花を咲かせましょう   作:輝く羊モドキ

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一話にして最終話。あとは全部蛇足。

 青い。

 

 青い空がある。

 

 

 ふと気が付けば此処に居た。

 海と陸の境界線。空と大地の境界線。

 そんな場所に俺は居た。

 

 身体を起こす。

 同時に、初めて横たわっていた事に気が付いた。

 まるで土から生まれ出たかのように。

 まるで地に根差していたかのように。

 身体が動く事自体に違和感を覚えるようで。

 身体が動く事自体が当たり前の感覚で。

 

 海を見る。

 何処までも続くその青を見て、先祖がいるようで。

 

 陸を見る。

 何処までも続くその灰を見て、子孫がいるようで。

 

 立ち上がる。

 先程よりも近づいた空の青。煌々と輝く光。良い、気持ち。

 

 歩き出そう。

 その足取りは真っすぐに。過去の青には戻らない。

 その足取りは淀みなく。未来の灰を突き進む。

 

 

 

 後には、新しい命が一つ芽吹いていた。

 

 

 

 ~偉大なる大地の支配者にして花の王の手記より~

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「なによこの頭の悪そうな前書きは」

 そう言って目の前の女は暖炉に我が傑作を投げ込んだ。

「おおおまえこの野郎このボケ何しやがってるごらぁぁぁ!!!」

 全100頁にも及ぶ我が自伝が一瞬にして燃えカスにクラスチェンジしてしまった。ああ諸行無常。人間の手に掛かってしまえば創地の神すらこのざまである。

「貴男が神だなんて世も末ね。まあ、今は本当に世の末なのだけど」

「その末をどうにか出来ないかとこうしてわざわざ直談判しに来てるんじゃねえか何とかしやがれください!」

「無理ね」

「高々100も生きてねえ小娘にこうして頭を下げてやってる上にこの大地に生命をどれだけ与えたかを分っっかりやすいように纏めてきたっていうのに返す言葉が『無理ね』の3文字だとぉ!?」

「貴男煩いわ」

 そう言って女は耳を塞ぐ。大地の上に生きる生命のクセに地神に向かって何たる態度か。

「妖精並の地神(爆笑)」

「神に対する態度じゃねえよなぁぁ!!!」

「はいはい。おーいだいなるかみよーしずまりたまえーおさまりたまえー」

「なお荒ぶるわ!!」

「(っち)じゃぁどうすればいいのよ?」

「舌打ち!?お前今舌打ちしたよな!?お前マジで神罰的なサムシング下すぞ!」

「下しゃいいじゃない。どーぞご勝手に」

「ぐ、ぬぬ……」

 今の俺には目の前の女に神罰を下す処か殴る蹴る等の行動すらできない。

 なんとかって言った紐に縛られた俺はドカリと座布団に座り、目の前の女を睨み付けた。

 そうしながら俺は今までの出来事を思い返す。

 

 

 

 小さな人間たちの集落が気が付けば巨大都市に変わって幾星霜。都市はなお肥大し続け、世界の一枚岩たる大陸パンゲアの大半を侵略し支配地とした。

 だが人間たちは、原生生物の逆襲を受けて数を大きく減らした。原生生物は人間の味を覚え、魂を効率的に喰らうように進化した。

 巨大都市が原生生物の狩り場と化すのに時間はそう掛からなかった。

 しかし人間たちもただ数を減らしていくだけでは無かった。そもそも、この大陸パンゲアすら人間たちにとって狭すぎたのだろう。あっさりと都市を捨て、原生生物が生む『穢れ』なる存在の無い月に移住する事を決めた。

 月に『穢れ』が来ない様に、大地の全てを焼き払う兵器を置き土産にして。

 

