「ええと、アレ買ったこれ買った……あ、餡子買ってないや」
こんにちはヨムー!皆大好き魂魄妖々夢だヨムー!
ここは人里だヨムー!いまは買い物の帰りだヨムー!
今日も今日とて大食い妖怪の為にせっせと買い物をしているキリー!毎日の食費で家計のエンゲル係数がマッハでヤバいヨムー!
いい加減あの妖怪は我慢を覚えるキリー!
「……あ、それと茶葉も買わなきゃ」
特にここ最近の大食い妖怪の大食いっぷりは手がつけられないキリー!もはや妖怪じゃなくて悪魔だキリー!暴食の悪魔だヨムー!
あのお腹を捌いたら宇宙が広がってるに違いないヨムー!
「……さて、必要なものは全部揃ったかな」
もはや買い物袋で両手処か背中まで塞がったヨムー!毎日こんなにもって帰るのはちょー大変だヨムー!服で隠しているけど内側は筋肉ムキムキマッチョウーマンだキリー!
もうすぐ家の財産が尽きるヨムー!いい加減あの悪魔は働くということを覚えて
「業風神閃斬!」
「スペカですらねぇ!?」
殺意籠った弾幕の嵐になすすべもなく吹き飛ばされるのだった。
「うわーやられたヨムー」
「……色々言いたいですがまず一つ……その~ヨムーってのを止めて下さい!!」
「分かったキリー」
「そっちも止めろ!!」
「断るッ!!」
「なんでそっちだけ!?」
そんなもん只のノリだクビー。
「だから止めろt新しいの出来てる?!」
クビー。
「……で、何の用ですか」
「いきなり斬りかかったのはそっちだキリー」
「貴方が変なモノローグつけるからでしょ……なんでこんな変なのがお爺ちゃんの友達なんだろ」
「同じ花愛好家だからクビー」
「そのクビーって言うの止めてくれません?意味わからないので」
「意味わかれば良いのかマクロコスモス」
「わかれば良いって話じゃないですウルトラソウル」
「HEY!!」「やめい」
ハロー。お察しの通り、俺である。
今日も今日とて花を咲かせながら無闇矢鱈と歩き回っていると古い顔馴染みを見つけたのでちょっかいかけてみた。
「言うほど古い仲じゃ無いですよね。この前の宴会でも会いましたし」
「三番!何でも斬ります!!」
「その話は止めて下さい。お願いですから」
「キレたのはお前の主人だけとか爆笑」
「止めろって言ってんだろ」
考えなしの一発芸はやめよう(教訓)
「だけんど実際古い仲だろ?誰が産まれたばかりのお前を抱き上げたと思ってんだよ」
「えっ……?まさか……」
「お前のジーちゃんだよ」
「やっぱなぁ!どうせそうだと思ったよド畜生!!」
ジーちゃんが産まれた赤子を取り上げた時、俺はこいつのカーちゃんの手を握っていたから抱くのは無理だった。
「えっ」
そんなことより今日は折角だから冥界にお邪魔するキリー。
「邪魔するなら帰って……じゃなくて……えっ?立ち会ったんですか……?」
「何が?」
「私が産まれた瞬間に……」
「……あ、これ内緒にしとけって言われた奴だった」
「は、はぁ!?えっ、マジで!!?」
「はっはっは」
「誤魔化し方ヘタクソかオノレは!!ちょっと!詳しく詳細プリーズ!!お母さんってどんな人だったんですか!?お父さんは!?」
「お前お父さんに似なくて良かったな」
「それどういう意味!!?私お母さんもお父さんもなにも知らずに今まで生きてきたんですから少しだけでも教えてください!!」
「ところで話は変わるけど、自己申告で記憶無くすのか、記憶を糧にする花を育てるのかだったらどっちにする?」
「はい!ここ数分の記憶無くしました!!」
◇
と言うわけで着いたぜ冥界。この幽明結界はいつになったら直るんだ?
