人間の命は、とても短い。長くても100年とちょっと。
そのくせ、短い時間で灼けつく様に私に傷を残していく。
決して消えない。決して癒えない傷を残していく。その傷が愛おしく、またとても憎らしい。
ある巫女は言った。博麗の巫女が幻想郷で大罪犯すのもマズいでしょ。
ある魔女は言った。私は死ぬまで霧雨魔理沙だぜ。
ある風祝は言った。後は子供達がうまくやってくれますから。
ちがう、そうじゃないでしょう。なんで、貴方達はどうして、なんで。
「……で?随分ひでぇ顔していつまで人ん家でつっ立ってるつもりだ600歳児」
「だれが600歳児よ」
ああ、また、まただ。気が付けば花の王の前に来てしまった。
「クソ情けない姿をテメェの従者に見せたくないから家にも帰らずほっつき歩いてるんですかねぇ?」
「……黙れ」
「『咲夜、お前はお前が望むように生きればいいのよ』ってか?それとも『お前の生き様を奪った私に出来る精一杯の償いだ』ってか?馬鹿かよ。テメェがやりたい様にやればいいんだンなもんはよ」
「黙れ」
「人間と永久の別れを演出する私カワイソーってか?ずっと癒えない傷を抱えて生きていく私カワイソーってか?アホくさ。花生えるわ」
「黙れッッ!!!」
花の王に掴みかかる。鋭く尖った爪が花の王の肉に食い込んでいく。
「貴様に何が解るッ!!霊夢や魔理沙が死んだときとは違うんだよッッ!!」
ギリ、ギリ、と歯を食いしばる。奥歯が砕けた様な感覚だ。
「違うのよ……咲夜は……」
咲夜とは長い、長い付き合いなのだ。永くを生きる吸血鬼の、その半分にも満たないような僅かな時間でも。それでも濃密な時間だったのだ。
「咲夜は……私の娘なのよ……お腹を痛めて産んだ訳じゃないけど、大事な娘なのよ……」
今でも覚えている。運命に導かれて出会った、まだ生まれて間もない赤ん坊だった咲夜を。
今でも覚えている。初めて咲夜が立った時の感動を。
今でも覚えている。咲夜が初めて淹れた紅茶の拙さを。
今でも、覚えている。
「あの咲夜が……死んじゃうのよ……?冷静でいられるわけないじゃない……」
「知るか。死なせたくないなら幾らでも方法はあるだろうが。それこそ俺に縋らずとも、テメェんとこの魔女が出張れば何通りも出来るだろう」
「咲夜はそんな事を望まないっ!!」
「それこそ知るか。自分は死にたい。だが自分の主はテメェに死んで欲しくない。なら従者だっつーなら自分の意志殺してでも生き続ければいいだろうが。それを押し付けろよ主人なら」
「貴様の所の無能従者と一緒にするなッ!!」
咲夜は違う。咲夜は違うんだ。咲夜はただの従者じゃない。私の娘でもあるんだ。
「何故……何故貴様は分からない……私と同じ『運命を操る力』を持っているんでしょう……?」
「ふん、お生憎。運命を見る『目』はとっくに捨てた。そんなモノが無くても俺は望むままに生きていく。俺は俺の定めたルールでしか縛れない。例えそれが運命だなんて曖昧で確定的なモノでもな」
今度こそ、奥歯が砕けた。
「誰もが貴様のように
顕現するは
「誰もが下らない『運命』に縛られて生きるしかない!!」
顕現するは
「私が出来る事は、揺蕩う『流れ』を見て、引き寄せることしか出来ない……のに!!」
顕現するは、
「貴様は、貴様はァッ!!!」
「そうやって永琳にも当たったのか?まるで子供の癇癪だな」
ふっ……と。指を向けられただけで。
あらゆる不吉を孕んだ
「なぜ……その事を……」
「『剥零神』なめんな。少なくともこの
よっこら、とここで
「『咲夜を人間のまま生き永らえさせなさい』ねぇ。仮に出来たとしても
「黙れッ!!」
「黙るかよ根性無しのチビナスアンポンタンクソザコ生活力皆無ヴァンパイア」
「なんでそこまで言った!?なんでそこまで言った!?」
罵倒一つにこの返し、正に花の王クオリティ。だが今はシリアスシーンなのだから少し自重しろ。
「テメェが勝手にシリアスぶってるだけだろうが。俺を巻き込むな迷惑だ」