 俺がそれを知ったのは偶然だった。

 そもそも俺は気の向くままに花を育てていただけの存在だった。

 原生生物の様に何かを襲い、ソレを喰らう訳でもなく。

 妖精の様にその地にとどまり続ける訳でもなく。

 人間の様に短い時間の中で生まれ死に朽ちる訳でもなく。

 神の様に生命の信仰で存在を保っているでもなく。

 永い、永い時をただ花を育ててはパンゲア中を移ろっていた。

『神』に日輪の花を奪われるまでは……

 

 日輪の花は、我が力を振り絞り創り出した傑作だ。

 その名の通り、天空に輝き続ける日の珠の如き生命力を持ち周囲に優しくも煌々としたエネルギーを振りまきながら成長する万物の母であった。

 その身許には動物も、植物も、原生生物すら身を寄せて久遠の時を穏やかに過ごす。

 欲の塊である人間の信仰から生まれた神を除いて。

 神は自らを信仰する人間たちの為だけに安寧の地から日輪の花を奪い去り、かの地で穏やかに過ごしていた全てを日輪の花の力で焼き付くした。

 俺がその事を知ったのは遥か後、パンゲアの果てで黄泉の花を育てていた時に花の声が聞こえるようになってからだった。

 よもや日輪の花に手を出す者が現れるなど思わなかった俺は育てていた黄泉の花を置き、日輪の花があった場所に駆けた。

 

 其処に在ったのは、神が言う『穢れ』を焼き付くす巨大な兵器と、都市に住んでいた筈の神々が集う『国』だった。

 

 

 

「そうして兵器と化した日輪の花を取り戻すべく神に変装して潜入したはいいが花に話しかける寂しい女に見つかり今に至る、と」

「誰が寂しい女よ。言っておくけど貴男が『地浄草』と同じ力の波動を持っているから生かしてるだけであって、解析が済めば他の穢れと同じ未来よ。分かってるの?」

「ふん、そう言ってなんだかんだで助けてくれるんだろ?」

「はあ?」

「花が好きな奴に悪い奴は居ねえからな。例え寂しい奴でも」

「……何処まで呑気な奴なんだか。呆れて物も言えないとはこの事ね」

「ところでシャレのつもりか分からんが『地浄草』ってクソダセェネーミングセンスだな」

「自己紹介のつもりで馬鹿らしい自伝(笑)渡す方が酷いセンスだと思うのだけど?」

「和解の始まりは相互理解からだよ友達いないネキ」

「弓の的になりたいのなら素直にそう言いなさい」

 即座に発射される矢。一般兵が撃つ銃弾以上の威力を持ったソレは、俺に当たる直前に桜の花の様にばらばらと散っていった。

 否、より正確に言うのならば『矢が桜の花になって』散っていった。

「はぁ、やっぱりまるで理解出来ない現象ね。霊力でも、神力でもないナニカの力。この頭脳をもってしても解析不能な事があるなんて腹立たしいわ」

「とりあえず当たったら死ぬんでヤメテネ!」

「死んでもすぐ復活するんでしょう?妖精みたいに」

「しねえよ!死んだら死ぬわ!」

 

「で、そもそも貴男何でこんな所に来たの?こんな神都のド真ん中の、それもセキュリティ万全の私の研究所に潜り込むなんて神でも不可能だと思っていたのだけど」

「今更それ聞くか普通……とりあえず日輪の花を返してくれ。あれは穢れなんつーもんを焼き払うために作り出したわけじゃねえんだ」

「無理ね。地浄草……貴男の言う日輪の花は私達の計画に必要不可欠なモノよ」

「ソレの所為でお前等人間と神達が地上の生物全てと争うことになってもか?」

「……もう関係なくなるわ。既に計画は最終段階。明日、この神都の住人が月に向けて飛び立った瞬間に地上は穢れと共に消え去るのだから」

「……ここじゃない都市に住む人間を見捨てるのか?」

「彼らは既に穢れきっている。月に穢れを持ち込むわけにはいかないの」

「ふざけろ。お前等の言う穢れってモンが俺には解らん。そいつは同族を殺してでも消さなきゃならねえモンなのか?そいつはこの地上で平穏無事に生きている世界を壊してでも消さなきゃならねえモンなのか?」