「直す気無いんじゃないですか?」
「全く、だらしねぇな八雲。人にアレやれコレやれ五月蠅い癖に自分は何もしてないのかよ」
『貴方以上には色々頑張ってるわよ!!』(幻聴)
『幻聴にされた?!』
「あ、花の王だ」
「おー、花の王じゃん。暇なら練習でも聴いてかない?」
「聴かなくてもいいけど……」
冥界の住人1号はブラスバンド三兄弟だった。
「プリズムリバーなんですけど!!」
「三姉妹なんですけど!!」
「まだここは冥界じゃないんですけど……」
「結界が見えたらもうそこは冥界で良いやん?」
「門で区切ってる意味が無い『ミョン』語尾足すな」
そうは言うが実際ここに生者が来るより死者が居る割合の方が高いだろ絶対。
「「「確かに」」」「納得するな」
「ところで、練習風景は気になりもするが、俺はライブ派なんだ。聴いてくのは今度にするわ」
「そっかー。残念だなー」
「また来てねー」
「次のライブは一緒にセッションしよう……」
俺は手を振り上げて返答した。
「貴方って音楽も出来るんですね……」
「意外か?」
「まあ、有り体に言って」
「長く生きてれば感性は自然と身に付くさ。後は……暇潰し的な?」
「そうですか……今度聞かせてくださいね」
「気が向いたらな」
「ちなみに得意な楽器って何ですか?花の王だけに草笛とか?」
「ボイパ」
「楽器じゃねぇ!?」
◇
長い階段を登ると其処は白玉楼でしたとさ。
いや本当に長すぎないあの階段。俺が天界まで上った以上に時間掛かったんだけど。そこんとこどうなの悪夢ちゃん?
「妖夢です。私に言われてもどうしようもないですよ」
「じゃあ適当にショートカット作って良い脳無ちゃん」
「だから妖夢ですってば。貴方の適当は雑って意味の適当なので駄目です」
つまらん、それでも怒夢か。
「よ・う・む!!どういう意味ですかそれ!!」
だいたい、こんな長い階段を一段一段上るのはめんどくさいだろ?毎日人里に買い物に出る巌堕夢ちゃんの為に楽できるショートカット作ってやろうってのに。
「誰が巌堕夢ちゃんだコノヤロー!!それに毎日人里に買い物に行ってる訳じゃねーし!?」
「2日に一回?」
「あんまり変わってねぇじゃろがぃ!!」
「耳元で叫ぶなよ。マナー違反だぞ?」
「人の名前間違えまくるお前がマナー語んなぁ!!」
「あらやだこの子口わるいわぁ。きっと身近にろくでもないお手本のような存在がいたんだろうね」
「お前以外に居ねぇよ!!」
「やだ……つまりそれって俺以外の誰とも添い遂げる気はないって言う宣言……?」
「今のがどう聞こえたらそうなるんだ!!!」
「そんな目で見つめられると照れちゃーう」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「妖夢ー?帰ってきたのー?」
「はっ!ゆ、幽々子様!ただいま帰りました!」
白玉楼のデカい門から聞き覚えのある声が聞こえた。先ほどまで顔面崩壊するくらいに激昂していたザクも一瞬で取り繕い、その声に返答する。
「ザクじゃない妖夢!!!もう夢すら残らなかったぞオイ!!!!」
「妖夢?誰かいるのかしら?」
「幽々子様、今花の王が」「お邪魔しまーす!!」
ドガァン!
とデカい門を蹴り開ける。
「お前何してんの!?」
「王の前で堂々と閉まってる門が悪い」
「普通門ってそう言う物じゃないんですかねぇ!?幽々子様!ご無事ですか!!?」
「うぅ~ん……亡霊生も長いけど、走馬灯を見たのは初めてだわぁ……」
「幽々子様ー!!」
蹴り開けた門が掠めたのか、尻もちをついてるドリキャス子は只でさえ死にそうな顔色を更に白くさせてそう呟いた。
「幽・々・子!!お前幽々子様にまでそういう態度かコラァ!!ドリキャス子って何だァ!!」
「取り敢えず来客には茶でもだせや。菓子は適当にショートケーキで良いよ」
「清々しいまでに図々しい!!白玉楼にショートケーキねぇよ!!!」
◇
「今日もお茶が旨い」
「そりゃよーござんしたね……あれだけ自由に振る舞って……」
白玉楼に上がり込んで早一時間程、俺は縁側に座って緑茶を啜っていた。うーむ、これは玉露か……
「出涸らしですけどね」
「客に出涸らし出すなや」
「それとぶぶづけもいかがです花の王様?」
「ユッコさん……お上品に失礼だよなそれ……」
幻想郷は京都に在った…?
