霧の艦隊でも自由気ままに航行したい   作:やなぎのまい

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今回はべらぼうに短いです。

次に繋ぐための繋ぎです。

第七話に修正があったとしてもここから先の本編にはなんら影響はありませんので、ご安心?下さい。

ではでは

あ、後書きにまたいくつかお話乗っけときますので、よろしければ最後まで……………





第八話

 

 

 

 

 

 

「さて、これからどうしようかしら」

 

401が海へと潜って行くのを見届けたあと、私はゴザに戻り、お茶をすすった。

 

このまま、霧として群像達(彼ら)を見守るのかそれとも、もっと近くで観察するか……………。

仮にもっと近くで観察すると言っても、一体どうすれば……………。

 

そんなことを考えている時

 

「重力子反応?これは」

 

レーダーに引っかかった反応。

タイホウは海の方へと目を向けた。そこには淡く、白色に輝く大きな影があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザバァァアアアン!

 

盛大に水飛沫を上げながら巨大な船が海中から現れた。

 

「これはまた、大胆な挨拶ね。こんにちは霧の艦隊、総旗艦殿(・・・・)

「えぇ、こんにちは。海域強襲制圧艦隊旗艦殿」

 

現れたのは、霧の艦隊総旗艦。超弩級戦艦ヤマト。その人だ。

戦艦の顔とも言える高い檣楼の頂上に立っている女性こそが総旗艦ヤマト。ロングの黒髪に、ウェディングドレスと見間違えそうなほど純白なドレスを纏っている。

 

ナノマテリアルがヤマトの檣楼の周りに輝くと、足場をいくつも形成した。その足場を使って上手く檣楼から降りてくると、タイホウ(私の船)の甲板へと降り立った。

 

コツコツ、近づいてくる女性に

 

「取り敢えず座ったら?」

 

そう言うと私はポンポンと座布団を叩いた。

 

「ではお言葉に甘えて」

「お茶よ」

 

ヤマトが座ったのを確認すると、急須からお茶を注ぎ、湯呑みをヤマトの目の前に置く。

 

「まぁ、ありがとう」

「それで。何のようかしら?」

 

タイホウから受け取った湯呑みを一口飲み、コトリとちゃぶ台に置いてから一拍。

 

「アドミラリティコードの最後の命令。それを拒絶し、出奔したあなたの今を知りたいのと、401をどうするのかと思って」

「そんなことを聞くためにわざわざこんな蒸し暑い太平洋まで来なくても、霧お得意の概念伝達を使えばよかったのではないかしら?それにわざわざ戦艦が得意なわけでもない潜水で来るなんて。メリットの『メ』の字もないじゃない」

「ふふ、海の中は静かで、思考に(ふけ)るには最高よ。おすすめだから貴方もぜひやってみるといいわ、タイホウ」

「ミサイルも艦載機も使えなくなる海中なんてゴメンよ。まぁ、静かな空間というのも理想的だけれど」

「あら、そう」

 

ズズ、とお茶を呑み、ちゃぶ台の中央におかれたお菓子の入った大きくも小さくもないお皿から煎餅を取り出すと、袋を切りパキリと噛み砕いて咀嚼した。

 

「で、話を戻すけれど。本当に何をしにきたの?まさか本当に申し訳ない話をしに来ただけ?」

「ええそうよ。直接会って話したかったのよ」

「まるで人間みたいね」

 

そう言うと、海の上の空中を自由に飛び交う鳥の群れを見つめながら、ヤマトは言葉を放った。

 

「そう。私達はこの体を、中身は兵器であれど人間としての器を手に入れたわ。過去を顧みるようにもなったし、未来を予測するようにもなった。こうして私達は過去の大海戦で持ち得なかった『戦術』という概念を手に入れたわ。

不自由を手に入れ、戦術などを含む新しい可能性を見つけた。そう、401やあなたのようなね」

「それは、また……………。で、私がこれからどうするか。でしたっけ?」

「えぇ、よろしければ教えてちょうだい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はただ知りたいだけ。見届けたいだけ。この世界がどんなふうに変わっていくのか。私に何を教えてくれるのかを」

「401はどうするのかしら?」

「さぁ?少なくとも、現状の霧の目的である401撃破に手を貸すつもりはないわ。あなたはどうするの?」

「どうしようかしら?」

 

フフっと笑うヤマト

 

「この後の予定は決まっているのかしら?」

「いえ。だから何をしたものかと悩んでいたところよ」

「それなら、一つお願いがあるのだけれども」

「なにかしら?」

 

一息つくと、先程の柔和な顔つきとは打って変わり、そこには凛とした顔つきをした霧の艦隊総旗艦がいた。

 

 

 

「霧の艦隊総旗艦ヤマトが海域強襲制圧艦隊旗艦タイホウに『人類の性質の解析』と『401についての情報収集』の任を命じます」

「本当に……………はぁ。海域強襲制圧艦隊旗艦タイホウ、拝命いたします」

「つまるところ好きに動いていいわよってことね。取り敢えず日本に向かいなさい。きっとなにかあるわよ」

「じゃあ、そうすることにするわ」

 

 

 

先程の緊張感を返して欲しい。

そこには、もう総旗艦の雰囲気はなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「お茶、ご馳走様でした。いい話が聞けたわ。ありがとう」

「お粗末様」

 

そう言って立ち上がると、また、ナノマテリアルで作った足場を使って弩級戦艦ヤマトの檣楼へと登る。

 

「また、お話出来ると嬉しいわ」

「来たなら歓迎するわ。よい航海をヤマト」

「あなたこそ。よい航海をタイホウ」

 

ドドドドと、音を立てながら、盛大な水飛沫を飛ばしながら、また海中へと潜っていった。

 

「さて、私はどうしたいのかしら」

 

ヤマトとした会話を思い出しながら、胸に手を当ててみるも、何も思いつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







(2017/10/19 14:00:17)だいぶ修正しました。修正点としては、意見があった通り、ヤマトからの指示を受けている描写を入れました。
よろしくお願いします。


まぁ、話と言っても。活動報告にのせたので見てほしいというお知らせです。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=164219&uid=138666

よろしくお願いします。

次からはまたいつも通り2000文字後半から3000文字前半くらいに戻しますので。

ではでは



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