現在の幻想郷には様々な地名がある。しかしその中でも特に有名な場所は略称で通じるものである。
例えば、神社と言えば『博麗神社』
例えば、山と言えば『妖怪の山』
例えば、里と言えば『人間の里』
そして、城と言えば幻想郷で危険度最高に位付けされる花の王国にある超自然の居城『花風城』に他ならない。
王国は永きを生きる花の王が手掛けただけあり、幻想郷の中で最も美しい景色が一年中広がっている。
だが、力無き者は王国に近づいてはならない。力持つ者も王国に近づいてはならない。
その景色は、王国民のみが見る事の出来る景色だから。
~五代目阿礼乙女の手記より~
幻想郷は今めっちゃ春なんだぜby魔理沙
冥界の花見大会が終わった次の日、幻想郷全体が春真っ盛りになった。大方、例の花見で、というか花の王のせいで春度が飽和状態にでもなったのだろう。
実害らしい実害は春を告げる妖精リリーホワイトが僅か1日で幻想郷全てを周り、デカイ声で春の到来を知らせた位である。神社で見た時は、春告げ妖精に生まれなくて良かったと心から思う程に疲れきった顔をしていた。そして今度は異界にまで飛んでいかなければならない春告げ妖精に同情を隠し得ない霧雨魔理沙であった。
さて、季節は春の始めである。しかし、幻想郷全体は春爛漫。つまりは異変である。
「別に春がちょっと早く来たくらいどうってことないでしょ?」
とは霊夢の言である。だが異変は異変である。昨日の花見大会に参加してなかった人妖にとってこの気候の突然の変化は混乱に値する。つまり、幻想郷に無用な混乱を与えた元凶は成敗しなければならない。
断じて昨日の花の王の不可能弾幕を攻略してやりたいとかそういう気概ではない事をここに記しておく。
「と、言うわけで異変解決頑張るぜ!!」
霧雨魔理沙はいつも通りの異変解決の格好に、普段以上にマジックアイテムで武装した姿で神社から飛び立った。
異変の元凶である花の王を探しに、特に当ても無く。
時間制限は春が終わるまで。残機は自分の決意の分だけ。
霧雨魔理沙の気楽な異変解決の旅が始まった。
◇
幻想郷及びその近界で生活しているとそれなりの頻度で花の王に会うことができる。例え何処に住んでいても。例え望まなくとも。
だがしかし、その行動範囲の広さからいざ会おうとすると途端に難しい。更に難しくしているのは花の王のその性格である。彼は風の噂でも聞いているのか、自身を探している者の居る場所から離れる様に動き出す。そこに大した意味はなく、只嫌がらせの為にそうしているにすぎない(飽きたら普通に会いに来るが)。
つまり、幻想郷で花の王に会おうとして会うためには花の王の情報収集力を上回る速度で見つけるか、花の王の情報源を封じるか、或いは類稀なる奇跡に恵まれるかが最低条件となる。
故に霧雨魔理沙は全速力で博麗神社から飛び立った。制限時間は春が終わるまでとはいえ、肝心要の花の王に逃げに徹されては一年経っても捕まえる事など出来はしない。
花の王が
「お、もう帰るのか?」
「おう、ちょっくら探し物をな!」
博麗神社のそこそこ長い階段の脇で、妖精に囲まれながら土いじりをしている花の王を一瞥して高速で飛んで行った。
「探し物おめぇだよ!!!」
「どわぁぁぁ!!!?」
霧雨魔理沙は花の王を轢き飛ばしながら大声を張り上げる。理不尽。
「いきなり何しやがるボケェ!?」
「五月蠅いぜ!長丁場になると思ってた私の決意返せ!」
「知るかよ!?」
「というかお前のような1ボスが居るか!!」
「いきなり何言ってんのお前!?確かに俺のスペック的にラスボスどころか裏ボスまでこなせますけども!!」
閑話休題
―春風と花を統べる絶対王者―
偉大なる大地の支配者にして花の王
「かくかくしかじかで私はアンタと弾幕ごっこがしたいぜ」
「り」
花の王は親指を立てて答えた。
「自分から言い出して何だが理解早すぎじゃね……?」
「いやぁマリサ、遂にお前も戦闘狂の気が出て来たんだなぁって」
「戦闘狂て。私はアンタを攻略したいだけだぜ」
「人をギャルゲのキャラみたいにお前……」
「良いからほら、早速勝負しようぜ!」
「元気キャラかよ。というかそうだな……このままいきなりやるのは俺がつまんないし……よし、こうしよう」
「?」
花の王は勿体ぶる様に懐から一枚のスペルカードを取り出した。
「此処に一枚の耐久スペルがある。コイツを取得出来たら本格的にゲームを始めるとしよう」
「……つまりどういう事だ?」
「俺が一ボス兼ラスボスになるって事だよ察しろ」
「アッハイ」
「さあ行くぞマリサァ!魔力の充填は十分か!」
「よぉし!やってやるぜ!!」
花の王から超小粒の弾幕がばら撒かれる。時間差で超小粒の弾幕から小粒弾幕が現れ、更に時間と共に大玉へと変化していき、ある程度大きくなったところで大玉弾幕が弾けて花びら型の弾幕に変化する。
言ってしまえばその繰り返しだが、花びら弾幕が風に舞う様な不規則な動きで残り続けるのに対し、超小粒弾幕は更にばら撒かれ続ける。あっという間に視界のほぼ全てが弾幕で埋まってしまった。
「うおっ、見とれてる場合じゃないぜ!」
視界一杯に弾幕が広がっても慌てない。霧雨魔理沙は弾幕の当たらない場所を一瞬で見分けて其処に身を潜らせる。
カリカリと自身の身に纏う魔力と花の王の気がぶつかり合う音を聞きながら、花の王を探す。
……だが、
「!?居ない……だと?」
スペルカードが空中に浮遊し、そこから弾幕がばら撒かれ続けるが既にそこには花の王は居なかった。
目を放したつもりは無い。だが事実、其処に花の王は存在しなかった。
タネは簡単である。大玉弾幕で霧雨魔理沙の視界を奪ったほんの僅か、刹那の時間で移動しただけだった。
「んにゃろ!逃げやがったな!!」
軽く焦る魔理沙だが、感情を置いておき目の前の弾幕に集中する。
目まぐるしく動き弾幕を躱していくが、後ろから嫌な気配を感じ振り返る。
「っや、ば」
目の前に大玉弾幕が迫っていた。
魔理沙は懐からミニ八卦炉を取り出し……ふと先程の花の王の言葉がよぎった。
『コイツを取得出来たら本格的にゲームを始めるとしよう』
(つまり取得出来なかったら
「う、オオオオオオオオ!!!!」
無茶苦茶な飛行。無理矢理なバレルロール。弾幕の熱量が自分の身を焼きそうなほどにギリギリではあったが避け切った。
しかし代償としてバランスを崩し、乗っていた箒から落ちかける。既に箒にぶら下がっている状態だ。
それでも弾幕は止まらない。容赦なく魔理沙に迫っていく。
「まだ、まだァァァァァ!!!」
霧雨魔理沙は恐ろしい事に箒からぶら下がっている状態のまま回避行動をしだした。そして、左右に揺れる反動を用いて箒に戻ったのだった。
制限時間が近いのか、弾幕が咲くサイクルが早くなっていく。
最後の集中。霧雨魔理沙は高速で弾幕の嵐を突っ切る。
カリカリと纏う魔力が削られていく。
制限時間が
終わった。
スペルカードに込められた力を出し切ったのかヒラリヒラリと中空に舞落ちていくカードを取り、勝鬨を上げる。
「うおおっしゃぁああ!!」
スペルカードの裏には『城で待つ』と短く書かれていた。
◇
スペルカードを取得した魔理沙は、気力を消耗こそしたものの魔力は十全に残っているのでそのまま先へと進むことにした。
行き先は花の王国 。幻想郷1の危険地帯だが行かない訳にはいかなかった。
何より花の王が「城で待つ」とわざわざスペルカードに書いているのだ。ここで一度家に帰る等という暴挙に出た場合の報復行為を考えただけで恐ろしい。
霧雨魔理沙は王国に向かって真っ直ぐに飛んでいった。
―凍れる花の偉大な氷精―
花が咲いたチルノ
「あ、魔理沙」
「チルノか、悪いな今急いでるんだ。また今度な」
霧雨魔理沙は王国へ向かうため、南に向かって飛行していた。その途中に、頭に大きな花を咲かせたチルノに行く手を塞がれた。
何だか嫌な予感がしつつも チルノから離れようとする魔理沙だが、そうは問屋がおろさないようだ。
「残念だったね!ここから先に行きたかったら花の王さまの第一のせんべいなアタイに勝ってから進むんだな!!」
「せんべいじゃなくて尖兵じゃねえの?」
「そうともいう!」
「へっ!チルノ程度余裕だぜ」
「ふふん!今日のアタイはひとあしもふたあしも速いってところ、見せてあげるわ!!」
「それを言うならひと味もふた味も違うだぜ」
「そうともいう!」
チルノから氷の弾が重力に従い、バウンドするような軌跡で打ち出される。
「うおぅ、軌道が読みづらいぜ!」
始めこそ笑いながら回避していた魔理沙だったが、次第に弾速が速くなっていき、弾幕の密度まで上がってきた辺りから冷や汗が止まらなくなってきた。
Break!!
