もしも生き残りが1人じゃなかったら   作:嗤う鉄心

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お待たせしました!(待ってくださった人はあまり居ないかもですが)

お気に入り190件越え+UA6000件越えありがとうございます!!
ハーメルンでは初めての作品なのに……!!

感謝感激雨霰です!!(いや雨は冷たいし霰痛いしこれからの季節は厳しいか)


と、いう訳で三話です!冬木編二話です!


所長……(´・_・`)


三話 対決、そして

遭遇

 

「先ほどの声はこの先からだと推測されます、先輩!」

「敵性体がいれば撃破後に助けるぞ!」

「了解です、マスター!!」

 

一足先に声のした地点に辿り着いた立香とマシュ。二人とも先ほどの戦いを経て何か掴んだのか、交わす言葉には力があった。

 

マシュが加速する。飛び出した先にいたのは――

 

「いや、来ないで!っ、“ガンド”!!」

 

オレンジの魔術礼装にオレンジの瞳、そして銀の髪の女性。立香はその声に聞き覚えがあった。

 

「あの人……もしかして、士郎と連絡を取ってた人か?確か所長とか呼ばれてたような……」

「はい、あの方はカルデアの所長です。ひとまず援護の後救助します!」

「頼む、マシュ!」

 

敵陣のど真ん中に飛び込んでいく。敵は先ほどと同じ骨の怪物だ。突然現れたマシュから何かを感じたのだろう、ほとんど全てがそちらに寄っていく。

 

手に持つ大きな盾を振るい、所長から距離を取らせる。時には剣のように切り裂き、斧のように叩きつけ、吹き飛ばす。振り下ろされる剣を防ぎ、そのまま押し返す。

 

しかし、中には変わらず所長を襲おうとするものもいた。

 

投影、開始(トレース、オン)

 

だがそれらは全て一刀のもとに斬り伏せられ。

下手人である士郎は長刀を振るい所長を守る。刃渡りの長さを生かし、全く寄せ付けない。()()()近づけば風に刻まれる。

刀の長さは三尺と少し。士郎が扱うには少々大きい。しかし、その長さと重さを全く感じさせることなく殲滅していく。

士郎が最後の一体を斬るのと、マシュが最後の一体を吹き飛ばすのはほぼ同時だった。

 

「敵性体の撃破、完了しました。所長、お怪我はありませんか?」

「え、あ……貴方達……。ええ、お陰様で怪我はないわ。でもどうして?私が確認した限りではここにレイシフト出来たマスターは居なかったのに。それとマシュ!貴女のその姿、カルデア第六の実験の結果ということでいいかしら?」

 

所長と呼ばれた人物は矢継ぎ早に質問をする。しかし、ある程度の状況は把握済みのようだ。

ここがレイシフト予定地であること、レイシフトが不完全であること、マシュがデミサーヴァントと化していること……。

 

「ちゃんと状況把握はしていたんだな。質問に答えたいけどそうもいかない。……相手をしなくちゃいけないみたいだ」

 

そう言うと、振り向きざまに白の中華剣を投げる。

 

ガギン、と音がする。

 

「気配は消していたはずですが……よく分かりましたね」

「……ライダー」

 

仕掛けた者は音もなく現れた。

紫の長髪。獲物は鎌。目は布で覆っている。

 

「しかし、私のこの姿を見て真っ先に『ライダー』と呼ぶとは……貴女は私のことを知っていますね?」

 

先の呟きを指摘された桜は、しかしその視線に動じなかった。

 

「……隠していても仕方ないですね。いいですか?先輩」

「どうせいつかバレることだったんだ。属性に触れなければあいつもそこまで言わないだろう」

「ふふ、ありがとうございます。」

 

何かを士郎に確認し、息を吐く。息を吸って上げた顔は、覚悟を決めたものだった。

 

「私は間桐桜。この地で行われた第五次聖杯戦争におけるライダーのマスター。クラスは違うけれど、貴女のマスターよ」

 

