バカとテストと召喚獣 ~The if or true story~   作:天沙龍月

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 UA750越え、お気に入り13件ありがとうございます!
 お気に入り登録してくれた方々、本当にありがとうございます!
 感想書いてくらさった鏡月紅葉さん、本当に感謝です!
 感想を頂いた時に目尻が熱くなりました!

 今回、アニメの部分は少ないです。そして、ちょっと急展開?です。


 では本編をどうぞ!


第2話 試召戦争終了。そして、運命の出会い

 明久side

 

 試召戦争が始まった。相手は一つ上のEクラス。こちらの第1陣は島田さん、ムッツリーニ、秀吉と他大勢。島田さんたちには悪いけど今回の試召戦争では捨て駒だ。姫路さと雄二以外はね。当然僕も捨て駒。姫路が回復試験を受け終わるまでの時間稼ぎをしているに過ぎない。それに気づいてるのは僕ともう一人くらいかな。本当に皆良い意味でも悪い意味でもバカだね~。おっと、始まったかな?廊下が騒がしくなってきた。

 

 「島田美波!行きます!」

 「木下秀吉!参戦いたす!」

 「土屋康太!…同じく!」

 「承認します!」

 

 長谷川先生の承認の合図でE、Fクラスとその廊下に数学のフィールドが展開される。このフィールド内じゃないと試験召喚獸を召喚する事が出来ない。そして、召喚獸を召喚する時には合言葉を言わないといけない。それが、

 

 「試験召喚獸召喚!試獸召喚(サモン)!」

 「…試獸召喚」

 「試獸召喚!」

 

 おっ、最初に召喚獸を召喚したのは島田さんたちか。威勢がいいことで。時間稼ぎに使われてるとも知らずに、せいぜい頑張って欲しいものだ。そういえば何故廊下の声が聞こえるかというと、教室の壁が薄いからだ。流石おんぼろ教室だよね。

 

 

 

 

 

 5分後

 最初の戦死者がEクラスから出た。戦死者というのは自分の召喚獸の点数が0点になること。それ以上戦えないため、補習室で強制的に補習を受けることになる。それに補習の担当は鉄人こと西村先生だ、鬼の補習を受けさせられる。大体補習か終わったあとには趣味は勉強、尊敬するのは二宮金次郎になるってどんな補習をするだろうか?

 

 

 

 

 

 30分後

 まだ島田さんたちは頑張ってくれている。だけどそろそろ限界だろう、あっちは僕たちより上の点数を出している訳だから、最初は同じくらいの人数でも後になればなるほどこちらの戦力は削られる。

 

 「どういう作戦でいくの?雄二?」

 「作戦なんかねぇ。「え?」力任せのパワーゲームで押切られた方の教室に敵がなだれ込む。そして、代表が倒された方の負けだ。」

 「まさか、押切られたりはしないよね?「もうダメ!押切られる!」え~!」

 「Eクラスの方が成績は上だからな。ストレートにぶつかれば押切られるのは時間の問題だ。「そんなぁ~!」だが向こうも所詮はEクラス、Fクラスとの差は大きくない。押切るには時間が掛かる。その時間が勝負のカギだ。」

 

 そうだろうね。そういえばさっき雄二が言っていた代表が倒された方の負けだというのはその通りなのだ。試召戦争のルールとして明確に書かれている。だからクラスの代表は前には出ずいつも後ろにいる。これが試召戦争の基本的な戦法だろう。そろそろ時間か。

 

 「うぅ!点数が!」

 「このままでは戦死じゃ。お主は下がって点数を回復するのじゃ!」

 「分かったわ。」

 

 島田さんが最前線から居なくなったってことはもうすぐ前線は瓦解するだろう。

 

 other side

 

 「回復試験、受けます!」

 「この試験の点数が次に召喚獸を召喚したときの点数になります。低い点をとるとかえって召喚獸が弱くなることになります。それでもよろしいですか?」

 「分かりました。科目は何にしますか?」

 「数学でお願いします!」

 

 少しでもたくさん答えて点数をあげなきゃ!

