FAIRY TAIL ~妖精の使徒~   作:一時停止

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ついに原作突入です。


原作突入
第十四話


俺が妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入っておよそ2年の月日が流れた。

この2年間はこれまで以上に修行に打ち込んだ。

リサーナを完璧に助けれなかったことやラクサスとの勝負。

それらの事が俺を修業に集中させたのだろう。

灰色ノ聖櫃(グレイアーク)(リンに貰った本をそう名付けた)を読み込み、試していなかった事も一通り試した。

 

そして俺はS級魔道士になった。

今もS級依頼の帰りでハルジオンの港に来ている。

そこで妙な噂を聞いた。魔道士が何やら悪事を働いているらしい。

依頼ではないので解決する義務はないが、まあついでだ。

とりあえずそいつらの目的の把握と必要ならば殲滅、それが今の目的。

情報収集の結果、どうやら噂は黒のようだ。

今夜に行われる船上パーティで何か起きそうだ。

こっそりと忍び込んでみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり、船が出港してから約30分。

警備は思ったより雑でスムーズに仕事が進められている。

一通り船内を見回ってみたが、集められたのは若い女の子たち。

意識はあるようだが様子が変だ。おそらく魔法、症状からして魅力(チャーム)だろう。

この後の動きを考えていると近くの船室から声が聞こえた。

覗いてみると都合よく今回の容疑者が集まっているようだった。

そしてその中に奴らの味方とは思えない金髪の少女がいた。

何故味方じゃないとわかるか?

複数人で押さえつけられており、そのうえ涙を浮かべているヤツが仲間とはおもわないだろう?

それに、見たことがある。今では大分薄れてしまった前世の記憶。それが刺激された。

ボスであろう男が熱された鉄を少女に押し付けようとする。

仕方ねえ、行きますか。

 

「そこまでだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故こうなってしまったのだろう。

私はただ自由になりたかっただけなのに。

だからこそあの窮屈な家を飛び出した。

ママや屋敷の皆との別れは寂しかったがそれでも追い求めた。

出来る事なら魔道士ギルドに、憧れの妖精の尾(フェアリーテイル)に入りたい。そう思ってた。

たまたま妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、それも有名な火竜(サラマンダー)を名乗る人物に出会った。

正直に言って、いけ好かない人物だった。

でもこれで私も妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入れると思ったら我慢できた。

しかし、それは罠だった。私に知らされたのは他国への奴隷の道。

悔しかった。涙が溢れた。こんな奴らに夢を汚された。

彼のいるギルドがこんなのだったなんて。

信じたくない、でも・・・

これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士か。最低だ!!

ヤツが奴隷の烙印を押そうとしてくる。

ああ、もうだめなのかな。そんな考えがよぎった時だった。

 

「そこまでだ」

 

静かに、そしてどこか力強さを感じる声が聞こえてきた。

相手のボスが驚いたような顔をする。

私を押さえつけていた連中も同じ気持ちなのか拘束が少しゆるんだ。

しかし、抜け出すことはできない。

仕方なく私も顔だけで声の主を確認する。

そしてひどく驚いた。そこにいたのは私の憧れの人物だった。

色々と伝えたいことがあったはずなのにあまりの事に声が出ない。

すると次の瞬間、いきなり彼が消えた。いや、消えたように見えた。

彼は一瞬で私の目の前に現れた。よく見ると私の周りにいた奴らが気絶している。

まさかあの一瞬で!? 全然見えなかった。

彼は此方に一度視線を向けると、敵へと向き直る。

するとアチラも気を持ち直したのか彼に向かって話し始めた。

 

「何者だ、きみぃ? 勝手に人の船に乗っちゃダメじゃないか」

「そりゃ悪かったな。てっきりこの船で悪事が行われると思ったもんで」

「そりゃあいいがかりだ。僕はただパーティを開いただけだよ?」

「な、何を言ってんのよアンタ!! 奴隷船だってさっき・・・・・・」

「ん~? もしかしてまだ酔ってるのかな? まったくしょうがないなぁ」

「なっ!?」

 

思わず声が止まってしまった。なんて言い草だ。

しかし彼は大丈夫だというようにコチラを見てまたもやアイツに向き直る。

 

「下手な嘘を言ってもらってなんだが、さっきの話は聞いていた。それに使用禁止となっている魅力(チャーム)の魔法も使用しているようだしな。他にも聞きたいことがいくつかある。おとなしくしてもらおうか」

「嫌だといったら?」

「力づくで」

「はっはっは。力づく? どうやら僕を知らないようだね。僕は妖精の尻尾(フェアリーテイル)火竜(サラマンダー)だよ? そこらの魔道士が勝てると思っているのかい?」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)ねぇ・・・」

 

そうだ。彼なら妖精の尾(フェアリーテイル)をよく知っているはず。

同じギルドのはずなのに相手は知らない様子。何かがおかしい?

そう思っていた所に新たな乱入者が現れた。

 

バキィッ!!!!

 

船の天井をぶち破って少し前に知り合った少年、ナツが現れた。

 

「き、気持ち悪い・・・。や、やっぱダメだ」

 

と思ったらダウンしてしまった。

一体どういう事なのだろうか。

彼がナツを一瞥したあとに上を見上げる。

私もつられて見てみると、穴の向こう側に青猫、ナツと一緒にいたハッピーが空を飛んでいた。彼は驚いた様子もなく、ごく普通に話しかける。

 

「ようハッピー。何やってんだ?」

「ちょっとね。アランこそ何やってんの?」

「仕事帰りだ。ま、丁度いい。この娘頼む」

「あい」

 

そんなやり取りをしてると思ったらハッピーに持ち上げられて私は空に向かった。

突然の事に驚くが、慌ててハッピーに伝える。

 

「ちょっと待ってハッピー!! あの二人は!?」

「一人しか無理。それにあの二人ならあの程度問題ないからね」

「なにを言って――」

「それより、ルーシィ」

「何よ!?」

「羽消えた」

「くそネコーーー!!」

 

私たちは海へと落下した。

 


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