百鬼夜行のヒーローアカデミア   作:ソトン9

3 / 16
今回も全然進みません(;´Д`)

文章もちょっと雑に…orz

それでは短いですが、本編へ。ゆっくりしていってね。


~スキマ妖怪とバカと仮説~

「―――彼女もまた「伊吹萃香」というあなたと同一の存在だからですわ」

 

「…えっ」

 

 同一の存在……私と彼女は一緒?そう思って相手と自分を見比べてみる。

 

「――でも彼女は、その…萃香さんは鬼で………妖怪…なんですよね?私は人間ですし…顔は少し似てるかなって思いましたけど、身長とか髪の色とか言葉づかいだって違います。それにそんなオカルトじみた話――」

 

「あなたと彼女はそれぞれ別の世界においての「伊吹萃香」であり、異なった世界の存在であるならばたとえ生まれた時代、人種、容姿、性格、貧富諸々が違っていたとしても同じであることに変わりはありません。世界には無数の可能性があり、あなたもわたくしも彼女もまたそのうちの一人ということ。そうですわね。あなたの世界で言う並行世界(パラレルワールド)と言えばわかりやすいかしら。」

 

並行世界(パラレルワールド)…」

 

 聞いたことはある。別の世界線にいるもう一人の自分。でも私がネットや本なんかで知った知識では出生とか外見に差異はなく、性格の部分とか人生経験が多少異なるって程度の違いだった気がする。それを基に萃香さんと私を見比べても似ている箇所よりも違ったところを探すほうが簡単だろう。別人と言われても納得できるし、良くて姉妹といったところだろう。とても私だとは思えなかった。騙されてるのか、とも考えた。人を見る目に自信がある訳ではない。妖怪となれば尚更。でも紫ちゃんが嘘をついてるようには見えなかった。失礼なことに誠実そうにもちょっと見えないけど、私が信じたいと思ってるだけかもしれない。

 

「ですがあなたと彼女のように同種の力に目覚めたうえ、自身の名さえ同じというのはとても珍しい現象といえるでしょう。本来こういったイレギュラーは理論的に起こりうることはまずありえません。異なる世界間の境界は間違ってもお互いの影響を受けることのないようとても強固なものであり、まずもってこれを渡ることはほぼ不可能と言えるでしょう。ただ…」

 

 紫ちゃんは萃香さんのほうへ目を向ける。

 

「なんだい?」

 

「あなたのその密と疎を操る程度の能力ならば可能ではなくて?」

 

 そう言って紫ちゃんの目がスッと細めれる。

 

「おいおい、いくら私でも世界を渡るのは厳しいもんがある。それに世界の境界に関することならむしろおめぇさんの領分だろ?なんたって境界を操る程度の能力なんて大層なもん持ってんだ。世界同士の境界を操って曖昧にして橋渡しをするなんざ造作もないだろ?」

 

「博麗大結界に干渉し幻想郷の外にある現代との境界を開くことはできますわ。ですがいくらわたくしの能力をもってしても異世界との境界に干渉し操るのはなかなかに骨が折れますわ。下手をすれば世界のズレによる修正力がお互いに干渉し合い同時に消滅ということだって考えられます。リスクを考えればなんの備えも無しにやることではないですわね」

 

「だがやろうと思えばできるわけだ」

 

「わたくしはメリットが無いと言っているのですわ、バカ」

 

「あんだと!このスキマ妖怪!」

 

 ふぅ…とため息をついた紫ちゃんは出てきたときと同じように空中に裂け目を作ると中へと腕を入れてまた引き戻した。なんとその手には湯呑みが握られており、湯気が立ち上るお茶?をズズッと一口飲む。裂け目はいつの間にか閉じていた。そのまま私と萃香さんの間を通り過ぎると、縁側に腰を下ろして湯呑みをそばに置く。

 動作が流れるようにとても洗練されていて、その行動ひとつひとつに勝手に目が付いて行ってしまう。見ていて正直羨ましい。所作からみえる大人の女性としての余裕と風格が漂ってきて、今の状況を忘れてしまいそうになるほどだ。

 萃香さんのほうはバカ呼ばわりにムカついたのか腰にぶら下げていた瓢箪を無造作に口へ運ぶとグビグビ飲みだした。ああいった物の中身はだいたいお酒と決まってるけど、妖怪だから気にしなくて大丈夫ということなのか。それとも幻想郷という場所では常識なのだろうか。見た目倫理的にアウトな気がするのは私だけのようである。

 

「さて、お話しの続きですわね。さきも言ったように異世界の境界を操ることは容易ではなく、無駄に疲れるだけで労力に対する見返りもほとんどありませんわ。でもあなたのそのインチキな能力ならわたくしよりもまだ難しくはないと思ってますわ。なぜなら萃香、あなた何度か大結界をすり抜けて現代へ行ってますわね?」

 

「あぁ行ったよ。つまらなさすぎてすぐ帰ってきちまうけどね。だけどそれは紫も言ったように現代と異世界じゃ勝手が違う。さすがに無理だ。…いや、本気出しゃあわかんねぇか。…いや…やっぱわかんねぇや」

 

「…はぁ、つまりあなたにも境界を渡るくらいの力はあるということですわ。まったく…人のお株をそう易々と奪ってほしくないですわね。いいですか、わたくしもあなただけの力でこのような事態が起こったとはさすがに思っていません。おそらく2人の能力に関係があると言えるでしょう」

 

「へぇ、嬢ちゃんもかい」

 

「わたしも…ですか?」

 