「ちょっとは言葉を選びなさい馬鹿野郎!」
「テメェこそ言葉は選べよ?テメェが何しに此処に訪れたかをよぉく思い出せ。テメェが何を求めに来たのかをよぉく思い出せこの徘徊ロリ」
「最後の罵倒要らなくない!?」
フルッシャァァァ!!と殺気立った猫の如く威嚇する。だが何処吹く風、花の王は何の気にもとめずにそのまま空へと飛んで行く。
「ちょ、待ちなさい!何処に行くのよ!」
「咲夜のとこ」
そう言いながらゆっくりと紅魔館方面に移動していく。その姿になにか、言いようのない恐ろしい
「な、なんで急に……」
「咲夜は死ぬぞ」
俺が咲夜のとこに着いた、その瞬間に。
そう花の王は言った。
自身の血が凍ったかと思った。
刹那、思考が高速に回り出す。
結論に至る前に既に花の王に攻撃していた。
「あぶねえな」
鋭く尖った爪が花の王の喉に突き刺さる直前、ガラスのように透明な何かが爪を阻む。
瞬時に生成した槍で花の王の腕を突き刺す。しかしそれは
その事に、純粋に驚いた表情を浮かべる花の王。
「いや、はや。まさかレミリアなんぞに傷を付けられるとは思いもしなかった」
「血の一滴も流さずによく言うわ」
「褒めてやってるというのに、素直じゃねえ奴だな」
「その言い方で喜べる奴なんて幻想郷どこ探しても居やしないわよ」
「男のストリップとか誰が得するんだ」
「そこそこ需要はあるんじゃない?私には無いけど」
ぱっと思いつくだけで両手指が簡単に埋まるほどと考えたが、どうでもよい事だった。それよりも重要な事がある。
「……老いたわね、花の王」
「ン億歳相手に今更じゃね?何言ってんだお前」
先程の攻防もそう。嘗て煎餅片手に
……だがそれは、私が花の王に勝てる事を意味していない。
「大海からコップ一杯程度の海水を掬ったところで海は海。間違いなくコップ一杯程度減ったはずだが、海を干上がらせるにはまだ足りない。なぁ?」
「ヒトの心を読むんじゃないわよ、鬱陶しい」
花の王にはまだ勝てない。だが、だからと言って何もせずにただこの状況を指を咥えて眺めていられるほど、私は賢くはなかった。
「俺が咲夜のとこに着いたら咲夜は死ぬ。これは避けようのない事実であり、必然めいた偶然。これを運命と
「『運命を操る程度の私』の殻を破ってみせろと言うのね」
「成長は人間だけの特権じゃない。可能性は妖怪も神にも平等だ。ただ自分で勝手に
運命を操る。
それは、予め定められた大きな流れの中から数ある選択肢を選ぶ行為。
『運命を操る程度の能力』は、その流れの先を見通すことが出来る程度でしかない。
その程度でしかなかった。
予め用意された選択肢の先を見る事が出来る事で満足していた。
だが、もうそれではいけない。選択肢の先を捻じ曲げなければいけない。
「俺が紅魔館の咲夜の私室に着いた時、咲夜は死ぬ。早ければ今日の夜明けにもな」
「させないわ。貴方に咲夜の所へはたどり着かせない」
「出来るか?お前に。仮に一度俺を撃退したところで、再度俺は進行するだけだ。何度も俺を撃退したところで、何度も俺は進行するだけだ。俺を永遠に撃退し続けると?」
「何度も撃退する必要は無いわ。ただ一度、貴方を殺せばそれで良いのだから」
その時、花の王の口が裂けるかのように歪んだ。
「やってみろ幼き吸血鬼。それもまた選択肢の内の一つしかないという事を身をもって知るがいい!」
「下らない運命に縛られるのはもう沢山よ。私は
自身の内側にあった、下らない運命を『破壊』する。そして……
「……妖怪ってのは歪なモンだ。退屈なんてモノに悩まされる癖に、頭の凝り固まったジジババ共よりも変化を恐れる。それも長く生きれば顕著になる。知ってたか?八雲紫はここ1000年妖怪としての成長はほとんど無いことによ」
「どうでもいいわ、あんなヤツの事は」
先程までと違って、見える景色が少しばかり変わった。景色が変わったというより、
「そんな事言ってくれるな。ぶっちゃけると今のお前、八雲紫より強いぞ」