「まだまだいくよ!」
チルノが手を上空に翳すと地面から氷の塊……否、もはや氷山とでも言うべき塊が生み出された。
そしてその氷山の頂点から氷の弾幕が噴き出した。
勢いよく噴出した弾幕は、次第に重力に引かれるように上空から降り注ぐ氷の礫となり魔理沙に襲い掛かる。
更に氷山から時折発射されるレーザーが、氷山にも注意を向けなければならない様に作られている。
「くそっ、チルノの癖に厄介な弾幕を作りやがる!」
「ふふん!花の王さまといっしょに作ったサイキョーだんまくにやられちゃえ!!」
「へっ、この意地悪さはやっぱアイツか!なら意地でも攻略したくなったぜ!!」
霧雨魔理沙も長年伊達に異変に首を突っ込んではいない。自身の経験と直感を頼りに弾幕をすいすい避けていく
途中、危ないところは多少あったが弾幕を避けきることに成功した。
Break!!
「ムキー!!じゃあ次よ次!!」
瞬間、世界が凍りついた。
「っ!?寒っ!!」
あまりにも寒く、手足が震えて
凍える世界の中で氷の花が視界一杯に咲きだした。
ヤバい、と思ったのもつかの間。氷の花の花びらが一枚、また一枚と風に舞い上げられ、ゆっくりと此方に向かってくる。
弾幕はゆっくりと動くが、避けようにも弾幕以上の遅さでしか動けない魔理沙は既に全方位囲まれ、詰んでいた。
「くっそ!」
魔理沙は悴む手で懐からミニ八卦炉を取り出した。
ボムを撃つことで現状を打破する一手とした。ついでに厄介なスペルをすぐにでも終わらせる魂胆をもって。
チルノは閃光に飲まれた。
「やったか!?」
「ふっふーん!そんな目眩ましなんて効かないわ!!アタイったら最強ね!!」
「嘘だろ?!」
マスタースパークは魔理沙の十八番にして必殺技、代名詞とも呼べる代物である。幾つか派生技が有るとはいえ、シンプルにして豪快なレーザーは大抵の存在を倒すに至る大火力だ。
規格外れの強さを持っているとはいえ、一妖精が耐えられる、ましてや煤一つ付かずにいるなんてあり得ない。
チルノの頭に咲いた花が煌々と光っていた。
「っ!あの花か!!」
「アタイは最強だけど、花の王さまのおかげで更に最強になったわ!さあ魔理沙!春の凍てつく風に凍え死ね!!」
「くそっ、チルノの癖に生意気だぜ!!!」
目の前のチルノは今までとは遥かに格が違う。だが、それでも勝つのは自分だと奮起し、回避ではなく攻撃を優先に動き出す。
相変わらず寒さで震える身体を何とかするために、秘蔵の魔法薬を取り出し一気に煽る。本来なら花の王用に取っておきたかった虎の子だが、温存して勝てる相手ではないと認識を改めた。
ヒートエンチャント!!
身体に魔法の火が灯り、熱さ・寒さに対する抵抗力が高くなった。
ゆっくりと襲い掛かる弾幕はもはや脅威ではない。魔理沙にとって止まっているに等しい弾幕の間をすり抜けていって、チルノに魔法弾を至近距離で叩き込んだ!
「う、わわっ!」
「コレでも食らえ!ミサ魔理通常弾!!」
次々と弾をチルノに叩き込む。チルノの弾幕展開に合せ距離をとり、収まったところを近付いて撃ちまくる。
もちろんチルノも黙って撃たれるだけではない。スペルカードをコントロールしながらも、避けられる弾は避け、直撃しそうな弾は頭の花を使って弾いている。しかしスペルカードの制限時間が終わってしまった。
Break!!
