デレマスに転生したと思ったらSAOだったから五輪の真髄、お見せしるぶぷれ~ 作:ちっく・たっく
うちの子は凄いかわいい。……間違えた、凄くてかわいい。
こんなことをいうと親バカと思われてしまうかもしれないけれど、そして事実として私は親バカではあるのだろうけど、それでも 、うちのフレちゃんのスゴかわいさは疑いようがないと思うの。
そう、フレちゃんはかわいい。
髪や瞳の色は私にそっくりなんだけれど、顔の造作にあの人の面影があって、段々と大きくなってきた今も、あどけないところがあってたまらないわ。
……でも、真剣な顔してるときはちょっと格好よくってキュンときちゃうのよね。
だからかしら、男の子にもモテるのだけれど、それ以上に女の子達からアイドルみたいに見られてるの、知ってるのよ?
小学生なのにジャパニーズ・バレンタインチョコいっぱいもらってきた時は、本当にビックリして、なんなのかと思っちゃった。
運動神経が抜群なのもその人気の秘訣ってやつかしら。
私の方が心配になってしまうくらい真面目にバレエに打ち込んでいたのも相まって、同い年どころか同年代の、たいていの男の子にだって負けないんじゃないかしら。それがかけっこでも、多分ケンカでも。……なるほど、彼らが近づけないのも無理ないのかも。
赤ん坊のころから寝てるときとミルクを飲んでるとき以外はずっと動きまわっているような子だったけど、その元気ぶりはどうにも加速するばかりのようで、ますます目が離せない。
たくさん食べて、お手伝いが大好きで、電池が切れたみたいに朝までグッスリ眠って、朝起きたらもう、ずっと走って踊りながら、目をキラキラさせてなにか楽しいことがないか探しているようで……。見ているだけでこっちが力をもらえる気がした。
フレちゃんは普段とってもお気楽な事ばっかり言ってるから、ご近所さん達はおバカちゃんだと思ってるけど、心外よね。
あの子はおしゃべりをちゃんと出来るようになるのが、ほかの子にくらべてちょっとだけ遅かったようだけど、早いうちから私たちの言うことを理解していたような気がするの。
首が据わらないころから、フレちゃん、って呼びかけると、キレイなおめめを私たちに向けて、ふにゃって、お顔が笑顔に変わるのよ。それでそれで、みゃおみゃお猫みたいな喃語、赤ちゃん言葉をしゃべりながら、だっこして? って感じでこっちに手を伸ばしてくれるの!
……抱きしめる手に力を入れすぎないようにするのが大変だったわ。ええ、腕力なくって本当によかった。
……いけない、かしこいお話だったわね、そうね……フレちゃんが少し大きくなったら日本に移り住もうっていう予定がもとからあったから、家では私の勉強もかねて、できるだけ日本語を使うようにしていたのよ。
でも、あの子ったらいつのまにかばっちりフランス語を覚えちゃって、日本に来てから大分たつ今でもすらすら話せるのよ。
もう、今では私よりも上手かもしれないわね。勉強熱心さんだから、他にも色んな事を知っていて、新しく覚えたことを私にも教えてくれるの。色んな国の歴史や文化、国際ニュースや経済用語、バレエや音楽の事、流行りの芸能人とかアイドルなんかも……ね。
……あ、学校のテストは今のところ満点、以外が、三回ね。あんまり少ないから印象に残っちゃってるくらい。
ここまでしゃべっても、まだ話し足りないんだけれど、フレちゃんがどれだけすごいかは、あんまり問題じゃないの。問題なのは、あの子が……優しすぎるっていうのかしら、そういうところ。
あの子は外に出るのが好きな子で、よちよち歩きができるようになったらもう、毎日お散歩ね。
いつも顔をしかめたパン屋のおじさまも、私にはイヤミな近所のマダムも、誰にでも吠えるドーベルマンだって、フレちゃんにかかればみんなファンも同然だったわ。
だからもう、日本にいく家を離れるっていうのがかわいそうで、どうにかフランスに居続けられないか、あの人と考えたりもしたの。
でも、ママン、日本ってどんなところ? たのしみだねー! はやくいきたーい!
なんて、言ってくれるのよ……。
フランスのみんなに見送られて、泣いちゃったりもしたけど、行きたくないとか、日本やだとか、そんなことは言わないの。
かしこいから、分かっちゃうのねきっと。私達、お父さんお母さんが困っちゃうって。
元気いっぱいで、誰よりも、優しすぎるくらい優しいの。親として、ちょっと切なくなっちゃうくらいに、ね。
なんでかしら、誰に言われた訳じゃなく、フレちゃん自身が決めたこととして、いい子であり続けている、みたいな。
私達みんながフレちゃんを愛してる、フレちゃんもみんなを愛してる、けど、あの子には別の何かも見えていて、だから本当に小さい頃からがんばってる。そんな気がするの。……打ち明けてくれないから、想像でしかないのが悲しいところなのだけど。
最近、本格的になったのは中学生に上がる少し前くらいかしら?
フレちゃんに元気がない。
きっと心境の変化があったのだろうとは思うのだけど、分からない。そろそろ本当に無理にでも聴いてみようかしらなんてこぼした私に、あの人は言った。
「そっとしておくしかないよ」
誰でも、自分自身からは逃げられない。フレデリカはその問題をどうにかしようと足掻いてるように、僕には見える。……君は最高のママンさ。自信をもって、いつも通りの笑顔であの子を支えてあげてほしいな。
不安に思ってる時に、自信満々に断言してくれるんだから、あなたこそ最高のパパンよね。
笑顔は得意よ。これであなたを捕まえて、フレちゃんを育ててきたのですもの。やってやろうじゃないの。
……あら、階段を駆け下りてくるなんて、いつぶりかしらね、元気出たのかしら?
「あらあら、フレちゃん、いつも言ってるけど、階段はゆっくり降りなさい。フレちゃんが怪我しちゃったら、わたし泣いちゃうんだから」
「ごめんなさいママン! ……それでえっとね、お願いがあるの☆」
フレちゃん、あなたほんとに分かりやすい子よね。
まるでお日様みたいな笑顔。……まったく、かわいいんだから、この子ったら。
いまさらプログレッシブ5読んで頭抱えるわい。