「そもそも手土産も無しに来ておいて」
「おっと、忘れてた。here you are」
「なんて?……なんですコレ?」
「花酒」
「あらあらまあまあ、こんなに良いものを。妖夢!新しいお茶淹れてきなさい!あら……しかも二本も!!妖夢ー!お饅頭も持ってくるのよ!!」
「えぇ……幽々子様、手のひらくるっくるじゃないですか……」
「はっはっは」
こんなにも喜んでくれるとは、造った甲斐があると言うものさね。
渋々といった表情でお茶汲みに行った妖夢。出涸らしのお茶を啜りながら、庭の桜の木々を眺める。
「……さて……それで、白玉楼に訪れたのは物凄く久しぶりですね、花の王様」
しかしやべーな俺の舌、玉露と出涸らし間違えるとか。やっぱ神社に居たときからずっと安っ葉使ってたから舌が貧乏になったんかねぇ。
「宴会なり異変なりで時々会ってたけど、態々
いや待てよ……?よく考えたら俺そもそも玉露なんて飲んだことないんじゃないか?
「幻想郷の容が出来始めた~って紫が言ってた時くらいだから……ざっと1000年位前かしら?」
そうかー……俺いい年して玉露飲んだことないのかー……紅茶ならロンネフェルトとかいうのを飲んだことあるけど。
「貴方の事だからきっとココまで歩いて来たんでしょう?ちょっと気まぐれに……なんて距離じゃないわぁ」
花茶ならあの紅い館のメイドにも負けない…いや、圧倒的に捩じ伏せるレベルだと自負してるけどな。
「そう、1000年ぶりに、態々ココまで来て、それに珍しく手土産なんてらしくない事して……目的はなぁに?」
ん……?何の話だっけ?まあいいや。そう、俺が緑茶を淹れようとすると何故か泥水になるって霊夢が言ってたな、不思議だ。
「ねぇ、聞いてる?」
不思議と言えば昔、妹紅といた時も俺は野ウサギを焼いていた筈が何故か火山活動に巻き込まれていた事もあった。
「無視はとっても辛いわぁ……」
まてよ……八雲を拾った時も、何食わしたらいいかまるで分かんなかったから適当に米や食える花を混ぜてたら大爆発も起きたな……
「ほら、見て見てー。私の頬ってこんなに伸びるのよー」うにょー
んん?爆発と言えば……高天原に居た時も八坂に握り飯握ってやった時も結果的に島一つ沈んだなぁ。
「そろそろ泣くわよー?泣く前に耳にふぅーってしても良いのー?」
嘘だろ……。うわ…俺の料理力、低すぎ…?
「……」ふぅー
低すぎというかもはや最低値オーバーフローして天元突破してね?そりゃ霊夢も台所立つなって言う訳だわ。
「……」
料理してるつもりが天地創造してたわwwってか?やかましいわ!
「かぷ」
いやちがうんだよ。ちゃんと花が材料に有ればちゃんと出来るんだよ。ほんとほんと。
「……」
「れろれろ」
「なーにしとんでござんすか幽々子様」
「おっふ!?ちちち違うのよ妖夢!これはちょっとしたスキンシップよスキンシップ!!なんか美味しそうな耳だなんて思って無いわよ!?」
やっと来たな玉露汲み係。
「私そんな限定的な役割を請け負った事は無いんですが」
それよりなんか耳がヌルヌルして気持ち悪いんだけど拭くモン持ってない?