「っ、やってくれたわね……次が最後よ!」
「っていうかお前どんどんキャラ変わってってねえか!?」
チルノの後ろに雪の結晶の様な巨大な花が咲き、その先端から冷気を放つレーザーが大量に撃ち出される。
「グレイズすら許さない絶対零度の弾幕よ!貴女に攻略できるかしら!?」
「もう原型残ってねえよ……なっ!」
レーザーの嵐を避ける魔理沙だったが、レーザーに箒の先を掠めてしまった。
「終わりよ魔理沙」
「……!!あっぶね!」
箒の先をほんの僅かに掠めた程度だというのに、魔理沙の乗っていた箒は掠めた部分から凍り付いていく。とっさの判断で箒を乗り捨てたが、あと少しでもその判断が遅れていたら箒を支えていた腕ごと全部凍り付いただろう。
「掠るだけでアウトだとぉ……なんて弾幕使いやがる……おっと!」
「ふん!ちっぽけな魔法の炎程度で偉大なアタイの花に抵抗しようなんて無駄よ無駄!」
「へえ!ならばコイツならどうだ?私のとっておきだぜ!!」
魔理沙は自身の信頼する技を撃つ。
「さっき見たでしょ!そんな物アタイには木漏れ日程度でしかないわ!」
「まだだ!花の王がやってみせたんだ。私に出来ないなんて道理はないぜ!!」
「スペルカードの複数起動ですって!?」
「ぶち抜けェェェェェェェ!!!!」
マスタースパークをただ2回撃っただけではない。全く同じ軌道でほぼ同時に撃ちだした。
一つ目の砲撃の最中に二つ目の砲撃を撃ちだすのだ。見る者が見れば余りの無茶苦茶加減に度肝を抜かれるだろう。
それをやる事に意味など無いのかもしれない。同じ魔力を使うのだったら一撃に込めた方が良いのかもしれない。無茶苦茶な運用をして暴発するかもしれない。
だがそれでも魔理沙は実行した。躊躇いなど無く実行した。
「く、ああああああああ!!!」
「うおおおおおおおおお!!!」
チルノは叫ぶ。あの閃光は喰らってはいけないと。花による防御では防ぎきれないと。
魔理沙は叫ぶ。此処が正念場だと。此処で倒せなければジリ貧だと。
故に両者は叫ぶ。
弾幕に全霊を込めて。
「収束っ……Freeze・at・MOMENT!!」
花のレーザーを一つに束ね、超低温の極太レーザーで迎え撃つ。
「全力……フルパワーだぜぇぇ!!!」
二つの完全に重なり合った超高温のレーザーを撃つミニ八卦炉にさらに魔力を込める。
二人のレーザーは互いを打ち消し合い、喰らい、弾き合う。
超低温と超高温、最後に勝ったのは
超高温だった。
魔理沙のマスタースパークは、チルノの後ろに大きく咲いた結晶の花の中心を撃ち抜き、崩壊させた。
「……アタイの負けね」
「ああ、私の勝ちだぜ」
花は、散り際こそが華。氷の花は粉々に散り、春風に吹かれ空気に融けていった。
「全く……チルノにここまで苦戦するなんてな」
「あーあ、花の王さまの力を借りたのにこんなのに負けるなんて、花の王さまに会わせる顔がないわ」
「つーか……チルノお前よく見たら成長してね?」
魔理沙の目の前には、恐らくチルノであろう存在がいた。
その姿は、先ほどまでの子供のような姿ではなく、魔理沙以上に大人の姿に変化していた。着ている服装から、恐らくチルノであろうとは予測がつくが、チルノにしては言動に知性が伺える。
「あぁ……多分頭のこの『魔吸氷昌の花』のせいね。アンタの魔力を吸収して自然エネルギーに変換したんでしょう」
「言ってる意味はわからんが、それがあれば私も大人のレディになれる可能性が……?」
「欲しいならあげるわよ」
チルノ(推定)は頭の花の花びらを数枚ちぎって魔理沙に投げ渡した。
ドゥルルチューン
「人間にはエクステンドの効果があるみたいね」
「ちくしょう!嬉しいけど嬉しくないぜ!!」
◇
チルノから受け取った魔吸氷昌の花をモサモサと食べながら凍った箒を解凍している魔理沙だが『まぁ、飛んでるうちに春の陽気で溶けるだろ』と移動を再開した。
春の陽気に活気づいてる(調子に乗っているともいえる)妖精や毛玉を撃ち落としながら飛行を続けていると、幻想郷の南の果て、花の王国へと繋がる世界樹が見えてきた。
「いやー、いつ見てもありゃぁ壮観だぜ」
あの世界樹は幻と実体の境界の支点の一つであり、普通の方法では世界樹の裏側にまわる事は出来ない。普通じゃない方法でも、世界樹が持つ自然エネルギーに太刀打ちする事は不可能だ。
花の王が言うには「世界樹を破壊出来る奴は俺以外だと一人しか居ない」らしい。
そうこうしていうるちに世界樹の下にたどり着いた。世界樹は、木と言うには余りにも巨大であり、その太さは妖怪の山よりも遥かに広く、高さは大気圏より遥かに高い。そして世界樹其の物が幻と実体の境界の元となる『幻の結界』を作ることで遠くからでは視認することが出来ない為、今まで誰も正確な大きさを測った事が無い。(花の王なら測ることは出来るだろうが面倒くさがってやらないだろう)
魔理沙はふと好奇心で世界樹の素材を研究したらどうなるか試してみたくなったが、手持ちの道具では世界樹を傷つけることすら出来ず、近くに落ち葉や枝が落ちてないか探すも、その生命力のせいか一切そういったモノが落ちていなかったため渋々本来の目的に移る事にした。
世界樹の下にある小さな洞。だが、人間からすれば大きすぎる巨大な穴を潜ると、其処には別世界が存在していた。
樹の中だというのに明るく、爽やかな風と煌々と輝く日輪、豊かな草花に遠くに見える城はまるで此処が幻想郷ではない様にも思える。
只この場に立っているだけで穏やかな気持ちになり、それでいて身体に元気が満ちていくこの場所は正しくもう一つの楽園だった。
ここらで昼寝でもしたくなった魔理沙だが、目的を思い出して箒にまたがり、飛行を再開した。
高々と空を飛ぶも、天井に頭をぶつけるどころか果てが見えないその広さに感動を覚えたが、目の前の光景に気を引き締めた。
「さあ、ここからが本番だぜ!」
目の前には妖精、妖精、妖精。妖精の群れが現れた。
少し話が変わるが、妖精というのはその殆どが掌に乗る程度、或いは人間の幼児程度の大きさぐらいである。稀にもっと大きい個体も居るが、それは自然から発生した妖精の絶対数が少ない場合、その自然エネルギーをより多く受け取っているからと考えられる。
さて、今度は目の前の状況を見てみよう。ここは世界樹の中、自然エネルギーが潤沢に溢れかえり、かつ内部には雄大な緑の環境が整っている。
つまり……
「お前等デカすぎねぇ!?」
そういう事である。
目の前の妖精の群れの大きさは異常だ。小さい者でも160cm。大きい者は2mを超えているだろう。
まだ王国に入ってないのにコレである。そして、王国に近づけば近づくほど、より多くの妖精たちがお出迎えしてくれる事だろう。
「全く、人気者は辛いぜ!!」
魔理沙は片っ端から妖精を撃ち落としていく。妖精にしては異常に硬く、弾幕量もとんでもない密度ではあるがそれでも妖精。強烈なのを御見舞いしてやれば倒せる。
更にはかなりの確率で[B]を落としていくからボムをバンバン撃って突破できた。
だが次第に城に近づくにつれ妖精の硬さも格段に上がっていき、弾幕の密度も各個体が5ボス並の量を吐き出し続ける正に地獄であった。ボムを撃ちおわる端から再度ボムを撃たねば魔理沙でもすぐに撃墜されるだろう。