「あらそう、なら今度また異変でも起こしてみようかしら。解決に向かう者の居ない異変を」
「そりゃ相手の居ないボードゲームと何が違うんだ?」
「それもそうね」
今まで見下していた花の王の目線が上がる。私の視線と混じり合う。
「それで?『妖怪』という括りから逸脱した気分は如何かな
「少なくとも、貴方に見下される事が無くなって良い気分なのは確かね」
『吸血鬼』に拘ることは捨てた。此処に居るのは一体の
何者にも属されず単一にして、紅魔の
「ええとても、とても良い気分だわ」
「それは良かった。俺も、漸く
花の王の左腕が鮮血に染まった。
「あら、貴方にも紅い血が流れているなんてね」
「俺の中にヘモグロビンがあるのは不思議か?」
「ええ。てっきりクロロフィルでも詰まってるんじゃないかと思ってたわ」
「人をピッコロみたいに思いやがってお前」
花の王が軽く左腕を振るえば、まるでなにも起きなかったかのように左腕の裂傷と血液の痕跡が消えた。
「再生力はどっこいじゃないの」
「黙っとれ。回復技なんて使うのは初めてだ」
「あら、貴方の『初めて』を貰えたようで何よりだわ。ついでに貴方の命も頂戴?」
「二度同じ手を喰らう趣味はねぇんで」
「一筋縄ではいかないわね、知ってたけど」
「俺以外なら今ので決着だったなぁ。俺以外なら」
「なら貴方に通用する手を
紅い空が堕ちてくる。
「通用する手を創る前に俺が咲夜のとこにたどり着かなきゃいいがな」
大地が隆盛する。
どちらも比喩だ。比喩だが、片や空を埋め尽くすほどの紅き剛槍。片や大地を埋め尽くすほどの碧き閃光。力無き者がその場に居れば、世界の終焉を幻視するだろう。
弾幕が弾幕を撃ち落とす。僅か逸れた弾幕が世界を破壊する。
大地に刺さった剛槍を中心に周囲が焼失する。
天に届いた閃光が無を堕とす。
片や世界の理を捻じ曲げ、我が儘を世に押し付ける為に。
片や自身の理を貫き通し、気まぐれに楽しむために。
月はいずれ沈むだろう。だが、夜はまだ始まったばかりだった。
弓張月、片翼がもがれる。新しく生えた翼は疎ましく美しく輝く七色の翼だった。
居待月、腹部に風穴が開く。美味しいモノを食べられなくなったらどうしてくれるのか。
臥待月、ヤツの小指を斬り落とす。代償に右半身が闇に埋もれ塵となった。
待宵の月、目を灼いた。
既朔、左足の封印に成功した。
時間も、空間も、何もかもがちぐはぐで非統一的な流れは終焉を迎える。
望月、光が堕ちる―――――
* * * * *
長く、永く。だが短く。戦いは終わりを告げた。
花の王は何も言わず、何処かに去っていく。去っていく姿をただ見ている事しか出来なかった。
十六夜月は沈み、太陽がまた顔をだす。世界の理から外れようとも、大事なものは手から零れていってしまった。
「パチェ、私はどうするべきだったのかしらね。咲夜を無理矢理にでも不老不死にさせるべきだったのかしら」
「……」
「……お嬢様。わ、私が……力及ばないばかりに……」
「美鈴、貴女はよくやってくれたわ。貴方のお陰でアイツの余裕の表情を崩せたんだもの」
「……レミィ」
「ふふっ。主人がこうしてボロボロになっているというのに呑気に寝てるようで、ちょっと可笑しいわね」
「……お嬢様」
「レミィ」
「大丈夫……大丈夫だから……私は大丈夫よ。そう願われたもの……意地でも泣いてなんかあげないわ」
完全に伏せる前に、貴女が言った願い。私は貴方の主人だから、可愛い従者の願いなんて叶えるに決まってるじゃない。
だからそう、また……またいつか私に紅茶を淹れなさい。どれだけ時間を掛けてもいいから、私の為に紅茶とクッキーを用意しなさい。
命令よ。
かしこまりました、お嬢様。
ザ・エンドってね。
気が付けばもう新年あけてますよ。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
お待たせいたしまして大変申し訳ございませんでしたァァァ!!!
