百鬼夜行のヒーローアカデミア   作:ソトン9

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1話で5千や1万字書く人の凄さを改めて知りました!御見逸れ!(;゚Д゚)







幻想郷編
~幻想郷の管理者と萃香と萃香~


「へぇ…嬢ちゃん。それはもしかして大江山で見つけたものかい?」

 

何か変なことを言っただろうか。目の前の少女は私の目と三角錐の石のネックレスを交互に見ながら尋ねてきた。

 

「確かにこれは京都の大江山でみつけたものです。でも見つけたというよりも気付いたら私のリュックのポケットに入ってたんです。ものすごくきれいだからそのまま持って帰ってネックレスにしちゃったんですけど…あの、なんでこれをそこで見つけたものだってわかったんですか?」

 

「ん?あぁいやね、それが私の身に着けてるもんとあまりにもそっくりなもんで思わず聞いちまったのさ」

 

そう言って徐に右手に吊るされている鎖を持ち上げて、先端についた分銅をこちらにみせる。それを見ると確かに私のものと瓜二つな赤い三角錐がぶら下がっていた。ただ驚いたことに私のは親指くらいの大きさに対して、少女の掲げたそれは人の拳よりも少し大きくて簡単にひょいと持ち上げられるようには見えない。それを軽々と持てるくらい少女の力が強いのか、それとも実は軽石のように見た目ほど重くないのか、見つめたまま黙っているとまた少女が口を開いた。

 

「なあ嬢ちゃん。名前はなんてんだい?」

 

「えっ」

 

「あぁ別に言いたくねぇんなら無理にとは言わないさ」

 

「あ、いえ…私の名前は萃香。  伊吹萃香です。  」

 

「ッ?!」

 

名前を言った途端、少女は驚いたようでそれが顔にもはっきり出ていた。

 

「………ははは、なるほどねぇ、どおりで。おい紫、見てるんだろ?さっさと出てきたらどうだい?」

 

「?………えっ?!」

 

なにかに納得したのか、ウンウンと頭を頷かせると空中に向かって誰かの名前を呼ぶ。紫とは…そんなことを思っているとちょうど少女が見ていた空中がパックリと二つに割れると、中から女性がゆっくりと浮き上がるように現れその美しさに思わず息を呑む。金で染色したかと見紛うほどの綺麗な長髪には軽くウェーブがかかっていて、瞳はそれに合わせたかのような黄金で顔立ちは同じ人間とは思えないほどに整っている。スタイルは中華風なゆったりとした服の上からでもわかるほどに起伏があり、まさに世の女性の理想のような体型。その黄金比の塊のような容姿に吸い込まれるように見入ってしまう。この人が紫という人だろうか。空間が裂けたようなところから出てきたのはいったいどうやったのだろうか。驚きとそのあまりの美しさにポカンと口が開いたまま固まってしまう。こんな人が道を歩いていたらきっと世の男性達が放っておかないだろう。

 

「あらあら、なんだか面白そうなことになっているからもう少し観察していようかと思っていたのだけれど、やっぱりバレちゃってたみたいね」

 

クスッと笑みをこぼしながら少女と私の間に立った紫さんはチラリと視線を移すと、どこから取り出したのかいつの間にか手に持っていた扇子を開いて口元を隠すようにしてこちらを見てくる。美しい………はっ!

 

「それで紫、こいつはいったいどういうことだい?」

 

「あら、なんのことか分かりませんわね」

 

「嘘はいっちゃあいけねぇな。私に通じねぇのは知ってんだろ?」

 

「あらあら、あなたに嘘を見抜く能力なんてあったかしら?」

 

「ないよ。でもわかっちまうのさ。鬼は嘘が嫌いなんでね」

 

「驚きましたわ~。あなたの口からそんな言葉がでるなんて、今日は弾幕が降るわね」

 

「うるせい!いい加減勿体ぶってないで、これがどういうことか説明しちゃどうだい?どうせおめぇさんは、さっきの私と嬢ちゃんの会話を聞いてたんだろ。幻想郷の管理者がこの異常事態を逸早く把握してないわけがないからね。外界の魂がこっちに迷い込んできちまうのはよくある話さ、珍しくもない。たまに人間が迷い込んでくるくらいだ。でもね、この嬢ちゃんはよりにもよって自分は「伊吹萃香」だと私に名乗りやがった。こいつぁ驚きだ、まったくとんでもねぇ、もし本当なら今ここには同じ存在が同じ場所に2人いるってことになる。たまたま同姓同名なだけかもしれないが、どうにも他人とは思えない。むしろ近しい存在だろう。そして極めつけはあれだ」