「ぁぅ、どストレートにそんな気持ち悪いって……」
「残念ですがそんなきったねぇヌルヌル拭くモンは無いですね」
「妖夢ー。私の心はもうボロボロよー?」
「それで、手土産なんて持って何の用かしら……」
縁側に腰掛けながらも、猫の様にぐてってるキャスk「幽々子」。生きる気力を無くした人間がしそうな顔しとるぞ。
「既に死んでるから問題ないわー」
「それで良いのですか幽々子様……」
「用というか……もう春だしな。ゲルググ見つけた時にふ、と此処の桜が見たくなったからよぉ」
「ゲルグ……妖夢!!私の名前は妖夢だから!もう原型一っつも残ってないから!!」
「そういえば妖夢知ってる?実は妖夢の名付け親は花の王様なのよ?」
「いやいや……幾らエイプリルフールが近いと言ってもそんな嘘引っかかる訳無いじゃないですか……」
「うふふ」
「……え。何ですかその意味深な笑いは……嘘、嘘ですよね?」
「あー、そうだそうだ。妖夢、妖夢だったわ。女の子だったし、母親みたいにならん様に色々考えたんだぜ?」
「……え?えっ??」
「
「えぁ……へぇぁ?ほ、本当なんですか……?」
「結構考えたんだぜ?なんせ花愛好家の頼みなんだからな、無碍にはできねぇ」
「その割には妖夢の名前を間違えてたわねぇ」
「仕方ねえだろ……名付けなんて今まで何億何万とやってんだから……しかも人の名前とかもう覚えておく容量なんて頭に無えから!」
「何億年も生きるってのも大変ねぇ……」
「えぅ……ほ、本当に……花の王が……名付け親なんです……か?」
「そう言ってるじゃない」
「パパーって甘えてもいいぞ?」
「いえ、それはないです」キッパリ
「挫けそう」
「はいはい、妖夢は反抗期なだけよ?」ナデナデ
「……コレがバブみって奴か。あれ、デジャヴュ」
「ところで私を産んでくれた両親の話は」
「あ、妖夢見て見て、あそこに反魂蝶が飛んでるわ」
「お、ありゃ死桜じゃねぇか。まだ生えてたんかアレ」
「お前等答える気ゼロか!」
◇
「さてさてさてと?こんの死桜……まぁ俺の知らん所でデカくなりやがってまぁまぁ」
「死桜……西行妖の事ですか?」
「西行妖?」
「この桜の事よー。とっても昔から生えてる桜で、私が亡霊になる前からここに在るらしいわ」
「あー。成程……成程?だが俺は少なくとも冥界に死桜を植えた記憶なんてないぞ?」
「どうも元々あった場所から移植してきたらしいわ」
「ほー」
「ところで……死桜って呼んでるくらいですから何か曰く付きだったり……?」
「んー?別に何のこたぁねえぞ?俺ぁ一時期桜にハマってた時期があってな。滅茶苦茶育てまくったんだが、何故かこの桜の下にだけ色んな生き物の死骸が落ちてるんだよ。それで死桜と名付けただけだ。」
「へぇ……興味深いわね?」
「そんでまぁ、なーんで死骸が集まる桜から妖気が感じられるんだ?」
「う~ん……紫が言うには昔この桜の下で色々な人が死んだみたいなのよねー」
「ははぁ……てか今更だけどさ」
「どうかしたんですか?」
「いやぁ、1000年位前にも白玉楼に来たんだが……この西行妖?有ったっけ……」
「そりゃあずっとあるでしょう。こんな大きな桜の木をあっちこっちに気軽に動かせるとしたら、そりゃあもう貴方くらいしか居ないですし」
「だよなぁ……」
「あ、そうだ。ねえ、花の王様?この西行妖……
「ゆ、幽々子様……それって嘗ての異変をまた起こすって事ですか……?」
「春雪異変か。お前、アレ大変だったんだぞ?春に咲く筈だった花が凍り付いて死に掛けてたから、幻想郷の片っ端から歩き回って花に命を分け与えて……思い出しただけでイライラしてきた」
「もー、あれだけ酷い折檻受けたんだからもう許してよぉ。そうじゃなくて、貴方の力でこの桜を満開に出来ない?」
「ふぅん……出来ない事は無い……無いが……これも花とはいえ妖怪だしなぁ……どれどれ?」
まずは西行妖の周りをぐるっとゆっくり回ってみる。成程ね、桜の妖怪なだけはある。
だが所詮は妖怪。王たる俺には決して敵わない。咲かせる事自体は出来そうだ。
ふんふん……満開に近づくにつれ、この桜は強くなっていくのか。能力はちとキツい気がするが何とかなるかな?