「……ッ!」

「原生生物たちは生きるために他を殺す。人間たちは死にたくないから他を殺す。似てるようで違う、だが俺が思うに正しいのは「判ってるわよそんな事はッ!!」

「貴男の様な永い時間を生きる者には分からないでしょうね!寿命が有る生命の気持ちが!親しい人ともう会話出来ない恐怖が!暖かかった手が冷たく変わっていく感覚がッ!」

「死にたくないッ!死なせたくないッッ!!」

「いつか死ぬ、そんな絶望から逃れられるんだったら何を犠牲にしても良いわ!それで皆が生きられるのならッ!」

「たとえそれが絶対に間違っている事だとしても!!」

「……」

 

「……花はな、そりゃぁ短い一生だよ。それこそ人間なんかと比べるまでもなくな。」

「……?」

「芽吹いて、茎が育ち、葉を広げ、蕾を作り、花を咲かせ、そして枯れ朽ちる。季節が廻りきる前に消えゆく物が殆どだ。日輪の花の様に何十年も生きて花を咲かせ続けるヤツなんて片手で数えるほどしかない。」

「それでも花は咲くんだ。俺からすりゃ須臾の間、ただ一時咲くんだ。何故だか分かるか?」

「……」

「『次へ繋ぐ為』その為に咲くんだ」

「花は実を結び、種を残して朽ちていく。そしてその種が芽吹き、育ち、花を咲かせ、また実を結ぶ。その須臾のサイクルは永遠に繋がるんだ。だから花は誇り高く咲く。何よりも美しく咲き誇る。」

「それが次の世代へ繋がるのだから。」

 

「人間、お前達が死んだら、何も残らないのか?違うだろう。死んでも、子孫は残る。思い出は残る。」

「死んだものを土に還せば、そこから新たに草花が生まれる。草花は草食動物に食べられ、草食動物は肉食動物に食べられ、肉食動物は他の肉食動物に食べられ、そして死んだらまた土に還る。」

「延々と続くサイクルは、死んだらそれまでじゃないって事を教えてくれる。」

 

「人間、死ぬって事は避けなくてはならない事じゃない。死んでも終わりじゃない、別の何かに変わるだけの身近なモノなんだ。」

「……見解の相違ね。私達にとって『死』は忌まわしく、そしてもはや避けられる程度のモノになるのよ。『死ねば終わり』なの」

「……人間、お前も花は好きだろう。その鉢植えにある小さな花に向ける愛情を、他の地上の花々に向けることは出来ないか……?」

「出来ないわ。この花と他の花は全く違う物よ。それこそ地浄草と他の花と同じくらいに」

「……」

「明日、私達は月に向けて飛び立ち、地上の全ては焼き払われるわ。貴方の言う日輪の花の力を利用してね」

「その焼き払われる存在の中には、限られた命を仲間と共に生きていく者もいるはずだ。いつか死ぬ。それでもただ生き物として生きていく者を焼き払ってでも「諄いわ!もう計画は最終段階!永遠の生が目の前にあるのよ!なら……なら犠牲を出してでもつかみ取るだけよ!!」

「……そうかよ。花を愛する者同士理解し合えると思ったんだがなぁ」

「貴男が寿命に囚われない存在の時点で理解し合えないわ。貴男と私は全く違う存在なんだから」

「お互いが理解し合おうとすれば相手が誰だろうが不可能じゃねえな」

「詭弁よ。そんなもの」

「そうかい、お前がそう思ってるうちはそうなんだろうよ。お前の中ではな」

 

