FAIRY TAIL ~妖精の使徒~   作:一時停止

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第八話

「・・・・・・・・・・・・」

 

目が覚めるとそこは知らない天井。

ゆっくりと体を起こすが体全体がとてつもなくだるい。

こりゃしばらくかかるかなあ、などとぼんやりと考えていると声がかけられた。

 

「目が覚めたかい」

 

視線を向けるとそこには一人の老婆がいた。

 

「あんたは?」

「私はポーリュシカ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の専属薬剤師さね」

 

そして、ちょっと待ってなと言って部屋から出ていってしまった。

ふむ。あのあと倒れた俺はそのまま治療されたってわけか?

色々と確認したいがどうしようもないな。

とりあえずポーリュシカさんが帰ってくるのを待つか、と考えたところでちょうど帰ってきた。・・・・・・早かったな。

その後ろには小さいじいさんがついてきていた。

確かあの時に回りをおさえてた人だな。

 

「目が覚めたそうじゃな。調子はどうじゃ?」

「ぼちぼちですかね。痛みはないですが・・・・・・」

「そうかそうか」

「ところであなたは?もしかして妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士ですか?」

「うむ。マスターをしているマカロフ=ドレアーじゃ。よろしくのう」

 

そういって手をニュっと伸ばしてきた(リアルに長さが伸びた)のでこちらも手をだして握手と自己紹介をする。

 

「話はあいつらから聞いた。家族(ガキども)を助けてくれて心より感謝する」

「いえ、たまたま近くにいただけですから」

「むう。しっかりしとるのう、うちの奴らに見習わせたいくらいじゃ」

「ネコ被っているだけですよ。ホントの俺は黒いですよ」

「ますます面白い」

 

と、そこまで話した所で新たな人物が2人現れた。

とはいっても見覚えがある。倒れる寸前に相対してた奴らだ。

 

「よう、邪魔するぜ」

「目が覚めたってな」

「マカオにワカバか、どうした?」

「いや、その・・・」

「なんというか・・・・・・」

 

二人してどことなく歯切れが悪い。

俺とマカロフさんが揃って首を傾げた時だった。

二人が凄い勢いで頭を下げた。

 

「「スマン!!」」

「えっと、何が?」

 

俺にはよくわからない。

マカロフさんに視線を向けるがニッコリ笑うだけで答えてはくれない。

とりあえず話を聞いてみると・・・・・・。

 

「つまり仲間を助けてくれた恩人(俺)に攻撃しようとした事に対する謝罪と、改めて感謝をって事ですか?」

「そのとおりだ」

「俺らが最初に疑ったから他の奴らもつられちまったんだ。本当にスマネェ」

 

なるほどそういう事か。だとしたら俺の答えは決まっている。

 

「頭を上げてください、俺は気にしていませんから」

「で、でもよう」

 

どうも煮え切らないな。仕方ない、少し本音で話すか。

 

「仲間が危険な時に知らないヤツが現れたら警戒するのが普通だ。率先して動いたお前らを評価こそすれ、恨みなどしねえよ」

「お、お前」

「それに過ちと認めてすぐさま謝りに来たんだろ。それは当たり前のように思えて中々できることじゃねえ。年長者なら特にな」

 

最後の部分は冗談めかしてニヤッとしながら言ってやった。

口調の変化に多少驚いたようだが、理解はしてくれた様で頭を上げてくれた。

ただマカロフがニヤニヤしてるのは少しイラッとする。

話を進めようと思ったがここでポーリュシカさんからストップがかかった。

 

「そこらへんにしときな、怪我はまだ完治してないんだ。マカロフ、あんたも少しは気を使いな」

「おお、スマン」

「俺なら平気ですよ」

「3日も眠り続けた人間が何言ってんだい」

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

今なんて・・・? 3日って言った?

 

「冗談ですよね?」

「いや、本当じゃよ」

 

マカロフまでそんな事を言うので、俺は目の前の二人に視線を向ける。

すると二人は戸惑ったように小さく、しかし確実に頷いた。

あれから3日ということは、仕事の期限を過ぎたということだ。

 

「マジか・・・。」

「おいおい」

「どうしたってんだ」

 

ズーンと落ち込んだ俺を見て二人が慌てている。

俺はこのザマだししょうが無い

 

「悪いけど、一つ頼まれてくれないか」

「お、おう。何だ?」

 

近くに置いてあった俺の荷物から依頼品とある封筒を取り出す。

 

「これは俺が受けている依頼の品でな。この街の雑貨屋に届けるために向かっていたんだ。俺が3日間寝てたということは期日は昨日だ。だからこの品と依頼主に貰っていた前金を雑貨屋に届けてくれないか?勿論俺も後日正式に謝罪に行く」

「わかった、まかせろ」

「でもよう、前金は別にいいんじゃねえのか? 遅れも一日だし貰っちまったらどうだ? 仕事のルール上も特に問題ないんだろ?」

「ケジメだ。俺のプライドの問題だからいいんだよ」

 

その言葉を聞くと二人はもう何も言わずに出ていった。

さて、まだ疲れてるしもう一度寝ようかと思ったが、もう一個用事があったのでついでに済ましておこう。

 

「マカロフさん」

「んー?」

「これ、ギルダーツからあなた宛への手紙です」

「!! あやつに会ったのか!?」

「え、ええ。」

「マカロフ!! いい加減出て行きな!! 患者の前で騒ぐんじゃないよ!!」

「おお、すまぬ。また来るわい」

 

そんなやり取りを経てマカロフさんも出て行った。

今度こそ寝ようとして体を倒す。

ポーリュシカさんもそんな様子をみて出ていこうとするが一つ聞きたいことがあった。

 

「ポーリュシカさん」

「なんだい?」

「リサーナはどうしたんですか?」

「あの子は昨日で完治したから出て行ったよ」

 

そう言ってそのまま出て行ってしまった。

しかし、その時見えた影のある表情が気になって、俺は中々眠ることができなかった。

 

 

 


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