バカとテストと召喚獣 ~The if or true story~ 作:天沙龍月
それが嫌だ!という方やバカテスじゃないなら嫌だ!!という方はちょっとだけ読んですぐに次の話に飛んで頂いても結構です!作者もちょっとやり過ぎた感が半端ないです!
……でも読んで欲しいんですよね~。本音を言うと。
では本編をどうぞ!
レビウスside
屋敷の皆が寝静まった後、俺は部屋から出る。大体2時くらいだろうか。植物や動物たちも寝ているだろう時刻だ。何故俺がこんな時間に部屋を出ているかと言うと、ある人物に会うためだ。屋敷から出て屋敷の近くの森に向かい、少しだけ開けた所に出る。さてと、
「……時系列確認。……ダイバージェント確認。……時空座標確定。……目標パラレルワールドの座標確定。……これで大丈夫っと。」
あぁ、皆には何をやっているか分からないか。今はね、この世界の位置を確認して、目標の世界の位置を見つけているんだ。まぁ、簡単に言うと別の平行世界へ移動するための下準備かな。そんな事出来っこないって?それは君たちがまだ3次元の中にしか存在を確認出来ないからだよ。まぁ、今からする事は人間にはまだ出来ない芸当だけど。さぁて、ここからが本番だ。俺は小さな黒い仮面の様な物ラグナデバイザーを取り出し、ラグナデバイザーの両端を押す。そして、
「……ラグナリオン。」
と呟く。するとその仮面の両目が蒼く光輝き、そして、
「……LIMITED LAGUNARION A WAKING」
という低い機械音が聞こえる。そのラグナデバイザーを右手に持ち、体の前で左から右に振る。すると俺を中心に黒色の竜巻と蒼色の雷が起こり、空まで届き雲を晴らす。その竜巻と雷は少しの間吹き荒れてすぐに止んだ。しかし、そこにはもう俺の姿は無かった。そこには全身が黒く鋭利なデザインで、所々蒼く発光している騎士。そして顔にはさっきのラグナデバイザーと似た仮面が両目が蒼く光輝いた状態で装着されている。これが、ラグナリオン。破世の力を持つラグナリウスの武器。限定的ではあるが力は引き出させている様だ。
「……時空座標、目標パラレルワールドの座標ともにリンク完了。time shift level2。別平行世界への移動を開始。」
「…yeser time shift level2 parallelworld jump start」
また低い機械音が聞こえ、俺の体の周りに時空の歪みと世界線の歪みが出てくる。言っておくと俺は一応人間は越えている。3次元体ではなく5次元体として存在するため平行世界や時空を越える事が出来る。まぁ、ラグナリオンの力を借りなければならないし、今は操る時間が制限されている。
今から行く世界は前に救った事のある世界だ。その世界では神と人間が遍在している。まぁ、そのせいで問題もあるんだが、大きな問題は前に解決したため小さい問題しかないと思う。その大きな問題というのも俺のせいで起きた事とも言えるのだが……。
今回会うのはこの世界の住人だ。最初は可愛い可愛い俺の子孫だったが、天孫降臨等のせいで神としての存在をなくして今は人間とともに生きることを選んだ逞しい娘だ。お!見えてきた。天沼矛町(あめのぬぼこちょう)だ。こちらに来る時に時間を進めて朝にしておいて正解だった。町の全体が見渡せる丘に座標を合わせていたから
。それにしても……
「……変わったなぁ、この世界も。」
「そうか?そんなに変わらないと思うが……」
「え?」
「ん?どうした、龍星?」
すぐ隣で柵に寄りかかりゲームをしながらこっちに合いの手をする、赤いサイドポニーで白衣の幼女、邪神つるぎがいた。え?何で?俺何も連絡とかしてないよね?何で居るの?
