霧の艦隊でも自由気ままに航行したい   作:やなぎのまい

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UA1000突破!ありがとうございます!

この調子で頑張っていこうかと思います。

今後ともよろしくお願いします!

ではでは









第四話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい」

 

侵食魚雷や通常弾頭魚雷を積んだ艦載機が、手持ちのそれらを使い果たして帰ってきたのに労いの言葉をかける。

 

「やっぱり一筋縄ではないかないのね」

 

再びナノマテリアルを輝かせ、艦載機の損傷部位を修復し、再び魚雷などの兵装を積み直す。

 

海を睥睨する。

 

チラリ、と見えてかげ。

ソナーに僅かに引っかかった影。海中のゴミと見間違えそうになったが、すんでのところで気がつく。

そんなゴミのようななにかに向かってニコリと微笑む。

 

さて、心を切り替える。心を切り替える、なんて自分もおかしなことをする────そう考えてしまった自分にまた苦笑する。

 

もともと、前世が人間だったとしても、その頃の記憶はもうほとんど無く無に等しい。覚えていたとしてもそれはこの世界の事の本のわずかだけ。

装甲空母タイホウの意識と混ざりあってしまった自分は本当にメンタルモデルになってしまっていたんだなぁと改めてそう思った。

 

しかし、それとこの戦いは関係が全くない。

 

「でも、あと少し頑張ってちょうだい」

 

ただの無機物である、艦載機に声をかけるなんて……………本当に自分はメンタルモデルなのだろうか。

さきほどの思いと矛盾していると余計可笑しく感じてしまう。

 

 

 

「全機、発艦!」

 

今は、この瞬間だけを……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長、やはり艦載機でした」

「やはりか」

「はい。海流にまかせて海上へと流した無人偵察機から今、映像が届きました」

「出せ」

「はい」

 

やはり、群像と僧の予想通り、艦載機を、使っていたようだ。

 

その偵察機の映像を正面のメインディスプレイに映し出す。

 

海上には401よりも遥かに巨大な体をもつ装甲空母が鎮座していた。

 

「これが、装甲空母……………タイホウか。我々はこんなのと戦っているのか」

「えぇ、そして画像解析の結果面白いものが見つかりましたよ」

 

そういうと、ピントを調節し、タイホウの艦首をズームする。

 

「これは────」

「恐らく、イオナと同じ霧のメンタルモデルかと思われます」

 

そこには和装と現代の服装を混ぜたかのような格好をした少女が立っていた。

 

「さらに、しばらく無人偵察機をこのままにしていたのですが、艦載機は偵察機の後方へと飛んでいきました。この方向は、先ほどの魚雷の着水予測地点とほとんど一致しています」

 

そう言うと、戦況マップを映し出し、魚雷の着水予測地点と、艦載機の飛んでいった方向を重ねる。

たしかに、全てが一致している様子が目に取れた。

やはり、攻撃の対応範囲を絞って攻撃を回避するしかないか……………と考えていたところに

 

「ちょっと待てよ群像」

「どうした?」

 

驚いたかのような声を挙げる杏平。

 

「あのメンタルモデル、こっち向いてねぇか!?」

「なにを……………ッ!」

 

先ほどのズームした画像の中の少女。その目線は完全にこちらに向けられていた。いわゆるカメラ目線である。

 

「そんな。これは本当に小さい、それこそ海中のゴミとも区別がつかないようなものだと言うのに……………」

「それが海域強襲制圧艦隊旗艦というわけだ」

 

 

 

 

「だが、俺らは奴を下す。各員、状況報告」

 

暫し、無音が支配した空間を群像が壊す。

すると、全員が意識を取り戻したように

 

「通常弾頭魚雷28!通常弾頭ミサイル25!アクティブデコイ3!音響魚雷9!その他火力は最大値の78%、侵食魚雷の残り残弾数は5だ」

 

杏平の報告に続き、僧が

 

