FAIRY TAIL ~妖精の使徒~   作:一時停止

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エルザのターン!!


第十七話

あの後起きた俺はルーシィを抱きしめていた。

俺にとっては特に気にする事でもなかったのだがルーシィにとっては違ったらしい。

しばらくは俺を見ると顔を赤くして逃げていた。

まあそれも1週間経った今では普通に戻ったけどな。

その間にあった会話を簡単にまとめてみよう。

 

「悪いなあんな事して」

「う、ううん。嫌じゃなくてビックリして恥ずかしかっただけで――」

 

「アクエリアスとは知り合いなの?」

「星霊とは殆ど知り合いかなあ。友達ってとこだ」

 

「モニカの本? 確かレビィにあげたなあ、聞いてみたら?」

「ウソ!? 凄い読みたかったんだー、ありがとう!!」

 

「あ、あのね、よければ私も今後は抱き枕に、その、なってもいい・・・・・・かな///」

「マジで!? よろしくー」

 

―――こんな感じか。機嫌が直ったようでよかった。

 

ちなみにこの間は特に仕事はしていない。

え? じゃあ何をしてたかって?

そりゃカナと酒飲んだり、ミラやリサーナと買い物したり、レビィやルーシィと本の話で盛り上がったり、まあ要するに皆と親交を深めていたんだ。いわゆるデートとかかな。

もちろん男性陣との交流もあったぞ。ナツを殴ったり、グレイを蹴ったり、エルフマンを頭突いたり、ロキを絞め落としたり。いわゆる私刑とかかな。

いやアッチから挑んできたんだよ? ・・・・・・半分くらいは。

 

そして、今日もこのギルドは騒がしい。

マスターが定例会でいないから余計・・・・・・いや、いつもこんなもんか。

いつも通りにナツとグレイが喧嘩を始め、ロキがルーシィを口説きだす。

あ、星霊魔道士って事に気づいて逃げてった、――――と思ったら帰ってきたな?

 

「ナツ!! グレイ!! マズイぞ!!」

「「あ?」」

「エルザが帰ってきた!!」

「「あ!!!?」」

 

へ~、帰ってきたんだ。

エルザと会うのは久しぶりだなぁ。

周りはどうも慌てている様だが。

 

「マジかよ、帰ってきたのか!?」

「俺たちの平穏がぁ~!!」

「怪物の襲来だー!!」

 

何とも言いたい放題である。

そんな中、まだエルザに会った事のないルーシィは皆のリアクションに疑問を感じているようだ。

恐らく他に聞いても要領を得ないと思ったのだろう。

何時も通りに振舞う俺に質問してきた。

 

「どんな人なの? そのエルザって人」

「ちょっと天然な所がある素直な女の娘」 ピタァッ!!

 

周りで騒いでいた奴らが一斉に視線を寄越してきた。

 

「その[何言ってんだこのバカは!?]みたいな顔やめてくんねーかな」

「いやいやいやいや、その通りだこのバカ!!」

「あんな怪物捕まえてアホかテメーは!?」

「あれは女じゃねぇ!! メスだ!!」

 

いやホントに言いすぎじゃね?

俺間違ったこと言ったか?

しかし奴らの勢いは留まらず未だにアホだ、バカだと罵倒してくる。

うん、ちょっとムカついてきた。

 

「よしわかった!! 覚悟しろお前ら!!」

「あ? 何言ってんだバカ!!」

「黙ってろやアホ!!」

「今各々が言ってた言葉を全てエルザに伝える!!」

『スイマセンでしたーー!!!!』

 

などとアホなやり取りをしている内に噂の人物が姿を現した。

そしてそのまま説教タイムに突入!!