高火力のマスタースパークでも撃ち落とせない程の硬さを持った妖精も現れ出した。
「マジで常識外れ過ぎるだろ!!」
既にマスタースパークでも撃ち漏らしが出てくる現状、スペルカードの同時起動に躊躇いは無かった。しかしそれでも妖精たちは隊列を組み、魔理沙のボムに対して被害を減らしている。
「有り得ねぇ……いや、花の王が直々に指導してりゃぁある種当然かもしれねえって思うだけ本当に常識外れだよな……と!」
幸いな事にボムは既に余るほど持っている。問題は魔道具とこの身体が持つかどうかだが……その程度で止まる魔理沙では無かった。
身体が弾けそうな反動を受けるが、持ち前の気合いで意識を繋いで極光を放ち続ける。
魔理沙は今、全力以上の技を放っている。自身が放ったとはいえ、目を閉じても瞳の奥を焼かんとする閃光の強さに意識がホワイトアウトし掛けるが、身体を貫く痛みに強制的に覚醒させられる。
持っていたボム分全てを放出し終わった魔理沙は、閉じていた目を開けると視界一杯にいた妖精の群れは全て消え去っていた。
「はっ……はっ……はぁ……うわぁ……マジか私。スゲェな私。こりゃ花の王をぶちのめす時も近いな」
口ではそう言う魔理沙だが、切り札の中の切り札であるファイナルマスタースパークを3つ同時に放つ離れ業を成し遂げられたのはひとえに世界樹より溢れる生命力のお陰である。
過剰なまでに溢れる生命力が魔理沙に流れ込み、反動で瀕死になる筈だった魔理沙が潤沢な生命力を消費し続ける事で最後までスペルカードを制御しきれたのだ。仮に博麗神社で同じ事をしろと言われても魔理沙は3つと言わず2つでも死ねる自信があった。
魔理沙は懐から魔力回復薬を取り出し飲み込む。動く気力は先ほど尽きかけたが、世界樹の中の為か少し休めば元気が戻ってくる。
本音を言えばもっと休みたい魔理沙であったが、先ほどやっつけた妖精たちが何時一回休みから復活するのか分からない以上すぐにでも移動するべきだ。
幸いなことに城はかなり近くに見える。まだ花の王国に足を踏み入れてない事実に愕然としかけるが、落ち込んでいても始まらない。再度箒にまたがって移動を始めた。
「はぁ~……デカい門だぜ……」
妖精に襲われる事無く王国への入り口である門にたどり着いた魔理沙。思わず口に出してしまう程の門は、高さは200~300m、幅は700~800m位はあるのではないかと思われる超巨大なものだった。
「紅魔館が小屋に思える程だぜ」
紅魔館が小さいのではない。この門が無駄に巨大すぎるだけだ。
門は巨大だが、細部に施されている意匠は実に手のかかっている物であり、かつ普段から手入れがされているようでピカピカと輝いていた。
更にはよく見れば意匠一つ一つが魔法陣としての機能を持っていることが見て取れた。魔理沙は専門ではないとはいえ、これだけの魔法陣を作り上げるだけの魔術師が居る事に驚きを持っていた。もしこの門を七曜の魔女か人形遣いが見たらその魔法陣の緻密さに驚き、意匠一つ一つに魔法陣がリンクしている事に目を見開き、門全体が敢えて歪められて作られている魔法陣であることに驚愕の声をあげ、それが起動待機状態である事に絶叫を上げながら怯え逃げるだろう。
しかし魔理沙はそんな事に気が付かない。「どんな効果があるんだこれ?」とか言いながら門をバシバシ叩いたり、持っているキノコを投げつけたりして何とか魔法陣を起動させようとしている。
見る者が見れば、核ミサイル発射スイッチで遊んでいる子供を見るような目で魔理沙を見るだろう。しかし幸いな(?)ことに此処に魔理沙以外は居ない。否、もう一匹いた。
ゾワッ!!
魔理沙は自身の直感に従い、飛ぶようにして門から離れた。
その直感は正しかった。
先程まで魔理沙が居た所に巨大な鉄塊が降ってきた。
「ちっ、仕留め損ねたか……。その色と言いすばしっこさと言い、まるで夏場の不快害虫だな」
「誰がゴキブリだっ……て…………で、デケェェェェェェ!!!!???」
巨大な鉄塊は只の鉄塊では無かった。ソレは恐らくブロードソードと呼ばれるような西洋剣だった。だが、ソレをブロードソードと呼ぶには余りにも巨大すぎた。刀身の厚みだけで人間一人分はあり、その刀身の長さは持ち手を視認する事が難しい程に高い位置にある程度の長さだった。
そして何より、その大きなブロードソードを片手で軽々と扱えるほどの大きさを持つ存在がいつの間にか其処に居た。
ソレからはそこそこ離れていても、背中を反らさねば顔を見ることすら出来ない程の巨体は、紅魔館でレミリアがオシャレのつもりで飾っている西洋鎧をより実用的に改装したような、有体に言って騎士の姿をしていた。
「み、み、見越し入道見越した!!」
「……何を言ってるんだ?我はそんなチンケな妖怪じゃない」
「やっぱか!背中の羽を見てまさかと思ったが……そのデカさで妖精はねえだろ!!!」
―太古に息づく雄大にして偉大な妖精大隊長―
風間・グラウンドドラゴンテイル・ジャイアント・ソーラーナイト・フルプレートアーマーキングガード・弐番大隊隊長・グラスティティア・ド・パンゲア
「名前クソなげぇ!!?」
「ふん、貴様等ゴキブリと我等では命名文化が違う」
「ゴキ言うな。それにしても名前が異常すぎるだろ」
「我等が名前を授かる時とは生まれた時ではない、偉業を成した時に我等が王から賜る。そして何度も偉業を成せばそれだけ新たな名前が賜るのだ」
「つまりそれだけ凄いことしたって自慢か」
「自慢ではない。王より下賜された名を名乗らぬ不敬者ではないだけだ」
「お前それ花の王は授けた名前覚えてんのかよ」
「……」
「……」
「貴様の様なゴキブリが我等の国に入る事など許されぬ。直ちに去れ」
「(思いっきり話反らしやがった)」
「去らぬと言うのなら此処で花の養分と成るが良い!!」
「はっ!当たり判定の塊みたいな図体で私に勝てると思ってるのか!」
グラスティティアは剣を地面に叩き付けた。ただそれだけで世界が震えたかのように轟音が鳴る。仮に地面の上に立っていたらそれだけで1ミスになっていただろう威力の地震は、空を飛んでいた魔理沙にも空震という形で影響を与える。ビリビリと腹の奥が痺れるような震えに魔理沙は真っすぐ飛ぶことが出来なくなった。
それだけにとどまらない。砕けた大地から口を開けたドラゴンの頭の様な岩がせり出してきた。
そして、その口から爆発するかのような勢いで火砕岩と溶岩、噴煙が飛び出した。
「ばっ!?こんなん食らったら一発でお陀仏だぜ!!?」
「構わん、むしろゴキブリにはちょうどいいだろう」
「ゴキブリには熱湯じゃなく洗剤って相場が決まってるだろ!!」
「洗剤は環境を荒らすからこの国では禁じられている」
「火山噴火させる方が環境荒れねえか!!?」
空震の所為で真っすぐ飛ぶことも出来ない魔理沙はフラフラになりながらも必死で火山弾を回避する。直撃すれば死。もはや弾幕”ごっこ”とは呼べない戦闘に魔理沙は息を荒げるが、朦々と立ち上がる噴煙を吸うリスクに気が付き、息を止める。しかし息を止めたまま火山弾を回避し続けるほどの集中力を保つことは魔理沙には出来ない。
魔理沙は咄嗟に懐から魔法薬を取り出し、自身に振りかけた。
ウォーターエンチャント!!
