デレマスに転生したと思ったらSAOだったから五輪の真髄、お見せしるぶぷれ~   作:ちっく・たっく

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子供は残酷だけど、それはそれとして小学生って最高だぜ。




小学生って蝶☆サイコー

サクラ舞い散るこの季節、出会いと別れの季節と来たもんだ。

 

「……よろこばしいことに本年度も我が校は多くの新入生を迎えることができました。

たいへん名誉なことであると共に、身の引き締まる思いです……それと言うのも……」

 

なげえよ、校長。……さては寝かしつける気だなオメー。

 

さてこちら、当年六歳。

美幼女と美少女を行き来してます宮本☆フレデリカです。どーぞよろしく。

 

五歳の時に日本に来て、あれよあれよと小学生。早いもんだぜ。……気をつけないとあっという間に前世をなぞりそうだな。ガンバルゾーガンバルゾー!

 

しかし、フレちゃんってこんな境遇で日本人だったんだね。家の中ではママンも日本語で話してたし、そりゃ、しるぶぷれー、だわ。中身アタシだから別のパターンかもだけど。

 

せっかく覚えたんだし、アタシはどうにか忘れないようにしたいなあ。頭いいしなんとかなるでしょ。

 

ともあれ小学生である。

すちゅーでんと、である。

 

入学式を終えてみんなとぞろぞろ教室に移動だ。

クラス分けからの自己紹介の流れはいつの時代も、世界が変わっても不変らしい。

 

学校にいい思い出のない「オレ」が内心で溜め息ついてるが、おいおい、お前なんて「アタシ」に比べれば背景になれるだけ恵まれてるんだぜ。

 

小学生だ。こんなこと、はじめての子もいるだろうし、みんな声が上ずったり、泣き出す子もいる。

私の順番は五十音順で宮本だから最後の方。

……ありがたい、大分落ち着いたよこっちは。

 

「それじゃあ、宮本フレデリカさん」

「はい!」

 

教室中から視線が集まるのを感じる。

そりゃ文字通り「毛色が違う」もんなあ。

他の子の喋ってる時もチラチラ見られてたし。

 

「私の名前はぁ! み、や、も、と、フレデリカー♪ フランスから来たんだー! フレちゃんって呼んでね☆」

「かわいー。フレちゃん、にほんご上手だね」

「お人形みたーい」

「フランス語、しゃべってー」

 

人は自分と違うものを排除する。

子供となれば更に無自覚に容赦なくやる。

オレは知ってる。

 

なればこそ、ナメられたら終いである。

こいつは明るい、こいつはスゴい、こいつは楽しい。

そう思わせなければならない。

 

どうやっても目立つからには中途半端は無理筋。

このクラス、否、学校のスターになるつもりでいってやるぜ。

その素質は肉体に担保されているのだ。

残虐無比なるガキどもにそのへんをたっぷり……

 

「ねえねえ」

「……ほえ?」

 

油断してるところに声をかけられて、カードキャプターみたいな声が出た。

 

前の席の子がにこにこ話しかけてきてる。

むちゃくちゃかわいい子だ。さらさら前髪をヘアピンで留めてるの、グッドだね。

くりくりの目を緊張からか泳がせて、上目づかいで、

 

「あたし、真鍋いのりっていうの。フレちゃん、よろしくねー」

「うん! よろしくねー♪ いのりちゃん、スゴいかわいい! お友達になろ! ライン交換しよ☆」

「ほえ!?」

 

……やっぱ小学生って最高だぜ。目を白黒させるいのりちゃんを前に、アタシはそう思った。

 

 

 

 

 

 

入学からいくらか時間が過ぎ。

 

勉強など、このハイパーフレちゃんをもってすればできて当然。

知識アドバンテージもあるが、そもそも今生の頭脳の具合がすこぶるよろしいのだ。

大体のことは一発で覚えるし、ほとんど忘れることはない。

なんせ前世を覚えてるくらいだぜ。

 

「フレちゃん、ここ教えて?」

「んっとねー、これこーしてね、こう、メグちゃんは大体できてるからー、これやったら大丈夫☆」

 

メグちゃんは普段はお勉強できる子で、分からないことは先生に聞きに行ける優等生だが、算数の先生が顔怖いもんだから、アタシが相談役を請け負っているわけだ。

 

やくざ先生(残酷なあだ名)に感謝してメグちゃんの秀でたおでこを愛でながらアドバイスをおくると、次なる相談者。

 

「フレちゃん、宿題見せてよー」

 