 

 other side out

 

 「もう無理!」

 「ムッツリーニ!戦略的撤退じゃ!」

 

 秀吉たちも前線から離脱した。これで一気に押切られるな。

 

 「この勝負貰ったわ!」

 

 それはどうかな?Eクラス代表。まだ勝負は分からないよ。姫路さんの方が多分あともう少しで終わるだろうから、それまで時間稼げればなんとかなるんだよね~。

 

 「しまった!」

 「突撃よ!」

 『おぉ~!』

 

 Eクラス代表を先頭として教室になだれ込んで来る。

 

 「防衛線が破られたな。」

 「ヤバイよ。雄二~!」

 

 other side

 

 数式だけなら日本語が読めなくても解けるから楽勝!うわぁ!漢字だ!ここ飛ばして次の問題に…。隣を見ると姫路さんが凄い速さで問題を解いている。凄いわ!

 

 other side out

 

 「戦死者は補習室に集合!」

 『ヒィ~!』

 

 西村先生が戦死者を連れていく。あと残るのは僕と雄二だけだ。これは僕が時間稼ぎをしないといけないだろう。しょうがない、やるか。

 

 「どうしよう?雄二~!」

 「もう終わりなの?これまでのようね。Fクラス代表さん?」

 「おやおや、Eクラス代表自ら乗り込んで来るとは。余裕じゃないか。」

 「新学期早々宣戦布告なんて、バカじゃないの?振り分け試験の直後だからクラスの差は点数の差よ。あなたたちに勝ち目があるとでも思ってるの?「まぁ、どうだろうな?」そっか。それが分からないバカだからFクラスなんだ。」

 「雄二、やっぱり作戦も無しじゃ上のクラスに勝てっこないよ。「おっと、そういえば一つだけ作戦を立ててたっけ。」「え?」何故お前をここに置いているのか分からないのか?」 

 「え?そうか。」

 

 ここは演技をするしかない。

 

 「まさか、そいつは…」

 「そう。この吉井明久は観察処分者だ。明久。お前の本当の力を見せてやれ!」

 「ちぇ。しょうがないなぁ、結局最後は僕が活躍する事になるだね。試獣召喚!」

 

 Eクラスのほとんどが後退りした。そんなことしても逃げられないのに。

 

 「観察処分者の召喚獣には特殊な能力がある。罰として先生の雑用を手伝わせるために物体に触る事が出来る。『ゴツン!』そして、召喚獣の受ける痛みはその召喚者も受ける。「痛い痛い痛い!裂けてないかな?大丈夫かな!?」な、面白いだろ?」

 「それだけかよ!」

 

 全く痛いのは勘弁だよ。それにしても姫路さんまだかな?

 

 「いいわ。まずはその雑魚から始末してあげる。試獣召喚!」

 「そう簡単に負けはしない!行くぞ!」

 

 僕の召喚獣が勢い良く走り出す。ここで上手く自然に床が落ちる場所に操作する。そして、

 

 「痛~!同じ所ぶった~!いた、痛い!流石はEクラス代表。なかなかやるじゃないか。」

 「全く役に立たない護衛ね…。」

 「いんや~。十分役に立ったさ。」

 

 そうみたいだ。姫路さんの採点がちょうど終わった頃か。

 

 「それじゃ。代表自らあなたに引導を渡してあげるわ。覚悟して。Eクラス代表中林広美、坂本雄二に…」 

 「待ってください!姫路瑞希、受けます!召喚獣召喚、試獣召喚!」

 

 やっと姫路さんがきてくれた。姫路さんが召喚した召喚獣がEクラスの生徒を一掃する。姫路の点数は412点。Eクラスで勝てる人はいないだろう。チートっぽくて僕はやりたくないなぁ。

 

 『Aクラス並の攻撃力!?何でFクラスにそんな生徒が!?』

 

 Eクラスの人たちがすごく驚いている。それはそうだろう。

 

 「やっと来たか。」

 「姫路さん!」

 「姫路瑞希ってもしかしてあなた!?」

 「吉井!「島田さん?」この子やっぱりすごいわ!」

 「流石、Aクラス候補だっただけはあるな。」

 「あれが姫路さんの成績?」

 「問題数無制限の文月学園のテストは答えられれば何点でも取れる。「それじゃあ、作戦っていうのは…」テストの時間稼ぎだな。」

 

 いやぁ、姫路さんが間に合って良かった~。

 

 「Fクラスにそんな人がいるなんて聞いてないわよ!」

 「それじゃあ、行きます!ごめんなさい!」

 

 姫路さんの召喚獣の一撃がEクラス代表に当たる。そして、Fクラスの勝ちが決まった。

 

 other side

 

 かくして、この試験試験戦争はFクラスの勝利で幕を閉じた。

 

 other side out

 

 その後の交渉で事件は起きた。

 

