息が出る。
空のアニマが展開しつつあるのだ。
どうやらあっちの奴らは諦めずに再び起動したらしい。
今の俺はボロボロ、もしかたらと思っていたら案の定だ。
俺の体が吸収され始めている。
先ほどのリサーナ同様光り、浮き上がる。
「どうなんのかなー、俺」
転生して世界が変わったのにまた別世界?
エドラス編スタート?
勘弁してくれよまったく。
・・・・・・というか
流石にそれはマズイよ!?
うわぁあ、スッゲエ怖くなってきた。
何か地獄の門に見えてきたよ。
ふとそう思った時、急にアニマが閉じた。
となると浮いてた俺は急下降、そのまま地面に叩きつけられる。
「へぶっ!?」
ぐああああああ!! き、きく・・・。
ただでさえ
痛みにもがきつつ、ふと顔を上げるとそこには人が立っていた。
「だ、誰だ?」
「・・・・・・・・・」
聞いてみたが返答がない。
とりあえずしっかり観察してみた。
杖を何本も持っている様だが顔を隠しているため男か女かも解らない。
しかし見たことがある。というか知ってる見た目だった。
先ほどあの3人とあったからだろうか、薄くなっていた過去の記憶が刺激されつつあるみたいだ。
俺はこいつを知っている。
しかし・・・・・・
「大きくなったなあ」
「・・・!! 私が解るのか!?」
あ、しまった。声に出てしまったみたいだ。
まあいいか。真偽おりまぜて適当に合わせよう。
「いや、もしかしてと思ってカマかけたんだが・・・・・・。やっぱりそうなのか?」
「・・・・・・不覚。次からは気を付けよう。」
「そうだな。理由は知らんが正体を隠すんならそうしろ」
「相変わらずな物言いだな。・・・・・・アラン」
「そういうお前は少し変わったか?・・・・・・ジェラール」
何とも懐かしい再会である。
色々と話をしたいものだが忘れてはいけない。
俺は現在重傷である。
ジェラールもそれは理解しているようだ。
「話は後だ。まずはお前を運ぼう」
「悪いけど頼むわ」
「任せておけ。おそらくあいつらも同じ所に向かっているはずだ」
「ん?あいつら、知り合いか?」
「ああ・・・同じギルドだ。あまり交流はないがな」
ジェラールが杖を出しながら言う。
魔法なのか俺の体が浮き上がり、歩き出すジェラールに付いて行く。
これなら多少話もできそうだ。
「ギルドねえ。そこでも正体隠してんのか?」
「ああ。悪いが秘密にしてくれ」
「了解。じゃあ目的地についたら後は俺一人でいいぞ」
「すまない」
「いいって。その代わりって訳じゃないが、後で俺の荷物も回収しといてくれないか?今回の依頼品もそこにあってな」
「わかった」
「んー、じゃあ後はガフッ!!」
「あまり喋らない方がいいと思うが・・・」
そんなこんなで多少の雑談を交えながら俺は運ばれた。