前回の次の日という設定で、希視点で話が進みます。
前回同様に滅茶苦茶です。
ー希 sideー
公園で穂乃果ちゃんの本性を知ってからの次の日、ウチはいつもの通り音ノ木坂学園に登校した。
3年生の自分の教室に入り校門を見下ろすと2年生組が笑顔で登校している。
笑顔で穂乃果ちゃんを怒る海未ちゃんを宥めることりちゃん。
寝坊で遅刻したのだろう穂乃果ちゃんを叱っている海未ちゃん。
そして、真ん中でニコニコの笑顔を振りまきながら『ゴメンゴメン』と謝っているのだろうジェスチャーをしながら後頭部をかいている穂乃果ちゃん。
ウチはいたっていつもの通りの穂乃果ちゃんのように見えた。
ウチの居場所をくれてウチらを照らす太陽のような存在、それが高坂穂乃果だ。
今、校門を幼馴染コンビと歩いているこの穂乃果ちゃんはウチのよく知る、ウチが大好きな穂乃果ちゃんだ。
ウチは昨日の深夜に公園でウチらの知らない他の高校の人たちと会っていた時の穂乃果ちゃんはこの穂乃果ちゃんとよく似た全く別人のように見えた。
(なんだ… いつも通りの穂乃果ちゃんか… 昨日のアレは穂乃果ちゃんとよく似た別人やったんや…)
ウチはまるで自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。
ー昼休みー
午前中の授業を乗り切り昼休みになった。
ウチは昨日の深夜にコンビニで買ったパンを食べようとバッグからパンを取り出す。
いつも昼休みはウチの親友の絵里ちと過ごす。
親友の絵里ちが待っている生徒会室に行く途中、ふと窓から中庭を見下ろした。
そこには、幼馴染コンビに挟まれた穂乃果ちゃんが2人に挟まれる真ん中という定位置でいつもの通りパンを頬張っている。
彼女のお決まりのセリフでもある『パンはうまいー』と言うセリフを言いながら両脇の幼馴染と笑い合う。
そこに、1年生組の凛ちゃんと花陽ちゃんが加わり離れた場所にいた真姫ちゃんを穂乃果が手を引いて連れてきた。
真姫ちゃんは照れ屋な性格から嫌がっているように言っているが凄く嬉しそうに顔を綻ばせている。
6人で昼食となんとも賑やかで微笑ましい光景だった。
見ている希も頰が緩む。
(やっぱり、昨日の穂乃果ちゃんは穂乃果ちゃんとよく似た別人やったんや…そうに決まってる…)
ウチはそう心の中で言うと親友が待っている生徒会室に向かった。
ー放課後ー
今日の授業も全て終わりいよいよ、ウチの1番の楽しみであるμ’sの練習の時間がやって来た。
アイドル研究部の部室で着替えてみんなで屋上に行き練習を始める準備をする。
いつものように絵里ちと海未ちゃんが場を仕切って練習が始まる。
休憩時間になってウチが持参したスポーツドリンクを飲みながら穂乃果ちゃんをチラリとみる。
穂乃果ちゃんはいつものように凛ちゃんとふざけ合い、にこっちと真姫ちゃんに絡みつき2人を怒らせて戯れていた。
それにみんなが笑い始めて怒っていたにこっちたちもつられて笑いだす。
そうこうしているうちに下校時刻が近づいた、みんなが部室に戻り着替えを済まし帰ろうとする。
ウチも帰ろうとすると…
「ゴメン! 今日、学校に忘れ物しちゃった! 先に帰っててもらえないかな?」
穂乃果ちゃんが海未ちゃんたちに言った。
海未ちゃんは軽く小言を言ってことりちゃんは笑顔で宥める。
これも見慣れた光景なので誰も何も言わず微笑ましく見ているだけだ。
完全下校時刻20分前になり、みんなが部室を出始める。
ウチもみんなに挨拶をして部室を出た。
なんてことや… まさかウチまで忘れ物してたなんて…
よりによって筆箱を部室に忘れるなんてな….
完全下校時刻まで後10分や! 急がないと…!
そうして、ウチがアイドル研究部の部室を開けようとすると中から女性の声が聞こえてきた。
「でだから……! ここは……!」
ウチの聞き覚えのある声やった。
いや、聞き覚えがあるどころか毎日聞いている。
ウチはドアの隙間からこっそりと中を見た。
今は飛び込んではいけない気がしたからや。
ソロ…
ドアの隙間からこっそり中の様子を伺うと…
「っ⁉︎」
カタカタカタカタ………
そこには横にたくさんの書類を置いてパソコンの前でウチらが見たこともないような真剣な表情をしている穂乃果ちゃんだった。
キーボードを打つ速さもかなりのものだ。
「えーと…? 来月の全部活動の活動報告はまとめたと… あ、美術部の物品補充も要請が来てたっけ、あとは、陸上部の新しい活動の要請だな…」
穂乃果ちゃんはブツブツと独り言を言っている。
内容から察するに生徒会の仕事なのだろう。
ウチは開いた口が塞がらなかった。
自分の知っている穂乃果ちゃんはこんなことは普通は出来ない。
穂乃果ちゃんはスマートフォンの時計を見た。
「あっ! もう、完全下校時刻10分前じゃん! 弱ったな〜… 半分しか進まなかったよ… 海未ちゃんたちにバレないようにしなきゃなぁ〜… 明日、生徒会室にこっそり持って行こうかな? 海未ちゃんたちには、海未ちゃんがしたと言っておけば、あの2人は私を見下しているから簡単に丸めこめるからね… 全くあの2人は… 特に海未ちゃんは私に怒るばかりで仕事の要領悪いし、パソコンの使い方も下手だから、保存したはずのデータがちゃんと保存されてなくて消えてたから、私が作り直す羽目になったこともあったのに… 海未ちゃんにバレないように海未ちゃんのしたところまで戻すのは大変だったよ… ことりちゃんも笑ってばかりいないでちゃんと仕事してよね〜…なにしろ…」
穂乃果が発した次の言葉にウチは今度こそ自分の耳を疑うことになる。
「みんなの前では私は2人の【出来損ない】と言う設定なんだから……!」
「っ‼︎」
そこまで聞いてウチは筆箱を忘れたことを忘れ、脇目も振らずに部室の前から走り去った。
嘘じゃなかった……!
別人なんかじゃなかったんや……!
昨日の深夜にウチが公園で見た穂乃果ちゃんはウチがよく知ってる穂乃果ちゃんやったんや……!
ー希 side endー
希は涙を流しながら夜の住宅街を駆け抜け、マンションの自分の部屋に入ると夜になった暗い部屋で1人で泣き続けた。
ー穂乃果 sideー
「ん? あれ…? 今、何か外で誰かが走り去る足音が聞こえたような…?」
希が走り去った後、穂乃果が部室のドアを開けて外を見る。
「気のせいか…? 誰もいないしね…」
穂乃果はそう言うと慌てて帰り支度をして完全下校時刻2分前に学校の校門を出て帰路についた。
太陽はみんなを照らす反面、恐ろしい性質も持っている。
暖かいだけが太陽じゃない。
太陽はこの宇宙の大ボスだ。
太陽が爆発をしたらどんなに恐ろしいことが起こるかは計り知れない…
その爆発は刻一刻と近づいていることをまだこの時は誰も知らない…
そう、まだ…
この時は知らない…
ここまでです。
感想やご要望があれば続きを書きます。
受験生になるので執筆がさらに遅くなりますが読んでくださると嬉しいです。