 「やった~!すごいよ、姫路さん。これも姫路さんのおかげだよ!」

 「そんなこと…ありがとうございます…!」

 「これで僕らはEクラスと教室の設備を交換出来るんだよね。少しだけど今までより良い環境になるよ。」

 

 そんな訳にはいかないか。

 

 「いんや。設備は交換しない。「え?」設備は今までのままだ。良い提案だろ?Eクラス代表さん?」

 「そんな…どうして?」

 「何でだよ?雄二?せっかく勝ったのに…」

 

 教室の扉が開いた。あれ?誰だろう?秀吉に似てるけど明確に違う。言葉では言い表せないけど。何か懐かしいような…

 

 「決着は着いた?」

 「どうしたの?秀吉?その格好?そうか!やっと本当の自分に目覚めたんだね!「明久よ。わしはこっちじゃ。」え?秀吉が二人!?」

 「秀吉はあたしの弟よ。あたしは2年Aクラスからきた大使。木下優子。我々AクラスはあなたたちFクラスに宣戦布告します。」

 『えぇ!?』

 「どうしてAクラスが僕らに!?」

 「最下位クラスじゃないだからって手加減しないから。容赦なく叩き潰すから。そのつもりで。」

 

 木下さんは明らかにこちらを見下していた。やっぱり木下さんとは初めて会った気がしない。

 

 明久side out

 

 時は少し遡る。

 

 優子side

 

 あたしは今Fクラスの近くまできている。何故かというと目的は2つ。1つはあきくんに会うこと。もう1つはFクラスに宣戦布告するため。中の話が大分終わった様なので教室に入る。

 

 そして現在

 

 Fクラスの面々が驚いている。それはそうだろう。さてと、

 

 「あなたが観察処分者の吉井君?」

 「そうだけど?な、何か用かな?」

 

 あきくんだ~!って違う違う!そうじゃない。

 

 「さっき、先生にあなたに頼みがあると言付けを頼まれてね。一緒に来てくれるかしら?」

 

 なるべく見下しているような口調だったけど大丈夫だよね!?これであきくんに嫌われたらやだなぁ。ちょつと泣きそう。でもこれで、あきくんとちゃんと会える。

 

 優子side out

 

 明久side

 

 今日、先生の手伝いはあったっけ?突然手伝いが必要になったのかな?まぁ、木下さんに付いていけばわかるか。

 

 「ごめんなさい吉井君、先生の用って話は嘘なの。「え?」何で嘘なんてついたのかはここでは話せない内容なの。屋上に一緒に来てくれる?そこで話すわ。」

 「わ、分かった。屋上に行けば話してくれるんだね?「えぇ。」それじゃあ行こうか。」

 

 どうして木下さんは嘘をついたのか?最悪の場合も想定する。そうしている内に屋上についた。

 

 「聞かせてもらっていいかな?嘘をついた理由。」

 「えぇ、いいわ。それはあたしが吉井君と二人きりで話をしたかったから。」

 

 なるほど。木下さんが嘘をついた理由は分かった。だけど、何で僕と話をしたかったんだろう?それも二人きりで。木下さんとは接点はなかったはずだ。考えられる悪い予想は2つ。一つは僕の家の事がバレてそれを理由に僕を脅すため。もう一つは二人きりと見せかけてのリンチ。だけどこの場合はあり得ないかな。何故なら屋上には僕と木下の二人の気配しかないからだ。まぁ、話を聞いてみよう。

 

 「どうして僕と?」

 「それは…」

 「それは…?」

 

 木下さんはそこで黙ってしまった。言いづらい事でもあるのだろうか?木下さんはうつむいてしまった。うつむいている顔が少し赤い気がする。すごく可愛い。これは…もしかして告白しようとしてるのか!?でも、何でだ!?だって木下さんに会ったこともないんだぞ!?そんなバカな事を考えていると、

 

 「……もう…ない…。」

 「え?」

 「もう我慢出来ない!」ダッ

 「うわっ!」

 

 木下さんがいきなり抱きついてきた。もう少しで倒れてしまう所だった。はぁ、木下さん温かいし、いい匂いがする。ダメだダメだ!そんな事考えちゃ!そんな事を思っていると木下さんが僕から素早く離れた。もう少しそのままでもよかったのに…はっ!何考えているんだ僕!しっかりしろ!