魔力で出来た水の膜が魔理沙を包む。
本来なら水の膜は相手の弾幕を反らす事で避けやすくする効果を持たせる予定だったが、自身の視界を遮り弾幕ごっこにはあまり向かなかった事で改良予定のシロモノだった。だが今ばかりは噴煙と溶岩の熱から自身を守る盾となり、世の中何が幸いするか分からんもんだなと改めて思う魔理沙だった。
だが、事態はまだ好転していない。自身の視界を遮っているのは変わらないし、この程度の水の膜では噴煙はともかく、火山弾の直撃は防げない。精々直撃したら骨すら残らない程度の威力から挽肉になる程度に威力減退するくらいだろう。人間なら死ねる。妖怪なら90%死ねる。
噴煙と水の膜で殆ど何も見えない視界を何とかするため、さらに高度を上げて飛行する事にした魔理沙。相変わらずフラフラと飛ぶが噴煙から無事に抜けることが出来た
……が。
「読めているぞ!」
「はぁ!?まてまてまて!!!」
グラスティティアはその巨体から想像だに出来ない俊敏さを見せ、魔理沙より先に遥か上空で跳躍して待ち構えていた。そして重力に従う様に降下し、その手に持つ超重量の剣を魔理沙に向けて振り下ろす。
「死っ……マスt……彗星『ブレイジングスター』ァァァ!!!」
魔理沙は咄嗟の判断で一気に加速し、振り下ろされた剣とすれ違うようにして避ける。ギリギリを避けた所為か、剣圧で身体が吹き飛びそうになり、乗ってる箒もメキメキと嫌な音を立てるが無傷で切り抜けることが出来
「まだだ!!」
グラスティティアが地面に着地した瞬間、振り下ろしていた剣を反転させ、一気に斬り上げた。
移動方向に対して後方に噴射しているとはいえ、マスタースパークの閃光を切り裂きながら魔理沙に追いつかんとする剣を見て肝を冷やした魔理沙だったが、辛うじて剣の届く範囲から逃れられた。
魔理沙にとって幸運だったのは咄嗟の判断でマスタースパークによる迎撃では無く、ブレイジングスターによる回避を選んだことだ。仮にマスタースパークで迎撃していた場合、巨大なブロードソードによってマスタースパークごと魔王/里沙になっていただろう。
だが魔理沙にとって不幸だったのは、ブレイジングスターの後方噴射を受けても傷がつくどころか一切怯みもしなかったグラスティティアを見たことだろう。
「はぁ……マジか。アレで怯みもしないとかどうやって倒せばいいんだぜ……」
「……ふん、飛んで制空権を得たつもりか?無駄だ。我が前にゴキブリも烏も同じ事だ。地に這いつくばれ!!」
「もう本当に何でも有りか!!ぐえっ!」
天が落ちて来た。否、大地が魔理沙の居る高さまで盛り上がったのだ。結果的に魔理沙は地面に叩き落とされることになった。
「大地のある所に神が立つのではない。大地の神が立つ所その位置こそが大地のあるべき所だ」
「ざけんな!お前妖精だろ!!そんなバカげた話聞いた事無いぜ!!」
「愚かな……我は許可なく大地の化身を名乗るトカゲを殺し、一時的に大地の神と同じ権限を持つ誉を我等が王から賜った」
「それマジモンの大地の化身じゃねえの!?勝手に名乗ってるの花の王じゃねえの!?」
「貴様、先ほどから我等が王に無礼であるぞ!」
グラスティティアは持っている剣を横薙ぎに振るった。
大地を一掃する魔理沙は今度こそ魔王/里沙になると思われたが
「くっ!?緊急脱出だぜ!!」
スカートの中から赤と白のまだら模様のキノコと魔法薬を取り出し、その二つを地面に叩き付けた。するとキノコは急成長し、魔理沙ごと高く高く伸びていった。
余りにも急に成長したせいで、グラスティティアは勢い余って剣を強く地面に突き刺してしまった。
「チャンスだぜ!私の本気だ、喰らえ!!」
魔理沙の弾幕”ごっこ”ではない本気の一撃。しかしそれでも”この程度”なら目の前の存在には所詮遊びに過ぎないであろう威力だが、相手は自身の得物を地面に突き刺して隙だらけ。今なら、今なら通ると確信して
あっさり防がれた。
「……ふん、我にこの盾を使わせるとは。人間にしてはよくやった方だ」
「……マジ……かよ」
何処から取り出したのか、グラスティティアはその身の丈と同じくらいの大盾を装備していた。その大盾は剣より遥かに分厚く、鬼ですら持てない程の重厚感を放っていた。
大地に突き刺さっていた剣を引き抜き、装備しなおす。剣と盾を持ったその姿は様になっていることから、この姿こそが本来の戦闘スタイルだったのだろう。
スペルカードの制限時間が過ぎたのか、隆起した地面が元に戻っていく。
「……む?傷が……ほう、人間が日輪の盾に傷を着けたのはお前で2人目だ。光栄に思え」
「は、はは……笑うしかないってこういう事なんだな……」
魔理沙の本気の攻撃。それが相手にとって多少脅威程度でしか無い上に何度撃っても同じように防がれる未来しか見えない。
何度も、何度も命の危機に瀕した魔理沙は、心が折れる音が聞こえた。こんなどうしようもない相手に命を掛けるなんてばかばかしい。命あっての物種じゃぁないか。そもそも私が命を掛ける必要なんて無いじゃないか。
アドレナリンが切れたのか、朝から身体を無茶苦茶に酷使した代償で全身から痛みを感じる。
そうだ。もういいじゃないか。頑張らなくても、すべていつも通り。今まで何度も才能や種族の壁を前に挫折を味わった。今日もまた挫折するだけだ。いつも通り。結局はいつも通りだった。
「さて、とはいえだ。この盾は我等が王から下賜された物。傷を着けた代償は高くつくぞ……!」
「ひっ……!」
剣を地面に突き刺し、気を送る。大地から壁の様な弾やレーザーの嵐が立ち上った。それはまるで魔理沙の逃げ道を塞ぐように展開された。
「ハハハハハ!!さあ抵抗してみろ!!さもなくば無様に死ぬだけだ!!!!」
地面に剣を突き刺したまま魔理沙に向かって突進するグラスティティア。構えた盾で弾幕を防ぎつつ押しつぶす心積りの様だ。
「ひ、あ、うわ、ああああ!!!」
魔理沙は眼前に迫った死の恐怖に遂に精神が限界を迎えた。
「あああああああ!!」
恐怖のあまり錯乱しながらマスタースパークを放つ。死にたくない。もう駄目だ。諦めろ。逃げられない。怖い。
思考がぐるぐると回転するも一向に進まない。だが身体に染みついた動きは混乱しながらも正確無比な射撃を可能にした。例えその攻撃が通用する訳無いとしても……
しかし魔理沙の放ったマスタースパークは突進してくるグラスティティアの盾の防御を抜け、その兜に直撃した。
「ガァッ!?な、なんだ!!?」
今まで魔理沙のブレイジングスターの噴射や本気のファイナルスパークでも怯みもしなかったグラスティティアだが、マスタースパークが兜に直撃した事により留め具が弾け頭部が露出してしまった。
そして兜が飛んで行ってしまったことで思わず動きを止めてしまったグラスティティア。その頭には花が咲いていた。