その言葉に偽りはなく。

その瞳に曇りはなく。

その心に翳りはなく。

目の前の強大な力を持った存在に屈することは無い。

 

「マトウ……サクラ。私の、マスター?」

一人は記憶を辿るように思案に耽り。

 

「桜さんが……聖杯戦争に……」

一人は驚愕に目を見開いており。

 

「だ、第五次ですって!?聖杯戦争は何度も行われていたの!!?」

一人は明かされた事実に更なる恐怖を抱き。

 

「桜、あの鎌は宝具で間違いない。きっと今のクラスはランサーだ」

その事を知っていた一人は相手の分析を着々としていた。

 

……ただの鎌じゃないな。呪いか何かがかかってる。なんとなくだけど……ランサーの槍みたいに治癒能力に影響を来すもののような気がする。『治せない』――いや、『殺せる』感じか?

つまりあの鎌は―――

 

「っ!」

「考え事ですか?随分余裕なのですね。いいでしょう。優しく殺してあげます」

 

士郎が答えに至ると同時に、ランサーは鎖を投げつける。

黒の中華剣で防ぐ。

 

 

ライダーとしての宝具は使えなくても、きっと魔眼は使える。あの結界も。それに俺の分析が正しければ……あの鎌にやられる訳にはいかない。

そもそも相手はサーヴァント。俺一人でなんとか出来るような相手じゃない。

 

令呪はある。ここで召喚するか?

いや、それはダメだ。――()()()()()

なら、俺に出来ることは―――

 

「俺が時間を稼ぐ。皆は逃げてくれ」

皆を無事に逃がすことくらいだ。

 

しかし―――

 

「そう簡単に逃がすと思いますか?」

「いや、まさか。予想通りだよ」

 

ランサーはその髪から鎖を生み出し――否、その髪を鎖として退路を塞いだ。戦って勝つ他に逃げ道はない。

 

「マシュ、士郎の援護を頼めるか?」

「はい、私が絶対に守り抜きます!」

立香とマシュも戦うと言った。

 

「全くもう……援護射撃くらいはできるわ。任せなさい」

所長も頷いた。

 

「先輩、無理だけはしないでください。防御くらいなら出来ます。それと……」

桜は士郎に釘をさし、何かを言いかけるも辞める。

 

「……いえ、彼女は私と契約してくれていたライダーでは無いですね。今のは忘れてください」

「ああ、それにあいつはもう……」

 

きっと、倒されている。

 

その言葉を飲み込んで一歩前に出る。その手には白と黒の中華剣が握られていた。

すぐ隣にマシュが並ぶ。

ランサーが鎌を握りなおす。

 

先に仕掛けたのはランサーだった。マシュに向かって鎌を横に一閃する。即座に反応し、盾で防ぐ。

横合いから士郎が袈裟懸けに切りつける。

後ろに飛び、距離をとる。追いかけ、間を詰める。ランサーも一旦とった距離を詰め、鎌の柄で剣を受ける。マシュが盾を叩きつける。

士郎を吹き飛ばし、その勢いのまま盾を受ける。

 

「“ガンド”!」

 

所長の放ったガンドが当たるかといった所でランサーはマシュを吹き飛ばし、避ける。

白の中華剣をそこに投げる。弾き、鎌を振るう。黒の中華剣で受け、いつの間にか手に持っていた白の中華剣で打ち払う。打ち払われた勢いを利用し、切り裂く。それをマシュが防ぐ。

ランサーの背後から白の中華剣が飛んでくる。再び弾く。

振り返りざまに一閃する。防いだ中華剣が砕かれる。マシュは弾き飛ばされる。

無手になった士郎に鎌が振り下ろされる。しかし、士郎の手には砕かれたはずの中華剣が握られていた。鎌を受ける。

盾の質量を利用してマシュが突進する。ランサーが飛び退き、距離をとる。

 