 

 「ご、ごめんなさい!急に抱きついたりして!」

 「いや…そんなこと…」

 「本当にごめんなさい!やっと…やっと……たから…」

 「え?」

 「やっとちゃんと会えたから…あきくんに…」

 「い、今なんて…?」

 

 木下さんは顔を赤らめてそう言った。え?何でその呼び方を木下さんが知っているんだ!?それって…

 

 「あきくん…?」

 「………」

 「そ、そういえばちゃんと言ってなかったよね?」

 

 僕は頭の理解が追い付かず、黙り込んでしまった。そこに木下さんは顔を真っ赤に少し目尻に涙を浮かべなからとても可愛い笑顔で、

 

 「8年振りだね…久しぶり!あきくん!」

 

 ドデカイ爆弾を落としてきた。う、嘘、だろ…。僕は木下さんを8年前に知っているのか!?だけど…8年前って、

 

 「あきくん…?どうかした…?」

 「う、ううん!久しぶりだね!ゆうちゃん!」

 

 え?僕は何を…?そ、それに木下さんのこと…ゆうちゃんって…?え?だって僕は、

 

 「だって僕は8年前以前の事全てを忘れているのに、かい?」

 「「え?」」

 

 

 誰だ!?屋上には僕と木下さんしかいないのに!?そう思っていると、屋上の扉の影から裾の長い黒のロングコートを着た男が出てきた。誰だ?気配はしなかった。って事は結構な手練れか?それに文月学園の制服を来ていない。僕を狙った暗殺者か?だったら、

 

 「はぁ!」

 

 僕は自己防衛の為に黒コートの男に殴りかかった。木下さんはびっくりしているけど構わない!だけど、

 

 「筋は良いけどまだ甘いね。」

 

 軽くいなされる。そして、

 

 「はい、チェックメイト。」

 

 ナイフを首に突き付けられた。僕の負けだ。そして、拳を下ろした。

 

 「全く…。こっちの話を聞いてからそういうのは判断してほしかったな。俺は君を狙った暗殺者じゃない。LGNI次期CEO吉井明久君。」

 「え!?」

 

 男もナイフを下ろした。でも暗殺者じゃないって、

 

 「あ、暗殺者って何!?何であきくんを狙うの!?」

 「君は木下優子さんか。俺は暗殺者じゃないよ。」

 「えぇ!?なんであたしの事知ってるの!?」

 

 ど、どういう事だ?理解が全然追い付かないぞ!?

 

 「あぁ、明久君も君も理解が追い付いていないようだ。じゃあ、順に説明しようか。まず、俺の自己紹介から、俺は如月龍星。明久君のお母さんである吉井明菜さんとお父さんである吉井輝久君から明久君と木下優子さん、君を守るようにと依頼された護衛さ。「あ、あたしも!?」そうさ。だって君、明久君の婚約者だろ?」

 「えぇ!?」

 「あ、もしかして知らなかった?ごめんごめん。まぁ、帰ったら君の両親に聞いてみな。そして、明久君。君には俺の名前は如月龍星よりレビウス・ディ=シルヴァティアって言った方が良いかな?」

 

 今なんて?レビウス・ディ=シルヴァティアだって!?もしかして、

 

 「貴方は…LGNI前CEOの…」

 「そうだよ。まぁ、輝久君にCEOの席を渡してからはこの前まで旅人だったんだけど。まぁ、その話は置いといて。君は俺に聞きたい事があるんじゃない?」

 

 そうだ。何で、

 

 「何で貴方は僕が8年前から記憶が無いのに木下さんの事、ゆうちゃんって呼んだですか?」

 「えぇ!?あきくん記憶ないの!?何で!?」

 

 木下さんがめちゃくちゃ驚いている。まぁ、そうだろうね。好きな人が記憶がないだもん。

 

 「木下さん。落ち着いて。」

 「落ち着ける訳ないわよ!」

 「それで記憶が無いのに木下さんの事を、ゆうちゃんって呼んだ事だよね。まぁ、言うなれば明久君の愛の為せる事って言うことかな。「えぇ!?あ、あきくんの愛!?」そうさ。俺の推測だけど、明久君は木下さんの事を無意識にずっと覚えてたんだ。そしてやっと会えた。だから無意識に前の呼び方を言ったんだと思うよ。ロマンチックだよね。」

 「そう、だったんですか。なんて言えるか~!本当はどうなんですか!?」

 

 そんなの信じられない。

 

 「俺にも分からないよ。だけど多分俺の推測が当たっていると思うよ。「どうして!?」だって君、この推測が正ければその他にも心当たりあるんじゃない?