「っ!く、マズい……我が花が露出してしまった……!兜、兜は何処だ!!」
グラスティティアは攻撃を中断してまで兜を探している。
魔理沙はその様子を……見ていることしか出来ない。
「う、ぁぁ……ぅぅ…………」
錯乱状態に陥ってる魔理沙では現状に対してただただ縮こまることしか出来ない。
戦わなければと身体は思う。
逃げなくてはと精神は思う。
誰か助けてと脳は思う。
魂と魄がてんでバラバラ。
動かなくては死ぬというのに、戦わなくては死ぬというのに、勝たなければ死ぬというのに。
身体と精神がついて行かない。
今でも脳は都合のいいヒーローが現れてくれることを期待している。
幼い時の様にぽろぽろと涙がこぼれた。
また泣いてんのかお前、しょうがない奴だぜ。
ほら、座り込んでも何も始まらねえだろ。しっかり立てっての。
あーもー、泣きながらで良いがただつっ立ってると妖怪に食われるぜ。ほれ。
いつか幻想郷中を飛び回りたいんだろ?だったら自分の身は自分で守れるようにならなきゃな。
全く、そんな調子じゃ何時まで立っても里の外で暮らす事なんて許可できねえぜ?ほら、常に頭を動かせって言ってるだろ。
怖い時でも、泣きたい時でも、最後まで頭を動かしてる奴だけが生き残ることが出来るんだぜ。
はぁー。わかったわかった。こう見えて俺は子供をあやすの上手いんだぜ?必殺ナデポ神拳を喰らわせてやるぜ。
落ち着いたか?じゃあもう家まで帰れるな。
……んだよ。本当にしょうがねえなぁ。わかったわかったよ全く……。
ほれ、おまじないだ。お前がまたベソかいてる時にこうして撫でてやるよ。
あぁ~?俺が居ない時だぁ~?自分でなんとかしろ。
あぁ、泣くなっつの。しゃーねぇー。居ない時でもまぁ、大丈夫だ。俺はいつでもどこにでも居るからな。
だが撫でるだけだ。困り事は自分で何とかするんだぜ。分かったなアイカ。
ああ、マリナ。え、あ、そうそれ。
「ぅ……ぐずっ……嘘……つき……」
嘗ての記憶がフラッシュバックする。まだ自分が誰かに守られてなければ生きることが出来なかった時の記憶。
無鉄砲で弱かった自分は何時も決まって座り込んで泣いていた頃の記憶。
もう、もう自分は弱くない。過去の弱かった自分とは決別した。
だというのに。
「私は……変わっちゃいない……何も……」
立たなければ。立てない。
動かなければ。動けない。
涙が止まらない。
止めなければ戦えないのに。
頭が動かない。
「ちくしょう……チクショウッ……!」
あれから成長した気でいた。
あれから強くなった気でいた。
強くなった自分を見て欲しかった。
なのに。
なのに。
本当にしょうがねえ奴だなぁ。お前の泣き虫はいつになったら治るんだ?
「っ!?」
俺のナデポ神拳が炸裂するのは、さて、どれくらいぶりかな?俺からすりゃあつい昨日の様に思えるんだが。
「ぁ……ぅ……」
……あ、昨日ケロ子にやったばっかだったわ。そりゃぁ昨日だわな!
「は……なの……ぉ」
ほれ、前も言っただろ?最後までちゃんと頭動かせ、生き残る奴ってのは最後まで頭動かしてんだから。
「ぅ……ん……」
さぁ、落ち着いたろ。気張ってこいや魔理沙。
「……あ、待って!」
「……居ない……」
振り向いてもそこには誰も居ない。だが確かに頭に余韻は残っている。温もりも感じられる。
死の直前にみる走馬燈ではない。幻覚でもない。夢のようだったが、幻想のようだったが、確かに其処に居たのだ。
「……へへっ」
花の王は嘘つきじゃなかった。今はただそれだけでいい。
バラバラだった身体と精神はしっかり繋がっている。
傍に落ちていた箒を握りしめる。
脚に力を入れ立ち上がる。
今度こそ一人で立ち上がる。
前を見据える。未だに視界は涙で歪んでいるが、もう大丈夫。頭は動いているから。
目を閉じて涙を軽く絞る。目を開けばそこには巨大な妖精が此方を見据えている。
「よくも我が兜を……その命をもって償え!!」
「はっ!デカいのはその身体だけにしとけよ!口までデカいとはしたないぜ?」
「貴様ぁ!!!」
魔理沙に向かって飛びかかるグラスティティア。剣を振り弾幕を放ち動きをけん制してくる。怒りに任せるようで頭は回っているようだ。
魔理沙は縫うようにその弾幕を潜り抜け相手の顔に近づいていく。だが今度は盾が振り回され、危うくグレイズするところだった。あの超質量でグレイズしたらまず”もってかれる”のは目に見えている。だから……と言う訳ではないが、
「これでも喰らいな!」
魔理沙はスカートの中からキノコと液体が入ったフラスコを大量に取り出し投げつける。
如何にも”危険です”と主張せんばかりのキノコと液体の色に眉を顰めたグラスティティアは剣を振り払いフラスコを斬り落とした……が
「FIRE★」
「なっ!?猪口才なっ……!」
剣に当たった瞬間フラスコが爆発を起こし辺りに白い煙を大量に撒き散らす。
「煙幕かっ!?ぐっ、ゴホッ」
「卑怯なんて言うなよ!お前も同じ事したんだからな!」
「不愉快っ……!だがこの程度の煙など!!」
グラスティティアは剣を地面に突き刺し、気を送り込んだ。すると先程の焼き増しの様に地面から大量の弾とレーザーが撃ちだされた。その際の爆風で煙幕は吹き飛んだ。
「ゲホッ、フン!大したことは無いな!」
「そいつはどうかな!」
僅かな隙を突いて死角に移動した魔理沙は留め具の外れた兜を至近距離で爆撃する。
「喰らえ、ミサ魔理通常弾!」
「なっ!!?貴様またっ!!」
すると兜が吹き飛び、頭の花が再び露出した。
「ぐっ貴様ぁ!!離れろ!!」
「おいおい!そんなに頭の花に触れられるのは嫌か?安心しな!人の嫌がる事は進んでしなさいって教わってるもんでな!!」
「安心する要素一つも無いぞ!!?」
「よそ見してていいのか?ガンガンいくぜ!?」
星の弾幕をまき散らしながら移動する魔理沙。
グラスティティアは頭の花に直撃する物を盾で防ぎながらも魔理沙を眼で追い続ける。
「其処だ!!」
魔理沙に向かって剣を振るう。剣は魔理沙を切り裂いた。
「はっ!生意気な人間め!」
「おいおい!何処に剣を振ってるんだ?私はこっちだぜ?」
「何ぃ!ぐあああああああ!!!」
遂に魔理沙の強力な一撃がグラスティティアの鉄壁の防御を抜いて叩き込まれた。
「あああぁぁぁ……ぐっ、馬鹿な……確かに先程切り裂いたはずだ!」
「へっ!世界樹に引きこもりきってる妖精のお前に良い事を教えてやるぜ!私が住んでる魔法の森にはあるキノコが生息しているんだが、そいつの胞子を吸うと耐性のないヤツは幻覚を見るというシロモノなんだぜ!」
「それが如何した!ゴホッ」
「まだ分からないか?お前がさっき吹き飛ばした煙幕だが、その中にはそのキノコの胞子がたぁっぷり入ってたんだよ!」
「何っ!!?」