「敵サーヴァント、ほとんど消耗していません……!」

息をつく間もない攻防。

士郎とマシュの息が上がってきているのに対し、ランサーの呼吸に乱れはない。

「……驚いた。既に何度か殺したつもりなのですが」

特にと付け足し、つと士郎に目を向ける。

「人間のくせに良くやりますね。気が変わりました」

言うや否や、横薙ぎに振るう。今までの攻撃とは威力がまるで違う。

“気が変わった”とは、“本気で殺しに行く”という意味だったのだろうか。

 

I am the born of my sword(体は剣で出来ている)

……熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!!」

 

しかしその鎌は肉を断つことも血に濡れることも無く。士郎の目の前に咲いた四枚の花弁に防がれた。

 

「完全に防ぐとは思いませんでした。ですが、相応の跳ね返りがあるようですね。隠しきれていませんよ」

「士郎さん、下がってください!」

苦痛に顔を歪める士郎の前にマシュが立つ。

繰り返し振るわれる鎌を既のところで受けきる。

しかし、マシュとランサーでは腎力がまるで違う。

何度目かの攻撃でとうとう弾き飛ばされてしまった。

 

「これで終わりにしてあげます」

そう言うと、鎌に魔力が込められる。放たれる魔力は並大抵のものではない。宝具を使おうとしているのだ。

 

マシュは体勢を崩したまま。士郎は腕を押さえている。

二人して防ごうと構えるも、耐え切れないだろう。

 

万事休すか。

そう思った時だった。

 

 

「“アンサス”!!」

 

 

どこからか響く声。

ランサーが炎に包まれる。

 

「キャスターですか……!」

吐き捨てるように言えば、キャスターと呼ばれた者が現れる。

 

「おう、ランサー。そう睨むなって」

 

現れたその人は、やはり圧倒的な存在感を放っている。魔術師(キャスター)クラスのサーヴァントなのだろう。

 

青いローブと杖を身につけた青年は、何より目を引く赤い瞳に青い髪を持っていた。

士郎と桜にとって、あまりにも見覚えのある髪と瞳。

 

「「ランサー!!」」

 

特に士郎は決して忘れることの出来ない相手。

 

「ん?今は魔術師(キャスター)なんだが……。てぇ事は坊主と嬢ちゃんはオレの事を知ってんだな。なら話は早い。お前らのことが気に入った。手助けするぜ」

 

そう言うといつの間にか迫っていたランサーに向けて炎を撃ち出す。身をねじってそれを避けるも、それは想定済みだったのだろう。杖で殴りかかる。

 

「ちょ、さっき自分でキャスターだって言ってたのになんで殴りかかってるのアイツ!?それと衛宮!アイツは誰なの!?説明しなさい!」

キャスターとしてあるまじき行為に所長が悲鳴じみた声を上げる。

しかし、キャスターは確実にランサーを追い詰めていた。

 

「オラオラ!どうしたランサー?テメエの鎌は飾りもんか?」

「くっ、キャスターの癖に肉弾戦ですか……!とんだ脳筋ですね!」

 

ランサーがマシュや士郎を相手取っていた時よりも明らかに速く鎌を振るっているのに、キャスターに当たる気配はない。むしろ、杖を振り回しているだけでランサーにダメージを与えている。

 

「流石はランサー、だな」

 

キャスターに向けたと思しき言葉には、僅かながら信頼の響きが含まれていた。

と、キャスターがランサーを弾き飛ばす。

 

「最期は炎で飾ってやらあ。……“アンサス”!!」

 

特大の炎に包まれ、ランサーは消滅した。




テスト終わったと思ったらすぐテストってなんでさっ!!!!!!

イベントとテストに追われて更新が遅くなりました。
メカエリチャンは二号の方を貰いました!
マシュ以来初のエクストラクラス……!!
……あと4個ミッションクリアしなくちゃ……。

……進まねぇ!
今回凄く尻切れトンボ感が……。
もっと色々入れたかったんですけどね……。

ともあれ何とかこぎつけるとまでこぎついた感じです。
次回は……戦闘はない、と、思いたい、です。(遠い目)
そして早く上げられるように頑張ります!

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