ん?
「なんだ?桜の根元に……」
んん?
んんん??
「気が付いたかしら?どうも西行妖に『何者か』が封印されているみたいなの。そして、この桜が満開になった時に封印が解ける……」
「ほほう。封印術にはあんまり明るくないが、どうにも愉快な状況だなぁ」
「そうでしょう?自分の身体を鍵にしてまで西行妖を封印してるらしいの。つまり、その『何者か』ってきっと凄い花愛好家だと思うの」
「そりゃあいいな!是非とも会いたい!」
「でしょう?きっと私とも良いお友達になってくれるわ!」
「ゆ、幽々子様ぁ……西行妖が封印されたのって1000年以上前ですよね……封印が解かれたらその『何者か』ってすぐに死んじゃいますよぅ……」
「大丈夫よ、ここは冥界だもの。死んでもすぐに遭えるわ」
「そういう問題なんですか……?」
新しい花愛好家!ならば是非共に酒を呑もう!死桜も満開になって一石二鳥ってな!
調査は中止!とっとと咲かせっか!
「……」
「……花の王様?」
「どうしたんですか?ま、まさかお化けの仕業!!」「ちょっと妖夢黙ってて」
「いや、うん……そう、だな……もう少し調査すっか」
死桜
西行妖
死に誘う程度の能力
八雲も手出しできない
何者かの手によって封印された
死骸が集まる性質
多くの人がこの桜の下で死んだ
殺された?
否
自尽したのだ
何故
死は救い?
死の魅力?
否
誘われた
死霊は?
死霊を操る程度の能力
西行寺
「……」
「……」
「……」
「なあ、幽々子」
「っ……なあに、花の王様?」
「俺は……まぁ、そうだな。この西行妖を満開にすることは……出来る」
「ふふ、なら「だが只では満開にしてやらん」……どういう事?」
「めちゃクソ面倒くさい」
「……えぇ……」
「花の王様……そんな事言わずに……ね?」
「だからそうだな……対価、対価をくれるんなら満開にしてやる」
「対価?何を出せばいいの?」
「さて……ね。きっとそれは幽々子。お前次第になるな」
「……」
「何言ってるんですか花の王。馬鹿ですか?」「黙ってろ馬鹿」
「私次第の対価は、どうやって払うのかしら?」
「俺がこの化け物桜を満開にした瞬間、勝手に払われるだろうよ」
「……その対価を払うと、どうなるの?」
「……」
「幽々子、お前は新しい『お友達』に出会えるだろう」「……!!」
「そして代わりに、親しき者を全て、永遠に奪われるだろう」「!!」
「どういう……事……?」
「奪われる……いや、違うな。奪う、そう。奪うんだ。全部」
「俺が」
「さあ決めろ幽々子。新しいお友達に出会って、八雲を、妖夢を、霊夢、魔理沙、その他大勢と二度と会えない世界で永年過ごすかどうか!」
「……ふふ」
「幽々子様……」
「大丈夫よ妖夢。一度諦めたことだもの、もう一度諦めるくらいなんてことないわ」
「幽々子様!」
「ごめんなさいね花の王様。やらなくても良い悪役演じて貰った様で」
「……」
「……いやほんとにな。マジでもー勘弁しろやぁ……俺ってばほら、ギャグキャラだし。こういうの性に合わんねーほんと」
「でもそうねー。折角西行妖の満開が見られると思って楽しみにしてたんだけど……この期待感ってどうすればいいかしら?」
「ほう、ほうほう、ほうほうほう?つまりその御言葉は…………万年生きてない小娘の挑発と受け取っても宜しいですね!?」
「ふふふ」
「良いでしょう良いだろう。デカさにゃぁ死桜に劣るが、その圧巻さは全世界一の景色を見せてやろう!!