「お前はそうとも知らずがっつり胞子を吸い込んだんだ!耐性が無ければ妖精にも効く事は実証済み!流石にお前ほどデカいヤツには試したことは無いが、十分効果があるみたいだな!!」
「ゴボッ、貴様……卑怯だとは思わないのか!!」
「全身フル装備で弾幕弾く奴に言われたくないぜ!さあこれでお終いだ!!」
魔理沙は威力と貫通力を特化させたスペルカードの同時起動、否、スペルカードの”合成”でトドメを刺すべく魔力を溜める。
「ゴボッ、ゴホッ……ふ、幻覚に惑わされるなど二流に過ぎない……一流は心眼で敵を射抜く物よ」
グラスティティアは目を閉じ、音、熱、気配、そう言った類のもので魔理沙の居場所を割り出すつもりの様だ。
魔理沙のデュアルマスタースパークが発射された。
「……見切ったっ!!」
一閃。
重く、硬い剣による神速の一閃はデュアルマスタースパークだけでなく、その太刀筋上の全てを切り裂き、世界樹の内壁に当たり止まった。
「ゴボッ……ふぅ、人間、貴様もまた
「そりゃ結構な事だぜ」
「……!!?何故貴様がそこに居る!!!」
「さっきのは囮、本命はコイツだぜ!!!」
「ぐあああああああああああああ!!!」
巨体の騎士が地面に倒れた。あまりの重量に地面が軽く沈み込んだ。
「……コンティニューとか言い出さないよな?」
「ゴボッ……ふん、此処まで完膚無き負け具合でリトライなど言えるか」
「そりゃよかったぜ……流石にもう続ける気力は無いぜ……」
「人間、貴様の名前を教えろ」
「あー?私は霧雨魔理沙だぜ」
「そうか、霧雨魔理沙。霧雨魔理沙か」
「ゴボッ……霧雨魔理沙。貴様は見事我に勝ち、王国に入る資格を得た」
「これでまだ駄目って言われたらもうどうすりゃいいもんか……」
「言うか…………と言いたいが、事情が変わった」
「何ィ!?」
「……うむ、我も不本意と言えば不本意なのだがな……」
「体験版は此処までとなります。続きは製品版をお待ちください」
「いやどういう事だよ!!!?」
「だから言っただろう!不本意だとな!だが仕方ないだろう!我は我等が王の直々の命令に逆らえぬ!!」
「おま!?もう王国まで目と鼻の先だってのに此処で帰れってか!!?」
「喧しい!貴様は此処まで時間と文字数掛け過ぎなんだよ!!今もう1万8千字過ぎてるんだよ!長すぎて辛いんだよ色々と!!」
「時間はともかく文字数って何!?1万8千字過ぎてるってどういう事!?お前なに目線での台詞なのソレ!??」
「喧しい!貴様の出番はこれで終わりだ!さっさと神社にでも帰って次の伏線でも張って来い!!」
「クソッ!!やっぱ花の王が関わると色々理不尽過ぎるぜ!!!」
「分かってた事だろう!!」
「イエス!!」
◇
~博麗神社~
「~てな感じの冒険だったぜ……」
「何その消化不良。斬新すぎるわ」
「世界樹ねぇ。そんな面白そうな場所があるならもっと早く言いなさいよ」
「あー……レミリア、アンタは行かない方が良いわよ。あそこは太陽が二つあるみたいな所だし、生命力が満ち溢れてるから
「フフン。そんな程度で怯む私じゃないわ。パチェの力も借りれば簡単でしょ?」
「あそこよく花の王が出没するぜ?」
「パチェばっかりに無理させるのも悪いからね。仕方ないから止めといてあげましょう」
「素晴らしい掌クルー」
「ですがそこの妖精……妖精?には興味ありますね。仕事を仕込めば館の雑務が楽になる可能性が……?」
「そう言えばアンタんトコ植物園になってるんだっけ。掃除大変そうね」
「大変……ええ、大変よ、そう。なんだかよくわからないしょくぶつがかだんからにげるしどろだらけになるしめいりんはやくにたたないしきをつけないとばくはつするし」
「OK。咲夜、落ち着け。今度手伝いにいてやるから……な?」
「本当!?本気なの!?言質取ったわよ魔理沙!!?」
「キャラ崩壊著しいぜ……」
「世界樹ですか……ゲームで言えば絶対レアアイテムが置いてあるところですよね!」
「ゲームってな分からんけど……あそこは幻と実体の境界の支点の一つだからかよく外の世界の物が流れて来る……らしいぜ」
「らしい……?」
「正直、今日みたいな事が無い限り誰も近づかないぜ。なんせあの辺は凶悪な妖精以外にも風見幽香がよく出没するからな」
「幽香さんがですか?なんで幽香さんがいると危険なんですか?」
「あー……わりい、言葉が足りなかったな。あそこに出没する風見幽香は滅茶苦茶気が立ってる時の風見幽香だからな」
「あぁ……」
「……しかしもしかしたらやばい事しちゃったかもねぇ~」
「ん?何がやばいんだ萃香?」
「考えてもみなよ。今回魔理沙が異変解決って名目で城に乗り込もうとしただろ?」
「失敗したけどな」
「つまり、このめっちゃ春な状態は異変なんだよ」
「言ってる意味が解らないです」
「だからぁ~、今のアイツはこのめっちゃ春な状態を異変って事にして、その黒幕って事なんだよ」
「あぁ~」
「え、えぇ?ちょっとなんで納得してるんですか?」
「つまりね、魔理沙がこの……めっちゃ春な状態を異変って事で異変解決に赴いて、花の王を黒幕に置いたから誰かが花の王を倒すまでこのめっちゃ春な状態がずっと続くって事よ」
「異変解決に向かう=今異変が起きているって事なのよ」
「え、ええぇぇ……そんな屁理屈みたいな……」
「「「花の王だからよ(な)(ね)」」」「アッハイ」
「はー……面倒な事になっちゃったわねぇ……」
「スマンな!」
「もう魔理沙退治して異変解決って事にしちゃおうかしら。花の王異変って事で」
「それだと毎年と言わず毎月異変解決で誰かしら退治せなあかんことになるぞ」
「それもそうだった……」
「貴方達の中で花の王様はどういう扱い何ですか……」
「「「「自由奔放」」」」「えぇ~」
「自由というか……何でも有り?」
「頭のネジ100本単位で取れてるわよ」
「永く生きてるからか、正気じゃないなあれは」
「少なくとも私らが想像つく出来事は全部やっているイメージ」
「そ、想像つく?」
「一時期増えてたこともあったねぇ……完全に」「増えるんですか!?」
「アイツ一人で月に歩いて行ったらしいぜ?」「地続きなんですか?!」「んなわけないだろ……ないよな?」
「地獄が花で埋まったらしい」「らしいじゃなくて本当の事よ」「地獄埋めちゃったんですか……」
「昔、魔王とか呼ばれてた侍の頭に花刺してたぞ。『生け花の真髄を教えてやる!!』っつって」「それって織田の……」
「そう言えばあの方って子供居るのかしら~?」
「子供ォ?養子的な奴なら何人も見た記憶があるが」
「霊夢なんか最新の養子だよな」
「なんか癪に障る言い方ね」
「養子じゃなくて、誰かとの間に授かった子よぉ」
「……」
「……」
「……」
「萃香、アンタアイツの浮いた話の一つでも聞いてないの?」