そんな訳で今年も稚作をよろしくお願い申し上げます。
バレンタイン?ねえよんなもん。
まるで眠りから覚めるように意識が虚無の海から浮上する。
目を開けば見た事も無い天井。ここは……
「おう、目が覚めたみたいだな咲夜」
「おはよう咲夜、随分まあ久しぶりね。2~30年ぶりかしら?」
「おはようございます咲夜さん」
「……え?」
顔を起こせば、ここしばらく見ていない面子が……もう見る事は無いと思っていた顔ぶれがそこに揃っていた。
「れ、霊夢?魔理沙?早苗?なんで……ここは……死後の世界……ってヤツかしら?」
「あー、まあある意味正しいな。私も死んだと思ったら此処に居たんだから」
「私もよ。全く、死んでもアイツの世話になるなんて思わなかったわよ」
「あはは……本当に幻想郷は常識に囚われてはいけないですねぇ」
死んだ……そう、確かに私は死んだ筈だ。自分の意識がまるで紅茶に融けていく砂糖の様に消えていったのも覚えている。最期の最後、お嬢様が私の手を握って居た事も、花の王が私の死に顔を見に来たのも。
そう、こんな事が出来るのは……
「おーっす、起きたようだな。初めて死んだ感覚はどうだ咲夜」
「は、花の王……」
其処に居たのは花の王だった。いや、この方は本当に花の王なのだろうか?少なくとも最後に博麗神社に行った時に見た印章と遥かに違っている。
まるで……
「枯れ木と若木のように……か?」
「ッ!?」
「カカッ、俺とお前にツマラン隠し事は無しだ。いいぜ、教えてやるよ。博麗神社に居る俺、即ち『剥零神』は言わば抜け殻。『俺』という存在の極一部でしかない。俺が持ってた神格をまんま渡してるから早々に消えやしないがな。だがアレはもう立ち枯れていく大木とそれほど変わらん。時たま気まぐれに種子を放ちはするが、もう積極的に動けるもんじゃない」
「……じゃあ、今の貴方は……?それと、ここは……?」
「良い質問だ、順番に応えよう。俺は花の王。風と大地を統べる全にして頂の一。神の神、無限の王。そして……『創造神』だ」
「創造……神……?それはいわゆるイザナギ・イザナミや、或いは天地創造の神の事かしら?」
「ふむ、当たらずとも遠からず。確かにそう言う『神』とも言えなくもないが、より適切な表現がある。俺は言うなれば『作者』であり『編纂者』である『
「……???」
「な?何言ってるか分かんねえだろ?」
「私はもうそういうモンだって思ってるわ」
「花の王様もさらっと次元の壁超えてますねぇ……」
「お前等……まあいい、話を戻そうか。次にこの空間だが、ここはどの空間、亜空間、三千世界に属さない場所。時空の向こう。『神』の居城だな」
「もっと簡潔に教えてください」
「幻想郷でも世界樹の中でも無い場所だと思ってればいいよもう……」
呆れたようにため息を吐く花の王。
「……それで、どうしてここに私や他の3人が居るんですか?私は確かに死んだ筈ですが」
「ん、なんだ?覚えてねえのか?俺は確かに言ったぞ。『お前が死んだ後、魂は俺が貰う』ってな」
……あ。
「だが魂だけじゃ永く生きるのに不十分だ。ソレ自身のエネルギーを受け止める器が必要になる。だが生半可な肉体では魂のエネルギーによって自壊していく、まあ人間の身体ならその前に勝手に老いて死ぬがな」