 「え?」

 「例えば秀吉君の事とか。だって君秀吉君の事「う、うん!」じゃないか。その理由は?」

 「え?えぇと…」

 「理由はない、が答えじゃない?」

 

 たしかにそうだ。秀吉の事は好きだけど理由が分からない。これが答えだろう。

 

 「…もしかしたら秀吉を木下さんと…勘違いして…」

 「もしかしたらそうかもしれないよね。これで分かったかい?君は無意識の内から木下さんを覚えていたってこと。」

 「なんとなくですが、分かりました。次になんですが、何故貴方はここにいるんです?」

 

 理解しきれてないけどしょうがない。

 

 「そうだね~。明日からこの学園に生徒として通うからかな。君たちを近くで護るために。」

 「けど貴方は20歳を越えてますよね!?どうやって?」

 「だから、如月龍星の名前の出番さ。日本はセキュリティをもっとあげた方が良いよね。」

 

 まさか、この人、

 

 「日本政府と文月学園のコンピューター、ハッキングしちゃった♪」

 「えぇ!?」

 「だから明日からFクラスに転校するんだよ。まぁ、明久君とはなるべく関わらないけど。」

 

 それはそうだろう。転校した初日から僕と知り合いだって思われたらクラスメイトにそのなりそめを尋問される。そうすると僕の正体まで最悪知られる。それは絶対に避けたい。そういえば木下さんはさっきの愛の所から顔を真っ赤にして上の空だな。話が終わったら、起こさなきゃ。

 

 「おっと、もうこんな時間だね。お暇しようか。後は明菜さんにでも聞いておくれ。それじゃまた明日。」

 

 レビウスさんは腕時計を見てそう言って階段を降りて行った。それはそうだ。もう日が傾いてきてる。さて、木下さんを起こさなきゃ。

 

 「起きて。木下さん。」

 「…あきくんの愛…あきくんの愛…」

 「おーい!木下さん!」

 「え!?あきくん!?あの、如月さんは?」

 「あー、もう帰っちゃった。僕たちも帰ろう?」

 「…嫌。」

 「何で!?」

 

 どうしてだろう?何か悪い事しちゃったかな。

 

 「…手、繋いでくれなきゃ帰らない。」

 「えぇ!?そんなぁ~!」

 「…あたしと、手を繋ぐの、いや?」

 

 木下さんが涙目になりながら上目遣いで聞いてきた。めちゃくちゃ可愛い!これは、

 

 「いやじゃない!いいよ。」

 

 反射的にそう答えてしまった。その可愛いさは反則だよ!僕たちは手を繋ぎながら校舎に降りてきた。木下さんの手、温かい。なんか安心する。なくしてしまったものが戻ってきた、そんな安心感。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この子とまた離れたくなんてない。もう絶対に。

 

 

 

 

   そんな思いが僕の中で沸き上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

 レビウスside

 

 ファーストコンタクトはこんな感じでいいかな?明久君、君には期待してるよ。屋上に続く階段から少し降りた所に俺と同じような格好の長い黒髪の少女がいた。

 

 「…どうだった?ターゲット。」

 「筋は良いけど、まだまだ。普通の少年だよ。」

 「…そう。」

 「そんな顔しないでよ、凛花。可愛い顔が台無しだよ?」

 

 凛花の頬に手をやる。凛花は少し顔が赤くなった。やっぱり可愛いな、凛花は。頬から手を離すと凛花は少し名残惜しそうにしていた。さて、凛花も愛でたしいこうかな。

 

 「じゃあ、凛花。木下さんの方は頼んだよ。」

 「はい!任せて!」

 「自分の役割も分かった所で屋敷に帰ろうか?」

 「分かった。」

 

 俺は凛花の方に手を差し出す。凛花と手を繋ぐためだ。凛花も手を繋いだ所で帰ろうかな。

 

 

  吉井明久君、か。君も資格者なのかな?

 

 

 

 

 

      俺たちは歩き出した。

 

 




 レビウスと凛花というオリキャラを出しました。レビウスはこの作品ではもう一人の主人公となります。
 
 さてレビウスと凛花はバカテスの物語にどのように関係してくるのか?
 レビウスの言ったLGNIとは?

 それを次回書ければと思います。

 前回7年前と書いたんですがよく考えると8年前でした。すみません。修正します。




 明久と優子は出会った。いや、出会ってしまった。この行動が二人の運命を変えてゆく。明久は母親に真実を尋ねる。

 次回「帰り道 そして、真実」
  お楽しみに!

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