「気密や空調を初めとした艦内の環境システム問題なし。クラインフィールド、強制波動装甲の稼働率は53%。先の対ヒュウガ戦で残ってた分とこの戦いで溜まった分ですね」

 

「ソナー、その他全センサー問題なし。ただ、先程から挙げられている艦載機に関しては、海上、いや空中に存在しているため、微弱な重力子反応と勘で予測することしか出来ないかと思います」

 

そして、静かの報告に続き

 

「重力子エンジンも目立った損傷は見られないね。エネルギー回路も問題なし。ただ、第一から第六エンジンが少しやばいかも。出力最大があと十分以上続くとなると焼き切れて、最大出力は4割減少する。あと、例のブツなんだけど────」

 

すこし、言葉を選ぶように考え込むが

 

「いいや、はっきり言おう。使ったら最後。硫黄島でちゃんとしたメンテナンスを受けるまで使えないし、エネルギー回路も損傷すると思うから全力戦闘は出来なくなる」

 

そんないおりの報告を最後として群像は状況を整理する。

 

「僧、アクティブデコイは?」

「全機、量子通信含め問題なしです」

 

作戦を練る

 

「いおり」

「なに?」

「使った後、全力じゃなくても戦えるか?」

「そうだねー」

 

うーんと腕を組んで唸ると

 

「最大出力の7割は出してみせるよ」

「上々だ」

 

「イオナ」

「なんだ?」

「いおりはああ言っているが、お前はどうだ?」

「群像の作戦しだいだけど、もしそれが私の考えと一致してるなら────勝てる」

あれ(・・)も大丈夫か?」

「大丈夫だ」

「よし!」

 

「作戦を伝える」

 

ここに、勝利の方程式は整った。

 

あとは証明をしてみせるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず第一に、この作戦はヒュウガからの分捕り品、『超重力砲』がカギだ。」

 

周りをぐるりと見渡す

 

「あくまで博打だ。これはタイホウの艦載機に限りがある場合の話だ。

第二次世界大戦のころ、装甲空母大鳳は艦載機の数がだいたい50だった。つまり、残りの通常弾頭ミサイルや兵装を使って艦載機を落とすことが出来れば、空中戦力を大きく削ることが出来る。

背後からの攻撃を限りなく無視できる状態から本作戦のスタートだ。

のこりの魚雷や兵装を最大出力で使用、クラインフィールドの演算でタイホウの情報処理量を増やし、リソースを潰す。

ここで、音響魚雷を使って残っているデコイに無音潜航で混じる。可能ならば、タイホウの横っ腹に本艦をつける。

そこまで行けばあとは超重力砲をぶちかます。」

 

そこまで言い切ると一息ついて

 

「僧、多少の被弾は許す。クラインフィールドの8割まで使ってもらってかまわない」

「なっ!?それはどうして」

「いおり、エネルギー流路、メタメタに壊すことになると思うが許してくれよ?」

「ぁ……………ぁあああああ!溜まった分のエネルギーも超重力砲に乗せるつもり!?ばっかじゃないの!?」

「あぁ、なるほど。そういうことですか……………」

 

僧が納得したかのように頷けば、いおりは顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。

 

「なぁに、最大出力の7割はだしてくれるんだろ?」

 

群像はからかうような調子でいおりに話す。

 

「くぅう~〜~〜~ッ!やるわよ!やってやるわよ!そのかわり、修復を最優先に!陸に上がったらなにか奢りなさいよ!」

「あぁ、任せてくれ」

 

 

 

 

「機関出力、最大値の60%、海底を這え!」

 

「かかるぞ!」

 

 

 

 

 

 







次回、決着です。

ここまで長かったッ!

この後は、401VSタカオ戦の予定です。

あぁ、時系列何ですが、これはヒュウガ戦の後、原作SSTO発射の護衛前の話です。そこも含めてタイホウの絡みを書けたらなと思います。



何かれば、感想下さい。
(感想にあった戦い方のあれ……………参考にしたいとおもいます。ありがとうございました!!)



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