グルッと見回して目に付いた人物に注意、注意、注意。

そして一通り言い終わったあとに再び口を開いた。

 

「アランはいるか? 緊急の話があるのだが」

「おう、こっちだ。おかえりエルザ」

「ただいまアラン。よかった、帰ってきてたか」 

 

そのままこちらに近づいてきて俺の頭に手を回し―――

 

「ストップ」

「な、何故だアラン。もしや私の事が嫌いに!?」

「違う。抱き寄せる時は鎧をやめろって言ったろ、痛えんだから」

「そ、そうか。よかった」

 

そう言うとエルザは私服へと換装し、改めて俺を抱き寄せた。

うむ、いい感触だ。胸に顔をうずめる形になっており、実に心地いい。

しかしそこでミラとリサーナの抗議の声が上がる。

 

「ちょっとエルザ、いつまでそうやってるの!?」

「そうだよ、緊急の話があるんでしょ!?」

「ふむ、そうだったな。では話そう」

「「そのまま!?」」

 

どうやら離すつもりは無いようだ。

まあ俺は別に構わないが、周りの視線が少し鋭くなってきたな。

そんな事に気付く様子もなくエルザは話し始めた。

 

「実は仕事先で厄介な話を耳にした。マスターに判断を仰ぎたいが不在なのでな。早期解決が望ましいと思われるので力を貸して欲しい」

「ん、別にいいぞ。だが俺1人でいいのか?」

「私達2人で十分だと思うが、ダメか?」

「ダメって訳じゃないが万全を期すべきかと思ってな。まあ詳しい状況を知ってるのはお前だけだからな。お前がそれでいいと言うならそれでいい」

「・・・・・・そうだな、その通りだ。ナツ、グレイ、お前たちもついて来てくれ」

「「ああ!!??」」

 

エルザの言葉に周りがざわつく。

ミラなんか最強チームとか言ってる。

まあ、間違ってはいないと思う。

最強の問題児チームだと言えるだろうし。

いや、俺はまともだよ?

むしろ暴走する馬鹿どもを止める側だもん。

俺のカバーがあっても被害出すだろうなぁコレは。

 

「詳しくは明日、移動中に話す」

 

そう言ってエルザはギルドを出て行く・・・・・・何故か俺を引きずりながら。

 

「何で俺も?」

「久しぶりの再会だからな。付き合ってもらうぞ」

「ま、いいけど。」

 

 

そしてそのまま2人はギルドを後にした。

しばらくして唖然としていた皆が覚醒した時に女性陣が『ああー!! 抜けがけ――!!』と叫んだことを彼らは知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、移動した先が―――

 

「何で俺の家?」

「いいじゃないか。」

 

ちなみに俺の家は借家ではない。

仕事でいない時も多くて毎月家賃を払うのは手間だったので、金もあったし思い切って一軒家を買ってしまったのだ。

独り身には少々広めの家だが問題はない。

というか徐々に女性陣の私物が増えてきてる気がするんだがな。

べッドも皆に言われて寝室の大部分を占めるような大きさのモノを改めて購入した(一度換装で異空間に入れてから部屋に入って出した)。

うん、そうだよ? 結構皆が泊まりに来るよ。

こんだけ大きいと掃除も大変だと思うが実はハウスキーパーの様な事をしてくれるヤツがいる。

そういう仕事が好きで進んでやってくれるのだ。他の家にも行ってるからいつでもって訳ではないがそれでも大変助かっている。

そいつにも偶に迫られてるんだけどな・・・・・・。

とまあ俺の家についてはこれくらいにしてそろそろ中に入るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだアラン?」

「エルザ・・・・・・、まさかこんなにうまくなっているなんて」

 

思わず声を漏らしてしまう。

いくらなんでも短期間で上達しすぎだろう。

まさかここまでのテクニックを身に着けるとは。

 

「ふふっ。自分で言うのもなんだが、なかなかだろう?」

 

エルザが妖しく微笑む。

いつもの凛とした表情とのギャップがまたたまらない。

 

「ああ、最高だエルザ」

「そう言ってもらうと私も頑張った甲斐があるというものだ」

 

いや、本当にすごいよ。

ミラやリサーナにも負けてないんじゃないか?