「そして、永遠なんてモノに幻想抱いてるお前は何時か後悔する」

「地上に咲く我が子等共々燃やし尽くすというのなら」

「花を愛する者が間違えた道を往くというのなら」

「俺は花の王として守らなければならない義務がある!!」

「今の貴男に何が出来るというの?腕も、脚もフェムトファイバーで縛られている上にこの部屋は私以外の霊力や神力を抑える結界が張ってあるのよ。何にせよ今はおとなしく捕まっててくれないかしら?」

「『月で俺を解剖するその時まで』か?それでおとなしくしている奴が居る訳ねえだろ。それと、今の俺に何が出来るかだって?」

 

「何も出来ねえ!!」

「えぇ……貴男……あれだけ啖呵切って……ええ……」

「俺が出来る事は花を育み見守る事だけだ。戦闘なんて不得意なんてもんじゃねえし、空も飛ぶどころか光弾一つまともに飛ばせん」

「……ならおとなしくしてなさい。貴男自身には穢れが無いみたいだし、月に連れていってもそれなりの待遇での生活を保障するわ」

「お断りだね。大地の支配者を空に引き摺り出すなんて人間には無理だ。神にも無理だ。勿論妖精にも、原生生物にも不可能だ。この大地が全て海に沈まない限り、俺は永遠に地上に居る!」

 

 大地が揺れる

 

「っ!?この揺れは……!?」

「俺は花を生み育てるだけだ。永い事続けてきたお陰か、花と意思疎通出来るようになった」

「有り得ないわ!この部屋で神力や霊力の類を使えないハズなのに!どうやってこんな地震を起こせるのよ!?」

「特別な力なんて要らない。鳥の群れが一斉に飛び立てば空鳴りが起きるように、原生生物の群れが一斉に駆け出せば地鳴りが起きるように、花が一斉に此処に向かって移動しているだけだ」

「花……が……?それこそ有り得ないわ!花が動く訳が無い!!それこそ神の偉業でしか……」

「動くさ、花も生きているんだ。俺がやれることはその手助けみたいな事だ」

 

 揺れは更に大きくなっていく

 

「くっ!?花が来るというのなら焼くまでよ!」

「おいおい、花に火をつけるとか鬼畜の所業かよ」

 すると突然別の人間の声がした。

『先生、緊急事態です!!』

「分かってるわ!今すぐ対植物兵器を『神都に原生生物共が大量に向かってきてます!!』何ですって!?映像を繋ぎなさい、早く!!」

 今まで只の壁だった所が切り替わり、恐らく外だと思われる場所を映し出した。

 其処には確かに地平線を埋め尽くすほどの原生生物の群れが此方に向かって来ているのが映っていた。

「っ……都市の第二防護結界を発動しなさい!」

『し、しかしそれでは明日のロケット用のエネルギーが!』

「このままなら明日が来る前に滅びるわよ!早くしなさい!死にたいの!!?」

『は、はいぃぃぃ!!』

 ブツンと音を立てて映像が途切れ、通信は終了した。

 

「……ふ、フフフ。やってくれたわね貴男。自分を囮に、まさかこの神都を攻め滅ぼすつもりなんて思ってもみなかったわ。まさかこの私が出し抜かれるなんてね……」

「……」

「でも残念だったわね。第二防護結界が発動すればもはや神都に原生生物共が入る事は叶わないわ。そして、時間は私達人間側の味方よ。5日もあればロケット用のエネルギーは再補填される。第二防護結界はひと月は持つでしょう。その間、悠々と私達は月へ飛ぶ準備をさせてもらうわ」

「……そうか」

「……それと、貴男の様な不穏分子には消えてもらうわ。貴男にあらゆる攻撃が効かなくとも、何とかする手立てはあるもの」

 

「一つ」

 

「……?」

「一つ、大きな勘違いをしている」

「……何よ。私が何を勘違いしてるって言うの?」

 

 

 

「なんか俺、一連の流れの首謀者みたいに扱われてるけど全くそんな事無いからね?むしろ被害者側じゃね俺」

 

 

 