「ほら、早くラグナリオンを解除しろよ?人に見られるぞ?」
「そうだった。ってだから!何でつるぎ居るの!?」
ラグナリオンを解除しないと人に見られる。まだ力が戻らないから人の記憶に残らないように出来ないからだ。ラグナリオンを解除してつるぎに問いただす。つるぎはゲームをやめ俺に抱きつきながら、
「いや~。そろそろ龍星がこのつるぎちゃんに会いたい!って思っているかなぁと思って。つい、メンゴメンゴ♪」
「……本当は?」
「……空間の歪みが出来ていたから見に来たんです。ウソついてごめんなさい。本当悪かったと思ってる。」
そう言いながら抱きつくのをやめ、とても綺麗な土下座してくるつるぎ。全く……
「まぁ、良いよ。」
「ホントか!?龍星はこれだから大好きだぜ♪」
「何でこっちに来たか分かる?」
また、抱きついた。調子良い奴め。この娘が俺の代わりとして来て貰おうと思っている助っ人。この娘の他にも頼みたい娘はいるんだけど……。
「なにかあったのか?違う世界で。」
「まぁ、そんな感じ。つるぎたちに頼みたい事があるんだけど。」
「たち?ってことは他にも誰かに頼むのか?」
「一応かがみとたまにも頼もうかと思ってる。」
流石つるぎ、話が分かってる。かがみとたまというのは、つるぎの一応姉妹ってことになってる少女たち。つるぎだけでも戦力としては申し分無い。だけど、つるぎ一人を来させても性格的に凛花たちに何するかわからないし、保険としてね。
「て事は結構な案件か?」
「まぁ、そうだね。予断を許さない感じかな。」
「分かった。で?力はどんな感じだ?」
「まだ万全ではないかな?ラグも目覚めてないし。」
そうなんだよなぁ。何とかしなきゃいけないとダメなんだが……ラグは待つしかないし力は……
「まぁ、気長にな。せっかくの不老なんだ。人生楽しめよ?」
「ありがとう、つるぎ。いや、今のはアマテラスとしての言葉かい?」
「どっちもだよ。それにお前が居なきゃあの人たちも悲しむ。あたしたちもな?」
つるぎの掴む力が強くなる。それはちゃんと……
「わかっているよ。つるぎ、愛してる。」
「それはわかっているよ。だから……ん。」
つるぎが唇を突きだす。その行為の意味を理解し口付けをする。軽い口付けではなく、もっと濃厚な物だ。
「ぷはぁ……まぁ、あの人たちには届かないが。」
「ごめんね、彼女たちが一番だから。それでも愛してくれるつるぎも大好きだよ。さぁ、行こうか?」
「あ、あぁ。」
さっきの話を聞いて顔を真っ赤に染めているつるぎを連れて歩き出す。向かうはつるぎが住んでいるアパート。
「そういえば日留女はどうなった?」
「あーあいつはヴィシュヌの中で眠ってる。鎖々美たちも今は普通に学校に通ってる。アラハバキも今は壊滅状態だ。他の神々も今は落ち着いている。平和だよ、この世界は。」
「そうか。」
あの後も世界は安定しているようだ。よかった。
「お前はまだ神になるつもりはないのか?」
「そうだね、まだなるつもりは無いさ。まだ目的は達成してないし、彼女たちにもまだ合わせる顔がないよ。」
そう、俺はまだ神にはならない。俺が起こした問題をすべて解決しないといけないし。師匠との約束もまだ果たせていない。こんな状態で神になっても前の二の舞になるだけだ。
自分たちの近況を話しているとアパートの一室に着いた。
「かがみやたまはまだ寝てるかもな。あたししかこんな時間に起きる奴はいねぇよ。」
「そうだろうね。ちょっとゆっくりさせてもらうよ。」
「あぁ、そうしてくれ。さぁて、」
つるぎは俺をベットまで連れてくる。まさか……
「邪魔物はいねぇ。やるか?」
「いやいや、やる勇気ないでしょ?」
「それはどうだろうな?にしし♪」
つるぎ……お前、誘ってるのか?俺はどっちでもいいけど。俺はつるぎを押し倒す。つるぎはびっくりした表情をしていた。これはその気はないが、俺をからかおうとしたのかな?
「ふぇ!?りゅ、龍星!?ちょっと……」
「全くその気がないなら誘わない。いいね?」
「う、うん……。」
俺だってその気があるなら襲ってるさ、俺は聖人とかじゃないし。つるぎを抱きしめベットに寝る。つるぎっていつも自分が押す側たから押される側になると対処出来ないんだ。可愛いだろ?