「……えっと」
「なら不老不死の肉体は?それもダメだ。魂だって成長する。なのに器である肉体が不変ならどうなる?魂は歪に成長し、やがて変に固まるだろう。それは良くない。魂が歪になると活力を失って生と死が曖昧になる。その状態を生きているとは呼ぶまいよ」
「……」
「全く理解出来ないのに詳しい話をしても無駄か……。俺ぁ悲しいよ、まあいいけど。とにかくお前等の身体の構成上はほぼ俺と同じだ。死ねば死ぬが、老いることは無い。そして望む限り永遠に成長し続ける。素晴らしいだろう?」
ニヤリ、と花の王は嗤う。それが愉快でたまらないようだ。
「……はぁ、花の王。アンタが無茶苦茶なのは前から知ってたけど、なんで私達な訳?」
「あー、そうだぜ。なんかよく分かんないがなんで私らをそんな永遠の世界に連れてきたんだ?」
「そんなモン単純明快な話だ」
「俺が、お前等を
その言葉に、三者三様の態度を示す三人。
一人は呆れたように笑い、一人は照れるように笑い、一人は顔を真っ赤に染めて言葉にならない声を上げている。
……私?聞かないで頂戴。
「んん……とにかく、よ。要するにこの身体になった以上、花の王のように永くを生きる必要があるんでしょう?ならその責任は取ってもらわないと」
「ふっ、勿論。永く生きた俺が、未だに飽きない世界の楽しみ方を教えてやるよ」
死とは、無の事だと思っていた。
幻想郷では死後の世界が行ける距離にあったが、結局は行きつく先は同じ。何もない。何も残らない。だからこそ、生きてるうちに何も残さないように生きてきた。
だがそう、花の王のように生きる事は密かな憧れでもあったのだろう。今になって漸く気が付いた程に小さな憧れ。
「さあ、早速だがやる事は色々あるぞ。もうすぐ紅魔館で咲夜の葬式が行われるらしいし皆で参加しようぜ!」
「ちょ」
「自分の葬式に参加するのは初めてだわ」
「幻想郷でも初よ。自分の葬式に参加する奴」
「あの、神奈子様や諏訪子様に挨拶してもよろしいですか?」
「勿論、むしろソレ兼ねていくんだから。普段すました奴の顔崩してみたいだろ?」
「……なるほど」
「こ、これが世界の楽しみ方……ですか」
「そういう事だ。折角だ、咲夜お前この花使ってレミリアに紅茶淹れてやれ」
「……これは」
「焦炎花」
「焦炎花……」
そうして全員で喪服に身を包み、十六夜咲夜の葬式に参列した。
思えば、十六夜咲夜とはこれ以上ない程に長い付き合いだった。それこそ夜眠る時も一緒であったと言う程に……
「咲夜、それはつっこみ待ちかしら?」
「冗談ですわお嬢様」
葬式は宴会へと変わり、呑めや歌えの大騒ぎ。お前生きとったんかワレェ!と霊夢に殴りかかる伊吹萃香。今更どのツラ下げて帰ってきたのかしら。と魔導書片手に鬼気迫る様子で人形を引き連れ魔理沙を追いかけるアリス・マーガトロイド。何か下世話な話をしている様子の守谷諏訪小と東風谷早苗、ボロボロと涙を流している八坂神奈子。
結局最後は大団円。それが花の王クオリティ。
「おい」
「なんでしょう」
「エジプトに時を止める吸血鬼が居るんだってよ」
「……へぇ、それは」
「楽しみだなぁ?」
「ええ、とても」
次回、花の王と異世界旅行編 開幕 予定