さて、受け止めたはいいけどどうするかな。
おそらく二人はミラジェーンとリサーナだろう。だとするとこの獣はエルフマンのはずだ。
あまり傷つけたくはないが対処法がわからない。このまま暴走させておくのも問題だ。
とりあえず距離を取るとしよう。懐に潜り込んで拳を繰り出し、吹き飛ばす。
「よし。とりあえずごぺっ!?」
「テメー、弟に何しやがる!!」
急に殴られた。弟想いも結構だがこれはあんまりじゃないか?
・・・・・・たしかこいつらは似た魔法を使ったはずだ。なら対処法も知っているか?
「弟? じゃあどうすればいんだよ?」
「わかんねえ! わかんねえけど・・・・・・助けてぇんだよ!!」
「うん、助けるんだ! やろうミラ姉」
「よく言った、やるぞリサーナ」
「一度落ち着け。二人共ボロボロだろう、さがってろ」
「うるせぇ!! てめぇには関係ねえ!!」
「もう巻き込まれてんだよ」
「誰も頼んじゃいねえ、だからすっこんでろ!!」
やっぱりミラとリサーナで間違いないようだ。
あの獣もエルフマンみたいだしな。
まあ、それはいいか。今はそれより・・・・・・。
「いいから冷静になれ」
「ぐっ・・・・・・」
落ち着かせるために低い声で威圧感を出してみたが効いたみたいだ。
しかしやりすぎたか?
ミラが黙り込んでしまった。
ミラの肩をつかみ、目を合わせる。
「冷静になれ。あいつを助けたいなら尚更だ」
「で、でも・・・・・・」
「ミラ姉、その人の言うとおりだよ。一旦落ち着こう」
「そうだ。俺にはあいつの状態がわからない。だけどお前らならあいつを救う方法がわかるんじゃないのか? だから助けよう、俺も力を貸してやる」
「・・・・・・多分だけどあいつは今内側の魂に意識を乗っ取られてる」
「だったらその内側の奴を黙らせればいいんだな?」
「理論的にはそうだけどそんなのどうすれば」
「・・・・・・・・・・・・」
・・・アレならいけるか?
わからないが今はそれしか可能性がない。一か八かやってみr。
「・・・がッ!!」
ダメージから回復したヤツが飛び出してきて殴られた。
考え事に集中しすぎていたために反応が一瞬遅れて吹き飛ばされてしまう。
「オイ!!大丈夫か!?」
ガラガラと音を立てて岩が俺を覆っていく。
くそ、ダメージはそんなでもないが頭を打ったようだ。
ふらふらして立ち上がることができない。
その時、俺の耳に静かながらも力強い言葉が響いてきた。
「もうやめよう、エルフ兄ちゃん」