あぁ、つるぎの温もりが俺を安心させてくれるなぁ……。今は安心して寝れそうだ。そして数分もしない内に俺はすぐ寝てしまった。
「お、おい!龍星?なぁ、離してくれよ……全くしょうがないやつだな♪」
つるぎが満更でもないような顔をしてると知らずに。
「一体何をしているのですか~!」
その後、起きたかがみにめっちゃ怒られました……。
「久しぶりだね、かがみ。」
「ご、ごめんって!つい、出来心だったんだって!許してくれよ~!でも、こんなプレイも良いかも♪ハァハァ」
俺は普通に挨拶し、つるぎは全力で土下座してかがみに謝っている途中で息を荒げ始めた。変態か。
高校生の妹に本気の土下座をする幼女の姉って何か見ていてシュールだ。
邪神かがみ。黒髪のショートカットでいつも気だるげな雰囲気の少女。高校の制服が良く似合っているが前に会った時より大人の女性としての落ち着いた雰囲気を放っていた。
「お久しぶりなのです、龍星君。……姉さん、何で夜中部屋から抜け出してどこかに行ったと思ったら龍星君が居るのですか?そして、何故一緒に寝てるのです?」
「いやぁ、言ってなかったっけか?空間の歪みを見つけたから、調査してくるって。その歪みがあった所に龍星が居たんだよ。話を聞くとあたしたちに用があるらしいから連れてきた。そして、龍星が疲れた様だからベットで寝ていたんだ。」
つるぎが上手く理由を説明する。かがみは納得しそうになる。よし、ここで爆弾投下!
「まぁ、つるぎがベットで誘ってきたんだけど。それで俺は抗えなくて……」
「な、龍星!おま「姉さん……一体どういう事ですか?」ごめんなさいごめんなさい!あたしが悪かったって!許して~!」
かがみの顔が怖くて見れない……フッフッフ……つるぎ、これが報いだ!
それから小一時間つるぎは説教を受けた。つるぎは終始涙目だった。こりゃあ、後で逆襲されそうだな。気を付けよ。
それは置いといてかがみとたまに事情を説明し、協力して貰う事にした。
「事情は分かりました。それで私たちは何をすれば良いのですか?」
「ある人たちの護衛と監視を頼みたいんだ、明日から2、3日。」
「明日からですか……。ちょっと辛いかもなのです。私は鎖々美さんたちの護衛をしなくてはならないのです。」
「私もダメだお。希美ちゃんたちと遊ばないといけないんだお~。」
「あたしは大丈夫だが……どうする?もっと他に誰か連れて行くのか?」
やっぱりか、そうだよなぁ予定も何も聞かないでくればこうなると思っていたんだが……。
かがみの役目は大事だし、たまは下手に機嫌を損ねて暴走されても困る……。他に連れて行くって言っても今すぐ動けそうな人はいないよな。最悪、つるぎだけ連れていくか。
あぁ、さっきのだおだおちゃんは邪神たま。小学生なのに高身長、巨乳という大人な体を持つ邪神三姉妹の末っ子。
「いや、つるぎだけを連れて行こうかな?だけど、条件がある。」
「あぁ、いいぜ。何だ?」
「俺の養子や使用人にちょっかい出さないで。これさえ守れば良いよ。」
「分かった。だがこっちからも条件、あっちに行ってからデート3回だ。せっかく人が親切に異世界に行くんだ、これぐらい良いだろ?」
「あぁ、良いけど、三回だけで良いの?」
「何?もっと良いのか!?だったら5回だ。」
「良いよ。」
「よっしゃあ!」
それぐらいなら安い物だ。つるぎは結構嬉しかったようでガッツポーズを決めている。さてと、
「じゃあ、そういう事で。行こうか、つるぎ。」
「あぁ。って鎖々美たちには会っていかないのか?あいつらもお前に会いたがってるぞ?」
つるぎに声をかけ、手を繋ぐ。つるぎの言っている事も分かるんだけど、今は急がないとね。部屋から出ながらその答えを話そう。
「いや、もう時間が結構過ぎているからね。もうちょっとここに留まると移動してきた時間に戻れなくなるから、つるぎを送ってくる時にでもゆっくり会うよ。」
「そうですか。それは楽しみに待っています。では。」
「まったね~!龍星~!」
かがみとたまが送り出してくれる。短い間ではあったけどかがみたちにも会えて良かった。
さっきの補足として何故時間に戻れなくなるというと、俺が時間が操る事ができるのが現在の時間の前後6時間だからだ。それを過ぎると1時間毎に10分、現在の時間に加算される。だからなるべく時間を加算しないようにしている。