「えぇ、あくまで仮設にすぎないのだけれど、一つずつ説明するわね。

 まず2人は「伊吹萃香」として同一の存在だということ。並行世界(パラレルワールド)という別々の世界に分かれていてもそれは変わらない。見た目や性格の差異も許容範囲よ。

 そして同じ能力に目覚めていること。彼女の発言や態度を考慮すると、向こうの世界はこちらの現代のように超常が無くなってしまった世界と仮定してよいでしょう。ですがその中で彼女はあなたの言う「密」の能力に少なからず目覚めていた。これは洩矢の東風谷早苗を例として、現代でも先天的にせよ後天的にせよ発現する者が稀に現れることも把握していまので、まぁ無くはないですわね。

 そして…死者であるあなたが何かしらの未練を残しているということ。あなたは事故で死んだ時もしくはその直前、何か強く願ったのではなくて?人間は時にその思いの力で奇跡を起こします。超常の力を無きものにする人の常識や認識も死者の世界ではその影響も無に等しい。それによりあなたの魂は少しずつ霧散し疑似的な「疎」の状態になりながらも理想に近いこの世界の萃香に惹かれるように世界の境界をすり抜け、幻想で満たされたここで本格的に能力が覚醒。あなたの魂は自身の「密」の能力によって形を取り戻し自我や魂の欠片を集め再構築することに成功した。以上がわたくしの仮設ですわ。いろいろ棚上げしたうえでの簡単な説明だけれど、おそらくこの結論で正解のはずよ」

 

 口を挟まないよう黙って聞いていた私は、今説明された内容について考えていた。とても全て信じられるような話ではない。なんといっても世界がどうとかという話である。スケールが大きすぎて信じろと言われたとしても難しい。…でもあのとき、何もない暗い意識の中で確かに強く願ったことがある。強くなりたかったと、弱い自分を最後まで心配させた親に申し訳なくて、そんな自分が許せず強い体をと思ったのは間違いない。

 …なるほど、もしそれで今この未知の場所にいるのだとしたら、私にはきっとまだ何かやれることがあるのかもしれない。たとえ死して魂のみなのだとしても。

 

「…でもよ、さすがに境界も超えて結界も超えてって…渡りきるまえに消滅しちまうんじゃないか?」

 

「あなた、ほんのちょっと前に起こった異変を忘れたの?」

 

「………あ~、天人の嬢ちゃんがやらかしちまったやつかい?」

 

 何か納得できない部分があったのか萃香さんが質問をすると、紫ちゃんはとても不機嫌そうに逆に質問し返す。その態度と異変という言葉で心当たりがあったのか、これという答えを言うと紫ちゃんはフンっと鼻を鳴らしてそっぽを向く。約束に遅れた相手にするような仕草になんだかグッとくる。可愛い。

 

「あんな自分勝手なお子様は「お猿さん」または「クソガキ」で十分ですわ。いい?あれのせいで大結界にも少なからず影響がありましたのよ。おかげであっちへこっちへ飛び回って修正するはめになりましたわ!だいたい異変を起こした動機が暇つぶしなどというのがありえません。そんな理由でわたくしの愛しい幻想郷に手を出そうなど天人風情が烏滸がましい!…コホン、つまり異変によって大結界に微小の綻びが発生しそこから漏れ出した幻想の力がその子の助けになったということですわ。…さて今説明すべきことは話しましたし、ほかに言いたい事がなければあとはその子次第ですわね」

 

 …私次第、か。

 

 説明を終えて疲れたのか、紫ちゃんは座ったままゆっくりと伸びをするとお茶が冷めてしまった湯呑みを下に開いた裂け目に落とす。そして横に別の裂け目を開くとまた暖かいお茶の入った湯呑みが出てきた。まるで四次元空間みたいだ。…きっと並行世界(パラレルワールド)にいるもう一人のこの人は「ド〇〇もん」なんだろうな。

 

「なぁ」

 

 そんなことを考えているといつの間にか縁側で寛いでいた萃香さんに声をかけられた。

 

「なんでしょうか?」

 

「最初にブツブツ呟いてんのを聞いてたんだけどよ、嬢ちゃんは強くなりてぇんだよな?」

 

 涅槃の姿勢でお腹をボリボリ掻きながら好戦的な目で笑って聞いてくる萃香さん。まるでダメなオッサンのようである。鬼という種族だけあって長く生きているのか、その表情は普通の少女ではとても出せないように大人びていてどこかしら貫禄がある。紫ちゃんとはまた違った美人さんだ。

 

「まだちょっと頭がついていけてないですけど、私がそのままあの世とかに行かずにここにたどり着いたのは何か意味があるんだと思います。だってお話しを聞く限り私は自分の意志で、いろんな偶然のうえに成り立ってここにいるんだとわかりました。だから私にできることを今は精一杯やってみようかなって…死んじゃってる身で言うのもなんですけどね。あはは。…私は、強くなりたいです」

 

「ん、いい心がけだ。そうと決まれば話が早い!」

 

 私の話を聞いてポンと手を打ち、よっ!と縁側から飛んで目の前に立った萃香さんは仁王立ちして私を見上げるとニコっと笑った。

 

「嬢ちゃん。私と修行しようや!」




次から一気にヒロアカ世界に飛ばすか。
幻想郷パートもうちょい続くんじゃか。

どっちがいいでしょうかね?よろしかったら感想蘭に書いていただければ…チラチラ

自分で決めろって?はい!ごめんなさい!わたし優柔不断なもので(;^ω^)

それでは、ではでは




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。