 

そう言って少女は私のネックレスを指さし。次いで自分の右手の鎖を掲げる。

 

「こいつは外界やこの幻想郷を含めても、どこを探したって私しか身に着けてねえはずのもんだ。なんたってこれは私自身みたいなもんだからね。ましてや複製や創造なんてまず無理だ。だがありゃあ私じゃなく嬢ちゃんのだ。似てるなんてもんじゃない、まったく同一そのものさ。見たところどうやら「密」の能力に目覚めてる。完全にゃあほど遠いし、まだ「一つ目」みたいだがね。死んだ魂が周りと違って人の形を保ってられてるのも、おそらく無意識のうちに自分という存在を無くさないよう集めてるからだ。だから」

 

「あ、あの…」

 

「…なんだい?」

 

あまりに突拍子すぎて理解できない話に我慢できず声をかけると、少女は紫さんからこっちに視線を向けてくる。途中で話を切ってしまったから気分を害してしまったんじゃないかと思ったけど、そうでもないようで良かった。

 

「あの、私が死んだというのはたぶん本当なんだと思います。きっと交通事故で…その時の記憶もありますし。ただなんだか先ほどから話の内容が掴めなくて、外界だとか幻想郷だとかあと鬼とかってどういうことですか?それにここは天国や地獄ではなさそうですし。あ、あとこの石のこととか存在がどうとかって…」

 

何とか自分の考えや疑問まとめようとしてみるが、情報量が多いうえに聞きなれない言葉ばかりで混乱してしまい上手く喋ることが出来ない。言葉に窮しているとそれを察してか先ほどまで聞き役に回っていた紫さんが口火を切る。

 

「あなたの言いたい事はわかります」

 

すごい、今のでわかっちゃうんだ。

 

「ですが今全てをここで説明したとしても尚更混乱してしまうだけで逆効果でしょう。ですから必要なこと以外は省かせていただきますわね。」

 

「…はい…」

 

「よろしい。ではまず最初にここはあの世かという質問ですが、正確には冥界と呼ばれる場所であり、あなたのように死した者が成仏するか転生するまでの時間を過ごす死者の世界ですわ。」

 

「え、それじゃあ…」

 

「いいえ。わたくしと彼女は死者ではありません。わたくしたちは幻想郷の住人、幻想郷とは外界から隔絶された古き良き理想郷、人と妖怪の楽園とでも思っていただければ結構です。そして彼女はこの幻想郷に住む鬼と呼ばれる妖怪であり昔話や伝説で語られるものと大差はありません。わたくしについては…まぁ必要ありませんわね。紫ちゃんとでも呼んでくださいな。」

 

 

 

「よく言うよ要介護のBBAのくせして」

 

………。

 

「………」

 

「………」

 

く、空気が悪い。見惚れるほどの微笑みに釘付けになっていたのに、今見ると顔は笑っていても目が笑ってない。

 

「え~っと」

 

「そしてその石についてですが」

 

あ。聞かなかったことにするんですね。紫…ちゃんは何事もなかったように話始めると、この石について教えてくれるようだ。

 

「正確には石ではありません。それは意志の結晶、あなたの奥底に眠る力があなたの「こうありたい」という意志や覚悟によって具現化し現れたものです。

間違っても自身を否定したり、心を沈めないように。でなければその力は失われ、今のその姿を保てなくなるでしょう。それを肝に銘じておくように。先ほど言ったように、それはあなたの意志そのもの。ただの石ではありませんことよ?」

 

「はい」

 

「紫、ダジャレかい?」

 

「お黙りなさいな」

 

「あはは……」

 

この二人は仲が良いのだと思いたい!いやきっと仲が良い!じゃないとこんな冗談言ったりしないもんね。

と勝手に納得していると、紫…ちゃんから衝撃の言葉が出てきた。

 

「しつこいようですがこれは意志の結晶。唯一無二のものです。さて、ではなぜ全く同じものを彼女も所持しているのか。それは、彼女もまた「伊吹萃香」というあなたと同一の存在だからですわ」

 

「……えっ」




ひぇ…ごめんなさい短い!そしてまだヒロアカの世界にすらいかない!
ホンマすんまへん。堪忍や~。

1話で5千や1万字書く人の凄さを改めて知りました!御見逸れ!(;゚Д゚)

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