それに時間を加算されると滅茶苦茶疲れるのだ。それこそ1日動けないぐらいに、だからそれを避けるためにも時間をちゃんど守るようにしている。
部屋から出たその足でさっきの丘までやって来る。さてと、
「つるぎ、準備は良いかい?」
「あぁ、いつでもいいぜ。」
それじゃあ、遠慮無く。時空座標と目標パラレルワールドの確認を終わる。後は先程と同じようにラグナデバイザーを構え、両端を押し込む。そして、
「……ラグナリオン。」
「……LIMITED LAGUNAION A WAKING」
同じ過程を経てラグナリオンになる。
「……時空座標、目標パラレルワールドの座標ともにリンク完了。time shift level2。別平行世界への移動を開始。」
「…yeser time shift level2 parallelworld jump start」
そして、つるぎを連れて元の世界へと戻る。さっきまでの天沼矛町とは違い、暗い夜のとばりが落ちた森に出た。ラグナリオンを解除してっと。
「ほぉ~。ここが今お前が介入してる世界か。何か面白そうだな♪」
「この世界は文月学園っていう学園があって、そこが今回の頼みの護衛が通ってる高校だよ。そこのシステムが面白いんだ。」
つるぎが辺りを見回し、この世界の状況を俺が事細かく話す。春とはいえ肌寒いな。
「俺の屋敷がすぐ近くにあるから、そこを拠点にしてね。今案内するから。」
「あぁ、分かった。で?やって良いのか?」
「うん。だけど程々にね。」
つるぎが今言ったやるっていうのは別に卑猥な意味じゃない。つるぎがこの世界に留まる為の改変の事だ。そうしないとつるぎはこの世界に留まる事が出来ない。
「よし、OKだな。」
「じゃあ、屋敷に行こうか。」
「分かった。」
世界が確実が変わった。少しだが……。俺はつるぎの手を取り屋敷へ向かう。そろそろつるぎも体が冷えて来ただろうからね。
「お帰りなさいませ、レビウス様。そちらの方は?」
屋敷に向かうとディルが迎えてくれた。話を聞くと俺が何も言わずに外に出たため、目が覚めたのだという。
「あぁ、紹介するね。この娘は邪神つるぎ、今日から3、4日ここに居てもらうからそのつもりで。でこちらは屋敷の家事等をやってもらっているディル、ディルシウス・レスト。」
「あぁ、よろしく頼むな、ディルさん。」
「はい、よろしくお願いします。つるぎ様。それで、つるぎ様はレビウス様とは、どんな関係で?」
ディル……結構気にしているね。まぁ、俺とつるぎの関係なんて決まっているよ。
「一応、こ、ここ恋人、だよな?龍星?」
「いや、妻でしょ。もう少ししたら結婚するんだし。」
つるぎの顔が一瞬で真っ赤に変わる。どっきり成功だ。結婚するっていうのは本当だ、他の娘たちともするつもりだし。
「え、え!? けけけけ、結婚!?あたし、聞いてないぞ!いきなり!?」
「いきなりでもないでしょ。最初に言ったはずだよ。「一緒になろう」って。」
「それは……そうたけどさ……ものには順番ってあってだな……」
つるぎが顔を真っ赤にしてもじもじしている。可愛い。
そして、ディルがつるぎを突き刺したかの様に視線を外さない。つるぎは気づいてないようだけど。俺がフォローしよう。
「大丈夫だよ、ディル。この娘は信用出来る。」
「そうですか。レビウス様がそう言うのであればよろしいです。では、つるぎ様。お部屋に案内致します。」
ディルは納得してくれたようだ。良かった。
「いやディル、つるぎは俺の部屋で生活させるから案内は良いよ。」
「分かりました。ではレビウス様、用がある際にはベルを鳴らしてお呼びください。」
ディルはそう言うと自分の部屋へと戻っていった。さぁて、
「つるぎ、それじゃあ行こうか。今後の事も話したいし、聞きたい事もあるでしょ?」
「え?あ、あぁ。」
さっきの告白が結構響いたみたいで呆然としていたつるぎに話しかけ、部屋へと向かう。つるぎはまだ顔を真っ赤に染めているがなんとか相づちを打つ。よし、これならまだ悪戯出来そうだ。
つるぎはさっきも言ったように押しに弱いから、こっちから悪戯した時の対応の仕方が可愛い。だからつい悪戯してしまうのだ。だって可愛いんだもん!