 

「まだまだいけるだろう?」

「ああ、頼む」

「まかせろ」

 

 

 

――――そうしてエルザは俺の茶碗を持ってキッチンと消えていった。

まあ、すぐ戻ってきたんだけどな。

そして俺は食事を再開する。

 

「しかし本当に上達したなあ」

「ああ、私も皆に負けていられないからな。花嫁修行の一環みたいなものだ」

「そうか」

「・・・・・・相変わらずだなお前は」

 

そして俺たちは食事を終えた。

 

「ふう。美味かったぜエルザ」

「次はもっと上手くなっているからな。期待しておくといい」

 

ソファーへと移動してゆったりとした時間がしばらくの間流れる。

もう時刻は夕暮れ。特にやる事もないな。本でも読むか。

そこへ洗い物をしてくれていたエルザがやってきた。

 

「本を読んでいたのか?」

「ああ。といっても俺の研究書だがな」

「ふむ。見てもいいか?」

「いいぞ。理解できるかは保証せんが」

 

その言葉を聞いてエルザは積んであった本を1冊手に取る。

そしてパラパラと中身を確認していくがどうやら、というよりやはり理解はできないようだ。

美しい顔が徐々にしかめ面へと変わっていく。

 

「やっぱり無理だったか」

「ああ。私にはとても理解できない。やはり向いていないようだ」

「気にすることはない。俺は魔道士でありながら科学者だからな。それなりに複雑な研究もしているさ」

「ふむ。しかし意外だな。研究書とはこんなに簡単に読めていいのか? 他の人に読まれないように厳重に保護をするイメージだったのだが。確かに内容は解らなかったが読むことができたぞ?」

「そうだな。勿論俺もそういった対応はしてあるぞ。エルザには発動してないが」

「む、そうなのか? 流石にそれは聞くわけにはいかんだろうな」

「まあ3つの内2つなら教えてもいいぞ」

「いくら何でもそれはマズイだろう」

「いんだよ。ある意味それで当然だからな」

「?」

 

解ってないみたいだな。

まあそれも当然か。

 

「いいから聞いてくれ」

「・・・・・・わかった。聞かせてくれ」

「1つ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の人間であること」

「ふむ」

 

まあギルドの仲間ってだけで見せることも叶わないが。

それが2つめの――――

 

「2つ。俺が信頼している人物である事」

「む、むう///」

 

エルザが赤くなる。

内容を聞いて自分が信頼されている事を自覚したんだろう。

しかしこの反応、まったくかわいいヤツめ。

 

「な? この理由なら教えるのも当然だろ?」

「そうだな。――ありがとう///」

「おう。 まあ3つめは科学者の性として秘密にさせてもらうがな」

「いや十分だ」

「まあ解除魔法(ディスペル)などで解くか、俺が例外的に許可をしない限りはこの3つの条件を満たさなければ俺の研究書は読めないって訳だ」

 

さて、今日はこのくらいにして風呂でも入るかな。

明日はハードな仕事になりそうだし早めに休むのも悪くない。

立ち上がろうとしたその時にエルザが隣に座り、しなだれかかってきた。

 

「どした?」

「察しろ」

「まあいいが。仕事の話でもするか?」

「それは明日ナツたちと一緒に説明する。少しの間こうさせてくれ」

「風呂に入ろうと思ったんだが」

「む、そうか。じゃあ一緒に入るか」

「オイオイ、明日は仕事だぜ?」

「わかっている。そういう事はまた今度に取っておくさ。・・・・・・不本意だがな(ぼそっ)」

 

まったく・・・・・・、聞こえてるっつーの。

でも正直俺も同じ気持ちだ。

エルザとあったのは久々だからな、仕方ないことだろう

まあ今回は我慢しよう。またの機会を待つとするさ。

 

「そうか。じゃあ風呂いくか」

「ああ」

 

その後、俺たちは風呂に入って眠りについた。

ん? 勿論一緒に寝たが何か問題でも?

それに先ほど述べた通り、過ぎた真似はしてない。

まあ、ちょっとしたふれあいというか交流というかスキンシップというかそんなのは少々あったと言えなくもないが・・・・・・ここでは詳細を伏せさせていただこう。

 

 

 




アランは魔道士でありながら科学者でもある。
クロス元帥の感覚で捉えてもらえればOKです。
まあ今後のご都合主義の伏線という感じですかね~。

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