もう最初からやる気がないのが女子のまとめ役のハナちゃんである。

小学生ながらに髪の毛をお洒落にかざり、子供用の化粧品も使っている強者である。

すっげーナチュラルメイク。アタシでなきゃ見逃しちゃうね。実際、先生にバレたことはないらしい。ぱないの。

 

「アタシの宿題は高いよ♪ お昼のデザートよろよろ~」

「えー、フレちゃんのケチ! デザートとわたし、どっちが大事なの!?」

「デザート」

「あぁーー! いまフレちゃん、言っちゃいけないこと言った!」

 

ハナちゃんがさも「わたし、傷ついたわ」とばかりに大袈裟に嘆いてみせる。ふわりふわりと舞う明るい茶髪に目を奪われるアタシ。さすが、かわいーぜ。

 

「アハハ、じょーだんじょーだん♪ さ、デザートがおしくば自分でやろうよ。二人でやれば秒殺だぜ☆」

「うん……びょーさつってなに?」

「あー……とにかくスゲーってこと☆」

「おお、そりゃすげーや」

 

ハナちゃんの席に行って、二人で肩を寄せあって宿題を片つける。……ってこれ次の国語じゃん、ハナちゃん得意じゃん、なんで私を呼んだんじゃん。

 

「でねー、フレちゃん、聞いて聞いて! 朝テレビでやってたんだけどー」

「うんうん、せやねー♪」

 

すまんねハナちゃん、その話分からんからあんまりノレないわ。

しかし、ハナちゃんはかわいい。クルクル回転する表情に、こっちも笑顔になる。幸せだ。

なんで呼ばれたのか分からんけどハナちゃんの手は動いてるし問題ないのだろう。

この幸福をそのまま顔に出してとりあえず笑っとけ笑っとけ。

 

 

 

時と場所は移りかわり、体育の時間。

男女混合でのドッチボール。このごろはクラスのみんなもフレちゃんのパワーが分かってきてる。

 

 

 

「フレちゃん、パース!」

「おっけーキラリン☆ビーム!」

「うおっ曲がった!?」

 

「フレちゃん、もっかい!」

「よっしゃ闇に飲まれよ☆」

「な、なんだあれブレたぞ!」

 

目一杯ふざけながら、目一杯体を使う。

ガチはどんな競技でも厳禁だ。

つちかった芸人根性を燃やしてとにかく楽しむ、みんなも笑わせる、ウィンウィンってやつよ。

これも修業ある。

 

「うさみーん、スマッシュ♪」

「フレちゃん、絶対テキトーだろフベ!?」

「おお、ごめーん」

 

顔面痛いよなー。知ってる知ってる、前世で。

 

 

 

 

さて、またある日の放課後である。

四年生になった頃だろうか。

 

 

 

「いのりちゃーん、一緒にかえろー♪」

「え、フレちゃん、いいの?」

「うん。もっちろん!」

 

いのりちゃんとはずっと同じクラスで仲がいい。

もはや幼なじみの親友だ。

家も結構近いしね。

 

「……でさー、臭くってさー♪」

「ふふ、ねー、あれ臭いよねー」

 

いのりちゃんと二人、並んで歩く帰り道。

……平和だなあ。

 

こんな風に友達と仲よくおしゃべりできるなんて、オレも大人になったものだ。いや、子供になってんだけどね。

 

「……やっぱり、フレちゃん、元気ないね」

「えっ……」

 

しまった、憂鬱な気分が顔に出ていたか。

いのりちゃんといれば自然と笑顔になれると思ったのは希望的観測ってやつだったらしい。

 

「だいたいおかしいよね。フレちゃん、いつも放課後はレッスンレッスンって、ほとんど遊んでくれないし、一緒に帰ってもくれなかったのに、最近は毎日だもん」

「あー、そだね」

「ねえフレちゃん、レッスンやめちゃったの? アイドルやりたいって言ってたじゃん」

「そうだね、最近は、ちょっと……休んでるんだよ。あのさ、いのりちゃん」

 

リア充を妬む人って結構いるけど、これでなかなか、維持するとなると大変なんだぜ。

 

特に女子なんて空気読むことを求めがち。読んでほしけりゃ書いておけってんだよな。

 

後は話題よ。みんなが興味あることに敏感でないと、つまんないって見なされちゃうやつ。

だから当然、テレビも見るしアニメも見るしニュースもチェックするわけ。

 

前世のオレが興味なかったようなファッションやスキャンダル、芸能界……それともちろん、アイドルだ。

 

「日高舞って知ってる?」

「……? だれ?」

 

この世界がアイドルマスターじゃないなんて、小学生になってからすぐ、薄々察してはいたよ。……気づきたくなかったんだけどな。

 

 




おかしい……私はSAOを書きたかったはず。

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