と、その前にだ。折角の大騒ぎ、皆で楽しもうじゃねえの?」
「勿論」
「オッケェイ!!そういうわけで……全員黄泉送りじゃぁ!死ねぇ!!!」
「何その掛け声!?」
「きゃっ!?」「うわっ!?」「久しぶりな感覚……」「あっ!?」「またかよ……」「痛っ!ちょっと、レディの扱いがなってな「いやぁぁぁ!!」ギャァァァ!!」「全く何の騒ぎよ」「ま た 花 の 王 か !!」「あぁぁ……」「この瞬間移動解明できないかな……」「うわぁ……ここって天国かな」「まだ生きてるぞミスチー!!」\いてぇ/「こんな扱いに慣れてきた自分が悲しい……」「おっと!花の王の急な招集か!」「演奏するぞー!」「まだ早いよ……」
「よぉっす諸君!と言う訳で今から宴会すっから!」
「どういうわけだよ!!」
「ちょっと!?私は貴男程暇ではないのだけど!」
「大体いきなり連れて来て宴会だぁ!?ふざけんなゴラァ!!」
「……」
「はい、他に文句ある奴いたら出てこい」
「「「「「「 宴会大好き!!! 」」」」」」
「スゲェ……妖怪ってあんな……なんだあの状態」
「生きてるのかしら……」
「まぁ、いきなり連れて来られて『はい、宴会な』で気分が上がらんのも解かる」
「分かってんなら最初からやらなけりゃいいじゃない」
「……」
「……えっ、あ、ちょ、ご、ごめんなさい!悪気はないの!わるぐアはあああああああああ!!!」
「さらば、アリス」
「フォーエバー」
「と言う訳でまああれだ。いきなり呼びつけたから……花酒一人一升振る舞うぞ!」
「「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ!!!!」」」」」」」」」」
「マジかよ……明日は槍の雨だぜ!」
「槍だろうが何でもいいわ!花酒なんて久しぶりね!」
「おぉし!紫!紫ィ!!お前世界中から酒持ってこい!!ひっさびさの大宴会じゃぁ!!」
「あーもー!人使い荒い鬼ねぇ本当に!」
「だけど肴がねえぞ?」
「流石に仕込み無しに料理は……」
「心配ご無用!流石に料理は用意できねえが「ていうかお前が用意するな!」うっせぇ!肴なら用意してやるよ!さあさあお立会い!偉大なる大地の支配者にして花の王の強さ、美しさ、全てを称えるが良い!!」
それぞれが本気のラストワードに匹敵する超濃密のスペルカードを5枚同時に発動し、しかも一つとて操作を間違える事無く美しく展開する様に、それを見た全員が寒気を覚える。だが、すぐにそれを忘れる事になる。
世界が、桜に染まった。
力強く咲き誇るソメイヨシノ。凛と靡く墨染桜。舞い踊る枝垂桜に、歌う様に揺れる八重桜。様々な種類の桜が優しい風に煽られ、不可能弾幕の桜吹雪となり見る者の心を撃ち抜いて行く。
「す、げぇ……」
息を吸うことを忘れ、漏れ出るように出たため息は美しい弾幕に流されていった。僅か一分にも満たない弾幕で、人間、妖怪、幽霊、亡霊、神、全てを等しく下したのだ。
弾幕は終わった。しかし、世界の変化はまだ終わっていなかった。
まだ季節は春の初め、冥界に植えられた桜も3分咲き、良くて5分咲き位だったのが、先ほどの弾幕に中てられたのか、全ての桜が生命力に満ち満ちて満開に咲き誇っているではないか。
風が吹き、桜の花が散っていく。
風の音と共に、先の光景に心奪われていた者達の意識が戻っていく。
最後の余韻を惜しむようにゆっくりと時間が動き出した。
最初と最後で温度差が激しすぎて風邪ひいたってよ。作者。
あ、感想ください!(乞食
感想くれないと更新するぞ!(超乞食
感想くれたなら更新するぞ!(めっちゃ乞食