つるぎを連れて俺の部屋に着いた。一応俺の部屋は誰が来ても受け入れられるように2,3人部屋位の広さはある。だから、つるぎが来ても全然問題ない。
「そういえば、改変の設定はどうしたの?」
「その文月学園ってとこに行かないと見張る事が出来ないからな。一応そこの国語の非常勤講師ってことにしていた。それで良いだろ?」
「まぁ、つるぎのやりたいようにやってくれて構わないよ。あ、お茶でも飲む?」
「あぁ、紅茶でも緑茶でもいいから頼む。」
つるぎを向かい合わせのテーブルのイスに座らせ、つるぎ用の紅茶と自分用のコーヒーを作る。長い話になりそうだし、多めに作ろう。
紅茶とコーヒーを作ってテーブルに置いて、マグカップを二つ持ってきてくる。一つには紅茶、もう一つにはコーヒーを注ぐ。
「はい、つるぎ。」
「あぁ、ありがとう。紅茶か、いい茶葉を使ってるのか?」
「それはもう、最高級の茶葉を。」
つるぎに紅茶の入ったマグカップを渡し、つるぎが美味しそうに飲むのを見て俺もコーヒーを飲み始める。自分で言うのもなんだけど美味しい。さてと本題に入ろう。
「それでつるぎ、明日から学園に行くのかい?」
「あぁ、そうするかな。一応慣れておきたいし、で?具体的にはどっちを見張っておけば良いんだ?」
「一応、Fクラスの方の吉井君だね。Aクラスの木下さんは、明日改めて紹介するけど俺の養子が見張っているし。そっちに集中してもらうとありがたいね。」
「分かった。」
木下さんの方は凛花に任せても大丈夫だろう。だとすると俺が居ない間に危ないのは吉井君の方だろう。それに吉井君の方が敵には会わせたくないんだよね。
「それで?何で龍星はそんなにそいつらにこだわるんだ?」
「実は……少年の方がある厄介な力を生まれ持っているんだ。それもラグナリウスの力の中でも強力なのをね……。」
「……それはそれは。そんなに厄介なのか?」
「その力は……………………というものだからね。」
「何だと!?そんな力が暴走でもしたら……。」
「そういうこと。だからくれぐれも慎重に動いてね。」
つるぎにも念を押しておく。それに俺だって今まで結構慎重に動いていたのだから。吉井君の力が暴走でもしたら本当にまずいのだ。俺とつるぎは同じタイミングでマグカップを傾ける。はぁ、コーヒー美味しい。
「俺が学園を空ける時は頼むよ。本当にね。」
「そういやまだ聞いてなかったな。お前が今回相手にする奴、強いのか?」
「今の万全じゃない俺だと負ける確率の方が高いよ。力が完全に戻っていればなんとかなったんだけど……無いものねだりをしてもしょうがないし、本音を言うと今は相手をしたくない。それでもやらないといけないんだ。」
「負ける確率の方が高いのにか?何でだ?逃げればいいじゃないか。」
「そういう訳にもいかないんだ。もうあっちは俺と吉井君に気づいている。あっちが気づいているならどこまでも俺たちを追いかけてくるだろうし、吉井君はまだ戦う事が出来ない。俺がやるしかないんだよ。」
そう……俺がやるしかない。もちろん、死ぬ気なんて毛頭ないけど。やれる事をやる。もし、これが自分を赦すために必要な事なら俺は喜んでやろう。それが自分への罰であり、赦しなのだから……。
「まぁ、お前がそこまで言うならやるしかないんだろうな。あたしは止めないよ、お前がちゃんと戻ってくるって信じてるから。」
「ありがとう、つるぎ。さすが、俺の妻になる娘だ。」
「う、うるせぇー!」
つるぎ、照れてる照れてる。可愛いなぁ。
「さぁて、固い話はここまで。世界を越えてちょっと疲れたよ。あと、1時間ぐらいでトレーニングしないといけないし、もう寝るね。」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!あたしも一緒に寝る!」