「……はぁ?」

「いやいや、俺言ったじゃん。俺が出来る事なんて花を育てる事だけだから。あんな花の美しさを理解出来ねえようなナマモノ共を俺がドーコー出来る訳ねぇじゃん。アレだからね。原生生物ってボカして言ってるけど要はアレ恐竜だからね。なんとかザウルス的なアレだからね。恐竜相手に話し通じる訳ねえだろ。というかそもそも話を理解できる脳みそ持ってんのかあいつ等。絶対ないだろ脳みそ。あいつ等アレだよ。今日と明日の区別がつく様な上等な判断できゃしねーから。どーせあらゆる物は『仲間』『食物』『食えない物』のどれかにしか分類出来ないアレだから絶対」

「ちょ、何よ貴男急にキャラ変わり過ぎじゃない?」

「ほら。そりゃぁねぇ、俺も大人だし。俺が育てた花達が草食の恐竜共に食われるのはまあしょうがないかなーとは思うよ?でも最近はあいつ等俺が態々面倒見た花畑から俺が離れた瞬間を狙って食い荒らしに来るわけよ。これは流石の俺でも腹立つわけよ。激おこプンプン丸なわけよ。」

「……え、私今何聞かされてるのコレ。愚痴?私より何倍も生きてるヤツの愚痴聞かされてるの?」

「草食恐竜が花畑食い荒らすんならともかく、肉食恐竜まで俺の花畑荒らすたぁどういう了見なのかねぇほんと。あいつ等花畑を見かけたら態々踏み荒らしていくんだぞ?何度その場でぶっコロコロしてやろうと思った事か。何度生きながら花の養分にしてやろうかと思った事か」

「いや知らないわよそんな事……何なの貴男本当に」

「うるせええええええ!!!大体お前等人間も人間だよなぁ!!?お前等が好き勝手に都市を広げるせいで住処を追われたクソ恐竜共が俺の花畑を荒らしに来るんだよォォォ!!!何なんだよお前等マジで!?繁殖力だけは一級品だよなオイ!!股間に脳みそ付いてんのか!?ネズミより増えてるってレベルじゃねえんだよォォォォ!!」

「知らないわよ……私が生まれた時には既にパンゲアの大半が都市だったんだから」

「碌に管理出来もしねえのに自分ン家広げてんじゃねえよ!!ゴキブリの如く恐竜共が巣くってるじゃねえか!!何なんだよ人間マジで!お前等何がしたいのかさっぱり解かんねぇんだけど!」

「だから知らないってば……それにそもそも私の生まれはこの神都だし」

「しかもお前等自分ン家広げるだけ広げておいて、『管理出来なくなった上ゴキブリ共が増えたのでゴキブリが居ない所に引っ越します。ついでに不老不死ゲット~♪』ってかァ!?ザケんなボケェ!!引っ越す前にバルサン焚いておくのがマナーだろうがぁ!!」

「バルサンって何!?貴男原生生物をゴキブリと同列に扱ってるの!?」

「ジャカァシャァ!!あんなん世界崩壊してもしぶとく生き残ってそうなナマモノなんてゴキブリと同列だンなもん!!あーもうキレた。切れました。お兄さんね、もうムカ着火ファイヤーしました。この地上をカム着火インフェルノォォォウします」

「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ。貴男自分で何言ってるかもう分かってないでしょう?」

「知った事じゃあねえんだよ!!ああそうとも!!こんな世界なんて知った事がオラァァ!!」

 Beep!!Beep!!

 

《警告、地浄草管理ルーム内の温度が危険域に突入しました。》

 

Beep!!Beep!!