「いやぁ……アイツ女に構うより花に構ってる奴だろ?無い無い」
「つまり相手は必然的に花。花妖怪。あっ」
「……」
「……」
「……この話は無かった事にしましょう」
「それが良いわね」
◇
~花風城・玉座の間~
「幽々子から聞いたのだけど」
「はい……」
「貴方、西行妖を咲かせようとしたそうね」
「未遂!未遂だからセーフ!!」
「貴方ならアレを一目見てどんなシロモノかはわかるでしょう?」
「……」
「分かるでしょう?」
「ハィ」
「なんで封印を解こうとしたのかしら?」
「いやぁあの暴食の悪魔に口八丁手八丁で騙されて」
「それでも一目見てどんなシロモノかはわかるでしょう?」
「……」
「分かるでしょう?」
「ハィ」
「それを咲かせたら幻想郷がどうなるか分からないでもないでしょう?」
「……いやぁ、ちょっとくらいなら良いかなーって」
「あ”あ”?」
「なんでもないでーす」
「そもそも元はと言えば貴方が自分で植えた花をしっかり管理していないからこうやって面倒な封印をする羽目になってるのわかってる?わかってないでしょ?貴方馬鹿だものね。配下の妖精の方が記憶力良いわよね」
「お前億年生きてると記憶力なんぞガバガバや普通「黙れ」はい」
「理解してるの?貴方の所為で幻想郷はいつ爆発するかもわからない不発弾だらけよ?幻想郷に限らず近界の各地も似たような状況なの。いい加減に放置するんだったら花植えないでもらえないかしら」
「つまりそれって目の届く幻想郷なら自由に植えていいってお達し!「殺すぞ」ワシ号泣」
「大体ねぇ、貴方は昔っからそう言う放任主義な所が……クドクド
「(助けてえーきっき、今はお前の説教が若干恋し……いや、やっぱ説教はやだなぁ。10秒で済む説教にしてくれないかなぁ)」
「聞いてるの!?」
「NO!」
「殺す」
「殺されぬ!」
「……」
「死ぬぅ!」
「死ね。死ね。死ね。死ね。死ね……」
「あぁやべぇ八雲がついに壊れた。狐ー!狐ー!早く回収してー!!」
((だが断る!!))
「おいゴラァ!!城が消し飛ぶだろうがぁ!はよ持ってけ!!」
((そんな殺意満々の弾幕の中に入れるか!!))
「大丈夫行ける出来る頑張れ頑張れ気持ちの問題だどうして諦めるんだそこで!!」
((気持ちでどうにかなるか阿呆!!というかなんでよそ見しながら回避できるんだお前は!!!))
「気持ちの問題だ!!」
((そんなわけあるか!!?))
「今日という今日は殺してあげる!さあ念仏をあげろ!!!」
「俺仏教徒違うし!空飛ぶスパゲッティーモンスターをシバき倒す教徒だし!」
((なんだそのありがたみがこれっぽっちも感じられない宗教!!))
「ちなみに開祖はルーミアだし!」
((まるで意味がわからんぞ!!))
「殺すッ!!あ”ッ、ぶっ殺してやるッ!!」
「ぎぃーやー!遂に八雲が妖怪面全押しの顔にぃー!!」
((……もう本当になんなんだお前、随分余裕あるな))
東方偉世界~beautiful Kingdom.完!
続きは気分次第のもよう。
そして気がついたら二万文字とか行ってる。怖い。
どうでもいいですけど魔理沙って二次創作でよく死に掛ける目に合うイメージ。
・花の王
mobからラスボスまで幅広くこなせる三枚目。幻想郷でも規格外の強さを持つが、その真骨頂は自軍の強化と統率力に有る。いま思い付いた。
一部の人妖から「自分のオリジナルキャラクターを嫁と言っている痛い奴」を見るような目で見られている。
幻想郷の南に存在する世界樹及びその中の花の王国を(一応の)テリトリーとしている。花の王国の住人の殆どが妖精であるが、幻想郷で発生した妖精とは格が違う。だが、世界樹から離れることはないのであまり知られていない。
・花が咲いたチルノ
日焼けしたチルノが有りなら花が咲いても良いじゃない。花の王だもの。
魔力を吸収して自然エネルギーに変換する『魔吸氷昌の花』を頭に咲かせたチルノ。魔女垂涎の逸品。魔力によるダメージを50%+固定値カットする。更に一時的にカット量を上げることも出来る。可食。
妖精は自然エネルギーが充満すると器(肉体)が大きくなるという設定。チルノは身長が伸び、賢くなった。
・世界樹
最も大きく、最も頑強な「花」。その頑強さは、世界を支えるゾウが踏んでも折れないと言われる。
生命力の塊であり、その葉は死者を蘇らせることが出来るとも言われるが、葉を採集出来たものは居ない。
中にある王国は妖怪の山よりも広く、王国及びその周辺は危険度最高に位付けされている。
・風間・グラウンドドラゴンテイル・ジャイアント・ソーラーナイト・フルプレートアーマーキングガード・弐番大隊隊長・グラスティティア・ド・パンゲア
「パンゲア大陸風の谷出身の大地竜を討伐した巨大な日輪の鎧一式を身に着けた騎士で花の王直属の配下であり王国軍二番大隊の隊長を務める王族代理のグラスティティア」という意味。現在、王国内では三番目に長い名前。
月人がパンゲア大陸から居なくなった直後から発生した地の神『大地竜』を討伐した四剣の一匹。他の四剣はそれぞれファング・ウイング・クローの名前を授かり、同時に神格も得た。大地竜を討伐した影響でパンゲアは割れた。
花の王直属の配下は三匹いて、フルプレートアーマーキングガード・ドレスアーマーキングブレイド・座椅子とそれぞれ名前がついている。
花の王国にもスペルカードルールはそれなりに広まっているが、遊び感覚というよりはより殺伐とした決闘方法として認知されている。人間が居ないからね仕方ないね。
・花の王国
めっちゃ広い。王国の四方にはそれぞれ城門があり、さらにその先には別世界へと繋がっている。
幻想郷の外から様々な物が流れ着きやすく、王国の(頭のおかしい)エンジニアによって改造されたりされなかったり。
余りにも広い為、王国内では普通にバスや列車が走っている。今のトレンドは原チャリらしい。
え?原チャリなんて幻想入りする訳無いだろって?原子力発電式チャリオットの略称ですが?
・花風城
八雲紫が「貴方も賢者とか呼ばれてるんだから一応の住まい位用意しなさい」と言った所為で出来た超巨大な城。どちらかと言えば日本風。
花の王が一晩で造りやがりました。城作りまでDIY感覚かよ。
・空飛ぶスパゲッティーモンスターをシバき倒す教
開祖ルーミア(EX)。かつて花の王と二人旅をしていた時に現れた邪神教を駆逐するために開いた宗教。意外と世界各地に信者がいる。
もし幻想郷の宗教戦争に参加していたら幻想郷が沈む程の泥沼化待ったなし。
信者に邪神より邪神してる奴居るじゃねえかなんてツッコミは聞かない。
・スペカ複数起動
必殺技を同時に放つなんて非常識な!(なお強者にとっては簡単にできるもよう)
次回!気が向いたら過去編(思考停止)
またみてね