疲労が学園で出るとやばいし、睡眠を取らないと。ベットに行こうとするとつるぎが追ってくる。俺はベットにつるぎと一緒に横になる。あぁ……つるぎぃ。
「つるぎ……ん。」
「はいはい、今日の龍星は甘えん坊だな♪……ん。」
つるぎにおやすみのキスをしてもらう。つるぎを抱きしめてると安心できる、俺の手から大切なものが零れ落ちていない事を改めて確認できる。そして、また俺はすぐに寝てしまった。
レビウスside out
つるぎside
あたしは寝ている龍星を見る。今は安心して寝てるようだが、時折龍星の顔が苦悶している顔になり、いつも同じ言葉が聞こえてくる。
あたしは想う。
龍星、お前の自己犠牲の精神は本当にすごいと思うよ。だけどな、それだけじゃ世界を変える事は出来ない。
すべての世界を一人で救おうとしてるお前なら分かってるはずだろ?
そんなんじゃ、いつかまた同じ事を繰り返すぞ?心のキャパシティが足りなくなって壊れてちまう。
……アマテラスの頃のあたしみたいに。
あたしは出来るなら、お前にそんなことして欲しくない。アマテラスだった頃、何度かお前の愛する人たちに会う機会があった。
あの人たちはお前がどんな道を歩もうとも見守ると決めていた。とても悲しそう顔をしていたけどな。自分のせいでお前の人生を歪ませしまったと後悔していた。自分のせいでお前が狂ってしまったのだと。前のお前が神になってなお、罪悪感と無力感に苛まれ、自分と世界に絶望していたと。
お前は今も自分に絶望しているのか?だから、こんなにも苦しみを求めるような真似までしてるのか?
何でなんだ?何故世界はそんなにもお前を苦しめる?壊そうとするんだ?お前にとってそれが罰であり、赦しなのか?でもそれはあの人たちは望んでなんていない。あたしたちだって望んじゃいないんだ。
それでもお前は同じ修羅として生きる事を選ぶのか?自分よりも他人の願いや世界、目的を優先すると?
でも、その果てには何も残らない。自分さえも消えてしまう。正義を通して出来ない事を必要悪として成そうとしてもお前には何も返って来ないんだぞ?
……まぁ、あたしもそんなお前に惚れたんだが。
……お前が今必要とすべきなのは罰や赦しなんかじゃない。
希望だ。
あたしじゃ、お前を救う事は出来なかった。だけど……愛する事やお前を想う事は出来る。
愛してるよ、龍星。
つるぎside out
今回は軽いなと思いましたか?残念!最後にとてつもなく重い話をもってきました。
今回登場した邪神3姉妹はささみさん@がんばらないという作品からです。原作から1年経っている設定です。
原作とは違い、鎖々美たちと仲良く暮らしているという結末に至っています。
いつか、そのささみさん@がんばらないのSSも書いていきたいです!
何でつるぎが大人になっていないかや結構純粋っぽいかっていうとちゃんと理由があるんです。だから感想やコメントに「つるぎっぽくない!」とか書かないでください(涙)
その理由は設定を書く時に書きたいと思います。
ここで書くと長くなるので。
今回、少しだけ龍星、いやレビウスの過去に触れました。一体レビウスとは何者なんでしょうか?
ていうか龍星寝過ぎでしょ!まぁ、仕方ないんですが本編にも書いた通り平行世界への行き来や時間の制御はとても疲れるので。
つるぎの言う龍星の希望とは?龍星は勝てるのか?そして、次はちゃんとバカテスの話がやれるのか?
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次回「代表戦 そして、同棲開始!」
次回もお楽しみに!