「ちょ、オイィィィィ!!貴男、何をしたァァァァ!!?」

「フハハハハハ!!言っただろ!花が一斉に此方に移動していると!中には俺が力を込めて生み出した超凶暴な火吹き花や溶岩花、爆熱花があっただけの事!そしてソレらを日輪の花の救助に向かわせた!!」

「なんてモン造りだしてんだァァァァ!!馬鹿でしょ馬鹿だな馬鹿野郎!!地浄草の管理ルームにはこの神都のエネルギー全てを賄う3重融合炉と直結のエネルギーパイプが張り巡らされてるのよ!?万が一暴走したら地浄草とのエネルギーと相まってパンゲア全てを消し飛ばしてもお釣りが出るわよ!!そんなところに如何にも危険なモノ送り込むなんて」

 Beep!!Beep!!

 

《地浄草のエネルギーの逆流を確認。1番融合炉制御不能。》

 

Beep!!Beep!!

「ギャアアア!!終わる!!人類史どころか地球史が終わる!!どうしてくれんのよばかぁぁぁ!!!」

 

《2番融合炉制御不能。》

「……」

 

「結果オーライ!!」

「馬鹿ヤロォォォォォォォォ!!!」

 

 

《3番融合炉制御不能。間もなく自爆します》

 

 ・・・

 

 ・・

 

 ・

 

 

 

*チョドーン*

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 ~永遠亭~

 

 

「そう、それが俺とえーりんとの出会いだった……」

「ええぇぇぇ……」

 俺の昔話に4人の少女が聞き入っている。

「なんかシレっと地球滅んでるウサ……」

 一人は薄桃色のワンピースを身に纏った黒髪の少女。頭には白い兎耳が揺れている。

「いやいや、嘘でしょ?嘘ですよね師匠!?」

 一人はブレザーを身に纏った薄紫の長髪をした少うどんげ。赤い目が特徴的。

「まぁ、あの時は月夜見様の秘術でどうにかなったのよねぇ(遠い目)」「月夜見様すげぇ」

 一人は青と赤のツートンカラーのよく分からない服を纏った銀髪の少女。俺がおにーさんな以上彼女は少女だ。(断言

「永琳にも子供っぽい時代もあったのね」

 一人はもはや洋服なんだか和服なんだかわからん妙ちきりんな恰好をした長い黒髪の少女。これといった特徴は……無い(断言

「貴男に妙ちきりんだなんて言われたくはないわよ」

「と言うかアンタ、地上の花を守るって言っておきながら地上消し飛ばしたウサね……」

「有言実行、花はちゃんと守ったぞ。なんかこう……ぶわわ~って」

「永生きの癖に語彙力皆無過ぎて悲しいわね」

「永生きでも心は永遠の10代……だZE★」キラン

「「「うわぁ……」」」

「助けてえーりん年下の少女が俺の心を責め立てる」

「貴男は何時も若々しくていいわねぇ」

「……コレがバブみって奴か」←推定ン億歳。幻想郷最長寿。

「待ちなさい。何かもう色々おかしいわよ」

 おかしいのはそのつけ耳ではないだろうか?

「いや、おかしいのは貴男の頭よ。あとこれは本物だから」

「本物のつけ耳?うわぁ……ちょっとカグヤさん?お宅のペット随分猟奇的なシュミしてるじゃないの?」

「駄目じゃない鈴仙そんな事しちゃ。『めっ』よ?『めっ!』」

「(えぇ~何で私が悪い事になってるの~?)」

 

 

 ここは忘れられた者達が集う楽園、幻想郷。

 パンゲアよりも遥かに狭いが、一癖も二癖もある此処の住人達はパンゲア以上に見ていて飽きない。

 そんな世界を歩き、花を育て回る俺は変わり者の中の変わり者である。

 いずれ幻想郷中に花を咲かせ、多くの花愛好家達と一緒に呑みたいとそう思う。

 

 

 ただし風見優香、テメーはダメだ。




連載途中の小説があるにもかかわらず新作を書いているアホが居るらしい。

私だ。


風見幽香アンチじゃないですぅー愛してますぅー過去作見て頂いたらきっとわかっていただけますぅー(露骨な宣伝

あ、過去作でもロクな扱いじゃなかったわ(

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